著者
平野 賢一 大内 権一郎
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.613-618, 1968 (Released:2008-04-04)
参考文献数
28
被引用文献数
3 15

Reaction-diffusion in the Ti-Ni system was investigated in the temperature range between 500° and 900°C, using diffusion couples of pure Ti and pure Ni.Above the eutectoid temperature of the β-Ti solid solution, the greater part of the diffusion zone consisted of β-Ti, while the Ni solid solution scarcely grew in it at the experimental temperatures.All of the three intermediate phases, TiNi3, TiNi, Ti2Ni, existing in the equilibrium phase diagram were observed in the diffusion zone at all the experimental temperatures. The apparent activation energies for the growth of TiNi3, TiNi, Ti2Ni phases are 16.1, 27.2 and 11.9 kcal/mol, respectively. It appears that such low activation energies are attributed to the excess vacancies in the intermediate phases of nonstoichiometric compositions.The composition range of the TiNi phase was determined from the concentration-penetration curves of the diffusion couples, and compared with the results of other workers. The composition range tends to decrease as temperature decreases, and at the Ni-rich side it is in good agreement with that obtained by Hume-Rothery et al. and Parr et al., but at the Ti-rich side it is displaced to the Ti-richer side.
著者
田辺 郁男 西山 晃 五宝 純一 高橋 智
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.16-00449-16-00449, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
15

As accuracy of industrial product was reduced by thermal deformation of a machine tool, a tool and a workpiece during cutting, there are several countermeasures for machining field. In the old days, we had developed and evaluated for a lathe with insensibility function for thermal and temperature change. The lathe has the structure of zero-center on three directions, the structure of self-compulsory cooling and the structure of thermal synchronism. Particularly the structure of thermal synchronism was developed for wet cutting. However the control method for the structure of thermal synchronism was yet to establish. Therefore the control using thermal synchronism at wet cutting in machine tool was developed and evaluated. The control system of fluid quantity on the structure of thermal synchronism using inverse analysis of neural network was developed for insensibility function of thermal and temperature change. Then thermal deformations of the developed lathe were measured and evaluated in the several experiments. It is concluded from the results that; (1) Thermal deformation of the bench lathe was very small in spite of no-forced cooling, (2) The control system of fluid quantity on the thermal synchronism using inverse analysis of neural network was effective for its working stability during wet cutting.
著者
上原 由美 島田 美樹子 柳澤 和美 内山 和彦 竹内 茂 野際 英司 中里見 征央 鈴野 弘子 石田 裕
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.553-561, 2014 (Released:2014-09-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

慢性腎臓病の食事療法として, 病気の進行によりP・K・たんぱく質の制限が必要になる. 透析患者の高齢化も進み, 簡便で継続可能な食事療法が必要と考える. 一般的には栄養指導の際, P・K含有量を抑えた治療用米飯の利用を推奨するが, 自作米中心の地域においては, 高価な治療食の購入には至らないことが多い. そこで, 洗米条件を調整することによりP・K・たんぱく質の低減が可能か否かを検討した. また, 透析患者の米の使用実態を把握するためにアンケート調査を実施した. 洗米におけるPの洗出率は5回目までは回数ごとに有意差が認められ (p<0.05), Kおよびたんぱく質の洗出率は4回目まで有意差がみられた (p<0.05). したがって, 洗米回数5回まで低減効果が期待できることがわかった. 5回洗米までにPの洗出率は, 50.2±3.02%, Kは46.0±3.89%, たんぱく質は5.40±0.42%となった. 透析患者のアンケート結果では, 洗米回数は3~4回の回答者が多く, 水を取り換えるまでの洗米時間も10秒前後とP・Kの低減を目的とした洗米条件としては不十分であった. 洗米において, 1回20秒間, 水を換えて5回行うことによってP・Kの低減効果があることが認められた. この方法は, 食品の制限や量の調整など多くのストレスを抱えている患者にとって, 簡便で持続可能な食事管理の一手段となり得ると考えられた. さらに毎日行う洗米に際し, 「P・Kを除去する」という意識を持つことによって, 怠慢になりがちな日常の食事管理に対する意識の醸成もなされ, QOL向上の一助となると思われた.
著者
並河 良一
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.794-802, 2009-08
被引用文献数
1

農産物・食品の輸出促進が日本の重要な政策となっている。そのターゲットとして、イスラム市場が注目を浴びつつある。国際金融都市化するドバイに代表される中東産油国などのイスラム諸国の経済成長は著しく、その購買力が急上昇し、高級食品・食材への二一ズが高まっているからである。イスラム市場開拓の最大のハードルは「ハラル(Halal)制度」である。ハラル制度はイスラム教を基礎とする制度であり、宗教の素養がないと理解できないと考えられているからである。現実に、日本・欧米諸国の企業や団体が、ハラル制度に関するトラブルを経験しており、同制度を非関税障壁のように感じてきた。しかし近年、貿易や投資の促進のため、ハラル制度を非イスラム世界にもわかりやすい技術制度として構築する国が現われてきた。その一つがマレーシアである。同国のハラル制度については、これを利用すればイスラム市場の開拓が容易になるため、日本・欧米諸国の企業は関心を示している。本稿では、ハラル制度の概要、その問題点を示し、日本企業はハラル制度にいかに対応すべきかを、マレーシアのハラル政策に焦点を当てて検討する。
著者
金井 雅之
出版者
専修大学社会知性開発研究センター/ソーシャル・ウェルビーイング研究センター
雑誌
ソーシャル・ウェルビーイング研究論集
巻号頁・発行日
vol.3, pp.53-67, 2017-03

文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成26年度~平成30年度)専修大学ソーシャル・ウェルビーイング研究センターが実施している「ライフスタイルと価値観に関する国際比較調査」のうち,日本・韓国・ベトナムのデータから得られた知見の一部を紹介する.各国の幸福度(ウェルビーイング)の分布と規定要因を比較する.幸福度を測るための3つの尺度,すなわち主観的幸福度,全般的生活満足度,カントリルの人生の階梯尺度ごとの,回答分布や諸属性との関連の仕方の異同にも留意する.主な知見は以下の3点である.(1) 幸福度の分布やその規定要因は,日本と韓国とは類似性が高いが,ベトナムはやや異質である.(2) すべての国において,幸福度の3つの尺度のうち,主観的幸福度,生活満足度,カントリル尺度の順で,平均幸福度が低くなる.(3) すべての国において,今回幸福度の規定要因として検討した性別,年齢,婚姻状態,学歴,従業上の地位,世帯所得のいずれにおいても,幸福度の尺度による関連性の違いは見られない.
著者
内田 聖二
出版者
奈良女子大学
雑誌
人間文化研究科年報 (ISSN:09132201)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-9, 2007-03-31
著者
諏訪 勝志 藤井 亮嗣 井舟 正秀 坂井 志帆 伊達 真弥 川北 慎一郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0172-E0172, 2005

【はじめに】今回、転倒による入退院を繰り返し、転倒予防を目的に訪問リハを開始し、効果を認めた症例を経験したので、若干の考察を加え報告する。<BR>【症例紹介】女性、83歳。HDS-Rは24点で痴呆は認めないが、性格は、せっかちで他人の言うことはあまり聞き入れない。自分の歩行能力を理解しておらず、転倒に対する認識は低い。歩行能力は、入退院を繰り返したが、毎回退院時にはピックアップ歩行器自立レベルとなっていた。介護度は、要支援である。<BR>【転倒歴】平成9年に転倒により左大腿骨頚部骨折受傷する(他院で治療)。平成14年12月7日自宅にて転倒し、右大腿骨頚部外側骨折のため平成15年4月25日まで入院する。平成15年5月12日自宅トイレにて転倒し、右骨盤骨折のため9月16日まで入院する。平成16年1月1日ポータブルトイレ移乗時に転倒し、左骨盤骨折のため5月1日まで入院する。<BR>【家族構成】息子夫婦と3人暮らし。息子は、住職で日中家にいることは多いが、大学の臨時講師、文化教室などをしており多忙で介護をする気持ちはない。嫁はくも膜下出血後遺症のため、麻痺はないが失語症があり介護は困難な状態である。<BR>【家屋状況】最初の当院退院時(平成14年入院時)に家屋評価を行っている。家屋は、寺に隣接した住居で廊下は広く、敷居が多い。段差解消と手すり設置、家具・テーブルなどの位置変更をすすめるが、家族は拒否する。通所サービスの利用も拒否する。相談の結果、トイレの手すり設置と症例の居室の出入り口のみ段差解消を行う。家内の移動は、ピックアップ歩行器を使用し、夜間はポータブルトイレ使用とした。浴室に手すりはつけず、ホームヘルパーによる介助入浴を行うことになる。<BR>【訪問リハの内容】平成16年5月1日退院時にケアマネージャーと相談し、今後も転倒の危険性が高いことから、訪問リハによる転倒予防指導を家族に提案し、了解を得る。訓練内容は、下肢筋力強化と歩行訓練だが、毎回本人に対する転倒への注意と活動範囲での動作指導を徹底して行った。訪問頻度は、家族より限度額以内にしてほしいとの条件があり、週1回のヘルパー利用があるため、一月に1~2回となる。<BR>【考察】転倒を繰り返した原因として、本人・家族ともに転倒に対する認識が低く、本人のやりたいようにしていたこと、自宅改修による安全性向上ができなかったことが考えられた。その結果、転倒を繰り返したが、本人・家族ともに全く気にしていない状態であった。しかし、訪問リハ導入により、病院ではできなかった実際の生活場面での指導を継続して繰り返し行ったため、特に本人が転倒に少しずつ気をつけるようになってきた。その結果、訪問リハ開始となってから、現在まで転倒はなく、効果はでていると思われる。今後は、訪問リハの内容を検討しながら、フォローしていく必要性を感じています。
著者
山田 孝雄
出版者
皇學館大学研究開発推進センター
雑誌
皇學館大学研究開発推進センター紀要 = Bulletin of the Research and Development Center of Kogakkan University (ISSN:21892091)
巻号頁・発行日
no.3, pp.119-150, 2017-03

本稿は、神宮皇學館大學学長山田孝雄が特別講義のために準備された自筆原稿(富山市立図書館山田孝雄文庫蔵)を翻刻したものである。昭和十八年十二月の学徒出陣において、神宮皇學館大學では十一月二十日に出陣学徒壮行式が催された。これに立つ同月十五日・十六日の両日、山田孝雄学長より出陣学徒に対して行われた特別講義が「令を講ずることの総説」である。この自筆原稿は、神宮皇學館大學史の一頁を飾る極めて貴重な資料であり、加えて、山田孝雄博士の律令学を考えるに際しても有用なものと思われる。This paper is a lecture manuscript of the Jingu-Kogakkan college president Yoshio Yamada.This lecture was made upon the departure of students for the war front in 1938. The content is an overview of the Ryo(Ordinance).
著者
宮崎 総一郎 小林 隆一 北村 拓朗
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.10-18, 2011 (Released:2012-02-15)
参考文献数
26

睡眠は高度の生理機能に支えられた積極的な適応行動であり, 健康を支えるための重要な役割を担っている。睡眠障害初診患者のうち, 睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠呼吸障害が半数以上を占める。睡眠時無呼吸症候群では, 睡眠中の呼吸努力により呼吸中枢を介して呼吸性覚醒が生じ, 結果として睡眠の分断化, 睡眠障害へとつながる。質の良い睡眠がとれないことで, 睡眠時無呼吸症候群は, 循環器疾患や脳卒中, 糖尿病の発症に関連し, 集中力・記憶力・学習能力や感情のコントロール, 作業能率などを障害し, 産業事故, 交通事故等の原因となる。多彩な症状で臨床各科を横断的に受診する可能性が高い睡眠時無呼吸症候群を診療する際に, 陥りやすいピットフォールについて, 著者が今までに経験した症例, 文献からの症例報告に睡眠学の知見をまじえて概説した。

1 0 0 0 OA 1.肥満の役割

著者
下村 伊一郎 船橋 徹 松澤 佑次
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.655-661, 2004-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
6 3

肥満・脂肪蓄積が糖尿病,高脂血症,高血圧といった動脈硬化につながる疾患群の基盤病態であることが明らかとなり,診断・治療の両面より,肥満状態の評価・対応が重要となる.近年の研究により,これまで単なるエネルギーの貯蔵倉庫と考えられてきた脂肪組織が実はさまざまな生理活性分泌因子群(アディポサイトカイン)を内分泌し,生体の代謝・動脈壁の恒常性の維持に重要な役割をはたすこと,その産生バランスの異常が上記疾患群を引き起こすこと,崩れたバランスを正常化させることが疾患の治療につながることが示された.アディポネクチン,レプチン, PAI-1, TNF-αといったアディポサイトカイン制御は,今後metabolic syndrome治療の中心になってくる可能性が高い.
著者
大塚 俊昭 川田 智之 矢内 美雪 北川 裕子 菅 裕彦
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.78-78, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
10 13

一職域男性集団におけるメタボリックシンドロームの発症率およびメタボリックシンドローム発症に関連する生活習慣因子の検討:大塚俊昭ほか.日本医科大学衛生学・公衆衛生学講座―目的:メタボリックシンドローム(MetS)の予防は職域健康増進活動における主要課題の一つである.そこで今回,我々は一職域男性集団におけるMetSの発症率およびMetS発症に関連する生活習慣因子の検討を行った. 対象と方法:対象は,神奈川県内の精密機器開発事業所における2005年度定期健康診断を受診し,本邦におけるMetSの診断に非該当であった男性社員948名(平均44歳)である.対象者の2006年度から2009年度の定期健康診断データを追跡し,MetSの新規発症の有無を調査した.2005年度の健康診断結果から,対象集団を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子(血圧高値,脂質代謝異常,空腹時血糖高値)保有数の組み合わせで分類し,各群におけるMetS発症率を算出した.また,生活習慣因子(食事内容,喫煙,睡眠,運動,飲酒)の相違によるMetS発症率を比較した.コックス比例ハザードモデルを用い,上記各因子からMetS発症リスク上昇を規定する因子を求めた. 結果:平均3.7年の追跡において,76人にMetS新規発症を認めた.MetSの年間発症率は2.2/100人年,カプラン・マイヤー法による4年発症率は8.5%であった.対象を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子保有数の組み合わせで分類すると,腹部肥満を認めずその他の構成因子を二つ以上保有する群で最も高い発症率(37.9%)を示し,これに腹部肥満を認めその他の構成因子を一つ保有する群が続いた(24.6%).年齢で調整したコックス比例ハザードモデルでは,「腹部肥満の保有」および「その他の構成因子数の1増加」はともにMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した(5.23および4.79,ともに p<0.001).同様に,睡眠時間5時間以下,現在喫煙,およびエタノール摂取量300 g/週以上がMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した.結論:本検討においては,腹部肥満を有する者のみならず,腹部肥満を有さずともその他のMetS構成因子を複数認める者においてMetS発症率は高率であった.また,睡眠不足,喫煙,および過剰飲酒がMetS発症リスク上昇に関わっていた.職域におけるハイリスク・ストラテジーに基づいたMetS発症予防対策を行うにあたっては,これらの病状や生活習慣を有する者を優先した活動の有用性が期待される. (産衛誌2011; 53: 78-86)
著者
蔡 佩宜 田畑 智博 白川 博章
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.161, 2015 (Released:2015-10-20)

本研究では、災害廃棄物の広域処理に対する理解や抵抗感といった住民の意識に関する基礎的な知見を得るため、住民を対象としてインターネット調査を行うとともに、クロス分析やテキストマイニングを用いて災害廃棄物の広域処理に関するキーワード間およびキーワードと他の要素との関連性を分析する。また、分析を通じて、災害廃棄物の受け入れ賛否に関する意思に、どのような要因が影響しているのかを明らかにする。