著者
川瀬 佑司 吉田 成朗 鳴海 拓志 上田 祥代 池田 まさみ 渡邊 淳司 谷川 智洋 川本 哲也 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.483-492, 2016 (Released:2016-10-31)
参考文献数
16

We propose a system to prevent identification of an individual identity by changing the size and position of one's facial regions. Invasion of privacy and the right of publicity have been a problem along with the popularization of social media and improvement of image resolution. The mosaic and the blur have been used to prevent identification of a person's identity. These techniques, however, make people difficult to understand the context of the video, because the facial expressions of the characters and the background in the video are masked. In this paper, we focus on naturally conversing the facial appearance in images for protecting their privacy. We examined the proper degree of facial changing parameters, and performed user studies to evaluate these parameters.

41 0 0 0 OA 知の格差

著者
長谷川 哲也 内田 良
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.259-280, 2014-05-31 (Released:2015-06-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究の目的は,大学図書館の図書資料費に関して,大学間の格差の実態とその推移を明らかにすることである。資料の電子化という地殻変動のなかで,大学間の格差はどう変容してきたのか。図書館研究と高等教育研究はいずれもこの問題を等閑視してきただけに,格差の全体像を丁寧に検証することが求められる。 とくに高等教育の資源格差は,各大学の機能の相異として是認されうるため,本研究では4つの視点──大学間の不均等度,大学階層間の開き,時間軸上の変化(縦断的視点),大学本体との比較(横断的視点)──を用いて多角的に分析をおこなう。分析には『日本の図書館』の個票データを用いた。国立大学法人化以降(2004-2011年度)の図書費,雑誌費,電子ジャーナル費に関して,「大学間格差」(個別大学間の不均等度)を算出し,さらに「大学階層間格差」(群間の開き)を明らかにした。 主な知見は次のとおりである。第一に,電子ジャーナル費では大学間の不均等度は縮小しているものの,階層間格差はむしろ拡がっている。これまで電子ジャーナルの購読では階層間格差は小さくなると考えられてきただけに,重要な知見である。第二に,雑誌費では大学間の不均等度が高くなり,さらに階層間格差が拡大するという,深刻な事態が生じている。「電子化」の背後で進むこれら図書資料費の「格差化」にいかに向き合うかが,大学図書館の今後の課題である。
著者
Yasuoka Koichi Yasuoka Motoko
出版者
Institute for Research in Humanities Kyoto University
雑誌
ZINBUN (ISSN:00845515)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.161-174, 2011-03

QWERTY keyboard is widely used for information processing nowadays in Japan, United States, and other countries. And the most frequently asked question about the keyboard is: “Why are the letters of the keyboard arranged the way they are?” Several papers in the field of information processing answer the question like this: “To slow down the operator.” It’s nonsense. In this paper we reveal the prehistory of QWERTY keyboard along the history of telegraph apparatus: Morse, Hughes-Phelps, and Teletype. The early keyboard of Type-Writer was derived from Hughes-Phelps Printing Telegraph, and it was developed for Morse receivers. The keyboard arrangement very often changed during the development, and accidentally grew into QWERTY among the different requirements. QWERTY was adopted by Teletype in the 1910’s, and Teletype was widely used as a computer terminal later.
著者
知念 渉
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.102-113, 2014

2000年代以降,「子ども・若者の貧困」に関する研究が数多く蓄積され,貧困家族を生きる子ども・若者たちの生活上の困難を明らかにしてきた.しかし,山田 (2005)が指摘するように,現代社会を生きる人々にとって,家族とは,生活に役に立つ/立たないという観点から理解できる「機能的欲求」には還元できない,自分の存在意義を確認する「アイデンティティ欲求」を満たす関係にもなっている.このような観点に立てば,従来の「子ども・若者の貧困」研究は,アイデンティティ欲求の次元における「家族であること」のリアリティを相対的に看過してきたと言えよう.そこで本稿では,「記述の実践としての家族」という視点から,文脈や状況に応じて流動する若者と筆者の間に交わされた会話を分析し,アイデンティティ欲求の次元における「貧困家族であること」のリアリティを明らかにした.そして,そのリアリティが,流動的で,相対的で,多元的であることを指摘し,その知見がもつ政策的示唆について考察した.
著者
伊藤 陽司 山岸 宏光
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-53, 1996-01-25
被引用文献数
2

北海道東部,知床半島の硫黄山から羅臼岳を経て天頂山に至る稜線部には羅臼岳断層系と呼ばれる活断層が知られている.詳細な空中写真判読と航空機による空からの目視調査によって,半島先端域の知床岳の稜線部と半島中央域の知西別岳〜遠音別岳の稜線部に新たな活断層:知床岳断層系および知西別岳-遠音別岳断層系を見い出した.これら活断層は第四紀溶岩流や溶岩ドームの原面を変位させた断層崖,低断層崖,逆向き低断層崖および地溝で特徴づけられる.知床半島の活断層には特徴的な地質現象との関わりからみると,(1)地溝を形成する正断層群とこれから噴出した溶岩流・溶岩ドームやこれに沿う火口で特徴づけられる火山活動に関連したもの,(2)火山活動の痕跡が認められず,地震と関連ありそうなもの,そして(3)ランドスライド発生に関連したものの3つがある.
著者
山下 俊一
出版者
日本熱帯医学会
雑誌
Tropical Medicine and Health (ISSN:13488945)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2SUPPLEMENT, pp.S93-S107, 2014 (Released:2014-09-26)
被引用文献数
7

The Great East Japan Earthquake on March 11, 2011, besides further studying the appropriateness of the initial response and post-countermeasures against the severe Fukushima nuclear accident, has now increased the importance of the epidemiological study in comprehensive health risk management and radiation protection; lessons learnt from the Chernobyl accident should be also implemented. Therefore, since May 2011, Fukushima Prefecture has started the “Fukushima Health Management Survey Project” for the purpose of long-term health care administration and early diagnosis/treatment for the prefectural residents. Basic survey is under investigation on a retrospective estimation of external exposure of the first four months. As one of the four detailed surveys, the thyroid ultrasound examination has clarified the increased detection rate of childhood thyroid cancers as a screening effect in the past three years and so thyroid cancer occurrence by Fukushima nuclear power plant accident, especially due to radioactive iodine will be discussed despite of difficult challenge of accurate estimation of low dose and low-dose rate radiation exposures. Through the on-site valuable experience and a difficult challenge for recovery, we should learn the lessons from this severe and large-scale nuclear accident, especially how to countermeasure against public health emergency at the standpoint of health risk and also social risk management.
著者
岩下 俊治 Shunji IWASHITA 明星大学人文学部英語英文学科
出版者
明星大学
雑誌
明星大学研究紀要 人文学部 (ISSN:03881318)
巻号頁・発行日
no.41, pp.111-121, 2005-03

人間の会話は言葉による伝達によってなされるが、実際には、言葉によって意味されること以外のことも伝達される。例えば、次の発話について考えてみる。A:It's hot, isn't it?(今日は暑いですね。)これは単に知り合いに会って、会話を始める挨拶として発話されたという場合であれば、余り重要な意味はない。いきなり会話を始めるのは唐突なので、前置きのようなものとして発話されたと解釈される。しかし、場合によっては、「暑いからエアコンのスイッチを入れてほしい。」とか、「暑いから何か冷たい飲み物がほしい。」とか、「この飲み物熱くて飲めないよ。」といった意味の伝達と解釈できる場合もある。人間は、相手の発話をその場の状況や文脈に応じて、いつも最もふさわしく解釈しようとする。それによって自然な会話の流れが生まれる。この「最もふさわしく解釈する」にはどのような原則が関係しているのか。Sperber&Wilson(19952)が提唱している関連性理論が、この問題に対する一つの答えを与えている。本研究は、この関連性理論の有効性にっいて検証する。結論からいえば、関連性理論は、発話の解釈という点では、有効である。また、関連性理論が主張する、「人間は最小の労力で最大の認知効果を得ようとする」という原則は、Chomsky(1995)に代表される生成文法が提唱する普遍文法の原則であるEconomyPrinciple(経済性の原則)と一致すると考えられる。即ち、人間の言語活動を含む認知過程(Cognitiveprocess)は、この経済性の原則に従っていると考えられる。本研究を通して以上のようなことが明らかになった。
著者
藤枝 俊宣
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2009-02

制度:新 ; 報告番号:甲2812号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2009/3/15 ; 早大学位記番号:新5032
著者
片岡 栄美
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.5-23, 2021-03-31 (Released:2022-04-20)
参考文献数
25

西洋スポーツが、暴力性を排除する形で発展してきたのに対し、なぜ日本の学校の体育部活動では、スポーツ選手は理不尽な体罰や暴力的支配を受容して、部活動に順応し続けるのだろうか。本稿の目的は、ブルデュ―の理論と方法を用いて、日本の体育会系ハビトゥスの特徴を、大学生への混合的手法による調査により明らかにすることである。得られた知見は、以下のとおりである。 自分を体育会系だとアイデンティティ自認する大学生は、全体の41.6%で学生の中の一つの大きなカテゴリーである。体育会系ハビトゥスの特徴は、性役割分業の肯定、勝利至上主義、権威主義への賛成傾向、伝統主義と地位の上昇志向である。 体育部活動経験者の多くが、指導者やシニアメンバーから体罰や過度の制裁をうけて、連帯責任で「理不尽な」経験をする。彼らは体育部活の1年目に「理不尽さ」を多く経験し、それを受容することで、権威に従属するハビトゥスを学習する。しかし年功序列システムにより、2年目以降は先輩としての権力を平等にもつことで、彼らの支配欲は満たされる。権力が年功によって平等に移譲される年功序列システムこそが、「理不尽さと暴力を伴う支配とそれへの服従の文化」をメンバーに伝統的慣習として継承し、体育会系ハビトゥスの再生産に寄与している。 上級生からの理不尽な要求や暴力を受容し、忍耐する理由は、そこに合理的理由として3種類の報酬があるからである。 日本的アスリートの自律性とは、管理と制裁の恐怖の中で育成された自律性であり、西洋的な意味での自己規律的な主体性とは異なる。それゆえスポーツ以外の場では、規範を破り、自律的ではなくなることも多い。スポーツ以外の体験が少ない彼らは、同質的なメンバーとの相互作用に偏り、多様な価値観を知らないまま外的権威への同調的価値を持ちやすい。
著者
根無 喜一 Kiichi Nenashi
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.1-13, 1987-10-15
著者
亀淵 迪
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.984-988, 1974-12-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
27
被引用文献数
1
著者
石井 啓義 寺尾 岳
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

今回の研究では、日本全国を対象として水道水リチウムと自殺率の関連を、自殺に影響を与える可能性のある種々の要因で補正しながら検討することが目的であった。日本全国の785市と東京都の23区を合わせた808市・区の水道水を全て採取し、それらのリチウム濃度を測定した。自殺の標準化死亡比(SMR)を2010年~2014年の5年分算出しその平均値を自殺率として使用した。自殺率を従属変数とし、各市・区の水道水リチウム濃度、8地方、水道水リチウム濃度と各地方の交互作用を独立変数とし、人口による重み付けをしながら重回帰分析を行った。その結果、日本全国においても水道水リチウムは男性の自殺率の低さと有意に相関した。

40 0 0 0 OA ICU‐AWとその後

著者
中西 信人
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.48-52, 2023-04-15 (Released:2023-05-15)
参考文献数
38

集中治療後症候群 (PICS:Post Intensive Care Syndrome) の身体機能障害の原因として,重症疾患罹患後の筋力低下であるIntensive Care Unit‐Acquired Weakness (ICU‐AW : ICU獲得筋力低下) がある.ICU‐AWはICUに入室する重症患者の25%‐80%に認められ, ICU退室後の5‐10年後の身体機能低下とも関係している. ICU‐AWの診断にはMedical Research Councilスコアの他に超音波やタイチンなども近年では用いられる. ICU‐AWの予防には早期リハビリ, 神経筋電気刺激療法などのリハビリ補助機器の使用, 栄養などの介入が重要である. ICU‐AWの予防がPICSの改善につながるかのエビデンスは十分ではないものの, ICU‐AWの予防こそが, PICSの身体機能障害を予防するための鍵であると考えている.