著者
高野 信治 山本 聡美 東 昇 中村 治 平田 勝政 鈴木 則子 山田 嚴子 細井 浩志 有坂 道子 福田 安典 大島 明秀 小林 丈広 丸本 由美子 藤本 誠 瀧澤 利行 小山 聡子 山下 麻衣 吉田 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、欧米では前近代をも射程に身心機能の損傷と社会文化的に構築されたものという二つの局面を複合させて障害を捉え、人種、性(身体上)、民族の差異よりも、障害の有無が人間の区別・差別には重要とされる。日本では、かかる視角の研究はなく、障害は近代の画期性が重視される。しかし福祉問題の将来が懸念されるなか、比較史的観点も踏まえた障害の人類史的発想に立つ総合的理解は喫緊の課題だ。以上の問題意識より、疾病や傷害などから障害という、人を根源的に二分(正常・健常と異常・障害)する特異な見方が生じる経緯について、日本をめぐり、前近代から近代へと通時的に、また多様な観点から総合的に解析する。
著者
佐藤 正衛 南石 晃明
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.53-65, 2011
被引用文献数
1

本研究の目的は,農薬使用の環境影響に配慮しうる営農計画支援システムを開発し,本システムを経営意思決定に活用する方法を提示することである.こうしたシステムの機能では,経済性,環境管理指標の営農指標群を同時算出する経営シミュレーションが実施できること,経営シミュレーションに利用する環境情報と財務情報等を整理・蓄積し,利用者独自のデータを組織内で共有利用する仕組みの実現が課題であった.そこで,以下のシステム機能を開発し,FAPS-DBとの統合化を行った.主な開発機能は,(1)農薬環境リスク指標算出,(2)温室効果ガス排出量推計,(3)独自データベースの管理とそのデータを利用した経営シミュレーションサービスの提供,(4)農業技術体系Excelデータブックの拡張である.開発システムとFAPS-DBとを統合化して経営シミュレーションを実施することにより,作付体系変更や価格変動等の経営内部・外部環境の変化による環境管理指標,経済性指標等の経営指標への影響を数量的,グラフィカルに把握可能であることを確認した.さらに,当システムによる営農シミュレーション分析を営農計画の意思決定場面でどのように活用するかを,組織内の各主体の役割との関係において考察し,環境配慮を支援する営農計画システムとしての利用可能性を明らかにした.<br>
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.458, pp.86-101, 1998-12-07

Jiniは当初,Java Intelligent Network Infrastructureの略だった。Javaの実行環境であるJavaVMを相互連携させ,高度な分散コンピューティングを実現する基盤技術を目指すものである。サン・マイクロシステムズは今,これを明確に否定する。「人々の望みをかなえる力がある魔法のランプの精霊の名が"ジーニー"。これが由来だ」。
出版者
農商務省鉱山局
巻号頁・発行日
vol.第3巻, 1906
著者
高橋 諒 奥村 蒼 谷口 守 藤井 さやか
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1113-1120, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
34

日本における国内の総人口は減少を辿る一方,外国人人口は増加を続けており,その影響力は無視できない局面に至っている.近年,外国人人口による人口の維持や減少の緩和について関心が高まっているが,それに影響を与える外国人支援策について定量的に分析した研究はない.そこで本研究では外国人人口による人口の維持や減少の緩和を考える際に有効な施策を検討するために,外国人人口に影響を与える要因や外国人支援策を定量的に分析した.その結果,市区町村の所得水準や雇用環境に関する変数の影響が大きいこと.外国人の医療福祉や外国人労働者に関する支援策を実施した自治体の外国人人口割合が実施前よりも大きくなる傾向があることが明らかになった.
著者
河野 美華 武田 知樹 大平 高正 山野 薫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0076, 2007

【目的】<BR> 自転車エルゴメーターは,下肢関節への負担が少なく筋力増強が得られるため,運動療法の中で幅広く利用されている.しかし,その特性について,臨床で使用が容易な低強度での筋活動,また駆動肢位についての報告は少なく,不明な点もみられる.今回は,自転車エルゴメーター駆動時における,強度や膝関節位置の相違が駆動時の大腿四頭筋活動に与える影響について考察する.<BR>【方法】<BR> 対象は本研究に同意した健常成人4名(男女各2名)とした.平均年齢は24.0±4.0歳,平均身長は171.5±6.5cm,平均体重は62.0±7.5kgであった.自転車エルゴメーターは,Cateye社製ergociserMODEM EC-1000を用い,運動強度は60Watt(1.0kp×60rpm:低強度),120Watt(2.0kp×60rpm:高強度)の2条件を選択した.サドルの高さは膝関節最大伸展時30°に設定した.駆動肢位は,大腿中央-膝蓋骨中央-下腿中央を結んだ線を中間位とし,それより膝が内側へ入った場合(内側位),外側へ出た場合(外側位)の3肢位を設定した.筋活動の測定は,表面筋電図NORAXON社製テレマイオ2400を用い,大腿直筋,内側広筋,外側広筋の筋活動を測定した.得られたデータは全波整流し,1サイクルごとの平均振幅を求め,14サイクル分の平均値を代表値とした.さらに,各筋の最大等尺性収縮時の筋活動量に対する相対値(%MVC)を算出した.肢位別の比較検討では,各筋ごとに中間位の平均振幅値を100%とし,内側位と外側位の活動量を比較した.<BR>【結果】<BR> 強度別の比較において,大腿直筋では低強度10.8%に対し,高強度21.4%であった.外側広筋では低強度23.4%に対し高強度46.6%,内側広筋では低強度46.8%に対し,高強度85.3%であった.低強度は高強度の約半分の活動量であり,最も高値を示したのは内側広筋であった.肢位別に比較した場合,低強度において外側位で大腿直筋の活動量の増加が認められ,同じく内側位で外側広筋と内側広筋に活動量の増加が認められた.高強度では大きな増加はみられなかった.<BR>【考察】<BR> 低強度による自転車エルゴメーター駆動では,筋力増強が得られにくいとされているが,今回の結果より低強度でも内側広筋では約50%の活動量が得られ,他筋と比較して高い活動量を示したことより,内側広筋に対して有効性が示唆された.また,肢位別比較では,二関節筋である大腿直筋の起始・停止の関係が影響していると考えられ,拮抗筋である大腿二頭筋の活動量測定を行う検討の必要がある.高齢者や術後早期の患者に対しては,低強度の施行が多く用いられるが,目的とする筋に対して駆動肢位設定を確認する必要がある.<BR>
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1615, pp.3-4, 2018-07-02

プラットフォーム 東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)が展開する番組同時配信サービスの「エムキャス」が新たな局面を迎えている。同社は2018年4月3日、エムキャスのプラットフォームとしての技術基盤強化のため、Jストリームと協力関係の構築につい…
著者
佐藤 輝紀 久場 敬司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.153, no.4, pp.172-178, 2019 (Released:2019-04-11)
参考文献数
41

Apelinは内因性のAPJ受容体アゴニストであり,生体内に広く発現し,血管拡張作用,心筋収縮力増強,体液調節,代謝の制御,心血管系の発生,骨格筋の再生など多くの生理機能を有することが解明されてきた.高血圧,心不全,肺高血圧,動脈硬化など心血管系病態に対するApelinの改善効果について多くの研究がなされてきたが,近年サルコペニアや加齢性疾患における役割が注目されている.Apelinの薬理作用のひとつにレニン-アンジオテンシン系(RAS)との相互作用があるが,これまでの私たちの研究成果から,アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の制御を介して,RASを負に調節することで心不全病態を改善することが明らかになってきた.また近年,第2のAPJ受容体リガンドElabela/Toddlerが心臓発生に不可欠なホルモンとして同定され,Apelinと同様にElabelaが心機能維持,心保護効果の薬理作用を有することが明らかになってきた.心不全パンデミックとよばれ,心不全患者が年々増加している一方で,その病態解明ならびに治療方法の開発はいまだ十分とは言えない.Apelinは強心作用と心保護効果を併せ持つことから新規カテゴリーの心不全治療薬候補であり,今後ApelinあるいはAPJ受容体アゴニストが新しい心不全治療薬として発展することが期待される.
著者
中崎 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.552-558, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

従来,日本においてデータ戦略が語られる中で,法務の重要性に焦点があてられることは少なかった。しかし,データ戦略の基礎である顧客・取引関係者との信頼関係を構築するためには,法令等遵守が必要であり,法務的観点が重要となる。組織的目標を達成するためにデータを有効・適切に活用するためにも,法制度の調査・対応が不可欠である。また,データ戦略策定の前提としてデータを適切に管理するために,企業グループ単位で事後検証のための内部統制システムを構築する必要がある。データプロ業務等に従事する方々にとっても,データ戦略構築において法務部門との連携を強化するために,法務的観点に関する土地勘を持つことをお勧めする。
著者
市毛 由美子 濱中 利奈
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.540-545, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

本稿は,従来のウォーターフォール型ソフトウェア開発における契約の在り方と,これに対する平成29年改正後の民法(一部の規定を除き本年4月1日から施行)の影響,そしてそれを踏まえて,昨今注目されている非ウォーターフォール型の典型であるアジャイル型ソフトウェア開発における契約の在り方について報告するものである。2020年は,新型コロナ禍で変容する社会,その中で企業が持続的に存在価値を実現するためには,環境変化に強いこと,すなわち環境に応じて「変革し続ける」ことが求められ,DX(デジタルトランスフォーメーション)が競争力の源泉たる経営課題として求められている。そこでは,ソフトウェア開発手法のみならず,その契約のあり方も変革が求められている。
著者
岩隈 道洋
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.534-539, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

法情報を的確に検索,収集するには,法制度の体系の概略と,法源(法学一次資料)という分野特有の情報源について知っておかないと,問題解決の方向性や根拠を見失ってしまう場合がある。しかし,法学を体系的に学習する機会がないとなかなかこの法体系や法源の仕組みを学ぶ機会というものは少ない。本項では,法学に親しんでいないが,法情報に触れることもあるインフォプロに向け,法体系と法情報の関係を掴むことができるような順序での導入解説と,アプローチしやすい法情報リソースの紹介に努めた。
著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.533, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

2020年11月号の特集は「DX時代の情報管理と法情報リテラシー」です。近年,データの持つ価値が資産として強く認識されるにつれ,情報管理に関わる法制度の整備も急速に進みつつあります。それに伴い,情報管理業務もこれまで以上に複雑化しており,従来までの知的財産の保護という観点のみならず,データを積極的に利活用する視点が強調されるようになってきました。しかしながら,従来インフォプロの業務とされてきた情報検索,情報管理業務を,どのように発展させていけばよいのか,どのような取り組みが求められるのか,については試行錯誤が繰り返されている段階と言えそうです。そこで,本特集では6名の専門家へご執筆をお願いし,具体例から関連する法制度を概観することで,今後のインフォプロ業務の方向性を考えるアプローチを企図しています。まず初めに,インフォプロが法情報を調べ,読み解くために必要な知識と手法を振り返る観点から,岩隈道洋氏(中央大学国際情報学部)に法情報リテラシーに関する詳細なご解説をいただきました。続いて,市毛由美子氏,濱中利奈氏(のぞみ総合法律事務所)からは,令和2年4月より本格的に施行された民法改正の影響を踏まえ,アジャイル型ソフトウェア開発における契約の在り方について詳細な解説と実践事例をご紹介いただきました。佐藤有紀氏(創・佐藤法律事務所 丸の内オフィス),砂田有史氏(創・佐藤法律事務所)からは,昨今注目を集めている情報銀行の概要,及び導入に当たり事業者視点での注意点を詳細にまとめていただきました。中崎隆氏(中崎・佐藤法律事務所)からは,企業におけるデータ戦略の構築の重要性と,法務的観点から見た留意点や具体的事例をご紹介いただきました。本特集が,情報管理における昨今の動向を把握し,今後インフォプロがどのように向き合っていくべきかを議論するための一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),海老澤直美,今満亨崇,野村紀匡,水野澄子,中川紗央里)
著者
野地 貴弘 綾 史郎 馬場 葵
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_1447-I_1452, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
8

This paper deals with the hydraulic and hydrologic properties of the habitat of fish in a river and surrounding area. It especially focuses on the habitat of the Acheilognathus Longipinnis in the lower reach of the Yodo River, because the restoration of its habitat is the most important and urgent work for the Yodo River eco-system. The estimation of flood disturbance required for the life history of the fish was examined in the Akagawa sand bar and Shirokita Embayments, where both areas were its most important habitat 40 years ago, through the return period of the magnitude of the flood discharge, the frequency of the water surface elevation, which were obtained by the statistics of the water surface elevation records, and the magnitude of the order of the velocity and the shear velocity and their distributions, which were obtained through the 2-D numerical simulation. The results will be usable for the selection of the location of the newly constructed habitat, and its design.
著者
川瀬 成吾 小西 雅樹 上原 一彦
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.93, no.9, pp.808-822, 2018-09

淀川流域は日本最古の湖・琵琶湖を主水源に持ち,広大な氾濫原環境を有するという地質的・地理的要因から,生活史のすべてを淡水域で過ごす純淡水魚類の種数が河川としては日本でもっとも多いことで知られる。当流域には,天然記念物のイタセンパラやアユモドキParabotia curtus,固有のヨドゼゼラBiwia yodoensisやヨドコガタスジシマドジョウCobitis minamorii yodoensisなどの河川の氾濫によって生じた河川本流の周囲に広がる水域を好む魚類(=氾濫原性魚類)が多く生息し,上流の琵琶湖流域とは異なったユニークな生態系を有している。しかし,淀川の在来魚類は1960年代から水質汚濁,1970年代から河川改修による河道の水路化,ワンドやタマリの消失などによって激減している。さらに,2000年代に入り,オオクチバスMicropterus salmoidesやブルーギルLepomis macrochirusを中心とした外来魚類が急増し,イタセンパラやヨドゼゼラなど在来魚類の激減に拍車をかけている。1970年代から10年に1度実施されている淀川全域調査によると,1990年代までは総採集個体数に占める外来魚類の割合は2%未満だったものが2000年以降30%前後まで激増し,在来魚類の数は激減している。大阪府および京都府版レッドデータブックにリストアップされている淀川流域産魚類から減少要因を抽出すると,外来魚類がそれぞれ3番目および2番目に多く挙げられる状況となっている。私たちは川瀬ほかで淀川流域の外来魚類について網羅的に調査し,近年の分布や生息状況について初めて包括的に報告した。コクチバスMicropterus dolomieuの分布拡大やチャネルキャットフィッシュIctalurus punctatusの淀川での初報告,アリゲーターガーAtractosteus spatulaの生殖腺の発達が確認されるなど,従来のオオクチバス,ブルーギルに加えて新たな脅威が迫っている。