著者
中谷 登
出版者
芦屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

パルスレ-ザを流体中に照射し,吸収による光熱変換(フォト・サ-マル効果)をもちいた。初期の瞬時のガス膨張から発生した音波が生じ,この初期の屈折率変化とその後の熱変換による屈折率変化を高感度ヘテロダイン干渉計,または繰り返し反射干渉計を用いて検出し,温度および流速の同時センシングの基礎的検討を行った。1.位相検出系の検討 位相変化の測定に2点差動方式の光ファイバ・ヘテロダイン干渉計を用いた。この干渉計は外乱の影響を受けにくく,きわめて高感度の測定が可能であり,空間分解能も高い。現在のところ位相変化応答性は0.1msである。早い位相変化の検出のため,高感度繰り返し反射干渉計の検討を行った。この干渉計は,感度が高い反面,位相変化に対して強度変化が殆どない位相領域があり,ダイナミックレンジが限定されている。この為,ピエゾ素子によりミラ-制御により初期の動作点を感度の良い位相感応領域に設定した。また,半導体レ-ザを用いて,その駆動電流を変化させ,波長変化によって,位相制御を行えることを示した。2.速度計測の基礎的検討 後期の光熱変換による屈折率変化を用いた。CWCO_2レ-ザと高速度回転メキャニカルチョッパを用いてパルス光を作成し,流体中の局所領域に照射して行った。レ-ザにパルス幅があるため,測定2点に屈折率変化部がまたがり,タイム・フライト方式による速度測定値に誤差が生じる。誤差を理論および実験面から検討したところ,理論解析結果を用いれば,何れの方法も誤差補正が可能である。次に,励起レ-ザとして,自作したTEA型CO_2レ-ザを用いた。レ-ザのパルス幅は約100ns程度であるので,パルス幅による影響はなく,流量計から換算した速度と実験値は一致した。3.燃焼流温度計測の基礎的検討 励起レ-ザとして自作したTEA型CO_2レ-ザを用いた。発生音波の伝播時間測定は,2点での位相変化測定によるタイム・フライト方式を用いた。燃焼反応によるガス組成変化によって音波の伝播時間の変化は2〜3%程度である。CARS法は,励起準位におけるボルツマン分布を知る必要があるが,本研究の方法はその必要がなく簡便で,容易な方法である。本研究の実用化のためには,今後,安定した強度,ビ-ム形状のレ-ザの使用による伝播時間測定の精度向上基礎的事項の検討を必要とする。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.293, pp.86-87, 2001-12-14

首都高速道路3号渋谷線が国道246号と同じ地上レベルで並走する渋谷駅の西側。この長さ350mほどの区間では,これまで横断歩道はもちろん,歩道橋や地下横断歩道なども設置されなかった。国道下り線の歩道下にある共同溝が歩道橋の橋脚や地下横断歩道の建設を困難にしていたからだ。しかし,横断施設の設置を希望する地元住民は多かった。
著者
椋木 雅之
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本年度は,スポーツシーンに意味づけし,その結果を利用する技術を開発した.対象として,実際に放送された野球映像を用いた.野球における1シーンは1投球に対応する映像区間である.1投球区間に現れる映像ショットの種類,構成について検討したところ,・1投球から次の投球までの間が短いシーンは,見送りやファウルである・打球が飛んだ場合,その打球を追うカメラワークを含んだショットが現れる.・1シーンの中で,実際にプレイに関係するのは,投球開始から,打者や走者,投手をアップで写したショットまでの間であり,その後は,リプレイなど,ゲームの流れに無関係な映像が含まれる.などの特徴があることが分かった.これらの知識を導入するために,ショットの種類として,1.投球開始時に現れる「プレイ開始ショット」2.打球を追ってカメラワークが起こる「ボールを追うショット」3.打者,走者,投手をアップで撮影する「プレイヤショット」の3種類を取り上げ,自動的に識別する処理を実現した.これらのショット種別を利用して,3種類のダイジェスト生成を行った.1つ目は,3ショット以下で構成されるプレイを除去し,残りのショットのうち,1投球区間で「プレイ開始ショット」から最初に現れる「プレイヤショット」のみを集めたダイジェストである.このダイジェストは,試合の重要な流れを網羅しつつ,60分の映像を20分に短縮することができた.2つ目は,「ボールを追うショット」を含むプレイ区間を集めたもので,打球の飛んだプレイからなる5分間のダイジェストを生成した.3つ目は,「ボールを追うショット」を含むプレイが多く現れたイニングを抜き出したもので,実際に得点の入ったイニングからなる5分間のダイジェストを生成した.このように,ショットの種別を元にして,各種のダイジェストを生成することができた.
著者
望月 久
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.192-196, 2005-06-20
被引用文献数
4 4

バランスは理学療法に関連の深い用語であるが, 姿勢の変化や外乱に対する立ち直り反応や平衡反応といった姿勢反応としてのバランス, 生体力学的分析に適した身体重心線と支持基底面の関連性としてのバランス, 特定の検査方法を通してみた結果としてのバランスなど, バランスに対しては様々な捉え方があり, その意味内容は理学療法士によって, また同じ理学療法士でも使用する文脈によって異なっているように思われる。本論では, バランスについての考え方を整理し, バランスの評価およびバランス改善へのアプローチについて検討したい。バランスの概念的整理 1. バランスをみる視点 一般的な意味におけるバランスは, 姿勢保持や動作時に転倒せず安定してその動作が遂行できること, または遂行していることを指していると思われる。Shumway-Cookらは, 姿勢調節には身体(姿勢)の方向付け(postural orientation)と安定性(postural stability)の2側面があり, バランスは後者に関する概念と捉えている。理学療法士は対象者のパフォーマンスを観察し, その状況から対象者が実施している動作の自立度や安定性, パフォーマンスを実現させている身体能力, 調節機構としての感覚, 運動神経系の機能を推測している。それら全てを漠然とバランスという用語で表していることもあり, 姿勢調節に関連する身体能力や神経機構を指していることもある。
著者
高田 裕光
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

うつ病心理教育の為のweb自己カウンセリングシステムは、これまで我々によって試行されている(宗像、高田ら、2009)。本研究は、回復期統合失調症の心理教育の為に家族や回復期にある本人が利用できるWEB心理教育システム作成を目的とし、本年度はまず、そのコンテンツ作成計画を立案した。統合失調症は、難治化させやすい遺伝的気質を持つ症例とそうでないものがある。その疾患の性質と難治化させやすい遺伝的気質との混同が、一般のみならず専門家にもみられる。遺伝的気質の弊害を克服するために特定のセルフケアによる心理教育をする必要がある。なかでも、(1)調節物質セロトニン神経伝達が不足した場合、緊張物質ノルアドレナリン分泌を調節しがたい損害回避遺伝子を持つため、神経質で思い込みや妄想を持ちやすい不安気質者には、クールダウンの為のセルフケア、また報酬物質ドパミン神経伝達が不足した場合は、報酬不全の遺伝子があり、生真面な執着気質者には「まあいいか」と心の声を10回以上行うというセルフケア、また鎮静物質ギャバ神経伝達不足も伴うことから、対人緊張をさける単独性指向がある自閉気質者には心のサポーターをもつセルフケアが必要である。(2)難治化する統合失調症は、これらの気質を持つ症例が一般的であるので、思い込みや妄想、感情的巻き込み、強い・高い・急激な音声などの高感情表出を避ける環境形成を家族や援助者に心理教育する必要がある。(3)緊張物質ノルアドレナリンを減少させるためにメジャーリーガーがガムを噛むように、「関係者以外に愚痴る(咀嚼運動)」セルフケアを自己練習したり、また相手の意見を繰り返し、私表現で自分の意見をつぶやく自己練習が必要であり、これらをweb上で行うプログラムを計画した。
著者
本間 裕大 会田 雅樹 下西 英之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.240, pp.31-36, 2010-10-14
被引用文献数
2

本研究では,制御時間スケールによる階層化という観点から,OSPF型ルーティング(最短経路)と,MLBルーティング(マルチパス)を同時実装する,新たなるルーティング制御技術を提案する.主な特長は,2種類の異なる制御技術を導入することによって,大局的には最短経路に従う安定した転送を実現しつつ,局所的な輻輳を回避し得る,柔軟なルーティング制御技術を構築した点にある.また,シミュレーションによって,単一の制御技術を導入した場合に比べ,平均遅延時間等が改善されることを明らかとした.
著者
文部省 著
出版者
日本書籍
巻号頁・発行日
vol.卷5, 1931
著者
山本 英子 梅村 恭司
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.45-75, 2002-04-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2 6

本論文では, コーパスから事象間の一対多関係を推定する問題を考える. これまでにコーパスから事象間の関係を推定することが多く研究されている. 一般に, この問題に対する解決法の多くは, コーパスを構成する文書における事象の共起に基づき, 暗黙的に事象間の関係は一対一関係であることを想定している. しかし, 実際には, 事象間の関係は一対多関係である場合があり, この特徴のためにいくつかの工夫が必要である. 本論文では, コーパス中の一対多関係を推定するために補完類似度を利用することを提案する. この尺度は本来文字認識システムのために開発され, テンプレートの文字のパターンにオーバーラップしたパターンがある条件で有効であることが知られているが, これまでテキスト処理に利用されたことはなかった. この補完類似度の一対多関係を推定する能力を評価するために, 地名 (都道府県市郡名) を対象事象とした実験において, 平均相互情報量, 自己相互情報量, 非対称平均相互情報量, ∅相関係数, コサイン関数ダイス相関係数, 信頼度との性能比較を行う. 実験では, 三種類のコーパスを用いる. 一つ目は実際に地名問にある一対多関係から合成する人工的なデータ集合である. 二つ目も実際の関係から合成するが, 誤った関係を導く少量の要素も含むデータ集合である. 三つ目は現実の新聞記事コーパスから得られるデータ集合である. これらの評価実験において, 補完類似度がもっとも優れており, 補完類似度は一対多関係の推定問題に対して有効であることを示す.
著者
筒井 佐代
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、日本語母語話者の友人同士による日本語の雑談の音声データを用いて、「会話参加者に関わる話題」について話している雑談における、質問の発話連鎖と言語形式の特徴、および意見の対立の発話連鎖と言語形式の特徴、また、それらが話題の流れのどの位置で現れるのかといったよりマクロな視点からの特徴を分析した。その結果、ノダを用いない単純な質問と応答の連鎖は、理解に必要な情報を補足する等、挿入的に用いられること、また意見の対立は明示的になされるものの、摩擦が起きないような配慮をし、お互いの意見の相違を掘り下げないことが重要であること等が明らかになった。
著者
境 圭一
出版者
信州大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

球面の埋め込みのなす空間の位相幾何学的な性質についての研究を継続した.「はめ込みを法とした埋め込みのなす空間」と呼ばれる空間fEについて,fEが位相的Stiefel多様体の多重ループ空間であることを示した.応用として以下の結果を得た.(1) fEのホモロジー群にBV代数の構造を導入した.(2) 「スピニング」という埋め込みに対する操作が異なる次元の埋め込みの空間の低次ホモトピー群に同型を誘導する事実があるが,これを位相的Stiefel多様体の言葉で書き直して別証明を与えた.
著者
杉田敢 山下徹 水本旭洋 玉井森彦 安本慶一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.7, pp.1-7, 2014-03-07

近年,食生活の乱れが生活習慣病の要因の一つとして問題になっている.食生活の乱れは,人間が食事を行うのに適した時間や量を正しく認識できない事に原因がある.そこで食生活の乱れを抑制する方法として,人間の感覚的状態の一つである空腹感の推定による適時・適量の食事推薦が,この問題の軽減に役立つ可能性がある.しかし一般的に,感覚的な状態の推定は生体を傷つけて行う侵襲的測定や,専門的または高価な機器が必要であるためユーザへの負担が大きい.そのため,侵襲的ではない方法により,定量的な空腹感の度合い 「空腹度」 を推定できることが望ましい.本稿では,空腹度と血糖値との間に密接な関係があることに着目し,(1) 食事および行動情報からの血糖値の推定,(2) 血糖値から空腹度の推定,の 2 段階構成の推定モデルを構築する手法を提案する.この空腹度推定モデルにおける推定血糖値と実際の血糖値,推定血糖値と空腹度との関連性を調査するため,血糖値および生活行動の記録,およびそれらを空腹度推定モデルに適用する実験を行った.その結果,実際の血糖値と推定血糖値の推移,推定血糖値と空腹感との間には強い正の相関が確認できた.In recent years, disturbance of diet has become a problem in many countries. Disturbance of diet is caused by the fact that people are not so conscious of appropriate time to eat meals as well as appropriate amounts of the meals. Accordingly, estimating the hunger feeling which is one of the human sensory states may help alleviating this problem. However, estimation of human sensory states often requires invasive measurement by injuring human body with a special and expensive device. In this paper, we propose a method for estimating hunger degree of a user at arbitrary time from the information of meals and exercises that the user has taken. We construct the hunger degree estimation model consisting of two steps: (1) the blood glucose level from meal and exercise information and (2) the hunger degree from the blood glucose level. To evaluate the proposed method, we measured the blood glucose level of a subject at some points of time as well as the user's meal and exercise information, and applied the measured data to our proposed estimation model. As a result, we observed a strong correlation between the measured and the estimated blood glucose level and between the subjective and the estimated hunger degree.
著者
山根 基秀
出版者
山口県田布施町立田布施西小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

「研究目的」:地域の自然や歴史・文化を素材に、それらにふれあい、新たなものを創り出していく学習を行う。活動の過程で、地域の人との交流や地域への情報発信の仕方も学び、体験による生きる力と学力向上を連動させ、今後に活用する力を養う授業作りの研究を行う。「研究方法」:地域の自然や歴史・文化を体験する活動を仕組み、そこで学んだ知識や感性を、地域発信という形で表現するとともに、活動過程での基幹学力の定着をねらう学習を展開する。(1) テーマ:「今よみがえる!田布施2000年の歴史~昔のかおゆただようドリームランドの実現をめざして」(1) 田布施町の歴史を調べる~古墳調査、古代米の栽培・収穫・試食(ポンポラ飯、餅つき)他(2) 生活文化の体験~ハゼの実ロウの絞り・絵付け、地元俳人「江良碧松」の研究、昔の遊び他(3) 古代のむらを再現~埴輪や土器、里山体験場作り(学校林活用)(2) テーマ:「ニューカルチャーワールドin田布施~古代から新しい文化の創造をめざして」(1) 古代文化・田布施文化の調査~弥生・古墳時代から中世までの研究(2) 新田布施文化の創造~ハゼの実ロウソクの復活、休耕田を利用したカブト虫飼育他(3) 学習したことを地域の発信!!(1) 西小文化祭の開催~「田布施文化がこだまするin学校林-一人一文化一俳句」→県総合芸術文化祭参加※体験して学んだことを俳句で発表、田布施の生活文化の再現、体験コーナー(そば打ち、自然体験他)の設置(2) 「新聞を教育に」~新聞活用によるかべ新聞作り→全国かべ新聞コンクール発表(入選)「研究成果」:地域の宝「ひと、もの、こと」と積極的に交流することにより、自然や文化の恵みを感じる心や地域や友だちへの感謝の心が育った。また、自分なりのふるさと観を構築し、町の発展への意欲や実践力が高まり、地域創造の態度が培われた。そこから自分たちの町の自然や文化を継承し、創造する活動へ発展し、地域に発信する力やコミュニケーション力などの社会性を身に付け、進んで将来の自分に生きてはたらく活用力を身に付けようとする意識が芽生えた。さらに、教科などとの横断的な活動によって、基幹学力の向上が見られた。また、様々な体験で学んだことを俳句や日記に表したり新聞にまとめたりすることで、感受性や表現力が豊かになり、書く・聞く・話すといった言語活動の充実につながり、確かな学力が身に付いてきたと確信する。