著者
野口 将人 田島 ゆう子 松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.82, pp.15-20, 2001-08-04
被引用文献数
3

筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究を行ってきた.今までに様々な機能拡張や仕様変更を行ってきたため、動作が不完全な機能、他の機能との整合性が取れなくなった機能、使用不能となった機能等の不都合も生じてきた.尺八譜のための標準データ形式 COMSO の譜字コードが新たに改定されたこと、都山流、琴古流、竹保流の3つの主な流派に対応可能となったことに伴い、今回、システム全体にわたって機能の再調整と強化を行った.特に譜字の入力・編集機能、印刷機能、標準MIDIファイルでのデータ互換機能の強化を行い、新しい「尺八くん」として一応の完成を見たので報告する.The authors have been developing Shakuhachi tablature information processing system. During the development, a lot of functions have been added and some specification changes have been mede to the system. As the result, some functions have been incomplete, unavailable, or inconsistent with the other functions. In order to solve these problems, we have modified and upgraded the system based on new COMSO, and we obtain the perspective that the system will be applicable for Shakuhachi tablature production and publication.
著者
文沢 義永
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.176-186, 1971-09-30

1.日本の神話伝説については,従来,文献学,倫理思想史,神話学の立場から論究されてきたし,最近は文化人類学の立場から研究されつつあるが,心理学的立場からの研究はきわめて少ない。2.日本の神話伝説についての意味づけ,受けとめ方を心理学的に研究するとしても,具体的にはどんな側面をどんな方法で行なうかについて,まだ十分に論議されていない。本研究では,一般的な日本神話の概念を自由記述式の質問紙法,Semantic Differentia1法,因子分析法によってデータを収集し分析した。3.自由記述式質問紙法によると,現代の小中学生は神話物語についての知識が貧弱であり,それに対する感動性も弱い。神話物語を現実性や合理性の立場から受け取ろうとする傾向があり,男子よりも女子の方はその物語を読もうとする関心が高いようである。4.日本の神話伝説についてrelevantに表現すると思われる形容語句を46対選定し,この尺度上にそのイメ一ジを7段階で,高校生,大学生,一般成人に評定させた。その結果に基づいてセマンティック・プロフィールを描いてみると,一般に大学生は日本の神話を否定的な方向に受けとり,高校生と一般成人は肯定的な方向に受けとっている。男女の差では大学生よりも高校生の方が著しいことがわかった。5.大学生グループと高校生グループの形容語対に対する回答データについて因子分析してみると,第I因子幸福性第II因子伝統性第III因子活動性と神秘性第IV因子複雑性と真実性第V因子親近性の5因子が算出された。6.日本の神話伝説についての心理学的な研究の意義および研究方法論について考察を加えた。日本の精神的文化遺産として神話に親しみを愛情をもち続けることが,日本人らしい倫理的情操につながることであろうと思われる。
著者
三浦 香苗 長澤 陽平 石井 正子 Kanae MIURA Yohei NAGASAWA Masako ISHII 千葉市立宮崎小学校 植草幼児専門学校 Miyazaki Elementary School in Chiba-shi Uekusa Kindergarten Teacher Training School
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.761, pp.27-39, 2004-02-01

The purpose of this study is to investigate how contemporary college students perceive destroying living things. In Study 1, an attempt was made to make a scale incorporating factor analysis of various items concerning destroying lives. The result extracted three subscales: "brutal destruction for play", "destruction for human living", and "destruction for educational practice". In Study 2, we examined relationships between the three subscales and student past experiences. Results showed that the three subscales had correlations with "wild play experience" and "experience of gathering food". In Study 3, the scale of destroying lives was completed, and the correlation with human living experience and their sense of life value were investigated. The results showed that experience of keeping a pet worked negative toward "brutal destruction" and "dissection". Also, "field play experiences" and "experiences in home" worked positive toward "dissection".
著者
蓮見 孝 植松 知恵 田中 真一 星 幹男
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.196, 2006 (Released:2006-08-10)

つくば市は、2006年4月1日からコミュミティバス「つくバス」を運行を開始した。284.07平方kmの広大な地域における移動の利便性を保証しようとするもので、市内全域の集落をめぐる13路線の「地域循環」と、センター地区・筑波山を結ぶ「北部シャトル」、センター地区を回る「センター循環」の3路線からなり、1000を超えるバス停留所を持つ地域交通システムである。つくバスは、つくば市と関東鉄道株式会社により運営されるもので、つくば市と連携協定を結んでいる筑波大学が、公募された「つくバス」の名称選定、外装グラフィックデザイン、室内デザイン、バス路線ガイド・マップ、バス停留所の標識デザイン等を担当した。デザインを進めるにあたり、より多くの住民や来訪者の利用促進を図るため、誰にでも乗りやすいバスのデザインをめざし、「ユニバーサルデザイン」の考え方を積極的に取り入れた。

1 0 0 0 IR 重力の観念史

著者
奥村 大介
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.129, pp.43-72, 2012-03

投稿論文Dans cet article, nous voudrions tenter de faire une analyse diachronique des idées relatives à des notions telles que la gravitation, la pesanteur et la chute depuis l'Antiquité jusqu'au vingtième siècle. Certes, la gravitation dans le sens scientifique est la fruit du temps moderne, si bien que l'essai de la chercher dans l'Antiquité risque de retomber dans l'anachronisme. Donc, ce que nous voudrions essayer de faire est plutôt de traiter des notions comme "a gravitation", "la pesanteur", "l'attraction", "la chute" etc. dans le contexte extra-scientifique et culturelle pour en donner un relief de l'histoire intellectuelle là-dussus. En un mot, on pourrait qualifier notre effort de "la généalogie philosophique sur la pesanteur". L'idée moderne de la gravitation est le sujet de l'histoire des sciences avec les génies comme Kepler, Newton et Einstein etc. Mais ici, nous recherchons les émergences d'idée de la gravitation ou la pesanteur dans les domaines alentour de l'histoire de la philosophie, la littérature, la penseé religieuse et la penseé sociale comme Platon, Dante, Bossuet, Charles Fourier, Italo Calvino, Simone Weil etc., parallèlement au développement concomittant des idées scientifiques. Et cette histoire culturelle de la pesanteur sera constituée surtout sur les deux axes, à savoir, "la maîtrise de la pesanteur" et "le consentement à la pesanteur".
著者
戸田 真志
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2015-CVIM-197, no.6, pp.1-6, 2015-05-11

近年の撮像機器や耐水/耐圧部材の安価化により,水中カメラを駆使して, 「海中をみる」 行為が盛んに行われている.カメラを用いた水産資源量調査は,その代表格といえよう.カメラを用いた調査は,従来の音響探査等に比して圧倒的な空間解像度を有し,さらにユーザにとってわかりやすく直感的な情報が得られるが故に,実用化が大いに期待されている.本報告では,著者らが取り組む視覚を用いた水産業支援の試み,特に漁場の水中視覚情報から水産資源量を自動計測するシステムの開発について,北海道常呂地区や野付地区のホタテ漁などにおける事例を取り上げ,取り組みの背景や研究開発の詳細を紹介する.
著者
小澤 理恵 大岩 幸太 牧野 俊夫 島村 祐輝 山本 修悟 小川 博 安藤 元一
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;神奈川県厚木市では総延長約 25kmのシカ・サル兼用の広域柵が,2008-2012年に段階的に設置された.このような広域柵は耕作地の周囲に設置される簡易柵と異なり,違い容易に張り替えることはできないし,頻繁な維持管理作業も困難である.本研究ではこうした広域柵の維持管理状況を踏査と聞き込みによって調べた.踏査は 2009~ 2012年にかけて 2週間に 1回の割合で実施し,倒木による破損数,動物による破損数,柵上部にある電気柵への通電の有無,破損箇所の修理状況,サルが枝伝いに柵を越えることのできる樹木(柵から 2m以内の樹木)の数を記録した.柵の管理については市役所と自治会にも聞き取りを行った.<br>1)広域柵の設置には地権者の了解が必要なので,柵 25kmの設置を完了するのに 5年を要した.設置費用は 12,000円/m,年間維持管理費用は年間 100円 /mであった.市が管理を地域自治会に委託する折には,月 1回の見回りと年 2回の草刈りが委託条件であった.しかし実際の管理方法は自治会ごとに異なり,倒木や柵のめくれ等が何年も放置されている場所も見られた.<br>2)倒木による破損は 0.6ヶ所 /kmの割合で見られた.地権者の伐採許可を得ることができないために,サルが柵を越えることのできる樹木は 78本 /kmの割合で存在し,サルが広域柵を超えられる場所は数多く存在した.柵基礎部分の土砂が流出することによって将来的に倒壊の危険性のあるカ所は 3.7カ所 /kmの割合で見られた.台風のために大規模な修理を要する柵破損カ所は 1.5カ所 /kmの割合で見られた.すなわち,柵メーカーの示す耐用年数は 16年であったが,実際にはその半分の年数も満たないうちに多くの破損が確認されたことになる.<br>3)漏電や倒壊のために柵上部の電線に電気が流れていない期間は,ある区間の例では 177日中 44日に及んだ.距離で見ると,多くの調査日において 25kmのうち 2-3kmは通電されていなかった.
著者
大野 昌嗣 中妻 啓 大嶋 康敬 鳥越 一平
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.17-00112-17-00112, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
16

The pressure change leak test detects a leak from the pressure drop observed after the container under test is filled with compressed gas and then closed. This method has the serious disadvantage of being sensitive to the temperature variation in the target container. We propose a new method using exponential analysis to compensate for exponential temperature variation in pressure change leak detection. In the proposed method, two successive leak tests are performed at different initial compression pressure. Exponential parameters of the temperature variation in the gas within the container are determined from the pressure signal in the first test, and the pressure in the second test is predicted using these parameters. The leak in the container is estimated from the difference between the predicted pressure and the measured one. Experimental results using a prototype leak detector and model piping showed that leak can be successfully detected without being affected by the given exponential temperature variation. With the proposed method, it was able to shorten the total test time by as much as 65% in comparison with the case in which a conventional leak test is performed after waiting until the exponential temperature variation settles. An algorithm using Discrete Fourier Transform for estimating exponential parameters from finite length data of pressure signal is also presented.
著者
鈴木 高二朗 渡邊 和重 山本 悟 梅崎 康浩 小澤 康彦 村上 俊春
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.726-730, 2004

宮崎港南防波堤は全長2, 150mで, 昭和56年から建設が進み, 現在, 建設の最終段階にある. 当防波堤は夏期の台風のため設計有義波高が10m以上と大きく, 細粒の砂地盤上に設置されるため各種洗掘防止工を用いて室内実験や現地実験を重ねた上で, 現況の防波堤断面が決定されてきた. 現地実験では洗掘による防波堤の変形もあり, その防止工は施工法も含めて改良されてきている. 本研究では, 洗掘防止工の設計法の確立に資することを目的として, 宮崎港南防波堤での洗掘に関する現地実験と過去の洗掘の実態を調べるとともに, その対策法をとりまとめた.
著者
Boris I. VASILIEV Ivan V. YUGOV
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.185-196, 2006-05-25 (Released:2017-07-14)

35年間におよぶ海洋地質研究にもとづいて,太平洋の基本構造を解明し,もっとも信憑性のある太平洋の起源論を提案する.太平洋巨大海盆の基本構造は,3つの地質-構造ステージからなる.第1ステージは,始生代にさかのぼる超塩基性岩類(塑性流動を履歴)と変成岩類に代表され,それぞれ,海洋島火山岩中の包有物として産出し,海溝・断裂帯・海台などに露出する.第2ステージは,三畳紀〜ジュラ紀を中心とする海洋性トラップ層(層状塩基性貫入岩類と玄武岩類のコンプレックス)であり,海盆下のほぼ全域に伏在する.第3ステージは,海盆底や海山・海台を構成するジュラ紀後期〜現世の火山岩類と堆積層であり,ブロック運動による深海化を記録する.太平洋巨大海盆は,地球最大のユニークな地形-地質構造であり,おもに苦鉄質な地殻をもつ.(1)その原型は,地球-月システムをうみだした約45億年前の天体事件によって形成され,その後,(2)周縁の大陸から数10億年間にわたって供給された厖大な量の陸源物質が,海盆底の火山噴出物や伏在する超塩基性岩類とともに変成-溶融し,少量の酸性岩類を形成した.さらに,中-新生代における全地球的海洋形成作用にともなって,(3)三畳紀〜ジュラ紀を中心に海盆のほぼ全域にトラップ層が形成され,(4)ジュラ紀後期にはじまるブロック沈降による深海化と火山活動-堆積作用が現海盆の複雑な地形-地質構造を形成した.
出版者
小学館
雑誌
週刊ポスト
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.152-159, 2016-02-12
著者
村上 啓介 北村 翔一郎 真木 大介 竹鼻 直人 岩田 恭平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_670-I_675, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
8

効果的な防波機能と十分な耐波安定性が得られる構造形式の一つとして,防波堤や護岸天端のパラペット部を後退させた構造形式(後部パラペット)が提案されている.本研究では,後部パラペットにフレア断面を採用する新たな構造を提案し,その越波低減機能を水理模型実験により評価した.また,数値シミュレーションを実施し,フレア断面を有するパラペット部に作用する波圧と波力について検討した.後部パラペットにフレア断面を採用することで,従来の直立断面パラペットと比較して少ない後退量で越波を低減できることを確認した.また,フレア断面のパラペット部に作用する水平波力は,パラペットを後退させることで低減され,下向きの鉛直波力は増大することを示した.