著者
阿部 誠
出版者
Japan Institute of Marketing Science
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-5, 2013

ITの発達により大量のデータを容易に収集できるようになった。たとえば,バーコードのスキャン技術によって,商品の売り上げは,バラエティー,色,フレーバーなども区別した品番単位(これはSKU,stock keeping unitと呼ばれる)で,日別,店舗別に蓄積される。Eコマースでは,消費者の購買履歴が世帯別にレシート単位で自動的に記録されており,通常のデータベースでも何百万,何千万ものレコードが含まれている。しかし,これだけ大量になると,生データのままでは処理の収拾がつかない。そこで第 1 のステップは,まずデータをある程度,集計し,その上で記述統計(平均や分散)を分析したり因果関係をモデル分析したりすることであろう。たとえば個々の顧客の購買や各店舗での販売を集計して,「売上」という指標を作って,それを分析する。しかし,このような集計データの分析はいくつかの難しさを抱えている。本稿の目的はそれを研究者や実務家に知ってもらうことである。
著者
山形 由史
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.148-151, 2004

自然科学系の学会誌や理科教育の雑誌と日本写真学会誌との共通点に関しては明確ではないが, 化石は, 何百・何千万年単位の文化財保存という観点で共通性があるかもしれないということで, 寄稿することにしました.<BR>文化財の中にも, 今まで一般に知れることなくどこかに埋もれていたものが, 何かの機会に発見・発掘され, その意義が見直されたりすることがよくあるようです.古生物学における貴重な化石の発見・発掘も, そうした文化遺産の発見・発掘の経緯によく似ていることもあるのではないかということで, この学会誌のページを埋める意義をそのあたりに求めて, 気楽に読んで頂けることを期待しております.<BR>原稿には, 先頃科学教育研究協議会編集の理科教育雑誌「理科教室」に投稿したものを, 少し手直しして転載します.
著者
高倉 耕一 松本 崇 西田 佐知子 西田 隆義
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.255-265, 2012-07-30
被引用文献数
1

種間に生じる繁殖干渉が生態学的に重要である理由は、この相互作用が種間の排除を最も強力にもたらすためである。一方で、外来生物による在来種の排除には多くの例が知られているにもかかわらず、外来種による繁殖干渉についてはほとんど研究例がなかった。西日本固有種で主に都市部での減少が注目されるカンサイタンポポを材料とした一連の研究により、野外において近縁外来種セイヨウタンポポの比率が高いほど在来種の結実率が低下すること、その直接的な要因が外来種からの種間送粉であること、その範囲が数メートルの規模におよぶこと、などが明らかになってきた。タンポポ類におけるこれらの研究は、繁殖干渉が、外来種が在来生態系に影響を及ぼす際の重要なメカニズムであることを示す一つのケーススタディになりつつある。本研究ではカンサイタンポポ個体群が衰退した要因としての繁殖干渉の重要性を更に検討するため、個体ベースのシミュレーションモデルを構築した。モデルには、既存研究で明らかにされた繁殖干渉に関わるパラメータに加え、野外において死亡率など両種の個体群動態に関わるパラメータを測定して用いた。シミュレーション解析の結果より、野外で観測される繁殖干渉の強度は1世紀程度の時間で在来種を衰退させるのに十分であること、その効果は人為的な撹乱がもたらす死亡率の増加によって増強されることなど、カンサイタンポポについて観測されてきたパターンと整合性が高いことが確かめられた。また、複数の外来種管理プログラムについて在来種個体群存続に及ぼす効果を検証し、より低コストで効果的な在来種保全手法についての提言を行った。これらの成果は、繁殖干渉の研究が在来種の衰退要因を理解する上で重要であるだけでなく、その保全においてもコストパフォーマンスに優れた対策の選択に貢献することを示している。
著者
高田 壮則
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.69-80, 2013-03-30
被引用文献数
4

炭素収支に関わる費用および利得を計算することによって、個葉の寿命の多様性について説明しようとする考え方が 1980 年代に広く唱導された。ほぼ同時代に数理生物学の分野では、「最適戦略理論」にもとづく数理モデルが数多く提唱されていた。それらの潮流の中で展開された理論的研究では、葉寿命を戦略とし、何らかの量を目的関数とした時、目的関数を最大とする最適葉寿命を求めるという最適戦略理論の枠組みを用いている。1980年代後半から登場した三つの数理モデル(「落葉樹モデル」、「光合成効率モデル」、「温度依存モデル」)は、いずれも葉一枚を光合成工場として考え、「適当」な展葉時期と落葉時期を求めようとするものである。初期に開発された「落葉樹モデル」は、落葉性樹種の展葉・落葉時期に着目し、葉の老化が初夏の春植物の登場を促す要因の一つであることを示したが、一年のなかの季節変化だけを考慮し、常緑性も含めた一般の葉寿命をカバーしたモデルではないという欠点があった。また、葉の構成コストは考慮されていなかった。それらの欠点をカバーするために登場した「光合成効率モデル」は、葉寿命が光合成速度や構成コストにどのように依存しているか、なぜ常緑性樹種が熱帯域と寒帯域の二峰性をもつかを理論的に示すことに成功したが、「落葉樹モデル」とは異なる目的関数(光合成効率)を用いているために、以前のモデルで得られた結果との比較が難しいモデルであった。その後開発された「温度依存モデル」は光合成速度の気温依存性に着目し、世界の各地域における最適葉寿命を求めているが、これも他のモデルの結果との比較に耐えうるモデルではなかった。 これらの異なる仮定および目的のもとで構築されたモデル群を俯瞰すると、いくつかの疑問が生じる。これらのモデルを統合したモデルによって、今まで得られた結果をすべて示すことはできないのだろうか。そのために設定される統一された目的関数はどのようなものであろうか。統一された目的関数によって得られた落葉性の解は、「落葉樹モデル」のそれと一致するのであろうか。ここでは、これらの数理モデル開発の歴史を詳説するとともに、理論的アプローチの整合性という視点から、それらの理論的試みが内包する問題点について明らかにした。
著者
合田 和生 喜連川 優
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.211-221, 2010-03-01

本論文では,グリーンレプリケーションと称し,業務継続を目的としたレプリケーションシステムにおける二次系ディスクストレージの省電力化方式を提案する.提案手法は,サービス復旧にかかる時間を意識した制御系のもとで,二次系に転送された更新情報をコンパクト化し,更新の反映操作を集中化することによって,ディスクドライブを長時間アイドル化する.商用データベースシステムを用いた実験により,30秒から100秒程度のサービス停止時間のオーバヘッドのもとで,二次系ディスクストレージの消費電力のうち80〜85%を削減可能であることを示す.
著者
門間 義之 入江 一成 太田 紀久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.213, pp.1-6, 1998-07-24

筆者等は、地域の一般家庭あるいは中小ビジネスユーザに利便性の高いコンピュータ通信サービスを経済的に提供することを目的として、地域情報ネットワークシステムの開発を進めている。登録ユーザ間でPCを利用したコネクションレス通信を行えるグループ通信サービスを提案し、これまでに、大規模ユーザを効率的に収容可能とするための多重化ブルータ、宅内にLANと同じイーサネットインタフェースを提供するためのローエンドカード、並びにグループ管理サーバを開発し、実験システムによる基本特性確認を行った。今回、本システムを実際に地域に展開する場合を想定し、複数のセンタ(収容局)あるいは多重化ブルータを結ぶ加入者収容形態について検討を行った。実際の実験システムにより多重化ブルータを跨る場合のスループット特性を明らかにする。また、他地域との接続サービスについても述べる。
著者
増田 四郎
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.247-263, 1961-03-25
著者
花澤 裕二
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.366, pp.22-24, 2006-02

パート・アルバイトの採用難が深刻度を増している。最大の要因は、ここ1年ほどで鮮明になった景気の回復だ。昨年辺りから経済が好転。それに伴って、多くの企業が人材獲得の動きを活発化させている。 実際、学生援護会の調べによると、このところ求人倍率は一貫して上昇。それに伴ってパート・アルバイトの需給関係も締まり、時給は右肩上がり(図1参照)。
著者
木下 照子 小野 晴子 井関 智美 三上 ゆみ
出版者
新見公立大学
雑誌
新見公立大学紀要 (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.155-160, 2012

2011 年度の国際交流・国際貢献活動として「カンボジア・スタディツアー」を実施した。研修内容はHIB・州立病院・アンコール小児病院等の訪問し,キリング・フィールドやトンレサップ湖・アキラ地雷博物館の見学を行った。また主な活動は村の小学校で子どもたちとの交流やジャックフルーツの植樹作業であった。開発途上国であるカンボジア(シェムリアップを中心)の暮らしと国際貢献活動の実際を学び,体験の中からカンボジアの抱える医療・福祉・教育などの課題と各自の専門性を活かした活動を考えることができたので報告をする。
著者
長谷島 伸親 小林 淳晃 竹澤 信治 大和 邦雄 門山 周文 川野 裕
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.1105-1110, 1995

ベリリウムの使用量に比し, 本邦の慢性ベリリウム症の報告は少なく20数例である. 今回, 我々は, 低含量Be銅合金加工工場で発生した慢性ベリリウム症の一例を経験した. 症例は24歳, 男性, 労作時呼吸困難を主訴に受診した. 19歳の時より当院受診時まで, 1.8%未満のベリリウム銅合金加工工場に勤務し, 細線加工に従事していた. 胸部X線像では左気胸と両肺にびまん性の微細な粒状影と嚢胞が認められ, 肺機能検査は, 拡散障害と拘束性障害を示していた. 肺生検組織で壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫と胞隔炎を認め, 肺組織に正常より高濃度のベリリウムが検出された. BeSO<sub>4</sub>による気管支肺胞洗浄液リンパ球刺激テストと末梢血リンパ球刺激テストは共に陽性であった. 職業歴と検査所見より慢性ベリリウム症と診断した.
著者
清原 聖子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.354-358, 2011-05-01

2009年,政権交代によって原口総務大臣が就任すると「日本版FCC」の設立がアジェンダ化された.そこで,本稿の目的は,これからの日本の情報通信政策の展開においてアメリカの連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)のような独立規制機関が必要なのかどうか検討する際の材料を提示することにある.本稿ではFCCとはどのような組織なのかその特徴を説明し,独立規制機関の政治的中立性の問題について考察し,通信・放送の規制機関を様々なアクター(政治的主体)が監視することができる体制の確保が重要である点を指摘している.
著者
横尾 夏織
巻号頁・発行日
pp.1-325, 2013

早大学位記番号:新6695
著者
錦織 達啓 伊藤 祥子 辻 英樹 保高 徹生 林 誠二
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.63-69, 2015-02-01 (Released:2015-04-07)
参考文献数
32
被引用文献数
4 10

林床からの137Cs流出の起きやすさを知るため,福島県内の林床被覆状況が異なる四つの林分を対象に,斜度37~39°の斜面に3 m2の試験プロットを設け,2013年5月から10月の145日間,表面流出水に含まれる懸濁態および溶存態137Csを観測した。137Csは最大でも土壌蓄積量の1.1%しか移動しなかったが,その移動量はプロット間で最大10倍異なり,ヒノキ林で最も多く,次いで落葉広葉樹林,アカマツ林,スギ林となった。移動した137Csの96%以上が懸濁態であり,土壌侵食量は下層植生や有機物層に乏しいプロットで多かったことから,林床被覆量が137Cs移動量に強く影響したと推察された。表面流出水と近傍の渓流水中の懸濁物質の双方において,137Cs濃度と有機物量の間に正の相関が確認された。これにより,渓流水中の137Csの一部が林床起源であること,その林床起源の137Csは主に有機物層に由来していたことが示唆された。ヒノキ林は林床被覆に乏しい傾向にあるが,福島県には少ないため,最も広く分布する広葉樹林の林床被覆状況が森林からの137Cs流出に大きく影響すると考えられた。
著者
上田 祐彰 大内 大輔 高橋 健一 宮原 哲浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.691-701, 2003-09-01
被引用文献数
4

大学を対象とした時間割作成問題への遺伝的アルゴリズム(GA)の適用について考察する.本論文で対象とする問題は,授業の時間割表への配置と各授業で使用する教室の割当ての双方を扱い,実施可能かつ教員の要望を充足した時間割表の導出が目的である.実施可能な時間割表を効率的に探索する手法として,授業の時間割表への配置を扱う遺伝子操作と教室の割当てに関する遺伝子操作を分割して実施する手法(分割GA)が提案されているが,様々な規模,複雑さをもった問題に対して分割GAが有効であるか否かは検証されていない.本論文では,分割GA,単純GAを応用した手法(SGA),授業の時間割表への配置を決定した後に教室の割当てを行う手法(逐次GA),教室の割当てを行う代わりに授業配置に対して適切な教室の割当てが行えるか否かを検査する手法(SGA2),焼なまし法を応用した手法(SA),及びタブサーチを応用した手法(TS)の6手法を実装し,比較実験を行った.時間割作成問題生成プログラムによって生成された問題と現実の時間割作成問題とを用いた実験の結果,ほとんどの問題に対してSGA2が良好な結果を導出できることが示された.また,授業の開講率が高い問題に対しては分割GA,問題の規模が大きく複雑性の高くない問題に対しては逐次GA,規模が小さく制約条件の多い問題に対してはSAが適していることも示された.
著者
鎌田 浩
出版者
The Japanese Society of Insurance Science
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.622, pp.622_83-622_101, 2013

保険業法等における募集行為規制は,主に対面募集の保険募集人の募集行為を対象としており,インターネット募集等のあらたな販売形態については付随的に言及されているにとどまっている。ITの進化により,保険業法等の制定・改正時には想定しなかった問題も発生していることから,保険業法300条1項1号から3号のいわゆる情報提供義務の観点から,インターネット募集のあり方を考察する。インターネット募集には,保険者が顧客に提供する「情報の内容」,保険者が説明すべき「重要事項の説明方法」,特約の「説明義務の範囲」の3点において対面募集とは同一には論じられない側面がある。インターネットにおける情報の即時性,最新性,連携性の利点を活かし,募集画面等において「顧客が知る必要がある情報」を効果的に充足させ,顧客への情報提供義務に応えることは可能であると考える。
著者
土口 史記
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.615-652, 2007-03