著者
KIM Dong-Won
出版者
日本科学史学会
雑誌
Historia scientiarum. Second series : international journal of the History of Science Society of Japan (ISSN:02854821)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.105-118, 2009-12-31

Two atomic bombs dropped on Hiroshima and Nagasaki in August 1945 brought the unexpected liberation of Korea from the 35-year Japanese occupation. Koreans therefore had a very favorable and positive image of the nuclear bomb and nuclear energy from the beginning. The image of the nuclear bomb as "savior" was strengthened during the Korean War when the United States openly mentioned the possible use of the nuclear bomb against North Korean and Chinese military. After the end of the Korean War in July 1953 South Koreans strongly supported the development of the nuclear bomb in order to deter another North Korean invasion. When the US government provided South Korea with a research nuclear reactor in the late 1950s, most South Koreans hailed it as the first step to developing their own nuclear bomb. This paper will analyze how and why the savior image of the nuclear bomb originated and spread in Korea during the 1950s.
著者
高橋 恵美子 山下 一也 阿川 啓子 小村 智子 Emiko TAKAHASHI Kazuya YAMASHITA Keiko AGAWA Tomoko OMURA
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.137-143, 2010-09-30

ADHDをもつ子どものための包括的治療としての夏期治療プログラム(Summer Treatment Program : STP)の意義について文献的考察をした。ADHDの原因については、多くの研究にも関わらず十分に解明されていないところが多い。ADHDの治療方法としては、薬物治療による効果が70~80%の子どもに見られるために、薬に頼りがちである。しかし、ADHDをもつ子どもが抱える併存障害の重症化を予防する観点から考えても、治療的エビデンスのある行動療法と中枢神経刺激薬を中心とした薬物療法を組み合わせた包括的治療が重要である。
著者
中原 大輔 宮崎 美伯
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 = Bulletin of the Gunma Prefectural Livestock Experiment Station (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.21, pp.91-106, 2014-12

離乳牛舎周辺においてタヌキ等の野生動物による配合飼料の盗食被害が発生したことから、センサーカメラを用いて夜間の出没状況を調査し、その結果に基づいて防除対策を実施した。1 離乳牛舎周辺に設置したセンサーカメラ画像を解析した結果、哺乳舎を中心にタヌキとキツネが出没し、飼槽の配合飼料を盗食していることが確認された。2 離乳牛舎への侵入防止対策として、牛舎周辺に10cmマスのワイヤーメッシュを設置したところ、マス目からの侵入が確認されたため、針金で5cmマスに狭める改良を施した結果、侵入が防止された。3 箱わなによる学術捕獲に伴い、設置後の箱わな内へのタヌキの進入状況を調査したところ、設置後10日間程度は警戒心が強く、全身の進入が確認されなかったことから、対象動物が箱わなに慣れるため、設置後2週間程度は箱わなを開放状態にして餌付けを行うことが重要である。4 箱わなによるタヌキの捕獲後、タヌキとキツネの出没が減少した一方で、ネズミの出没が増加したことから、ネズミ対策を実施した。
著者
嵯峨 謙一 大目 祐介 河本 和幸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.390-394, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
8

症例は65歳の男性で,2年5カ月前に直腸癌および同時性肝転移に対して低位前方切除,D3リンパ節郭清を行った.病理結果はSS,N1,M1a(HEP)であった.CapeOX療法による化学療法を開始した.治療効果PRであり,1年7カ月前にALPPS手術一期目(S3部分切除,門脈右枝結紮,肝切離),二期目(右葉摘出)を施行した.術後補助化学療法(UFT/LV)施行中の1年2カ月前に肝転移再発3箇所を認め,Capecitabine+Bmab投与を開始した.新規病変は認めず,手足症候群のため化学療法継続困難のため,腹腔鏡下肝部分切除3箇所を行った.現在,最終手術から11カ月無再発生存中である.大腸癌肝転移は,術後再発も起こりうるため,再肝切除の可能性に留意が必要である.本症例では,ALPPS術後に腹腔鏡下肝切除を行いえており,文献的考察を加え報告する.
著者
奥野 丈晴 山田 雅之
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.302-307, 2011 (Released:2012-12-19)
参考文献数
8

キヤノンはサブ波長構造を用いた高性能反射防止膜“SWC”を開発し,2008年12月,同膜を搭載したカメラ用交換レンズEF24mm F1.4L II USMを発売した.サブ波長構造体はアルミナ微結晶膜からなり,ゾル-ゲルプロセスによって形成されるため大面積・曲面への形成も容易である.さらに,レンズとアルミナ微結晶膜との間に中間の屈折率を有する薄膜層を挿入することで,様々な屈折率のレンズに対して優れた反射防止性能を実現可能である.
著者
佃 由晃 林 洋 上村 勝一郎 服部 年逸 金子 浩久 師岡 慎一 光武 徹 秋葉 美幸 安部 信明 藁科 正彦 増原 康博 木村 次郎 田辺 朗 西野 祐治 井坂 浩順 鈴木 理一郎
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.384-403, 2002
被引用文献数
5

Nuclear Power Engineering Corporation (NUPEC) has conducted a proving test for thermal-hydraulic performance of BWR fuel (high-burnup 8×8, 9×9) assemblies entrusted by the Ministry of Economy, Trade and Industry (NUPECTH-B Project). The high-burnup 8×8 fuel (average fuel assembly discharge burnup: about 39.5GWd/t), has been utilized from 1991. And the 9×9 fuel (average fuel assembly discharge burnup: about 45GWd/t), has started to be used since 1999. There are two types (A-type and B-type) of fuel design in 9×9 fuel assembly.<BR>Using an electrically heated test assembly which simulated a BWR fuel bundle on full scale, flow induced vibration, pressure drop, critical power under steady state condition and post-boiling transition (post-BT) tests were carried out in an out-of pile test facility that can simulate the high pressure and high temperature conditions of BWRs. This paper completed the results of 9×9 fuel combined with the previously reported results of high-burnup 8×8 fuel.<BR>As a result of NUPEC-TH-B Project, the validity of the current BWR thermal-hydraulic design method was confirmed and the reliability of BWR thermo-hydraulic fuel performance was demonstrated. Based on the test data, a new correlation of the estimation of fuel rod vibration amplitude, new post-BT heat transfer and rewet correlations for the estimation of fuel rod surface temperature were developed.
著者
前田 勇子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.4, pp.211-221, 2010-03-18

三次救急医療機関において入院治療を受けた重度外傷患者を対象に外傷体験が心理面に及ぼす影響を検討した。切断指・肢、多発外傷、多発骨折などの患者58名を対象として、退院後3~10ヵ月目にアンケート調査を行い、30名(51.7%、男性21名、女性9名)から回答を得た。Impact of Event Scale-Revised(IES-R)は、19.6±15.9点であり、25点以上の強いストレス下にある患者は33.3%であった。Hospital Anxiety Depression Scale(HADS)の不安は4.6±2.7点、抑うつは4.9±3.8点であり、不安、抑うつの可能性がある8点以上の患者はそれぞれ16.7%、23.3%であった。仕事・家事への復帰、趣味・娯楽活動の再開、退院後のセルフケア、生活の満足度は、それぞれHADS抑うつと関係した。重度外傷患者では、退院後も長期にわたり心理的ストレス、不安、抑うつが生じることから、患者の心理面をふまえたサポートの重要性が示された。
著者
前田 勇子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.4, pp.211-221, 2010-03-18

三次救急医療機関において入院治療を受けた重度外傷患者を対象に外傷体験が心理面に及ぼす影響を検討した。切断指・肢、多発外傷、多発骨折などの患者58名を対象として、退院後3~10ヵ月目にアンケート調査を行い、30名(51.7%、男性21名、女性9名)から回答を得た。Impact of Event Scale-Revised(IES-R)は、19.6±15.9点であり、25点以上の強いストレス下にある患者は33.3%であった。Hospital Anxiety Depression Scale(HADS)の不安は4.6±2.7点、抑うつは4.9±3.8点であり、不安、抑うつの可能性がある8点以上の患者はそれぞれ16.7%、23.3%であった。仕事・家事への復帰、趣味・娯楽活動の再開、退院後のセルフケア、生活の満足度は、それぞれHADS抑うつと関係した。重度外傷患者では、退院後も長期にわたり心理的ストレス、不安、抑うつが生じることから、患者の心理面をふまえたサポートの重要性が示された。
著者
柴田 伊冊
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.24, pp.14-31, 2012-03

1994 年のICAO(International Civil Aviation Organization)における自由化をめぐる世界規模での議論を踏まえ、米国を起点にした国際航空の自由化は世界規模で進行している。オープンスカイ政策によって、米国が世界に求めた自由化は、既存の二国間航空協定を改定する方法による自由化で、航空当局者ごとの交渉を通じて、米国への又は米国からの路線において波及的に国際航空の自由化を図ることであった。ICAO フォーラム(1994年)で提言された国際航空の自由化は、それぞれの国家の地勢と、既存の航空会社の競争力に応じて段階的に実現されるという視点に応じていたから、米国の方法は実践的であったことになる。 EU(European Union)域内では、英国やオランダなど自由化に積極的な国家と、ヨーロッパ統合という政治的主導によって自由化が進行した。EU 域内の航空会社は、英国航空(イベリア航空との統合で世界第7位の売上高 2010 年)を中心に、国家の介入による自国航空会社の保護育成という政策を脱し、かつ、インフラとして航空会社の運航を支える空港管理主体の民営化が進行して自由を基軸として統合された地域を伴う航空会社となった。それ以降、米国国内とEU 域内及び大西洋路線が、世界の航空の需要の大半を占めている事実から、米国とEC(European Community)の接続の形態が国際航空の次世代の原形となるとする見解もある。米国とEC という国際航空における自由化の核の外に位置する日本も国際航空路線の多くを米国及びEU 域内と接続しているために自由化を免れることができない。そして日本では第二次世界大戦の敗戦以降、米国の航空会社が運航の路線数や以遠において優勢であり、かつ隣接の中華人民共和国の航空の急速な発展に当面していることから、日本はここに至るまで自由化に慎重であった。 国際航空の自由化との関係で争点になるシカゴ条約前文の航空の機会均等は、これまでそれぞれの政府による、それぞれの締約国の航空会社の保護育成政策によって実効性が担保されていたのであり、国際航空の自由化の進行前においては、IATA(International AirTransport Association)によって世界規模で統一された手続によって運航に必要な条件が整備されながらも当該保護育成の方法は国家ごとに異なっていたから、オープンスカイ政策以降の自由化を意図する変革の方法と目的も国家ごとであり、世界規模では同一でない。それ故に、マランチェク(Peter Malanczuk)が多様化する国際公法の今後を「細分化」と称したように、国際航空の自由化についても、日本における「自由化」の意義を確定する必要がある。そして、それは緩やかな漸進的自由化であり、国家による統制の潜在化である。
著者
小堀 寿亮
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-35, 2009-02-15
参考文献数
1

<p>ライト兄弟による人類初飛行から約一世紀の間に,航空機のハードウェアに関する技術は飛躍的に進化し,航空機を安全な乗り物にすることに大きな貢献をしている.一方,航空機の整備作業は,ライト兄弟の時代から変わらず大半を人間が手作業で行っていることから,整備作業におけるヒューマンエラーをいかに減らすかが,航空機の安全向上の重要な課題の一つになっている. 全日空では,過去の経験から編み出してきた各種のヒューマンエラー防止手法と,ICAO(国際民間航空機関),IATA(国際航空運送協会),外国航空当局,航空機メーカー等による研究成果(ヒューマンファクターズ理論/方法論)を活用し,1995 年頃から現業部門のみならずスタッフ部門も含めた組織全体で,整備作業におけるヒューマンエラー防止のための実践的な取組みを展開してきた.</p>
著者
松岡 弘道 村上 佳津美 小山 敦子
出版者
近畿大学臨床心理センター
雑誌
近畿大学臨床心理センター紀要 = Bulletin of center for clinical psychology Kinki University (ISSN:21868921)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.3-17, 2014-11-01

[要約] 心療内科で扱う心身症の患者によくみられる特徴に, (1)失感情症, 失感情言語化症 (Alexithymia) : 自分の内的な感情ヘの気づきとその言語表現が制約された状態, (2)失体感症(Alexisomia) : ホメオスターシスの維持に必要な身体感覚 (空腹感, 満腹感, 疲労感など)への気づきが鈍い傾向, がある. このために過剰適応となり, 様々な身体の不調をきたす心身症ヘと発展していく. したがって, 心身症治療の中心は, これらの病態--「心身相関」への気づきを促し, 患者自身に新しい適応様式を獲得してもらい, セルフコントロールできるようにすることである. 代表的な心理療法として, 自律訓練法, 交流分析・ゲシュタルト療法, 認知行動療法について概説するとともに, 日本ではまだあまり知られていないが, 最近, 筆者らが渡独し, 開発者から直接研修を受けたオートノミートレーニングについても詳述する. 近畿大学では, 今後, 幅広い患者ヘ心身医療を提供していく.