著者
山田 尚勇
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.261-318, 1991-12-25

われわれは主として漢字かな混じり文を使いなれているために, 自分が漢字に対して持っている先入主を基にした, 科学的裏付けのない議論をもって, 文字に関する普辺的真理と信じていることがかなりある。本稿においては, 言語学, 心理物理学, 認知科学, 脳科学などの観点から, 講演形式を用いて, 文字に関するそうした種々の主張を一つ一つ解明してゆく。
著者
小林 康江
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.117-124, 2006-04
被引用文献数
2

本研究の目的は,母親が自ら「できる」と思える子育ての体験を記述することである。それにより,産後の母親のケアの示唆を得ようとするものである。研究方法は,退院後1ヵ月健診まで実家に里帰りをした初産婦5名を対象に,家庭訪問と半構成的面接法を実施した。分析は,母親が育児について語っている文脈を事例ごとに抽出し記述した。その結果,産後1ヵ月の母親は,母親自身で「できる」と思える子育ての体験がある母親と,「できる」と思える体験のない母親がいることが明らかとなった。「できる」と思える子育ての体験のある母親の状況は「自分の努力と導きから実母と同じように世話ができること」「消去法から体感覚を用いて子どもの泣きの理由がわかること」「余裕をもてること」「試行錯誤と,家族・看護者の支援によって効果を実感すること」であった。また「成長している子ども。成長していないながらも母親になっている私」「応援したくなるかわいい子ども。子育てに自信がもてた私」「私を必要としている子ども。子どものことをわかってあげられる,余裕がある私」と母親自身と子どもとの関係をとらえていた。一方,「できる」と思える体験がない母親は「こだわりをもち続けること」「子育てと生活をコントロールしたい」というように育児をしていた。そして子どもと母親自身の関係を「私を嫌う子ども。がんばりが足りない,取り残される私」「思うようにならない子ども。子どもから嫌われている私」ととらえていた。
著者
大倉 務 清水 伸幸 中川 裕志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.94, pp.1-6, 2007-09-25
被引用文献数
3

本論文では,ブログの著者属性推定問題を扱う.ブログを用いた流行分析が広がりつつあるが,その際に年齢・性別・居住域などの著者属性が分かればその有用性はさらに高まる.これまでに,いくつかのブログの著者属性推定手法が提案されてきたが,汎用的なものではなかった.本論文では著者属性推定問題を,個々の属性固有の性質を利用しない単純な多クラス文書分類問題ととらえ,χ2値による素性選択と Complement Naive Bayes を用いる方法を提案する.その上で提案手法を現実のブログデータに適用する実験を行い,汎用的であるにも関わらず高速かつ高精度に著者属性を推定できることを示す.We propose a general and scalable method to estimate bloggers' unstated profiles. Recently, trend analysis based on weblogs is gaining popularity, and blogger profiles provide us more detailed interpretation of data. None of previous studies proposed a method generally applicable to different attributes. In this paper, we reduce blogger profile estimation to text classification, using Complement Naive Bayes with feature selection based on χ2 value. We applied our proposed general method to real weblog data, and experimental results show the its effectiveness and scalability.
著者
福嶋 祐介 早川 典生 近藤 敏
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
長岡技術科学大学研究報告 (ISSN:03885631)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.67-74, 1995
被引用文献数
1

In order to investigate the dynamics of powder snow avalanches, the experiment on fronts of gravity currents on the inclined wall is carried out. Experiments concerned are inclined thermals using saline water and turbid water into fresh water. The saline gravity current is conservative and turbid one is non-conservative. The speed and the maximum height of the front of gravity currents are measured for all cases. The salinity concentration profits are measured for the case of saline gravity currents. The non-dimensional speed of saline inclined wall plumes and thermals are nearly constant in the flow direction. On the contrary, the non- dimensional speed of turbid inclined thermal decreases in the flow direction.
著者
上田 洋 村上 晴美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.59, pp.17-24, 2006-05-30

蔵書検索のために,ユーザの入力文字列に関連する件名を提案する手法を検討した.本手法では,Wikipedia Amazon Web Service GoogleのWeb情報源を用いて検索質問を拡張することにより,BSH4件名標目を提案する.コンピュータ用語を入力文字列とした実験の結果,出力された件名の関連度が一定水準以上であったこと Web情報源の統合使用は単体使用よりも有効であったこと OPACのデータを用いる手法と比べて遜色のない件名が出力できたこと,がわかった.また,コンピュータ用語や流行語を入力文字列とした実験の結果 OPACのデータを用いる手法では件名が提示されない場合に本法は提示できることを確認した.We propose a method to suggest BSH4 subject headings by expanding query according to user's input using such Web information sources as Wildpedia,AmazonWebService(AWS),and Google.Experimental results revealed the following,When computer terms were input,suggested headings were related to the input term;isuggested subject headings were better than we used a mixture of Wildpedia,AWS and Google han When we just used one of them;suggested subject headings were not inferior to those suggested by othermethods that use OPAC data.We also confirmed that when computer and buzz terms were input,our method can suggest subject headings where other methods cannot.
著者
谷口 知司 三宅 茜巳 興戸 律子 有薗 格
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.17-24, 2006-06-01

終戦直後文部省は,占領軍総司令部のもとで戦時下教育の一掃に力を注いでいた.占領軍総司令部は,アメリカの教育専門家をスタッフとしてその目的のために民間情報教育局(The Civil Information and Education Section:略称CIE)を置いた.木田先生は,昭和21年に文部省に入省された.この時期に若手文部官僚として教科書局調査課に在籍し,CIEスタッフとともに社会科特別教科書『民主主義(上)(下)』の編集に係わった.この教科書は昭和23年から24年にかけて発行され,昭和28年頃まで使われ,戦後の民主主義教育に大きな役割を果たした.本稿では,木田宏先生の二編のオーラルヒストリーをもとに,木田先生と教科書「民主主義(上)(下)」との係わりについて,執筆の経緯,教科書に漫画を掲載したこと,執筆者について,大江健三郎のこと,共産主義の取り扱いの各項目で考察した.
著者
上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.616, pp.23-30, 2002-01-22
被引用文献数
2

本稿では, 近年, 実践的ベイズ学習法として注目されつつある変分ベイズ法について解説する.まず, 最尤推定値を求める数値解法であるEM法および一般化EM(GEM)法について説明する.次いで, VB法の基本原理がGEMで用いられている変分近似法をベイズ拡張したものと見なせることを示す.すなわち, VB法がEM法からどのように発展して誕生したのかを系統的に解説する.
著者
永田 昌明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.3373-3386, 1999-09-15
被引用文献数
5

本論文では 未知語の確率モデルと単語の出現頻度の期待値に基づいて日本語テキストから未知語を収集する方法を提案する. 本手法の特徴は 単語を構成する文字の種類ごとに異なる未知語モデルを使用することによりひらがな語や複数の字種から構成される単語を収集できること および 単語の出現頻度の期待値を文字列の単語らしさの尺度とすることにより出現頻度が低い単語を収集できることである. 人手により単語分割された EDRコーパスから無作為に選択した10万文(246万語)を用いて語彙数11 521の統計的言語モデルを学習し EDRコーパスの残りの部分から無作為に選択した10万文(247万語 未知語率7.72%)をプレーンテキストと見なして語彙獲得実験を行ったところ 本手法による語彙獲得の精度は再現率61.5%適合率67.2%であった.We present a novel lexical acquisition method from Japanese texts based on a probabilistic model for unknown words and expected word frequency. The benefit of the proposed method is that it can collect hiragana words and words which consist of more than one character types by using a different unknown word model for the character type configuration of a word, and that it can collect low frequency words by using the expected word frequency as the likelihood measure of a word hypothesis. We trained a statistical language model with 11,521 vocabulary from 100 thousand manually word segmented sentences (2.46 million words) which were randomly selected from the EDR corpus, and extracted new words from another 100 thousand unsegmented sentences (2.47 million words) which were randomly selected from the rest of the EDR corpus, and whose out-of-vocabulary rate was 2.1%. The lexical acquisition accuracy of the proposed method was 61.5% recall and 67.2% precision.
著者
上田 隆也 柴田 昇吾 伊藤 史朗 廣田 誠 池田 裕治 藤田 稔
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.49-50, 1995-03-15
被引用文献数
1

インターネットをはじめとするコンピュータネットワークの整備により種々の情報がオンラインで利用可能になり、情報収集が容易になってきた。しかしその反面、情報の量が多すぎるため有用な情報を見逃す危険性も増大してきている("情報洪水"の問題)。特に電子メール・Net News・新聞等の"フロー情報"では情報の"新しさ"が重要であり、時間が経過してしまうことによりユーザにとっての情報の価値が失われてしまうことも少なくない。こうした問題への対処として、我々は、フロー情報からの情報収集・整理を支援するシステムの研究開発を進めている。本システムは、フロー情報の中からユーザにとって有用な情報を選別し、大意・キーワード等を付与し、ユーザの設定した分類体系に振り分けて、適切なタイミングで提示する。柔軟な処理を行なうために、マルチエージェントモデルに基づくアーキテクチャーを採用した。本稿ではこのシステムの概要について述べる。