著者
山際 幹和
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.128-131, 2006

胃食道逆流症 (GERD) の定型的症状である胸やけ・呑酸症状が全くなかったにもかかわらずプロトンポンプ阻害薬 (PPI) であるlansoprazole (タケプロン®) が奏効した挿管後の喉頭肉芽腫症患者 (女性、24歳、Marfan症候群があり、急性大動脈剥離の全身麻酔下手術と術後管理のため22.5時間の気管内挿管を受けた後に右披裂軟骨声帯突起部に肉芽腫が発生) を経験した。本例の治療経験から、挿管による組織傷害は肉芽腫の発症のきっかけにはなるが、肉芽腫の形成に大きく関与する要因として、不顕性に食道や咽喉頭へ逆流する胃内容物の反復的な物理的・化学的刺激が重要であると推察した。筆者は、本例や類似症例の治療経験から、難治性の挿管性肉芽腫症患者に対しては、明白なGERDや咽喉頭逆流症の自覚症状がなくても、PPIを試用する価値があると考えている。
著者
東園 和哉 三宅 大 矢野 秀朗 橋本 政典
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.2052-2056, 2015

症例は59歳,女性,腹部腫瘤を主訴に当院を受診した.造影CTでは,左腎臓を内包し,内部は脂肪を示唆する低吸収域を主体とし,一部に不均一な高吸収を示す充実性腫瘤を認めた.画像所見から,後腹膜脱分化型脂肪肉腫と診断した.術中所見にて膵・横行結腸に直接浸潤が疑われ,腫瘍切除とともに左腎摘出,膵体尾部脾合併切除,および横行結腸部分切除術を施行した.摘出標本は3,500g,病理診断で脱分化型脂肪肉腫と診断された.大動脈剥離面で断端陽性であったが,肉眼的に切除しえたと考え経過観察とした.術後1年目の造影CTで右肺野に結節影を認め,転移が疑われたため右上葉区域切除を施行した.術後病理で脱分化型脂肪肉腫の肺転移と診断された.その後,再発・遠隔転移など新出病変を認めていない.術後単発肺転移再発をきたしたが切除し,局所再発および肺転移再再発なく経過している脱分化型脂肪肉腫は稀であることから,文献的考察を加えて報告する.
著者
上田 徹
出版者
筑波大学哲学研究会
雑誌
筑波哲学 (ISSN:09162046)
巻号頁・発行日
no.23, pp.66-74, 2015-03-31
著者
小原 重信
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.79-97, 2012

わが国のプロジェクトビジネス産業は、国内市場の成熟化と海外市場における新興国との競争に直面し、差別化と高度化が求められている。マルチ・ステークホルダー間の潜在的なコンフリクトは、グローバリゼーションとローカリゼーションの取引要件に対応する切迫したマネジメント課題である。利害対立、異文化、プロセス活動で発生する多次元コンフリクトは、プロジェクトマネジャーに過大な調整負担と心理圧迫を与えている。その結果コンフリクト回避行動が、次第に顕在化し信頼リスクを増加させている。本論は、看過されてきた実態を解明により、調査モデルを考案して領域発生率、個別感度、心理インパクトを分析した。その意図は、コアコンピテンスの再設計の鍵要素を探求し、プログラムカンパニーのアジェンダ探索にある。

1 0 0 0 OA 本草匯18卷

著者
清郭佩蘭撰
出版者
郭氏刊
巻号頁・発行日
vol.[6], 1666
著者
小嶌 麻木 岡橋 さやか 羅 志偉 長野 明紀 酒井 弘美 関 啓子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.296-303, 2016-06-30 (Released:2017-07-03)
参考文献数
18

失語症者の日常生活における包括的な認知機能の評価用として, Virtual Reality 技術を用いた Virtual Shopping Test-easy version ( VST-e) を開発し, 失語症者への適用および妥当性と信頼性を検討した。 VST-e において被験者は, 買い物内容を暗記した後, PC 画面のタッチパネル操作により仮想の商店街でなるべく速くかつ正確に買い物課題を行った。失語症者, 健常者各 20 名を対象に施行した結果, 失語症群は健常群より有意に買い物リスト参照回数と方向転換回数が多く, 所要時間が長かった。また, 失語症群の VST-e 成績は言語機能, 知的機能, 注意, 遂行機能との相関を認め, 内部一貫性に関する Cronbach の α は 0.62 であった。したがって, VST-e は言語機能の影響を受けるが, 基準関連妥当性と信頼性を有し, 失語症者の総合的認知機能検査として有用であることが示唆された。
著者
富田 純一
出版者
オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会
雑誌
オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会論文誌 (ISSN:18846939)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.91-107, 2012

本稿の目的は,トライアドの情報処理モデルを用いて,生産財開発における提案のあり方を検討することにある.トライアドの情報処理モデルとは,生産財メーカーと消費財メーカーだけでなく消費者を含めた三者間の関係を想定し,設計情報の流れを図式化したものである.生産財開発の場合,顧客である消費財メーカーが専門知識を有し,必要とする生産財のコンセプトやスペックを提示できるケースが多いので,顧客の指示に従えばよいと考えがちである.しかし,時折消費財メーカーが消費者ニーズの翻訳を誤ることがある.この場合,生産財メーカーはどのようなタイミングでどんな内容の提案を行っているのだろうか.本稿では,事例分析に基づいてその提案プロセスを明らかにするとともに,「ダイナミックな評価能力」の重要性を指摘する.この能力は,「生産財メーカーが,製品開発の過程で自社製品が組み込まれる顧客製品の機能要件を,エンドユーザー (消費者)のニーズの視点から評価することで獲得しうる知識・能力であり,再評価の結果,業務範囲の拡大・縮小を柔軟に遂行しうる知識・能力」である.生産財メーカーが提案をより効果的に進めるためには,この能力の蓄積・活用が重要であると考えられる.
著者
澄川 真幸
出版者
広島修道大学
雑誌
修道商学 (ISSN:03875083)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.151-169, 2002-09-30

新商品は,技術シーズと市場(消費者)ニーズの組み合わせで誕生するという意味で,二つは商品開発の基本要素だと言える。新商品が,話題性でも,売れ行きでも,圧倒的な市場(消費者)の支持を得られたヒット商品であるケースにおいては特に,二つの基本要素の織り成しは,「シーズとニーズが一致した」という常識的な意味で言っても,ある種の「秩序」を形成している。いかにしてこの秩序は生成するのかを明らかにすることが本稿の第1の目的である。そして第2の目的は,秩序の生成を明らかにする際には,生産者・消費者の2者間の関係(ダイアド関係)ではなく,生産者・商業者・消費者の3者間の関係(トライアド関係)で解き明かす必要があることを主張することにある。
著者
飯田 武揚 飯田 武夫 野崎 弘 鋤柄 光則
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1976, no.5, pp.837-844, 1976
被引用文献数
3

アイソタクチックポリプロピレンを常圧下,380℃で熱分解し,室温で液状の炭化水素の熱分解生成物を得た。この分解油のガスクロマトグラムには微量な成分を含めて40本以上のピークが現われる。それらの中で分解油重量に対して3wt%以上の成分である8本のピークを選び,それらを精密分留装置で分取した.これらの成分の構造決定は主として<SUP>13</SUP>C NMRスペクトル順量スペクトルによった。その結果ペンタン,2-メチル-1-ペンテン(プロピレンの二量体オレフィン),4-メチルヘプタン(三量体パラフィン),2,4-ジメチノレ-1-ヘプテン(三量体ナレフィン),4,6-ジメチルノナン(四量体パラフィン),2,4,6-トリメチル-1-ノネン(四量体オレフィン),4,6,8-トリメチルウンデカン(五量体パラフィン),2,4,6,8-テトラメチル-1-ウンデセン(五量体オレフィン)の八つの成分の構造を決定することができた.四量体パラフィンから五量体オレフィンにかけて<SUP>13</SUP>CNMRスペクトルにはダイアドとトライアドの立体規則性によるシグナルの多重性が現われる。これらのシグナルのタクチシティーを含めての帰属と成分の構造決定から,熱分縦成物の72wt%は分枝モノオレフィンであり,21wt%は分枝パラフィンであること,さらにポリプ・ピレンのアイソタクチックな構造が熱分鰍こよって変化し,ヘテロタクチックな構造をもつ熱分解生成物ができていることがわかった。
著者
八田圭斗 小野景子 熊野雅仁 木村昌弘
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.369-370, 2014-03-11

ソーシャルメディアにおける信頼ネットワークの成長を,その観測データを用いて予測する問題を考える.本研究では,バランス理論とステータス理論に基づき信頼リンクに関するユーザ3人のトライアド構造に着目する従来アプローチを拡張して,ユーザ間の信頼リンク媒介者の数が,そのユーザ間の信頼リンク生成に及ぼす影響を分析する.製品レビューサイトEpinionsの実データを用いた実験により,媒介者数に基づく信頼リンク予測法が,ユーザアクティビティの観測データのみを用いる手法よりも有効であることを実証する.また,ユーザ間に信頼リンクが生成される前後において,そのユーザ間の媒介者数に特徴的変化パターンが見られることを明らかにする.
著者
桂 周良
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.Supplement24, pp.10-19, 1988-09-05 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15

Subglottal pressure signals during phonation were evaluated by linear prediction analysis in fifteen normal adults.The first subglottal resonance frequencies, exhibited individual variation, ranging from 420 Hz to 720 Hz. The change in fundamental frequency affected resonance spectra, also suggesting individual variation of subglottal resonance. Moreover, spectrum differences among vowels indicated coupling between the supraglottal and subglottal systems during the closed phase.
著者
西川 政勝 田丸 智巳
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.253-260, 2009 (Released:2009-12-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

Antiplatelet drugs belong to the class of pharmaceuticals that inhibit platelet activation and thereby suppress arterial thrombus formation. They are widely used for primary and secondary prevention of atherothrombotic diseases including coronary heart diseases, ischemic strokes and peripheral arterial diseases. These drugs are broadly classified into two categories: (1) inhibitors of the platelet activation signal-transduction system, and (2) stimulators of production of inhibitory signals such as cAMP and cGMP. The first category comprises ADP receptor (P2Y12) antagonists including ticlopidine, clopidogrel and prasugrel; the serotonin 5-HT2 receptor antagonist sarpogrelate; the cyclooxygenase-1 inhibitor aspirin; and eicosapentaenoic acid. The second category comprises prostacyclin analog, the cyclic nucleotide phosphodiesterase (PDE)-3 inhibitor cilostazol, and the PDE-5 inhibitor dipyridamole. Drugs in the second category stimulate vasodilation, as well as inhibit platelet aggregation. Current clinical trial evidence favors the use of aspirin, clopidogrel and cilostazol as first-line agents in the majority of patients with vascular disease. Clinical trials evaluating novel antiplatelet drugs will impact the direction of future practice.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.99, pp.31-34, 2006-01-10

神奈川県相模原市にある、かもめ薬局北里健康館は、関東や近畿地方を中心に19店舗を展開するトライアドジャパンが2000年3月に開設した薬局。精神神経疾患治療センターを併設する北里大学東病院の門前に位置し、精神科疾患患者の来局が多い。1日に応需する約250枚の処方せんのうち、精神科関連のものが3〜4割を占める。
著者
許 經明
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.167-192, 2017

<p>本研究では、携帯電話産業において、コア部品サプライヤーの知識を中心とするブランド企業と生産受託企業の製品開発分業という企業間分業を分析した。本研究の定量分析の結果によると、生産受託企業がコア部品サプライヤーのツール・キットを活用することと、コア部品サプライヤーと技術コミュニケーションを行うことが、ブランド企業との製品開発分業における意思決定権限に正の影響を与えることが明らかになった。このようなトライアドの企業間分業においては、企業 (プリンシパル) と協業相手 (エージェント) の分業における意思決定の権限の割り当ては、企業 (プリンシパル) と協業相手 (エージェント) のどちらが相手企業よりどれほど第三者の知識を「獲得」するかによって決まることになると考えられる。</p>

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出版者
巻号頁・発行日
vol.[62] 嘉永,
著者
鈴木 清之
出版者
International Society of Histology and Cytology
雑誌
Archivum histologicum japonicum (ISSN:00040681)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.375-381, 1970
被引用文献数
4

進行性筋ジストロフィー症患者 (32才男) の筋生検を行い, リングファイバーとその神経筋接合部を観察した. リングファイバーの筋線維は, 中心部は長軸方向に, また周辺部はそれをとりかこむ様に走り, 一部はみだれた配列をしめしていた. 筋小胞体は, 多少, 少ない様にみえた. トライアドは筋線維の横紋に関係なく不規則に分布していた. ミトコンドリアは, 筋鞘の近くに特に多くみられた.<br>リングファイバーの神経筋接合部は, 骨格筋のそれと似た像を呈するが, 結合ヒダは, もっと複雑な像を観察した.