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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1907年07月13日, 1907-07-13
著者
福田 淳
出版者
一般財団法人 林業経済研究所
雑誌
林業経済 (ISSN:03888614)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1-16, 2005
被引用文献数
1

欧州諸国では、違法伐採木材を政府調達又は国際貿易から排除する規制措置が実施・検討されている。英国では、2000年に環境大臣が、全ての中央政府機関に合法かつ持続可能な木材の調達に向けた取組を義務付ける声明を発出してから、「アドバイス・ノート」の策定や「CPET」の設置などの具体的な取組を進めてきた。英国のほか、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダにおいても、木材に関する調達政策の取組が実施・検討されている。一方、EUでは、木材生産国との自主的な二国間協定に基づき、協定締結国からの木材輸入に合法性証明書の添付を義務付ける「FLEGT証明制度」の検討が進められている。政策導入の影響としては、英国による調達政策の場合、調達される木材を認証木材にシフトさせるような影響を与えること、EUによる貿易政策の場合、第三国経由の迂回輸入や対象外品目への加工による規制の回避を誘発することが考えられる。
著者
猪飼 周平
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.21-38, 2011-03-20 (Released:2018-02-01)

本稿の課題は,猪飼[2010]において提示された「病院の世紀の理論」から,次代のヘルスケアと目される地域包括ケアシステムに関する社会理論を展望することである。本稿では,現在生じている健康概念の転換が,「医学モデル」から「生活モデル」への転換として生じていることを踏まえ,次の点を指摘した。第1に,健康概念の転換に適合的なヘルスケアは,より包括的かつ地域的であるという意味において地域包括ケアシステムを指向すること,第2に,健康概念の転換が,過去30年間にわたり社会福祉に広範に生じている生活支援の作法の転換を背景としていると考えられること,第3に,地域包括ケアシステムの構築に際しては,従来のヘルスケアとは質的に異なる,専門職の分業,社会関係資本の構築,コスト増大への対応等に関する課題の解決が必要になることである。
著者
伊藤 朋恭
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 (ISSN:13417843)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.149-159, 2007

化石燃料から排出される二酸化炭素が地球温暖化を引き起こしていることはすでに通説として定着している。確かに大局的に見れば温暖化に向かっており、少なくてもその一因が人為的二酸化炭素の排出にあることは確かであろうし、将来に備える予防的見地から対策を考えることは合理的である。しかし一方では人為的温暖化という通説を疑問視する見方も多く存在しており、その中には合理的な意見も少なくない。本稿ではこれらの懐疑的意見を5つに大別して整理することを試みた。懐疑論の中で最も中心的な意見は、温暖化に寄与している大きな要因は人為的なものではなく、太陽活動の変動などの自然現象にあるとするものである。残念なことに、これらの懐疑論の存在は世間からは事実上無視されている。なぜ無視される状態が生じているのか。その原因として二つ挙げることができる。一つは、温暖化がすでに科学の世界を離れて政治的課題になってしまっており、科学的な正当性を議論するよりは政治的判断が優先していることである。もう一つは、何事に関しても「悪いニュース」に偏りがちなマスメディアの報道姿勢である。人間活動がすべての原因であることを大前提として、「大変だ」という環境情報を一方的に報道する傾向にあり、結果的に一般大衆がそれ以外の要因の寄与について考える機会を奪っている。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1357, pp.6-9, 2006-09-11

王子製紙が北越製紙に仕掛けた敵対的TOB(株式公開買い付け)は、北越株主の説得に失敗した王子の敗退で幕を閉じた。市場原理の王子対労使協調の北越——。そんな図式で語られがちな今回の「買収未遂劇」。だが、視点を北越の増資を引き受けることで買収を結果的に阻止した三菱商事の動きに合わせると、全く別の側面が浮かび上がる。
著者
山下 光
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.140-148, 1997 (Released:2006-05-12)
参考文献数
33

A. D. Baddeleyによって提唱された (Baddeleyら 1974) ,ワーキングメモリー・モデルの成立と発展の過程と,臨床神経心理学との関係について論じた。Baddeleyがワーキングメモリーの3項モデル (ワーキングメモリーが,言語情報の一時的保持を行う音韻ループ,視空間情報の一時保持を行う視空間スケッチパッド,それらをコントロールする中央制御部の3つの下位システムから構成されている) を提案した契機になったのは,Warringtonら (1969) による短期記憶症候群の発見であり,当初は音韻ループと言語性短期記憶に関する研究が注目された。しかし,その後はワーキングメモリー (特に中央制御部) と,前頭葉機能の関係に関する研究が増加している。最近,脳科学における学際的な研究領域として認知神経科学が活況を呈しているが,ワーキングメモリーはそのもっとも重要なキーワードとして広く認知されつつある。
著者
橋本 英明 藤本 貴之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.2, pp.1-4, 2013-11-25

近年,アニメは日本を代表するデジタルコンテンツとして世界で広く認知されるようになり,今までの子供のためのものといった認識や,趣味,娯楽の域を越え,世界に誇れる日本の文化になりつつある.また,「プリクラ」 や 「面白カメラアプリ」 が流行していることから,人物を撮影し,加工するものは需要が高まっていると考えられる.そこで本研究では,撮影した人物にスーパーデフォルメ加工を施すことによって,ちびキャラ化 (2 頭身化) させるスマートフォンカメラアプリケーションを提案する.本システムにより,撮影した人物のちびキャラ化 (2 頭身化) をカメラアプリケーションのみで誰でも容易に作成することが可能である.ちびキャラとは,スーパーデフォルメと呼ばれる手法で描かれた頭身の低いアニメキャラクターである.概ね 2 頭身であり,そのユーモラスな風貌は若年層からの人気が高く,漫画やアニメだけでなく CM などのマスコットとして,応用利用されている.そして,本システムの仕組みはブルーバックで人物を撮影し,首の位置に 「境界線」 を合わせる.これにより自動で人物の頭と胴体の比率を変更しスーパーデフォルメを実現する.Today, Japanese animation is a digital contents which represents Japan, and it become worldwide that me really proud of. Also, Print Club (Purikura), the picturetaking machine which you could add some hand drawing or grafttii, and "unique effect camera app" become really popular in Japan. So we know there are some market of addeffect picture. In this paper, we propose the camera app which makes two heads high picture of person as a effect. By this system, you could take two heads high picture pretty easy without using any special systems.
著者
澤口 俊之
出版者
医学書院
雑誌
神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.929-936, 2000-12-10

はじめに 近年の認知脳科学で大きく注目されてきた認知機能の一つに,ワーキングメモリがある。この働きは,とくに「思考」の中心・ベースとなっており,ワーキングメモリの脳内メカニズムを明らかにすることが,思考に代表される高度な精神機能の脳レベルでの解明に直結すると考えられている。そして,PETや機能MRIなどによる脳イメージング法での研究や,サルを用いたニューロンレベル,さらには情報伝達分子レベルでの研究が豊富になされてきた。 そうした精力的な研究の結果,多くのデータが得られてきたが,ワーキングメモリの「ニューロンシステム」に関しては,まだ十分にわかっていない。ワーキングメモリの脳内メカニズムの解明には,それを担うニューロンシステムの理解(システム的理解)が不可欠である。ところが,実証データに基づくそうしたモデルとしては,現時点では,一つしか提唱されていない。
著者
高山耕平 HenryJohan 西田友是
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.673-674, 2012-03-06

画像や映像の中にある人物の顔の特徴がどのようなものか,もしくはその顔が誰であるのかを自動で求める顔認識システムについては数多くの研究がなされてきた.しかし,実際の人物でない,アニメやマンガ等に登場するアニメキャラクターを対象とした顔認識は少ないといえる.そこで本稿ではこのアニメキャラクターを対象とした顔認識手法を提案する.まず,画像や映像の中にある顔の位置を肌の色やあごの形状,対称性といった特徴を用いて検出する.次に求めた顔領域から髪や目の色や形状といった特徴を抽出する.そしてこれらの抽出した特徴を他の顔から抽出した特徴と比較しどの程度類似性があるのかを判断していく.
著者
景山 佳代子 Kayoko KAGEYAMA
出版者
神戸女学院大学研究所
雑誌
神戸女学院大学論集 = Kobe College studies (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.11-18, 2017-06

この研究ノートは、大阪府西南部地域にある忠岡町の外国人居住者に対する日本語教育の取り組みについての調査の経過報告である。在留外国人に対する日本語支援の取り組みは決して十分と言えるものではなく、多くはボランティアを中心に実施されている。このような現状にあって、日本在住の非日本語母語話者にとって日本語教室がどのような場所として機能しているのか、また彼らが暮らす地域住民、地方自治体との関係性とはどのようなものなのかを明らかにするために本調査は実施された。調査地とした忠岡町の人口は1万8千人ほどだが、在留外国人の割合は大阪府下でも3番目に高く、とくにインドネシア、ブラジルなどの出身者が多い地域となっている。調査は2013年8月から、主に月2回の日曜日に開催される忠岡町の日本語教室を対象に行っている。参加者の出身地はインドネシアやベトナム、タイ、中国、ブラジルなどで、その多くは技能実習生として来日した者である。ボランティアの日本語指導員は、たった一人でこの教室の運営をしているが、日本語学習だけでなく学習者同士の交流や地域行事への参加の機会を用意してもいる。日本語教室の参与観察として日本語指導員へのインタビューなどから、忠岡町の日本語教室が学習者にとってどのような場所として機能しているのか、その調査の経過を報告する。The purpose of these research notes is to report on ongoing research of Japanese -language education for foreign residents in Tadaoka town, located in the Senboku Region of Osaka Prefecture. The ratio of foreigners in Tadaoka is the third highest in Osaka. Many of them come from East Asian countries(such as Indonesia and Vietnam), and live in Tadaoka as foreign trainees and technical interns. Our data is based on fieldwork conducted in Tadaoka NIHONGO KYOUSHITSU(日本語教室)and an interview with a Japanese language volunteer instructor. We found that they can learn Japanese and participate in community events through this class. Further reserch is needed to consider relations between foreigners and local residents.
著者
児玉 恵理
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b>1.はじめに</b><br><br>人口の減少や高齢化が進む中、市街化区域における都市農業への住民の評価が高まっている。市民農園では農業との触れ合いが求められ、農業ボランティアでは農家との交流を求める都市住民のニーズがある。それと同時に、都市農地の保全と都市農業の維持の機能が期待されている。埼玉県志木市では、小規模な都市農業が行われている。本研究の目的は、都市農業における生産者の役割に着目することで、持続可能な農産物供給機能の向上、担い手の育成・確保の仕組みを明らかにすることである。<br><br><b>2.志木市における都市農業の展開</b><br><br>JAあさか野によると、志木市は、もともと水稲が盛んな地域であった。稲作中心の宗岡地区では、荒川沿いの水田を中心にコシヒカリの早場米の生産を行っている。約20戸の米農家が「宗岡はるか舞」というブランド米を有機栽培し、出荷している。露地野菜中心の志木地区は、ホウレンソウ、にんじん、大根、キャベツ、里芋などの生産が盛んである。<br><br>農家の高齢化や後継者不足の問題から志木市役所が市民農園を整備し、市民が農業と関わりをもつようになっている。また、志木市役所で毎月第4土曜日に「しきの土曜市」が開催され、地元の農産物を販売する取り組みがある。<br><br><b>3.ボラバイトを活用した労働力確保</b><br><br>志木市のA農園は、ボラバイトを活用した労働者の確保をしている。ボラバイトとはボランティアとアルバイ<br><br>トの中間形態とした造語であり、今回は張り合いのあるボランティアの意味とする。ボラバイトを行う人々をボラバイターと呼び、ボラバイターは外国人実習生の代わりとなる重要な農業労働力である。<br><br>志木市のA農園は、無農薬野菜を近隣のスーパーや志木市役所で開催される「しきの土曜市」で地産地消を行い、あわせて有機野菜専門の宅配業者に出荷している。特に近隣のスーパーではA農園専用コーナーが設置されており、生産者が直接出荷・陳列することから「顔の見える」農業を自ら実践する。収穫・出荷・スーパー等での陳列を分担し、携帯電話で随時連絡を取り合うことで無駄の出ないように柔軟に農作業をしている。<br><br>家族経営だけでは、約20種類の無農薬野菜の栽培が困難になり、人手が必要になる。融通が利く都市住民をボラバイターとして農業に巻き込むことができる。A農園は、埼玉県か東京都在住で日帰りのボラバイターに手伝ってもらうことで、高品質で無農薬野菜を栽培することで農産物ブランド化を進めている。<br><br><b>4.おわりに</b><br><br>志木市は、宅地化が進む地域でありながら、行政が主体となり、生産者の販路拡大の手助けを行っている。地産地消を促すために、「しきの土曜市」という朝市や「アグリシップしき」という、年に2回開催の農産物直売所が志木市によって企画・運営されている。また、ボラバイトやシルバー人材を活用して、非農家出身者が農業に携わる機会がある。志木市における都市農業生産者は、新鮮な農産物の供給と農業体験の場の提供の役割を果たしているといえる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1293, pp.50-53, 2005-05-30

その後、メガホンの声が騒ぎを煽りたて、ボルテージが上がっていく。通りかかった住民は、にわかにはこれが労働争議だとのみ込めなかったという。 騒ぎが起きたゴミ収集業者の白井運輸は、従業員約80人。しかも、騒ぎを起こした組合員は15人しかいない。それが、なぜか100人超の大乱闘となっていた。 舞台となった白井運輸は、東京23区のゴミ収集を請け負っている。
著者
中内 寛
出版者
JAPAN SECTION OF THE REGIONAL SCIENCE ASSOCIATION INTERNATIONAL
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.77-94, 1979-06-30 (Released:2008-10-10)
参考文献数
2

In this paper, the growth process of 22 cities in Kyushu region through the Meiji, Taisho, and Showa era is discussed. The main purpose is to analyze the situation in which a city with its functions, affected by many other cities forming the region, could realize its substantial growth.To sum up, in Kyshu region, some historical central place cities have grown steadily since the Meiji era and selected ones, Fukuoka for example, showed accelerated growth in recent 20 years. Meanwhile, other central place cities realized relatively low growth because of the nearby larger central place cities which expanded the area of its influence gradually. Another group of newlyrisen cities (so called Shinko-toshi) grew rapidly through industrial revolution in Japan with its profitable location and resonrce endowment compared with other regions. But in post war period, especially since 1950s, these newly-risen cities reduced their growth rate and many of them declined substantially, losing merit so far as the changed national industrial structure concerned.
著者
池田 恒彦
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, 2008-08-30
参考文献数
1
被引用文献数
1
著者
二子石 正雄
出版者
THE GEOTHERMAL RESEARCH SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.225-235, 1999-07-25 (Released:2009-08-07)
参考文献数
5

The area in which the Uenotai geothermal power station is located was surveyed originally by owa Mining Co., Ltd. (DOWA) in 1971. Akita Geothermal Energy Co., Ltd. (AGECO), an affiliate company of DOWA, was established in 1981, and all of the technical information and data on the Uenotai field were transferred to AGECO. In this report, I cover the following three categories;1. A summary of the 23 years of investigation and development in the Uenotai area.2. The operation conditions during the four and half years since this power station commenced its operations.3. The problems to be settled in the future.
著者
大木 郁也
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

カルデラ内イグニンブライトは,カルデラ外に比べ,カルデラ形成に伴う噴火の始まりや終わり,その後の情報をより完全に記録している.しかしながら,厚いカルデラフィル堆積物により埋積されるため,カルデラ底部へアクセスできないなどの問題点がある.それゆえ,カルデラ内イグニンブライトの層序及び地質構造,堆積相を連続的に記載した例は少ない. 本研究は,カルデラ内イグニンブライトを連続的に観察できる理想的な例として三途川カルデラをとりあげ,そのカルデラ内イグニンブライト(虎毛山層)の層序や地質構造,堆積相を記載し,年代測定を行った.その結果,三途川カルデラの噴火史及び地質構造発達史について明らかにした.秋田県南部に位置する三途川カルデラは,カルデラ形成時に堆積したとされる軽石流堆積物(虎毛山層)により埋積される.虎毛山層は主に結晶に富むデイサイト質の火山礫凝灰岩,ブレッチャ,凝灰岩からなる.全体の層厚は1500m以上である.更新世(1.2 Ma;K-Ar法)に相当し,女川から西黒沢相当層間の基盤岩を不整合関係に被覆する.本層は5つの岩相からなる.5つの岩相とは,(1)ユータキシティック組織が発達した塊状無層理の火山礫凝灰岩(emLT), (2)塊状無層理の角礫岩(mlBr), (3)斜交層理が発達した火山礫凝灰岩(xsLT), (4)平行層理が発達した凝灰岩(//sT), (5)遍在的に成層構造を持つ火山礫凝灰岩(dsLT)である.emLTは本層の主体をなし繰り返し分布する.mlBr及びxsLTはemLTの下位に発達し,//sT及びdsLTはemLTの上位と中部にそれぞれ発達する.5つの岩相はシャープまたは漸移的に変化する.これらの岩相の特徴及び接触関係はすべてイグニンブライトの岩相を特徴づけるため,本層はイグニンブライトのシーケンスからなると判断できる.イグニンブライトに先行する降下軽石堆積物が欠如することやイグニンブライトの層厚が1500 mを超えること,本層の分布がカルデラ内に限られることから,本噴火は約1.2 Maにマグマ溜まりの天盤崩壊をトリガーとして発生し,プリニー式噴火フェーズのないイグニンブライトを形成するフェーズから始まったと考えられる.さらにイグニンブライト岩相が繰り返し分布することから,本層は7層の火砕流堆積物(PDC-1 to PDC-7)に識別される.7層の火砕流堆積物の存在より,本噴火で発生した大規模火砕流はwaxingとwaningを繰り返しながら少なくとも7回の火砕流パルスを発生させたと解釈できる.大規模火砕流の給源方向は,イグニンブライト中に発達するデューン構造やインブリケーションの方向から推定でき,北東から南西方向であると考えられる.給源方向にある大鳥谷沢では結晶に乏しいことやmlBrが多く狭在することからも支持される.また,虎毛山層は高松岳周辺を中心に環状に分布し,外側へ急傾斜する.この地質構造は高松岳を中心としたドーム状の隆起構造を示唆する.この隆起構造は,後カルデラ期の再生ドームと考えられ,虎毛山層形成後に発達したと考えられる.