著者
沈 正輔
出版者
日本地理教育学会
雑誌
新地理 (ISSN:05598362)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-19, 2003-09-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
38

The purpose of this study is to compare and analyze the similarities and differences between “The Observation of Local Community” and “The Observation of Environment”, which were established by the Ministry of Education (MOE) in Japan and the Chosen Governor Seat (CGS) in Occupied Korea respectively in geography education in national schools at the fourth grade level during the Pacific War (1941-1945).The results of the research can be summarized as follows:The purpose of geography education at national schools established in 1941 by the MOE and the CGS was the same. However, there were three differences between them. First, the content of geography education differed in different grade levels. Second, geography education at the fourth grade level was called “The Observation of Local Community” in Japan and “The Observation of Environment” in Occupied Korea. Finally, the contents of the teachers' guide were also different. This is because the CGS accepted the educational system and contents of the MOE, but modified them, taking colonial Chosen's situation into consideration.The MOE and the CGS organized geography curriculum based on the “expanding horizon” theory, by taking children's psychological development into account, and they did not publish textbooks for children in order to avoid standardized geography education. This was a positive aspect in the history of geography education in Japan and Korea. However, there was a limitation to the geography education of the Local Community during the Pacific War, because the MOE and the CGS associated “The Observation of Local Community” and “The Observation of Environment” with the upbringing of a narrow-minded, territory-loving spirit, in order to realize the mission of “the consciousness of the empire”, the ultimate purpose of geography education during the Pacific War.
著者
黒木 俊郎 宇根 有美 遠藤 卓郎
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.27-34, 2003 (Released:2018-05-04)
参考文献数
27

クリプトスポリジウムは幅広い種類の脊椎動物に感染することが知られている。近年,爬虫類においてクリプトスポリジウムによる致死性の下痢症が頻発し,有効な治療法も無いために大きな脅威となっている。また,ヘビに由来すると推測されるクリプトスポリジウムのオーシストが水道原水から検出され,水道汚染の観点から新たに関心を集めている。ここでは,爬虫類に寄生するクリプトスポリジウムを中心にして,その生物学的特徴や病原性などの概要を紹介する。
著者
設楽 博己
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.3-48, 1993-02-26

民族・民俗学で複葬と呼ぶ葬法は遺体を何度も故意に取り扱うため,葬儀が複数回におよぶもので,考古学ではこれを一般的に再葬と呼んでいる。日本列島では縄文晩期終末から弥生Ⅲ期までの東日本の一部で、主に壺形土器を蔵骨器にした再葬墓が発達した。この再葬墓に特徴的なものは,一つの土坑の中に複数の土器を納めた複棺再葬墓であるが,複数の土器棺に納めた人骨が複数体の場合は,一括埋納の契機や合葬された人々の社会的関係が問題になってくる。複棺再葬墓の土器には摩滅状態の著しいものや補修痕のあるものが日常集落以上に含まれる。また,一土坑の複数の土器には型式差のあるものが共存し,埋納までに要した長い集積の期間を推測させるものもあるが,それはまれである。一土坑の遺体数は2~4体で7体という例もみられる。これら合葬人骨は男女ともにあり,また成人と小児など世代を超えたものが組み合わさる場合もある。したがって一土坑における複数の納骨土器は,ある期間の集積を経て一括埋納されたものであり,集積の期間はまれに長期にわたる場合もあるが,多くは土器型式の存続期間を超えるほど長くなかったとみられる。ならば,この一土坑に合葬された者の紐帯は累世的なものは考えにくく,血縁的紐帯か世帯のまとまりか世代によるまとまりかということになる。出土人骨におもきを置けば年齢階梯的つながりは想定しがたく,血縁か世帯であろうが,これを解くてがかりは墓域の構成にある。初期の再葬墓群は弧状を呈するものがある。福島県根古屋遺跡の分析からすると,弧状の墓域がいくつかの群に分かれており,各群に新古の墓坑がみられる。これはあらかじめ墓域を区画して埋葬していったものであり,これら各群は縄文時代の埋葬小群と同様なものだといえる。縄文時代の埋葬小群は血縁のつながりがある身内のグループと,非血縁の婚入者のグループからなる一つの世帯の累積的墓群とされる。縄文時代後・晩期には夫婦など血縁関係にないものどうしの合葬はおこなわなかったとされる。複棺再葬を合葬の一形態とみなし,そこに縄文時代の合葬原理が生きているとすれば,こうした縄文時代の墓域構成を踏襲した初期の複棺再葬墓は,なんらかの血縁的な関係にある者どうしを合葬した土坑と考えるのが妥当だろう。そしてそれらが集合した埋葬小群が,一つの世帯の歴史的な墓群であり,墓域全体が一つの集落の墓地だと考える。
著者
安藤 聡 島 純
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.73, pp.31-38, 2009-03

遺伝子組換えによる酸性トレハラーゼ遺伝子(ATH1)の破壊は、冷凍生地製パン法において重要であるパン酵母の冷凍耐性を向上させる。我々は以前に、ATH1破壊が模擬的自然環境中におけるパン酵母の生存やDNA残存性を促進しないことを報告した。本研究では、遺伝子組換え酵母のモデルとしてATH1破壊株を使用し、模擬的自然環境への遺伝子組換え酵母の接種が環境中の微生物集団に与える影響について検討した。微生物集団構成については、rDNAの変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を用いて評価した。遺伝子組換え酵母を接種した模擬環境試料中の微生物生菌数およびDGGEバンドパターンの推移は、野生型酵母を接種した試料中のそれと同等であったことから、各株が微生物集団に与える影響には顕著な差異はないものと示唆された。
著者
李 清宰 河原 達也 Rudnicky Alexander
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2011-SLP-87, no.9, pp.1-6, 2011-07-14

Amazon Mechanical Turk (MTurk) を用いて効率的に音声データを収集する方法について述べる。音声検索の評価用セットのための音声データを収集するタスク (HIT)、及び収集されたデータの品質を検証するタスクを設計した。1000 以上の発話をきわめて効率的に収集することができた。そのうち 90% 以上は正しい書き起こしがある有用なデータであり、妥当な音声認識精度が得られた。このデータを用いて、音声により書籍を検索するシステムの評価を行った。その結果、意味スロット毎に用意したベクトル空間モデルを組み合わせる提案手法が、従来の単純なベクトル空間モデルに比べて、高い検索性能を実現することを確認した。
著者
山本 和英 増山 繁 内藤 昭三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1968-1972, 1996-11-25
参考文献数
8
被引用文献数
4

複数のテキストに対する要約について述べる.日本語新聞記事を対象として,単一のテキストの要約にはない,重複部分の把握,およびその除去という固有の問題に対して,連体修飾語,類似節,名詞句の言換えを利用した要約手法とその実験結果について述べる.
著者
田中 主税 専田 禎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.119, no.1, pp.32-35, 1999-01-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
池田 敦 岩花 剛 末吉 哲雄 西井 稜子 原田 鉱一郎 新井 秀典
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2011年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.229, 2011 (Released:2011-05-24)

はじめに 富士山は、温暖な中緯度に位置する日本にありながら、その標高ゆえに山頂部の年平均気温が-6℃前後という日本では特異な寒冷環境にある。一方で活火山でもあり約100年前までは山頂部で噴気活動が記録されている。富士山は現在、山頂付近に永久凍土がまとまって存在する本州でおそらく唯一の場所であるが、そのことは大気側の低温条件と地盤側の高温条件の複雑なバランスを反映していると考えられる。しかし富士山山頂部の地温は、これまでほぼ1mより浅い位置でしか観測されておらず、実際に永久凍土に関する深部の情報は得られていなかった。本稿では2008年夏に山頂部に設置した深さ3mの観測孔2本の地温変化を中心に論じ、富士山の地温を支配する要因について2年間の観測で明らかになったことを紹介する。 調査地点・調査方法 火口周囲の比較的平坦な2ヵ所(標高3690m前後)の火山砂礫層に深さ約3mの観測孔を掘削し、データロガーを用いて地温を観測した。1ヵ所(観測孔#1)は地形的な凸部で積雪深が50cmを超える期間はごく短い。もう1ヵ所(観測孔#2)は吹きだまりで年間8ヵ月以上も積雪に覆われている。観測孔#1の脇では気温、降雨等の気象要素も観測した。また、山頂部6地点、北斜面8地点、南斜面3地点で、データロガーを用いて表層(深さ0.5~1mまで)の地温を観測した。 結果と考察 観測孔#1、#2ともに先行研究の想定に反し、全深度が融解することが確認された。観測孔#1では、深さ2.5m以下の地温が年間を通じて0℃からそれをわずかに上回る値で推移し、永久凍土が存在するかどうかの境界に位置した。とくに降雨に伴い地温が急上昇する特徴的な関係が見出された。地盤の昇温は一般に伝導によるが、富士山の透水性のよい砂礫層では降雨浸透による熱伝達の効果が大きいために融解が進み、永久凍土の発達が抑制されていた。観測孔#2では、観測開始当初、地表面付近以外で2~5℃という高い値を示していた地温が、年間を通じて低下し、2009年秋の1℃にも達しない昇温のあと、翌年も低い値で推移したが、2010年夏に急上昇した。積雪が冬季は地温の低下を、夏季は地温の上昇を抑制し、積雪条件が毎年異なるため、年による地温変化が大きい。風衝地と比べると地温が高く、観測孔より深部に永久凍土が存在する可能性はほとんどなかった。 その他の地温プロファイルも比較検討すると、積雪の溜まりやすさと透水性のよさが富士山において地温を顕著に高く保っていた。山頂部でも永久凍土が確認できない地点があることから、富士山では斜面方位・傾斜と微起伏が地表面における日射量や風向風速を不均一にし、さらにそれらが積雪分布や土壌水分の空間分布を著しく不均一にし、透水性の不均一性も相まって、地温がコントロールされており、永久凍土分布がパッチ状であると予想できた。今後は各要素間の関係を定量化し、永久凍土分布を見積もるなど研究を多方面へ発展させる予定である。
著者
井尻 憲一
出版者
日本宇宙生物科学会
雑誌
Biological Sciences in Space (ISSN:09149201)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.47-55, 2002 (Released:2006-01-31)
参考文献数
11

In this review paper, organismal and also cellular mechanisms for perception of gravity are explained. A statolith and a number of hair cells which surround the statolith is a basic structure of statocysts for detecting the direction of gravity or tilting of the body in various animals. The vestibular system of vertebrate was explained, especially on the process from the body-tilting to impulse frequencies which travel to brain. For the cellular responses to gravity, contribution of various organella(??) and cytoskeleton are introduced. Such cellular responses may change when the gravity values become less or null. Gravity perception mechanisms of plants are also explained.
著者
沢崎 健太 星川 秀利 宮崎 彰吾 向野 義人
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.260-264, 2014 (Released:2014-09-26)
参考文献数
14

目的 : 非侵襲性の微細突起による皮膚刺激を用いて, 大学生の便秘に及ぼす影響を検討した.対象 : 便秘の事前調査を回収できた280名の内, 研究趣旨に同意が得られた17名とした.方法 : 微細突起を耳甲介腔に各自貼付するS群 (9名) とプラセボP群 (8名) を封筒法により無作為に割付け, 便秘 (CAS-J) , 体重, 体脂肪率, 血圧の評価を行った.結果 : S群では介入開始前と比較して研究終了後にCAS-Jが有意に低下 (P=0.02) したが, P群では有意な差はなかった. 両群共に体重, 体脂肪率, 血圧は研究終了後に有意差はみられなかった.結論 : 本研究は耳甲介腔への微細突起による非侵襲性の皮膚刺激が便秘の改善傾向, 特にセルフケアの一手段として活用できる可能性を示唆する.
著者
関根 雅人 田中 浩也
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.335-342, 2009
参考文献数
15

This paper describes "ene-geometrix", an installation using fluid thermal convection phenomena. We produced this work to make an opportunity when people obtain the insight to the energy system symbolizing the today's paradigm shift from the mechanical view of nature to the view of nature by the theory of life. In this installation, applied the flow visualization method and the technology of the control engineering, various shapes are drawn on a liquid surface by the flow caused by the thermal actuator control and the Self-organization phenomena.
著者
杉江 正利
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.203-205, 2011-03-10 (Released:2014-09-01)
参考文献数
3

1 0 0 0 新吉詩抄

著者
高橋新吉 著
出版者
版画荘
巻号頁・発行日
1936