著者
福田(日原) 桂 伊與田 雅之 齋藤 友広 荒井(布田) 典子 和田 幸寛 鈴木 幸恵 木崎 順一郎 恩田 秀寿 高橋 春男 柴田 孝則
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.379-385, 2018 (Released:2018-06-28)
参考文献数
22

症例は30歳代の女性. 4日前から右眼球運動痛, 右歪視症, 右眼下方視野狭窄を認め, 近医を受診した. 同日夜間から右眼の急速な視力低下がみられ, 指数弁まで低下した. 血液検査では抗アクアポリン4 (aquaporin-4: AQP4) 抗体陽性, 眼窩造影MRIにて右視神経に高信号を認め, 視神経脊髄炎関連疾患, 中でも抗AQP4抗体陽性視神経炎と診断した. 近医にてステロイドパルス療法を2クール施行, 後療法としてプレドニゾロン40mg/日の内服を開始したが, 視力, 視野の改善は得られず, 血漿交換療法施行目的に当院転院となった. 計7回の二重膜濾過血漿交換 (double filtration plasmapheresis: DFPP) を施行し, 抗AQP4抗体は陰性化, 視力改善, 視野の拡大を認めた. DFPPはステロイド治療抵抗性の抗AQP4抗体陽性視神経炎に有用な治療法の一つであると考えられた.
著者
菊本 舞 野中 恵 竹下 潤 大下 智彦 山下 拓史
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.761-763, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は91歳女性である.90歳時に右眼の視力低下が出現し,右視神経炎と診断された.その3ヶ月後に左視神経炎を発症したが,いずれもステロイドパルス療法で改善した.91歳時に左上下肢の筋力低下が出現し,MRIで頸髄に4椎体にわたるT2強調画像の高信号病変をみとめ,ステロイドパルス療法により筋力は改善した.血清抗アクアポリン4抗体が陽性であり,視神経脊髄炎(neuromyelitis optica; NMO)と診断した.その後も約1年の経過で脊髄炎は1回,視神経炎は3回も再発した.NMOは90歳以降でも発症することがあり注意が必要である.
著者
今村 純子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.49, pp.211-227, 2009

はじめに1 媒介としての「愛」 : マルクスからプラトンへ2 善と必然の矛盾をどう生きるのか3 数学 : 知と愛の合一結びにかえてMélanges dédiés à la mémoire du professeur OGATA Akio = 小潟昭夫教授追悼論文集
著者
Eiji KONAKA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E102-D, no.6, pp.1145-1153, 2019-06-01
被引用文献数
1

This study tries to construct an accurate ranking method for five team ball games at the Olympic Games. First, the study uses a statistical rating method for team ball games. A single parameter, called a rating, shows the strength and skill of each team. We assume that the difference between the rating values explains the scoring ratio in a match based on a logistic regression model. The rating values are estimated from the scores of major international competitions that are held before the Rio Olympic Games. The predictions at the Rio Olympic Games demonstrate that the proposed method can more accurately predict the match results than the official world rankings or world ranking points. The proposed method enabled 262 correct predictions out of 370 matches, whereas using the official world rankings resulted in only 238 correct predictions. This result shows a significant difference between the two criteria.
著者
越智 啓太
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
no.78, pp.185-194, 2019-03-18

本研究では,Schwartz et al.,(2002)の開発した消費行動における追求-後悔尺度(Maximization and Regret Scale)を恋愛関係に特化させた尺度を作成し,その妥当性と信頼性について検討した。その結果,この尺度の得点の高い恋愛マキシマイザーは恋愛に関する幸福感が低く,嫉妬認知をしやすく,多くの人と交際し,それぞれの交際期間は短いということが示された。また,恋愛における追求―後悔尺度の得点は,消費行動における追求―後悔尺度の得点と比較的高い相関をもっており,恋人選択過程と購買行動が類似したパターンを示すことがわかった。
著者
松本 美富士
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1833-1839, 1996-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

心病変の発生頻度,病変部位に疾患による差異があるものの,いずれの膠原病でも基本的に心臓も標的臓器となる.心病変は膠原病の重症度,活動性,生命予後を規定する重要な因子である.最近の画像診断の進歩を背景に早期診断が可能となり,また一部の心病変の発生に抗リン脂質抗体が関連していることが明らかにされた.これら病態,診断法の進歩によって早期からの適切な治療によって可逆的病変もあり,長期予後のために重要である.
著者
三冨 博文 中野 弘雅 勝山 直興 伊東 宏 小川 仁史 柴田 朋彦 山田 秀裕 尾崎 承一 米山 喜平
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.208-213, 2010-06-30 (Released:2016-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は74歳女性.平成10年に関節リウマチと診断し,当科で入退院を繰り返していた.平成20年4月上旬より労作時呼吸困難が出現.その後,呼吸困難は徐々に増悪し,4月25日に即日入院.入院時,頻脈,頻呼吸あり.胸部Xpと心臓超音波検査より心タンポナーデと診断し心囊穿刺を施行.心囊水の検査結果よりタンポナーデの原因をリウマチ性心外膜炎と診断し,メチルプレドニゾロン40mg/日を開始.その後,心タンポナーデの増悪なく6月3日に退院となった.
著者
福田 耕佑
出版者
東方キリスト教圏研究会
雑誌
東方キリスト教世界研究 = Journal for area studies on Eastern Christianity (ISSN:24321338)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.3-34, 2019-05-01

本稿はニコス・カザンザキス (1883-1957) がロシア期 (1925-1930) に執筆した諸作品を分析し,該当期に見られる彼の「東方」に関する思想を明らかにする。この「東方」に関する分析の中で,カザンザキスがロシアの起源を同じく「東方」に属しているギリシア・ビザンツと密接に関係づけながら描いたこと,そしてカザンザキスの理解におけるロシアの「東方性」として哲学的な側面と政治的な側面の二つが挙げられることを指摘する。加えて,カザンザキスはこのロシア期においても,思想的な主著『禁欲』の思想を根底として執筆活動を行っており,またロシア文学史の探求から彼の「ギリシア性」における重要な役割を果たすことになる「民衆」 (ο λαός) と「大地」 (η γη) の主要な概念を得たことを明らかにする。
著者
増原 英彦 松岡 聡 米澤 明憲
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.1290-1298, 1996-07-15

並列自己反映言語システムは 並列アプリケーションの最適化等を簡潔に記述するメタプログラミングの機能を持つ一方 解釈実行に基づくモデルから来る効率上の問題を持つ.本論文では部分計算を用いた並列自己反映言語のコンパイル技法を提案する.この技法では 副作用について拡張された部分計算やプログラム変換を適用することで基本的に解釈実行を除去し 直接実行のみとする.並列計算機上の実験では 並列アプリケーションのメタレベルに記述された最適化が 7?17%のオーバヘッドで実行できるという結果が得られている.
著者
雲 和雅 加藤 英二 金子 和恵 高木 常好 浅野 俊昭
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第38回, no.人工知能及び認知科学, pp.229-230, 1989-03-15

一口にレンズ設計といっても、カメラ用、複写機用、あるいは眼底カメラ用など多様な分野が存在する。また、このような多岐に亘った分野で、それぞれコンサルテーション、レンズデータの知的検索、一部の類型設計の完全自動など、コンピュータによる知的設計支援に対する具体的なニーズが増加してきている。現在我々が開発しているOPTEX(参考文献)は、このような多様なレンズ設計の分野において知識処理システムを構築する際のドメイン・シェルとでもいうべきものである。ところで、このようなドメイン・シェル構築に際しての最大の課題は、ユーザが設計知識を記述する際、自身が持っている知識とシェルを用いてコンピュータ上に表現される知識との間のギャップをいかに少なくするか、ということであろう。周知のように、レンズ設計の領域では古くからCADの開発が行なわれ、今日これは設計の必須の道具となっているが、CADに対するメッセージであるコマンドが極めてプリミティブな機能に細分化されているものが多く、設計者がレンズ系を脳裡で操作しているレベルとは大きくかけ離れているのが普通である。したがって、先に述べたドメイン・シェルに対する要求に応えるためには、このような既存のCADの制約を受けず(理想的には、どのようなレンズ設計CADを使用していようとも、上記の知識の記述には影響を与えない)、しかも設計者が脳裡で考えるレベルに近い知識表現法を用意する必要がある。OPTEXの開発にあたっては、このような要求に応えるものとして、レンズオブジェクトを考案した。本稿はその概要について報告するものである。

1 0 0 0 OA 長谷川木葦集

出版者
長谷川利行
巻号頁・発行日
1919
著者
野明 俊裕 荒木 靖三 的野 敬子 牛島 正貴 小篠 洋之 入江 朋子 家守 雅大 高野 正博
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.954-960, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

便失禁は,4歳以上の個人が便の排出を制御できない状態が3ヵ月以上にわたり繰り返すことと定義され,成人の便失禁の有病率は2.2%と報告されている.肛門括約筋は,不随意筋である内肛門括約筋と,随意筋である外肛門括約筋,骨盤底筋群で構成され,内肛門括約筋の機能不全では,安静時の肛門管の緊張低下や静止圧の低下をきたす.外肛門括約筋や骨盤底筋群の機能不全では随意収縮圧が低下するが,バイオフィードバック療法により改善するといわれている.便失禁に対するバイオフィードバック療法は有用であるとする報告は多いが,単独での効果は疑問視されている.しかし,骨盤底筋体操にバイオフィードバック療法を加えることで治療効果が高まると報告されており便失禁治療においては重要なアイテムの1つである.今回の論文ではバイオフィードバック療法の文献的考察を行い,当院で行っているバイオフィードバック療法の実際を概説する.
著者
坂口 将史
出版者
九州大学大学院芸術工学研究院
雑誌
芸術工学研究 (ISSN:13490915)
巻号頁・発行日
no.30, pp.13-24, 2019-03-20

Tokusatsu is a filming technique that has become known as a unique aspect of Japanese culture in recent years. Ordinarily, it is thought that tokusatsu is produced by skillful artisans, but in the "Kumamoto Castle x Tokusatsu Special Effects Art Castle Revival Project" held at the Kumamoto Contemporary Art Museum from December 16, 2017 to March 18, 2018, the tokusatsu technique was used as an exhibition method for the purpose of recreating Kumamoto City as it was recovering from the earthquake. As a result, many amateurs of tokusatsu, namely, volunteers and visitors to the exhibition, participated and created tokusatsu. The application of tokusatsu in the exhibition enabled amateurs to participate in this creation, with the idea that creating and filming miniature models that looked real was more important than creating perfect models. In addition, amateurs created a realistic city in tokusatsu through the close observation of real or miniature cities and communication among themselves. In short, the peculiarity of tokusatsu is that everyone can participate in creative activities with physical things and have new experiences through this creation.
著者
有賀 隆行 富重 道雄 水野 大介
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.300-304, 2019 (Released:2019-11-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Molecular motors are nonequilibrium open systems that convert chemical energy to mechanical work. The nonequilibrium energetics of single molecule kinesin were investigated by measuring the motion of an attached probe particle and its response to external forces with optical tweezers. The sum of the heat dissipation estimated from the violation of the fluctuation-response relation and the output power was inconsistent with the input free energy rate, indicating that large internal dissipation exists. Here we introduce the theoretical basis of the dissipation measurement and our recent experimental results, discussing the physiological implications of the hidden dissipation in the kinesin motor.