著者
平野 順子 東 珠実 柿野 成美 鈴木 真由子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.312, 2006

【目的】 近年の消費者トラブルの急増と悪質化に鑑み、一般の消費者よりも不利な立場にある高齢者の実態を把握するために実態調査を行った。本報では、高齢者が消費者トラブルに関する情報と一般的な情報を得る経路についての実態把握を行い、今後の高齢者に対する消費者教育のあり方について検討することを目的とした。【方法】 2005年1月に、全国の65歳以上の一般男女1350人に対して、訪問面接法によってアンケート調査を行った。有効回収率は77.6%であった。本調査は、平成16年度内閣府請負事業として実施されたものである。【結果】 _丸1_一般的な情報の入手経路として多かったのは、テレビ(男性95.4%、女性95.8%)、新聞(男性89.2%、女性81.8%)、友人・知人(男性41.0%、女性46.5%)であった。_丸2_消費者被害情報の入手経路として多かったのは、テレビ・ラジオ(男性91.0%、女性92.9%)、新聞(男性81.3%、女性65.9%)、家族・友人との会話(男性26.7%、女性38.8%)、自治体や自治会の広報(男性24.9%、女性21.4%)であった。_丸3_前述までの通り、高齢者の多くは積極的な入手経路によって情報を得るよりも、メディアや身近な人からの情報入手が多いことが分かった。とりわけ身近な人からの情報によって、消費者トラブルが自分の身近な問題であることを再認識するきっかけとなることが分かっている。今後、高齢者にとってより有効な情報伝達手段を使っての情報提供が期待される。
著者
友竹 浩之 安富 和子 富口 由紀子 山下 紗也加 郡 俊之
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.207-213, 2020
被引用文献数
2

<p>約2カ月間の健康増進教室参加者28名 (75±5歳 女性) の咀嚼能力, 握力, 食意識などを教室前後で比較し, 咀嚼, 栄養, 運動の指導の有効性について調べた。教室前後の調査項目は, 体重, 上腕周囲長, 下腿周囲長, 握力, 咀嚼能力 (チューインガム・グミゼリーを使用) , 食意識調査 (質問紙) , 栄養状態評価 (質問紙) とした。教室はテーマにそって, 講義と実習を行った (第2回「噛むことの大切さ」, 第3回「低栄養を予防する食べ方」, 第4回「運動の大切さと筋肉を鍛えるコツ」) 。教室実施期間中は, 咀嚼および栄養強化食品として高野豆腐を参加者全員に提供し, 摂取状況や噛むことの意識を毎日記録してもらった。参加者の教室前後の咀嚼能力を比較した結果, 有意に高くなっていた (チューインガム判定<i>p</i>=0.004, グミゼリー判定<i>p</i>=0.009) 。握力 (<i>p</i>=0.049) , 上腕周囲長 (<i>p</i>=0.012) も有意に増加していた。咀嚼の意識についての得点は, 教室前と比較して有意に高かった (<i>p</i>=0.016) 。</p>
著者
蛯原 善則
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:18844421)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.64-69, 2020

<p>様々な装置やソフトウェアから出力されるデジタルデータにより,歯科治療に取り組む医療関係者,患者までもがイメージを共有し,多くの視点から考察された診断・治療が行われている.一方で,デジタル機器は先進デバイスが多いため,医療機器のカテゴリの判断や安全性・有効性担保の評価方法に戸惑う場面も多い.<br>各装置やシステムの適応範囲の拡大,市場から要望される新機能追加などは永遠に継続すべき開発テーマである.それに加えて,複数のデジタルデータを融合させた活用方法やデータベースなどを活用した新たなシステムの提案,デジタルデータの共有によるトータルシステムの提供などにより,これからの健康長寿社会を実現するためのデジタルワークフローをより一層発展させていきたい.</p>
著者
山田 祐理 片岡 洋右
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.172-176, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
10

分子動力学(MD)法の初学者への入門のために,Wolfram MathematicaによるMDのプログラムを開発した.MD計算やその結果を解析するアルゴリズムを理解し易いように,扱う分子間相互作用はLennard-Jones 12–6ポテンシャル,MDセルは立方体,アンサンブルはNEVまたはNVTアンサンブルのみとした.Mathematicaのノートブックファイル内で,粒子数,数密度,温度などの計算条件を設定する.計算結果は,熱力学量のほかに粒子の軌跡,粒子配置,二体相関関数,速度自己相関関数,平均自乗変位および自己拡散係数が出力される.
著者
浅野 史郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1387, pp.124-127, 2007-04-16

結果を見れば、私の惨敗です。出馬するからには「勝てる」という見込みがあったわけですが、現職の石原慎太郎さんに予想していたより極めて大きな差をつけられてしまいました(編集部注:石原氏が281万1486票を集めたのに対し、浅野史郎氏は169万3323票にとどまった)。最大の争点は石原都政の継続 選挙戦を振り返ると、現職はやっぱり強いということですね。
著者
伊藤 崇志
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.6-8, 2016

サルコペニアは老化とともに起こる筋力や筋肉量の低下を指し、超高齢化社会においてその予防や治療の開発のニーズが高まっている。我々は以前報告したようにタウリントランスポーター欠損マウスにおいて、骨格筋中のタウリンの欠乏とともに骨格筋老化が促進されることを見出しており、タウリンがサルコペニアに対して有効な物質であることが示唆される。タウリン欠乏と骨格筋老化促進との関連性を明らかにするために、トランスクリプトーム解析を行った。本稿では、トランスクリプトーム解析およびそのデータに基づくパスウェイ解析の結果から明らかになったタウリンの骨格筋における役割について紹介する。
著者
荻原 剛志 飯田 元 新田 稔 井上 克郎 鳥居 宏次 Ogihara Takeshi Iida Hajimu Nitta Minoru Inoue Katsuro Torii Koji オギハラ タケシ イイダ ハジム ニッタ ミノル イノウエ カツロウ トリイ コウジ
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.94, pp.89-98, 1988-12-09

我々はソフトウェアの開発過程を形式的に記述し,実行するための関数型言語PDL(Process Description Language)およびそのインタプリタを作成した.PDLでは開発過程をツールの起動やウィンドウ操作の系列として記述する.PDLはこれらの操作のための関数や複数の操作を並列実行するための関数を持つ.また,さまざまなマクロ機能があり,定義の記述を容易に行うことができる.PDLインタプリタは,実行中に検出した未定義関数をそのつどユーザに定義させる機能などを持ち,十分詳細化されていない記述も実行可能である.また,デバッグ機能やヒストリ機能,関数定義の画面編集機能などの機能も備えている.我々はすてにJSD(ジャクソンシステム開発法)など,いくつかの開発技法をPDLて記述し,実行している.PDLインタプリタは現在,いくつかのUNIXワークステーション上で稼働中である.
著者
重本 賢太朗 清水 忠昭 鈴木 慶 吉村 宏紀 松村 寿枝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.1514-1523, 2016-05-15

我々は,空中手書き文字(AHC)入力システムのための自動的な文字分割手法の開発を行ってきた.これまでに提案した手法では,平仮名のAHCについて高い精度で文字分割に成功したが,連続して入力可能な文字数に制限があった.本稿では,同一領域に重ねて文字を入力する方法により入力文字数に制限のない文字分割手法を提案する.提案手法では,AHCのストロークを評価する5つのストローク評価指標を学習したサポートベクタマシン(SVM)によりストローク判別して文字分割を行う.提案手法によるストローク判別は,学習データでは,移動ストローク87.0%,文字ストローク96.5%の正解率となった.評価データに対しても,移動ストローク84.9%,文字ストローク96.1%の正解率を示した.試作した提案手法のデモ・システムについても紹介する.In this paper, we propose a segmentation method for an aerial handwriting character (AHC) input system. This work is an extension of a previously proposed hiragana AHC segmentation method that achieved high accuracy. However, its number of input characters was limited. In this paper, we propose a character segmentation method without such a limitation by overwriting characters on the same input area. Our method separates an AHC trajectory into characters by stroke distinction using a support vector machine (SVM) trained with five stroke evaluation indexes. The results of the evaluation experiments show that the detection accuracy was 80.9% for transition strokes and 98.1% for character strokes in the closed test, whereas it was 78.9% and 97.7%, respectively, in the open test. We also present a prototype system of the proposed method.
著者
倉根 一郎
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.63-68, 2005-06-30
参考文献数
25
被引用文献数
1

ウエストナイルウイルスは自然宿主であるトリと蚊の間で感染環が形成され維持されている.米国においては約200種のトリがウエストナイルウイルスに感染し,さらに,40種以上の蚊からウイルスが分離されている.このように,多種の蚊からウイルスが検出されることは,他のフラビウイルスに比し,ウエストナイルウイルスがより多くの種類の蚊によって媒介され,さらに多種類の動物に感染しうる性質を有したウイルスであること示唆する.ヒトにおいてはウエストナイルウイルス感染者の約20%が症状を示すと考えられている.急性熱性疾患であるウエストナイル熱が多数を占めるが,髄膜炎,脳炎(髄膜脳炎),さらに近年脊髄,末梢神経症状として弛緩性麻痺,多発性神経炎の報告もなされている.このようにウエストナイルウイルスは,ヒトにおいては多様な症状を引き起こす性質を有するウイルスであるといえる.近年,アメリカ大陸やロシアにおいて侵淫地域が拡大している.日本への侵入も危惧されており,今後一層注目すべきウイルスといえる.