著者
小山 三郎
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.343-372, 2002-01

一 問題の所在二 抗日統一戦線下での梁実秋の主張のもつ意味三 「抗戦無関係」論争とはなにか四 結語山田辰雄教授退職記念号
著者
梅田 茂樹
出版者
The Japanese Association for the Study of Popular Music
雑誌
ポピュラー音楽研究 (ISSN:13439251)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2-17, 2001 (Released:2009-10-29)
参考文献数
23

This article discusses the cultural process of a local record retailer in a local music market through giving a description of its occupational activities. I take Yamachiku, which is the largest retail chain in Kanazawa, as an example of how a record retailer plays an important role in the production and consumption of music. In order to illustrate the process, I make use of ‘the culture of production’ perspective highlighting the corporate personnels as the cultural intermediaries. Then I focus on the local networks which allow Yamachiku to work successfully and want to show that its unique practices are in large part based on the location of it. In this article I seek to contribute to our overall understanding of Japanese music industry through examining the cultural practices of a local corporate organization.
著者
山内 恒治 久原 徹哉
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.199-208, 2008 (Released:2014-03-15)
参考文献数
36

There have been numerous evidences indicating that milk proteins influenced various immune functions. Here, we review the milk proteins playing the important roles. Recent reports have shown that LF enhanced anti-microbial, anti-viral and anti-tumor immune activities when orally administered. We report here that orally administered bovine LF (bLF) increases peripheral NK cell and augments the NK cell activity. Oral administration of bLF immediately induced the production of IL-18 in the intestinal epithelium, and the elevation of portal IL-18 levels. Furthermore, oral bLF administration augmented the expression of type-I IFNs in Peyer's patches and mesenteric lymph nodes. Collectively, these results indicated that orally administered bLF stimulated intestine-associated immune functions, including the production of IL-18 and type-I IFNs, and then raised the NK cell activity. All classes of immunoglobulin are found in milk. Human milk antibodies are primarily of the secretory IgA type, while the major antibodies of bovine milk are IgG type. Secretory IgA consists of two molecules of IgA bound to a protein, the secretory component. Human milk contains secretory IgA antibodies against microorganisms which have exposed the mother's gastrointestinal and respiratory tract. Milk contains a number of other proteins participating in defense in addition to lactoferrin and antibodies. Lactoperoxidase has a wide range of biological functions including antimicrobial and immuno-modulatory effects. Lysozyme which cleaves peptidoglycans of bacterial cell walls achieves a bactericidal effect.
著者
木村 眞
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-9, 2015 (Released:2015-03-05)
参考文献数
59

Minerals in meteorites give constraints on the formation history of not only meteorites, but the solar system. Here I introduce some characteristic minerals in meteorites. Enstatite chondrites contain abundant unusual sulfide and metallic minerals that were formed under highly reducing conditions. Refractory inclusions were formed in the earliest stage of the solar system. They typically contain Ca-Al-rich minerals. A new mineral, kushiroite, is one of such minerals, and formed under rapid crystallization conditions. Ultrahigh-pressure minerals are commonly encountered both in chondrites and differentiated meteorites, indicative of pervasive impact processes in the early solar system. An eclogitic mineral assemblage encountered in a CR chondrite suggests the possibility that asteroids were primarily larger than previously estimated.

1 0 0 0 週刊現代

出版者
講談社
巻号頁・発行日
vol.41, no.37, 1999-10
著者
吉濱 佐知子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.142-143, 2020-01-15

サトシ・ナカモトを名乗る人物がビットコインの論文を発表して10年が経過した.現在世の中に流通している仮想通貨(暗号資産)は数百種類以上もあり,新技術の発表や取引所への攻撃など,さまざまな観点で連日ニュースを賑わせている一方,企業間コンソーシアムなどのクローズドな環境でブロックチェーンを使う試みも多く,実証実験を超えた本格運用への移行もはじまっている.本特集は,変化の早いブロックチェーン関連技術の最新動向について解説を行い,今後の技術開発を促進するための基礎となるような情報を提供することを目的として企画した.
著者
市川 康夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100018, 2017 (Released:2017-10-26)

1.インバウンド観光における歩くツーリズム インバウンド・ツーリストの増加と訪日観光の多様化を背景に、日本の非都市部の自然や文化を目的とするインバウンド旅行者が増加している。なかでも観光者が増加している熊野古道や富士山、そして本研究が取り上げる中山道では、「歩く」という行為を通じて景観美や自然、あるいは精神的な体験を得ることがインバウンド・ツーリストに注目されている。これら「歩くツーリズム」における大きな特徴は、ヨーロッパや北米・オーストラリアなど欧米系ツーリストがその多くを占めている点である。ハイキングやランドネなど農山村地域を歩くことが文化的に受容されてきた欧米諸国のツーリストは、訪日観光でも日本独自の自然や文化に触れられる歩くツーリズムを求めるようになってきている。 本研究は、日本のインバウンド観光における歩くツーリズムの先駆的事例ともいえる中山道の文化観光を事例に、欧米系ツーリストの意識に注目しその背景にある観光需要や彼らの動機を明らかにすることを目的とする。 2.中山道を歩くインバウンド・ツーリストの台頭 本研究の対象は、中山道の長野県と岐阜県にまたがる木曽路の峠にあたる馬籠宿〜妻籠宿間にある山間部の街道である。元々、この地域は1980年代前後から欧米ツーリストには知られた存在であったが、ガイドブック「ロンリープラネット日本版」に中山道が上位にランキングされたことを契機に、現在では世界中から訪日者を集めるインバウンド観光地となっている。 インバウンド・ツーリストは名古屋や松本方面から中津川駅へとアクセスし、そこから徒歩をメインに落合宿を経て約8km離れた妻籠宿へと向かう。彼らは宿場町で1〜2泊し、妻籠宿と馬籠宿の間にある約7.3kmの山間街道を歩き馬籠宿へと向かう。この道中では江戸期の石畳の佇まいや峠の集落の街並みのほか、番所跡の茶屋、滝や森林の風情などが見所となっている。 馬籠〜妻籠宿を歩くツーリストは2015年で年間約4万人であり、その約47%が外国人である。特にバカンスシーズンの7〜9月になると外国人の割合は60%を超える。このインバウンド・ツーリストのうち全体の約92%は欧米系、うち全体の60%はヨーロッパからの観光者であり、アジア系は全体の5%と非常に少ない(番所跡でのハイカー調査2013年より)。馬籠宿は島崎藤村の故郷として、妻籠宿は全国に先駆けた集落・街並み保存運動の地として1970年代以降国内を中心に観光者を集めてきたが、両者ともに2000年代以降はその数を大きく減少させてきた。一方、減少する国内観光者と比例して増加してきたのが歩くツーリズムを目的とする欧米系ツーリストであり、2009年に峠を歩く外国人が5848人であったのが2015年には16,371人まで急増している。 4. 欧米系ツーリストが求めるもの 本研究では、観光ホスト側として宿泊施設、中津川市役所観光課、観光協会、妻籠宿の町並み保存会、住民に聞き取り調査を行い、さらにメインの調査として観光ゲストである欧米系ツーリスト55組(80人)にアンケート及び聞き取り調査を行った。観光者に対しては、国籍や観光行動といった基本的情報だけではなく、彼らがこの場所に求める要素をなるべく細かく収集しデータを整理した。その結果、以下なようなことが明らかになってきた。 まず欧米系ツーリストの職業に特徴があり、全体(80人)のうち①弁護士や医師、研究者や教員といった知識的な階層(26人)、そして②デザイナーや建築家、IT技術者などクリエイティブクラスの観光者(16人)が多い。彼らの意識をみると「普通と違う観光」、「典型的なインバウンド・ツーリズムに無いもの」を旅に求めて中山道を来訪していた。また中山道を歩く欧米系ツーリストは「静けさ」や「穏やかさ」、「都会からの逃避(都会と違う場所)」を求めており、彼らが典型的なインバウンド地である日本の都市型観光の喧騒に疲弊し、静かな環境や自然に身を置きたいという欲求を山間部の街道を歩くことへと向けていることがわかる。彼らが街道を歩く観光で高く評価した点をみると、①「山並み」、「木々(森林)」、「川・滝」といった比較的日本人にはありふれた山間部の自然的要素、そして②「棚田(水田)」、「農村景観」、「農村の生活」、「本物の農村(とその体験)」といった日本の農村部で一般的に見られるようないわば「普通の」景観に魅力を見出していた。そしてこれらは移動手段を歩くことに限定することで得られる体験であると多くの観光者は評価をしていた。欧米系ツーリストが過度に観光地化しておらずかつ典型的な訪日観光には無い場所、そして都会に無い静けさや自然を歩くツーリズムに求めたか観光形態が中山道における歩くツーリズムといえる。
著者
興野 純 一柳 光平
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

太陽系の初期段階では,小天体同士の衝突集積現象が多く生じていたことが知られており,惑星進化を理解するには衝突による高温高圧下における諸性質が重要となる.本課題では,衝撃圧縮下での構造変化過程をその場観察し,衝撃高温高圧下での物質の変化を結晶構造レベルで解明していくことを目指している.本課題では高強度レーザーによって発生させた衝撃圧縮下での構造変化ダイナミクスを観察する実験を進めているが,該当年度は共同研究者と協力して高エネルギー加速器研究機構の放射光施設PF-ARの衝撃波発生用レーザーの改善を大きく進めた.レーザーの空間プロファイルは発生する衝撃波の空間プロファイルに直接影響するため本実験を行なう上で大変重要となる.該当年度以前はレーザープロファイルが良くなく,衝撃波が分布をもってしまっていた.そのため,構造変化を平均して観察してしまう本手法では,単一現象として解析することが困難であり,衝撃下でのダイナミクスを時間軸に沿って理解することが出来なかった.しかし,上述のレーザーの空間プロファイル改善により,衝撃圧縮から解放まで連続的に現象を追いかけて観察することが出来るようになった.本レーザーを用いて衝撃下時間分解X線回折測定をアルミニウム,ジルコニアセラミックス試料に対して行なった.アルミニウム試料に対する実験からは,結晶格子面の圧縮率の変化,二次元X線回折像の同心円方向への回折強度分布の変化から見積もられる結晶方向の観察を行ない,衝撃下での多結晶体の応答例のデータを得た.ジルコニア試料に対する実験からは破壊過程におけるX線回折測定結果を得ることができ,これまで直接観察されることなく議論されてきた正方晶安定化ジルコニアの変態強化機構を初めて直接観察することに成功した.これらのデータを一つ一つの得ることで,衝撃下での構造ダイナミクスの理解を深められつつある.
著者
吉村 直樹 橘田 岳也 嘉手川 豪心 宮里 実 清水 孝洋
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.155, no.1, pp.4-9, 2020
被引用文献数
4

<p>膀胱と尿道からなる下部尿路は蓄尿と尿排出の二つの相反する機能を司り,その機能は,末梢神経だけでなく中枢神経路を介して複雑にコントロールされている.まず,蓄尿時の調節は,主に脊髄レベルの反射によって制御され,交感神経(下腹神経),体性神経(陰部神経)の興奮によって膀胱の弛緩と尿道の収縮が引き起こされる.そして,尿排出時には,脊髄から脳幹の橋排尿中枢を経由する反射経路が活性化され,副交感神経(骨盤神経)の興奮によって排尿が起こる.そして,これらの末梢神経の働きは,脊髄より上位の中枢神経によって複雑に制御され,随意のコントロールが可能となる.そして中枢での神経伝達物質としてドパミン,セロトニン,ノルエピネフリン,GABA,グルタミン酸などが排尿のコントロールに関与しており,末梢だけでなく,中枢神経路の変性疾患や外傷による障害および薬物投与が,頻尿,尿失禁,尿排出力低下などの下部尿路機能障害を引き起こす.</p>
著者
宮里 実 芦刈 明日香
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.155, no.1, pp.16-19, 2020
被引用文献数
1

<p>腹圧性尿失禁(SUI)は,中年女性にみられる一般的疾患で,生活の質を著しく損なう.一方で,臨床的に,あまり有効な薬剤はない.妊娠,出産に伴う女性特有の成因に起因し,尿道過可動と内因性括約筋不全の二つに大別される.腹圧尿失禁の病態,創薬開発にあたって,直接的,間接的陰部神経損傷モデルが使用されている.私達は以前,脳梗塞ラットも尿禁制反射が減弱していることを報告した.SUI評価法として,リークポイント圧測定や尿道マイクロチップ法があり,私たちは後者にくしゃみ刺激を利用する独自の評価方法を確立した.実際,中枢にはSUIの標的が数多く存在することが明らかとなってきている.特に,ノルエピネフリン,セロトニン(5-HT)が標的で,陰部神経核(オヌフ核)周囲に存在するα<sub>1</sub>受容体,5-HT<sub>2C</sub>,5-HT<sub>7</sub>が尿禁制反射を増強,α<sub>2</sub>,5-HT<sub>1A</sub>が減弱することが明らかとなっている.さらに,脊髄オピオイドμ受容体が尿禁制反射を増強することを,弱オピオイドであるトラマドールを用いて報告した.このように,脊髄にはSUIの新たな創薬開発の標的となる受容体が数多く存在する.</p>
著者
髙橋 美奈子 谷部 弘子 本田 明子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.72-89, 2019

<p>日本語が「第三者言語」として使用される機会が増えている現在、第三者言語接触場面における実証的な研究の必要性は高い。本稿では、実態と意識との乖離が指摘されているジェンダー規範を取り上げ、日本語学習者がどのようなジェンダー規範意識をもっているのかについて、相手言語接触場面と第三者言語接触場面を比較し明らかにする。分析に使用したデータは、留学生の日常談話データおよび意識を明らかにするための半構造化インタビューである。結果として、学習者は来日前から日本語のジェンダー規範についての知識があり、規範を肯定的にとらえていた。しかし、実際の言語使用においては、意識と異なり、規範にとらわれない自由な言語使用がみられた。中には、第三者言語接触場面より相手言語接触場面での方が日本語のジェンダー規範を順守しようとする言語使用もあった。学習者のもつ規範意識と実際の言語使用との複層性にどう向き合うか、日本語の教育に携わる者の意識が問われている。</p>
著者
中西 良孝 岩成 文子 髙山 耕二 伊村 嘉美
出版者
日本有機農業学会
雑誌
有機農業研究 (ISSN:18845665)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.21-31, 2019

<p>クマザサ抽出残渣(以下,ERDB)の畜産的有効活用を図ることを目的として2つの試験を行い,試験1では,ERDB原物の化学成分,栄養価および反芻家畜による嗜好性を明らかにするとともに,保存性を高めるために米ヌカ類を添加してサイレージ調製した場合の発酵品質,栄養価および嗜好性についても検討した.サイレージ調製については,ERDBのみのERDBサイレージ(以下,ERDBS)区,米ヌカまたは白ヌカを10%添加した米ヌカ区および白ヌカ区の計3区を設定した.試験2では,ヤギに市販ルーサンヘイキューブ(HC)のみを給与した区を対照区とし,HCとERDBS, 米ヌカ添加ERDBSまたは白ヌカ添加ERDBSをそれぞれ乾物重比で8:2に混合したERDBS・HC区,米ヌカ添加ERDBS(以下,米ヌカ・HC)区および白ヌカ添加ERDBS(以下,白ヌカ・HC)区の3区を試験区として計4処理区を設定した.</p><p>試験1の結果から,ERDBの粗タンパク質(以下,CP)含量は10.4%,粗脂肪(以下,EE)含量は7.4%と稲ワラのそれらの2倍以上であり,粗繊維含量も45.7%と高く,両飼料間で化学成分に大きな違いが認められたものの,ERDBの可消化養分総量(以下,TDN)は45.5%と稲ワラのそれとほぼ同等であった.しかし,ヤギおよびウシによる嗜好性は稲ワラや輸入乾草に比べてERDBで劣ることが明らかとなった.また,サイレージのフリーク評点はERDBS区と比べて米ヌカ区および白ヌカ区で有意に高く(P<0.05),いずれの区も62点以上と品質は「良」であった.さらに,ヤギおよびウシによるサイレージの嗜好性はERDB区およびERDBS区と比べて米ヌカ区および白ヌカ区で有意に優れた(P<0.05).試験2の結果から,ヤギの代謝体重当たりの乾物,CPおよびTDN摂取量,1日の個体維持行動型割合および粗飼料価指数に有意な区間差は認められなかった.血液性状については,血中総ビリルビン濃度以外,有意な区間差が認められず,すべての項目はほぼ標準範囲内であった.</p><p>以上より,ERDBを原物のまま密封保存してもサイレージ化は可能であるが,米ヌカ類を添加することで発酵品質,栄養価および嗜好性がさらに向上することが示された.ただし,米ヌカ類添加ERDBS中のEE含量が7%以上と高かったことから,他の飼料と混合給与する必要があるものと考えられた.また,ヤギにHCの20%(乾物重比)をERDBSまたは米ヌカ類添加ERDBSで代替給与しても,飼料利用性や健康状態がHC単体給与の場合と比べて遜色なかったことから,それらのサイレージは反芻家畜の飼料として利用可能なことが示された.</p>
著者
島袋 雄一 比嘉 広樹
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.S84_2, 2019

<p>上肢不自由者の自立を支援するツールとして生活支援ロボットアームがある。このロボットアームには、上肢不自由者が操作して自身の代わりに食事や物を拾う等の上肢を扱う日常生活動作の支援を行うことが要求される。本研究では、ロボットアームを利用して食事支援を行うことを検討している。今回、仮想空間においてロボットアームによる食事支援のためのシミュレータを検討した。仮想空間には3D総合開発環境ソフトウェアUnityを使用した。仮想空間内に、着座した状態のユーザと、テーブル、食器等を配置し、ロボットアームを操作して、水分摂取とスープ摂取のシミュレーションを行った。環境内のロボットアームの制御にはゲームコントローラを使用した。また水やスープ等の液体には、小球を複数個用いて表現した。健常被験者1名に同コントローラを操作してもらい、シミュレータの評価を行った。実験結果より、水分摂取、スープ摂取とも実行可能であることが示された(図1参照)。しかし、操作時に2種類のモードを切り替えることに多少操作しづらさが感じられた。今後の課題として、ロボットアームの手首回旋時における自動制御の導入が挙げられる。</p>
著者
又吉 淳二 比嘉 広樹
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.S238_2, 2019

<p>非侵襲型ブレイン・コンピュータ・インタフェースでは,精度の問題や即応時間などの問題がある.本研究では,上下左右の方向判別を行うことを目的に,事象関連電位(ERP)P300に着目し,その判別について検討を行っている.今回,健常被験者に視覚刺激を呈示した際のERPを取得し(図1),反応が大きい電極を選定した後,P300の有無を判別する学習器を作成,オフライン/オンライン判別の結果から各アルゴリズムにおけるERPの有用性を検討した.判別アルゴリズムには,線形判別分析(LDA),サポートベクタマシン(SVM)を用いた.学習の結果,各アルゴリズムでの学習率は94%程度となり,オフライン判別実験の結果はLDAでは83.3 %,SVMでは75.0 %となった.オンライン判別の結果はLDAでは60.4 %,SVMでは47.9 %であった.判別率の低下の理由としては,1方向に絞れていない結果がオフライン判別実験よりも多くなってしまったことや,過学習があげられる.今後は方向の絞り込みや信号処理部分の工夫を行い,システムの向上を行う.</p>
著者
具志 翔太朗 比嘉 広樹
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.S194_2, 2019

<p> 社会には生まれつき身体に障がいを有する人々や,事故や病気,老化などが原因で日常生活に支障をきたしている人々が多く存在する.本研究では,上肢不自由者の日常生活動作を支援する目的で,ロボットアームを用いた食事支援に関する検討を行っている.今回,様々な食事動作を支援できるように人間の腕を模倣した7自由度のロボットアームを製作し,その手先に食物に見立てたビーズ入りスプーンを握らせた状態で移動させて,動作確認を行った.ここで,ジャイロセンサを使用してロボットアームの手先を水平に保つように設定した.実験結果より,ロボットアームのサーボモータを3.90 rpm 以内の回転速度で動作させた場合に,ビーズをこぼさずにスプーンを移動させられる(図1)ことが示された.ビーズをこぼさずに更に速い回転速度でスプーンを移動させるには,動作周波数の高いマイコンを用いた制御が必要であると考えられる.今後の課題として,食物を用いた動作実験を行うことが挙げられる.</p>
著者
藤川 正毅 田中 真人 井元 佑介 三目 直登 浦本 武雄 山中 脩也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集
巻号頁・発行日
2019
被引用文献数
1

<p>A numerical calculation scheme for stress and its consistent tangent moduli with hyper-dual numbers(HDN) for Ogden-type hyperelastic material model was proposed. The main advantage of this scheme is that once the framework is coded, any Ogden-type hyperelastic material model can be implemented by only re-coding the strain energy density function. In this scheme, the new differentiation method for eigenvalue and eigenvector of the symmetric matrices with HDN were proposed. The proposed method can calculate the eigenvalue and eigenvector in non-real part analytically by using the eigenvalue and eigenvector in real part, in case that all eigenvalues in real part are not multiple root. We implemented the Neo-Hookean model and the Ogden model with the proposed scheme, to confirm the effectiveness and robustness of this method, and applied it to some examples. As the results, it was confirmed that the numerical results of the proposed method showed good agreement with analytical ones.</p>
著者
山中 亮 神谷 大介 内藤 郁 内海 泰輔 多田 俊也 新垣 康明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_651-I_657, 2019

近年,訪日外国人の増加とともに,訪日外国人のレンタカー事故が急増している.しかしながら,具体的な対策はほとんど行われておらず,早急な安全対策が必要とされているが,危険個所自体が明確ではない.本稿では,沖縄本島を対象として,道路区間別交通事故件数と,ETC2.0プローブデータを用いて危険個所の比較を行った.県民ドライバーの急制動箇所は一般プローブとし,日本人及び訪日外国人レンタカ ードライバーの急制動箇所は特定プローブを用いることで比較を行った.結果,訪日外国人ドライバーが運転している中で危険な区間が,事故件数が多い区間とは異なる区間にも存在することが明らかになった.特に,事故件数が相対的に少ないが急制動が多い区間では,訪日外国人ドライバー対策を優先的に行うことが効率的であると考えられる.