著者
大松 慶子 石井 良和 山田 孝
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.68-80, 2015-09

我が国の作業療法士が使用する意味のある作業,価値を置く作業,重要な作業など(以下,意味のある作業と略)の内容と特性を,内容分析を用いて検討した。対象は国内で1995 年度から2010 年度に発表されたこれらの言葉を用いた26 件の事例報告論文である。結果,生成したのは《自ら意思表示した》《興味がある》《生活史の中にある》《心身機能と行動の改善を促す》《他者との関係に変化をもたらす》《希望をもたらす》《新たな自分につながる》の7 カテゴリーであった。作業療法士はこのうち《自ら意思表示した》《生活史の中にある》《新たな自分につながる》のどれかのカテゴリーを含む作業を,意味のある作業とみなす傾向があると考えられた。意味のある作業は,クライエントの自分に対する理解と人生にかかわり新たな自分を再構築する,作業療法士が援助する作業であると考えられた。
著者
薬袋 秀樹
巻号頁・発行日
2017-11

本研究の目的は、「公民館の設置及び運営に関する基準」(1959)の解説における『公民館基準の解説』(1962)の意義を明らかにすることである。基準、取扱通達、『公民館基準の解説』の内容を比較し、相互の関係を分析した。その結果、基準を補足する内容を通達で示し、通達の内容を補足する詳しい内容を解説で述べていること、解説では公民館と図書館の連携・協力に関する提案が行われていることが明らかになった。
著者
松田 時彦 由井 将雄 松島 義章 今永 勇 平田 大二 東郷 正美 鹿島 薫 松原 彰子 中井 信之 中村 俊夫 松岡 数充
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.145-182, 1988-11-11

伊勢原断層の両側で試錐調査を行い,試料中の火山灰,14C年代,貝・有孔虫・珪藻・渦鞭毛藻などを調査した.調査地域は,約6000年前頃,内湾性の海域から低湿な陸域に変わった.その海成層の上限の高さ(当時の海抜0m)は,現在標高およそO~-2mにあるが,断層の東側の方が1.6±0.6m高い.この高度差は伊勢原断層の変位によると考えられる.この変位が生じた年代は,地層の厚さの比較から,延暦・貞観年間のテフラ層堆積以後で,宝永スコリア堆積以前である.この""伊勢原地震""の規模は,その変位量などから考えて,M7.0~7.5程度である.また,約6000年前の海成層の上下変位量と約1100年前までのテフラ層の標高差との間に有意の差がないことから,伊勢原地震の再来間隔は約5000年以上である.このような伊勢原地震に最もよく適合する歴史地震は,元慶2年(878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M7.4)である.
著者
安冨 歩
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1997-01-23

本文データは平成22年度国立国会図書館の学位論文(博士)のデジタル化実施により作成された画像ファイルを基にpdf変換したものである
著者
西部 忠 橋本 敬 小林 重人 栗田 健一 宮﨑 義久 廣田 裕之
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
Discussion Paper, Series B
巻号頁・発行日
vol.104, pp.1-79, 2012-05

私たちは2011年2月21日より25日まで,ブラジル・セアラ州フォルタレザ郊外パルメイラ地区にあるパルマス銀行を訪問して,その設立者,従業員,近隣小売業者などの関係者にインタビューを行い,同銀行の沿革や特徴,および,その近隣の経済社会への影響を調査した。本調査報告書の目的は,このインタビューの内容を参照可能な一次資料として記録し,公刊することにある。
著者
Miyaura Norio Yamada Kinji Suzuki Akira
出版者
Pergamon Press
雑誌
Tetrahedron Letters (ISSN:00404039)
巻号頁・発行日
vol.20, no.36, pp.3437-3440, 1979
被引用文献数
1829

The representative (E)-1-alkenyldisiamylboranes and (E)-1-alkenyl-1,3,2-benzodioxaboroles readily obtainable Image hydroboration of 1-alkynes react with 1-alkenyl halides or 1-alkynyl halides in the presence of a catalytic amount of tetrakis(triphenylphosphine)palladium and base to give corresponding conjugated (E)-dienes or (E)-enynes with high regio- and stereospecificity in good yields, respectively.
著者
箕輪 雅美
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.43-63, 2013-03

本稿では,モーニング娘。とAKB48という2つのアイドルグループをビジネスシステムとして捉えることで,それら の2つのグループが高い経済的成果を上げ続けている理由を分析する.モーニング娘。に長期に渡る成功をもたらしたのは,アイドルグループをブランドとして捉え,企業が新製品を投入することでブランドの長期に渡る生存を図るように, メンバーの入れ替えを繰り返すことで,グループの長命化を可能にしたことにある.AKB48の空前絶後と言われる成功の理由は,小劇場において毎日公演を行うことにより,仮説・検証のサイクルを高速で回し,グループを顧客のニーズに高いレベルで適合させ,核となる顧客をつくりあげた上で,それらの顧客に複数のCDを購入させるライブアイドルの手法を発展的に導入し,新しいビジネスシステムを創造したことにある.
著者
富田 昌平 TOMITA Shohei
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.129-136, 2017-03-31

本研究では、幼児期における恐怖対象の発達的変化について検討した。研究1では、保育園年中児29名、年長児26名を対象に、恐怖対象の有無やその内容と理由、5つの一般的な恐怖対象(お化け、動物・虫、暗闇、幽霊、注射)に対する感情評価について尋ねた。その結果、子どもの恐怖対象の数は加齢に伴い減少すること、女児は男児よりも恐怖対象を持つ傾向にあることが示された。研究2では、幼稚園児の保護者66名を対象に、子どもの恐怖傾向とその強さ、恐怖対象の内容と発達的変化について尋ねた。その結果、恐怖対象の発達差や性差に関して、研究1の結果が概ね繰り返された。また、内容的には年齢や男女問わず、お化け、動物・虫、幽霊、暗闇、1人でいることなどが多く挙げられ、加齢に伴い想像的なものに対する恐怖が増加することが示唆された。考察では、幼児期における恐怖対象とその発達的変化を踏まえた上で、「怖い」を楽しむ実践を育児や保育においてどのように位置づけ、展開していくかが議論された。
著者
佐藤 みゆき 野澤(竹澤) 愛美 伊藤 美和 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.25-35, 2021-10-22

発達障害者(知的障害者を含む)の運転免許教習における合理的配慮を含めた個別支援のあり方を検討するため,個に応じた支援を受けて免許取得につながった 3 事例を後方視的に分析した。その結果,視覚的な理解の促し,個室の利用や個別送迎,職員の声かけ,通所方法の変更,スケジュールの調整などの相談に応じるといった,多岐に渡る個に応じた支援の有効性が明らかになった。また教習所に求められる支援の視点として,多職種連携・地域連携とチーム支援,連携の共通言語としての教習に特化したアセスメントの重要性が示唆された。運転免許取得は,単に車を運転するため,働くためのみならず,免許そのものがもたらす本人のアイデンティティ獲得とそのプロセスによる成功体験,また様々な社会参加につながり,QOL の向上という点からも大きな意味がある。発達障害者の特性やニーズに応じた自動車学校での個別支援のさらなる検討が求められる。