著者
小野 俊彦
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.981-995, 2001-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
中里見 博
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、次の4点を明らかにすることにあった。すなわち、(1)インターネットの普及が、ポルノグラフィの制作現場・消費行動にもたらした変化の実態。(2)その変化が、性暴力や性差別行為などの重要な人権侵害に与えている影響。(3)こうした変化や影響に対する、従来の性表現規制諸法(刑法わいせつ物頒布罪、児童ポルノ禁止法、青少年保護育成条例)の有効性。(4)諸外国の新たな規制法の調査研究、および日本における新たな規制法の考察、さらに「表現の自由」との関係。(1)(2)については、2回の盗撮に関するアンケート、ポルノ使用と性意識に関するアンケート、暴力ポルノ制作現場を取材したライターからの聞き取り、ポルノ制作プロダクション関係者からの聞き取り、インターネット被害相談サイト運営者からの聞き取り、ポルノ被害臨床例を持つ医師からの聞き取り等の調査活動、また暴力ポルノ事件刑事裁判傍聴、インターネット掲示板の観察等の諸活動をつうじて、インターネットの普及がポルノグラフィを未曾有に増大させ、制作現揚と消費行動を大きく変化させ、彩しい数の深刻な性被害を、女性および子どもに生じさせていることを明らかにした。次に(3)(4)については、1年に1億ページのペースで増大するサイバーポルノに対して、既存の諸立法がほとんど有効に機能していなことを明らかにし、そのうえでアメリカおよびカナダの立法および裁判動向について検討を行なった。その結果、カナダ刑法のわいせつ物規制における「被害アプローチ」の重要性を示し、アメリカの反ポルノグラフィ公民権条例における「民事アプローチ」の潜在的可能性を解明した。これらの立法・裁判動向によれば、ポルノグラフィに対する「被害アプローチ」による規制は、「表現の自由」の憲法的保障と矛盾しないことが明らかになったといえる。また、近年増大している性的盗撮も、それをポルノ被害の一種とみなして、盗撮に対する諸外国の立法動向を検討した。
著者
大塚 清恵
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.103-121, 2005-03-25

16年前(1988年)から鹿児島大学の共通教育において女性学講座を開いている。ジェンダー・フリー時代が到来し「女らしさ・男らしさ」が問い直されている今,大学生のジェンダー学への関心は高く,鹿児島大学の女性学講座も毎年50人〜300人の学生が受講している。この調査報告は過去2年間400人の受講生を対象に行ったアンケート結果に基づいている。調査内容は,一般・家庭・政治・教育・労働・性・法律・心理の八項目にわたり,調査対象とした学生の学部比率は工学部(37%),法文学部(28%),農学部(10%),理学部(7%),医学部(7%),教育学部(6%),水産学部(3%),歯学部(1%)であった。この論文では,全体の65%を占める工学部と法文学部の回答者の中から100人ずつ無作為抽出し,そのアンケート結果を男女別に分けて集計し性別比較分析を行った。調査対象者の数が少ないので,統計学的客観性は低いと思うが,アンケート分析から最近の鹿児島大学生の男女間の諸問題および性役割に対する考えを多少は浮き彫りにできると思う。今後も5年ごとに同じ調査をし,鹿児島大学生の男女関係に問する意識の変化を追っていきたいと思う。
著者
陣内 雄次 玉虫 彰一郎 上田 由美子
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.317-326, 2007-07-01

第一報に続き、宇都宮市におけるまちづくりへの子ども参画を進める上での課題を明らかにするために、様々な調査・分析を行った。昨年度からの結果を合わせると、子ども参画について未だ大人の側のコンセンサスが十分でないこと、現場で子どもたちを支援する大人が不足していること、様々な地域での子ども参画についての経験知が共有されていないこと等が明らかになり、今後の子ども参画推進へ向けて、具体的な施策展開をしていく上で多くのヒントが得られた。
著者
我部 政明
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的を達成すべく,在日米軍基地についての歴史的文脈の把握,現状分析,そして将来構想の三つの視点より研究を進めた。本研究期間中に,日本国内及び米国へ出張し、安全保障問題の研究者及び専門家との意見交換を行い,日米安保に関する資料収集を重ね,さらに米国の国立公文書館において史料収集を行い,それらの分析を試みた。研究成果報告書において述べたように,沖縄問題はすぐれて日本外交の問題であるとの認識を深めた。つまり,在日(沖縄を含む)米軍基地の存在によって,安全保障上の日本本土と沖縄との間における「ねじれ」が生れ,戦後50余年の間に,拡大再生産されてきた。そこで欧米提言として,米海兵隊の削減と普天間基地の県内移設計画の見直しを挙げた。なお,『沖縄返環とは何だったのか』(NHK出版,2000年)は本研究の成果の一部である。
著者
D.A. Hodgson P. Convey E. Verleyen W. Vyverman S.J. McInnes C.J. Sands R. Fernandez-Carazo A. Wilmotte A. De Wever K. Peeters I. Tavernier A. Willems
出版者
国立極地研究所
雑誌
Polar science (ISSN:18739652)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.197-214, 2010-08

南極大陸の高緯度内陸部に位置するDufek Massifの湖沼と、そこに見られる生物を調査した。ここには二つのドライバレーがあり、地球上最南端の生物生息地となっている。優占する生物はラン藻で、その多様性は観察されてきた南極湖沼のどこよりも低い。緑藻、ケルコゾア類、バクテリアは存在するが、珪藻は風で飛ばされてきたと思われる一枚の殻が見つかっただけであった。コケ類を欠き、地衣類は一種類のみが見つかった。三種類のクマムシ、ワムシを含む後生動物は見いだされたが、節足動物と線虫は見つからなかった。これらの単純な動植物群集は、この地域のきわめて厳しい環境のために、低緯度南極に通常存在する要素のほとんどを欠く。
著者
平林 幹雄 江渡 浩一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.29-37, 2007-03-15

全文検索システムの転置索引を実現するにあたり,テキストデータからN-gram法によって切り出したトークンを検索キーにする手法が広く用いられている.この手法には,言語中立性や再現率の完全性という利点がある反面,索引ファイルのサイズが肥大化して空間効率が悪化するという欠点がある.検索の際にクエリから切り出した各トークンが対象文書のテキスト内でも連接しているかどうかを判断するためには,索引ファイル内にトークンの文書内での出現位置を記録しておくことが必要となるが,この位置情報が索引ファイルの肥大化の一因となっている.本稿では,N-gram法の欠点である索引ファイルの空間効率を改善する手法として,N.M-gram法を提案する.N.M-gram法では,各トークンの文書内での位置情報のかわりに後続のトークンのハッシュ値を用いることによって,N-gram法の利点である言語中立性や再現率の完全性を保持したまま,空間効率を改善することができる.When constructing inverted index for full-text search system, using N-gram is very popular for tokenizing text data of target documents. Although the method has many advantages like language neutrality and perfect recall ratio, it has also shortage that the index file becomes large. The tokens extracted from documents tend to be enormous. The system needs to record each offset of tokens into the index file because the offset is used for checking adjacency of tokens. The index file tends to be large because of the offset. In this paper, we describe N.M-gram method, which improves space efficiency of N-gram. The method uses hash values of succeeding tokens instead of offset in each document. The method can improve space efficiency without losing advantages of N-gram.
著者
小柴 健史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.159-168, 2006-02-15

量子コンピュータが実現すると素因数分解等を効率的に解くができ,RSA暗号等の公開鍵暗号の解読が可能となってしまうことが知られている.量子暗号として有名な量子鍵配送プロトコルはその性質から,公開鍵暗号にとって変わるものではない.では,量子コンピュータが実現してしまった場合,現在のセキュリティ基盤を支える公開鍵暗号系の技術は崩壊してしまうのであろうか? 本稿では,敵対者として量子コンピュータが存在したとしても安全性が保たれるような公開鍵暗号系の技術の最新動向について紹介する.
著者
早崎 公威
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.700-703, 2009-09-05

互いの重力で結ばれた二つの巨大ブラックホール(バイナリーブラックホール)の合体過程は,銀河中心の巨大ブラックホール形成に重要な役割を果たしています.今回,数値シミュレーションによって,バイナリーブラックホールの周囲に三つのガス円盤(三重円盤)が形成されることを示しました.そして,この系から放射される光にユニークな特徴,すなわち,エックス線や紫外線等は激しく周期変動し,可視光や赤外線はほとんど変動しないことが判明しました.今後,観測によってこのようなユニークな変動が見つかれば,バイナリーブラックホールの証明となります.一方で,二つのブラックホール間の距離が1パーセク(〜3.1×10^<13>km)程度のところでブラックホール同士の接近が停滞して合体できないという宇宙物理学上の重要な未解決問題があります.三重円盤という幾何学構造は,このバイナリーブラックホールの進化に伴う理論的問題を解決しつつ,観測可能な特徴をも併せ持つ自然なモデルになっています.実際に,銀河の中心のブラックホールにこのような構造が普遍的に存在することが観測によって示されれば,それは人類の宇宙観を大きく変えることになると考えています.

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出版者
内閣官報局
巻号頁・発行日
vol.イロハ別索引, 1912
著者
佐古 曜一郎 本間 修二
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.169-175, 1997-03-01

著書らは、小さく丸めた紙の中の文字や図形を、視覚を使わないで認識するという透視の実証研究を進めている。一方、音を聞くと絵や色が見えるというような、五感の内の複数の感覚が結合する「共感覚」という現象が知られている。今回、第六感ともいえる透視において、この共感覚があるのか否かを検証した。実験対象サンプルには、聴覚・味覚・嗅覚・触覚を刺激しやすい文字または図形を選び、透視実験を7人の被験者に対して行った。この実験をのべ20回行い、音情報が最初にきた例、臭いが最初にきた例が各1例ずつあった。これらは2例だけだが透視にも共感覚に類似した現象が存在する可能性が示唆された。
著者
西垣 知佳子 中條 清美 内山 将夫 隅田 英一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.297, pp.35-38, 2009-11-14

iPhoneとiPod touchをインターフェイスとする英語語彙学習用教材の開発を行った。iPhoneとiPod touchは発売以来急速に普及し,大学での英語学習への活用も始まっている。開発した語彙学習教材は,学校英語教科書で取り扱われることが少ないために,日本人英語学習者に不足している生活語彙を補強するための教材である。教材は1)コーパス言語学の手法を使って客観的に選定された生活語彙を学ぶことができる,2)教材に採用された指導法は指導実践を経て,指導効果が高いことが確認されている,3)初級学習者から上級学習者まで,また子どもから成人まで様々なレベルの学習者が活用できるという特徴を持つ。
著者
高久 雅生 江草 由佳 寺井 仁 齋藤 ひとみ 三輪 眞木子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.224-235, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)
被引用文献数
1 4

Web 情報探索行動中のサーチエンジン検索結果一覧ページ(以下,SERP と呼ぶ)に対する行動に着目し,ユーザ実験の方法論により,視線データ,ブラウザログ,事後インタビュー等の情報を包括的に用いて,ユーザ属性,タスク属性,クエリ属性の3 つの要因と,眼球運動による視線データとの関連を探った.分析の結果,SERP における行動の説明変数としては,他の要因に比べてInformation/Navigational クエリの違いによる効果が最も大きく,SERP への遷移の直接的な原因となるクエリ種別により,ユーザの行動を予測しうる可能性が示唆された.