著者
鴻野 わか菜
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,20世紀ロシアにおける文学と文化(主に映画と美術)の相関性を例示し,分析することを目的として,ソ連地下芸術の一派であるモスクワ・コンセプチュアリズム美術(イリヤ・カバコフ),20世紀初頭のロシア象徴主義文学(アンドレイ・ベールイ),現代映画,現代詩について,文化史的な観点から分析を行った。研究成果の一部は,日本語とロシア語で,国内外の学術誌,書籍,研究会等で発表された。
著者
アーランソン アルビッド
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.97-110, 2010-03-31

本研究は,新しい道徳的態度尺度 Moral Attitude Questionnaire( MAQ)を作成し,その信頼性を検討した.MAQは,結果主義的態度と常識的道徳と一致する非結果主義的態度を対比させることによって道徳的態度と予期された行動における個人差および文化差を測定する尺度である.1 つのカテゴリーにつき 5つのストーリーを作成し,5 カテゴリーから成る計25ストーリー設定した.結果として,「作為‐不作為」に対する態度および「家族への贔屓」に対する態度に関しては十分な信頼性が得られたが,「因果応報」に対する態度および「理性的な自殺」に対する態度における信頼性は予測よりも高いものではなかった.また,「犠牲者数の重視」に対する態度における信頼性は低かった.回答者は,一般的に道徳的態度としては家族への贔屓はよくないと考えていたが,実際の行動としては家族を贔屓する傾向があった.さらに,男性回答者は女性回答者より態度レベルでも予期された行動レベルでも家族を贔屓する傾向が示された.The reliability of the newly constructed Moral Attitude Questionnaire (MAQ) was tested in this pilot study. The MAQ aims to assess individual and cultural differences in moral attitudes and expected behavior on a broad scale, contrasting typically consequentialistic attitudes with typically non-consequentialistic attitudes congruent with common sense morality. Five representative categories with five stories in each were tested. It was found that attitudes towards the intentional act/foreseen omission doctrine and attitudes towards family partiality could be measured in a reliable way. The stories measuring attitudes towards retributive punishment and attitudes towards rational suicide showed mixed inter-correlations. Attitudes towards the moral weight of "number of victims" could not be measured in a reliable way. Participants reported expecting themselves to behave with greater partiality than they believed they should from a moral perspective. Male participants revealed a greater degree of partiality than female participants on both the attitude and the expected behavior levels.
著者
井田 尚
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「百科全書」(1751-72)を対象に、「誤謬」(《erreurs》)の語を含む全項目を調査し、科学項目の記述内容を詳細に分析した。その結果、「百科全書」の科学項目で記述される誤謬には、語彙のメタファー的使用に発する誤謬、対立仮説へのレッテル貼りとしての誤謬、俗信・迷信としての誤謬、不動の真理から誤謬に転じた「支配的誤謬」、誤謬から真理に転じた過渡的誤謬など、様々なケースが見られることが分かった。
著者
竹内 聖悟
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

ゲーム情報学の分野において、将棋や囲碁、チェスなどの二人零和有限確定完全情報ゲームを対象として研究を行った。この分野における大きな研究目的に人間に勝つような強いプログラムを作ることがあるが、そのためには評価関数(形勢判断)とゲーム木探索(先読み)が重要であり、両者の改良について多くの研究がされている。評価関数やゲーム木探索の性能を評価するには、一般に対戦が用いられるが、時間がかかることや結果のフィードバックがないなどの問題がある。この問題点を解決するための手法として、棋譜データとプログラムの評価関数との関係を見るEvaluation Curveなどの評価手法を報告者は提案し、その有効性を示してきた。本年度は、対戦実験など性能評価に関する実験データの追加・充実した。モンテカルロ木探索はコンピュータ囲碁で大きな成功を収めた手法で、他のゲームでも応用が試されている。しかし、将棋やチェスでは、従来手法に匹敵する成果は得られていない。モンテカルロ木探索の試みの中で評価関数とモンテカルロ木探索を組み合わせる手法があり、いくつかのゲームでは従来のモンテカルロ木探索、従来のアルファベータ探索よりも良い性能を得ることに成功した例が報告されている。これまでの研究や、モンテカルロ木探索と評価関数両者の性能評価を行ってきた知識と経験を生かし、本年度はモンテカルロ木探索手法と評価関数を組み合わせる手法についてコンピュータ将棋を題材として研究を行なった。その中では、昨年度取り扱った静止探索を組み合わせることを提案し、従来のアルファベータ探索には及ばなかったが、従来のモンテカルロ木探索手法、評価関数だけを使ったモンテカルロ木探索手法よりも性能が良くなることを示した。
著者
落合 友四郎
出版者
大妻女子大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

透明マントを実現させる上で困難になるポイントとしては、光を大きく曲げるときに、極端に高い(または低い)屈性率を持つ物質が必要となる点である。特に、波長が短くなればなるほど、その波長に対応するメタマテリアルなどの素材を作るのは難しくなる。この高い屈折率をもつ物質が必要となる困難を避けながら、物を隠す方法として、従来の透明マントとは別の方法としてカーペットクローキングが考案された。それは、フラットな鏡の中央部に膨らんだ窪みがあるが、光が入射すると窪みの周りを光が迂回して、外側から見るとあたかも完全にフラットな鏡にみえるという装置である。完全なクローキングを実現するには、高い屈折率が必要であり、技術的な難しさがある。それに比べて、カーペットクローキングはより緩和な屈折率で実現できる。カーペットクローキングを設計する方法のひとつとして、ラプラス変換を用いるやり方を提案したが、ラプラス変換に用いられる関数形と、カーペットクローキングの境界形状の関係が興味深くなる。通常、ラプラス変換に用いられる関数形が決まると、境界形状が決定されるが、この方法の逆問題として、カーペットクローキングの境界の形状からラプラス変換に用いられる関数形を推定する方法論を調べた。また、透明マントの設計方法には、座標変換を用いるもの以外にも、境界条件を用いて定式化する方法もある。これは、座標変換を用いる方法よりも直接的な方法であり、さらに深い知見を得ることができる。いままで考案してきた透明マントの設計を、境界条件を用いる方法で解析した。
著者
堀江 竜弥
出版者
仙台大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成28年度より継続してリハビリテーションプログラムと介入症例が確保できる施設について検討した。リハビリテーションプログラムに関しては、維持期における機能訓練が主体となり排尿動作につながるプログラムの構築に関する文献を検討したが見当らなかった。よって、新たにプログラム作成を検討しなければならないが、排尿習慣化訓練に加えて、骨盤底筋体操を組み入れたプログラム、なおかつ臥位および座位で実施可能なが有益であると考えている。これにより頻尿や過活動膀胱といった下部尿路症状の軽減につながるのではないかと考えた。しかし、脳卒中に高頻度で確認される切迫性尿失禁についての効果については不明確であるため、症状に応じた介入プログラムを検討する必要がある。これはプログラムすべてに組み入れるべきか、症状に応じ個別性を重視したものが有益なのかも含めて検討が必要と考えた。これまで、既存の排尿支援方法に関する文献収集を行い、プログラムに関しての情報収集を行っているが、欧米をはじめ諸外国で取り組まれてる実践例を踏まえ、有効な方法について検討している。介入症例の確保できる施設の検討であるが、交渉している医療機関からの明確な承認が得られていない現状にある。排尿支援の重要性を伝えながら少数例でも確保できるような交渉、および介護保険施設での介入が可能かどうか、引き続き検討していく予定である。
著者
折茂 慎一
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、制御ミリングプロセスにより炭素系材料(特にグラファイト)に対して高濃度の欠陥構造を導入し、水素を高効率で貯蔵・輸送するための新規な炭素系材料の設計指針を得ることを目的とする。これまで得られた研究成果(即ち、欠陥構造の導入過程では高密度の刃状転位が観察できるとともにσ^*結合の減衰などの電子構造変調も確認できたこと、この欠陥構造の発達に伴って水素貯蔵機能が増大してCH_<0.95>にも達すること、さらには「弱い化学吸着状態」も含めた少なくとも2種類の水素貯蔵サイトがあること、など)をもとにして、さらに詳細かつ実用性を視野に入れた研究も進めた。その結果、水素放出特性を調べるための昇温脱離質量数分析では、水素の放出反応が600K及び950Kから始まるふたつのピークをもって進行することが解明された。重要な知見は、この第1ピークがカーボンナノチューブに代表される毛細管(キャピラリー)を有した炭素系材料からの水素放出と同様の温度である、ということである。第2ピークは、試料の再結晶化に関係していることも見出された。すなわち、この第2ピークの温度以下では、試料中には水素貯蔵に適した欠陥構造が維持されていると考えられる。また、グラファイト以外の類似の物質系として六方晶窒化ホウ素(h-BN)を選定したところ、最大水素量はグラファイトの場合の約35%にとどまるなど、水素貯蔵機能が「局所」電子構造の相違に起因することなども新たに判明した。これら成果は、次世代水素貯蔵媒体としての新規な炭素系材料を開発するための設計指針として、国内外で注目されている。
著者
家 正則 高遠 徳尚 市川 伸一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.147-152, 1990-02-20
被引用文献数
2

天文学の世界では量子効率の高いCCDカメラが伝統的な写真乾板に今や取って代わろうとしている.観測天文学で用いるCCDカメラの特徴と性能について, 国立天文台や東京大学理学部木曾観測所での実例をもとに紹介する.
著者
武田 将明
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

十八世紀イギリスの小説では作者が自らの姿を隠すことでリアリティを演出していた。しかし十九世紀には作者が作品の主権者として振舞うことが社会的に許容されるようになる。ところが二十世紀に入ると、主権者としての政治的な作者だけではなく、身体をもった自然的な作者もまた小説の前面に現れるようになる。本研究は、作者の身体の表象に注目して近代小説、とりわけ18世紀のイギリス小説の特徴を再検討することにより、イギリス近代小説史と小説の起源をめぐる研究に新たな局面を切り開くことを目指した。
著者
太田 賢 増田 彰久 渡辺 尚 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.117, pp.69-74, 1997-12-04
被引用文献数
2

PHS、携帯電話のワイヤレスデータ通信機能を利用してマルチメディア通信を行いたいという要求がある。しかし、ワイヤレス通信には帯域幅が狭く、バースト誤りにより転送が途切れる、帯域幅、誤り率などの品質が頻繁に変化するといった問題があり、比較的大容量の帯域幅とスムーズな転送を必要とするマルチメディア通信の扱いは難しい。我々はこれまで、コンテンツ内の重要な情報を優先して受信者に提供する選択的マルチメディア通信方式SMAPを提案してきた。SMAPは、マルチメディア情報の各映像フレーム、音声ブロックに対して、その意味的な重要度に基づき優先度を4段階で与える。帯域幅が不足している状態においても、優先度に基づく選択的転送により、重要な部分は比較的高い時間的解像度で提供することができる。本稿ではさらに優先度に基づいた空間的解像度の制御を加えることで、帯域幅が狭く品質が頻繁に変化するワイヤレス通信環境においても、重要なフレームをより確実に、かつ高品質で受信者に提供することを可能にする。Users desire to use multimedia applications such as browsing WWW and VoD in not only desktop computing environment but also wireless or mobile computing environment. A wireless link, however, is generally poor in quality to accommodate multimedia communication. We have proposed a content-based multimedia access protocol SMAP for wireless environment. It adopts the selective transport service according to content-based priority, assigned to each video frame and audio block of multimedia data, so that a user can get important information even if available bandwidth is insufficient for the multimedia data. This paper introduces the spatial resolution control for video into SMAP. When available bandwidth is so poor, degrading spatial resolution of video frames allows the selective transport to choose more high-priority frames to deliver. Since the spatial resolution control delivers high-priority frames in higher spatial resolution, a user can perceive important frames in higher quality.
著者
丸山 智
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

唾液腺多形性腺腫の間質表現は多彩であるが、乏血管性であることも特徴である。したがって間質をふくめて多形性腺腫組織は低酸素状態であるという仮説をたて、これを証明するために多形性腺腫由来細胞の増殖における低酸素依存性を試験管内で検討した。その結果、多形性腺腫由来細胞では、低酸素下でのHIF-1α蛋白質の高発現およびVHL遺伝子・蛋白質の低発現によりHIF-1αの分解抑制機構がはたらいており、低酸素状態で核移行したHIF-1αによりVEGFの高発現レベルを維持されることが示された。試験管内でえられた以上の結果は、ヌードマウス移植腫瘍組織・ヒト多形性腺腫組織手術材料の生体組織でも追認され、ヌードマウス背部皮下移植腫瘍内酸素分圧は周囲皮下組織に比して有意に低いことも確認された。以上の機序によって、低酸素環境で増殖さらには転移形質が誘導されている可能性が示唆された。
著者
山本 富士男
出版者
神奈川工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、近年のWeb サービスの基盤となっている分散オブジェクト技術、データベース、オブジェクト共有空間等のソフトウェア技術と、短距離無線通信やセンサ/アクチュエータを用いるフィジカルコンピューティング関連技術に関して、学習者がそれらを連携させ、興味を持って修得できるようにすることにある。具体的には、(1)現実感のある魅力的なプログラミング課題の考察を行い、(2)それらのスマートフォンや分散プログラミング環境での解決、実装例を多数示し、(3)今後の分散アプリケーション開発のための、学習者の環境や要求に応じた適切な連携手段と情報を明らかにした。
著者
中邑 賢龍 坂井 聡 苅田 知則 近藤 武夫 高橋 麻衣子 武長 龍樹 平林 ルミ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、デジタルペンを用いて小学生の読み書きデータを取得し、読み書き速度の標準データを明らかにした。同時に、書字プロセスを時系列的に分析する事で、書き困難を3つのタイプに分類することが出来た。それぞれの困難さに対応した支援技術は即効的であった。支援技術を早期から導入する事で学習の遅れを防ぐ事が出来ると考えられ、その利用を前提にした教育が必要である。
著者
伊藤 浩史 長沼 誠二 片岡 寛章 喜多村 直実
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

頭頚部扁平上皮癌培養細胞株においてHGF刺激前後で発現が変化する種々の遺伝子を制御しているmicroRNAとして上皮間葉系移行(EMT)に関与するZEB1をターゲットとするmiR-200cと、癌細胞の浸潤や増殖因子の活性化に関わるST-14/matriptaseをターゲットとするmiR-27bを同定した。また前立腺癌でGleason score別に癌細胞を分取することによって、生検時のGleason分類ではHigh riskかIntermediate riskか判定困難な症例で、miRNA-182が予後診断マーカーとして有用であることを明らかにした。
著者
森下 將史 高木 丈夫
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

グラファイト上吸着ヘリウム3薄膜吸着第1原子層の固相は2次元量子スピン系のモデル物質を与える。この系の磁性は多体交換相互作用の競合により支配されるが、その詳細は不明であった。本研究では、吸着ポテンシャルのcorrugationが重要な役割を演じていると考え、経路積分モンテカルロシミュレーションによる吸着エネルギーの計算に基づいて吸着構造相図を求めた。最も低面密度の固相である√<3>×√<3>相から面密度の増大に伴い、striped domain wall構造、honeycomb domain wall構造、honeycomb cage構造、incommensurate構造へと、2次構造相転移により次々と移行する。この吸着構造相図は、様々な実験事実を定性的にではあるが、非常によく説明できるものである。特に、最大の謎であった、突然の反強磁性-強磁性転移は、commensurate構造からincommensurate構造へのC-IC転移による多体交換相互作用の競合の変化の結果として説明される。一方、この系の比熱を交換相互作用の大きさと同じの100μK程度の低温まで測定し、広い面密度領域に渡り、2桁以上の広い温度範囲でほぼ温度に反比例する依存性を観測した。局在スピン系の高温比熱は温度の自乗に反比例することが期待され、観測された比熱は異常なものである。この異常なべきの正常値からのずれは、多体交換相互作用の競合の強さを反映したfrustration parameterであると考えられる。観測された比熱のべきは複雑な面密度依存性を示すが、これも本研究により提案された構造相図により説明できる。また、√<3>×√<3>相より低面密度領域で競合が弱まること、流体相の比熱の寄与は観測されず、spin polaronの比熱と考えられるbumpが観測されたことは、これまで直接的証拠が得られていない零点空孔子の存在を強く示唆する。
著者
玉 真之介
出版者
日本農業市場学会
雑誌
農業市場研究 (ISSN:1341934X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-10, 1992-09

The aim of this paper is to reconsider the concept of "modern estate ownership" and to suggest a new approach of the farm land problem by dividing farm land into land systems and tenant systems. In the past, land problems were viewed in terms of the relationship between landowner and tenant farmer. The establishment of tenant rights, in particular, was considered one of the main elements of "modern estate ownership." The farm Land problem in Japan, therefore, has been seen as an incomplete modernization of estate ownership. However, this thinking has overlooked the fact that private land ownership was established after the Meiji Restoration and that Japanese capitalism was generally developed under the regime of private ownership. Moreover, this thinking has also ignored the difference between the many small land owners in Japan and the large holdings of aristocratic landlords in Britain. Thus, we should deal with farm land problems as one part of a land system that was already established in particular historical context and also as a part of a tenant system in which the relationship between land owner and tenant farmer rested on commercial base. In that sense, we must recognize that land systems in different countries are affected by different natural conditions. We must also pay more attention to the situation of both landowners and tenants under the circumstance where capitalistic accumulation in the manufacturing sector affected peasant agriculture.
著者
中村 輝石
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

到来方向に感度を持つ暗黒物質探索実験において、新しい出器NEWAGE-0.3b'開発・生能評価を行ったのちに神岡地下で探索実験を行った。この検出器は、2010年に行われた前回の測定時に比べると次のような改良が施されている。①角度分解能と標的質量から最適化されたドリフト長40㎝とμ-prcを完全に覆うことができるGEMを用いて2倍の体積がある。②低圧ガスを用いることでより短い飛跡に関しての角度分解能を定義できることにより、エネルギー閾値が100keVから50keVに低減している。③新しいデータ取得システムの導入により、飛跡の形状が持つエネルギー損失の情報を用いてガンマ線バックグラウンド事象を効果的に除去できる。④冷却活性炭を用いたガス循環システムと検出器内のドリフトケージを低バックグラウンド素材であるPEEKに置き換えることでバックグラウンド源であるラドンの量を1/50以下に低下できる。2013年の7月から11月にかけて0.327㎏・daysの測定を行い、その間安定性を確認するために定期的にエネルギー校正や検出効率の測定を行った。測定の結果、200GeV/c2の質量の暗黒物質に対して577pbのSD散乱断面積の上限を得た。これは、前回測定時より約10倍感度が高く、方向に感度を持つ実験における世界最高感度を更新した。また、Geant4のシミュレーションを用いて残存バックグラウンド事象について詳細な調査を行い、画像検出器として用いているμ-PICの絶縁体部に含まれる放射性不純物の寄与が大きいことを突き止めた。今後、低バックグラウンドμ-PICの開発が進むとさらに10倍の感度向上が見込まれ、DAMAの主張する領域の探索が可能となる見通しを作った。
著者
鈴木 研
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

三次元半導体実装用金属バンプに用いられる銅はヤング率が結晶方位によって異なる材料である.本研究では,実装構造内残留応力低減のため,ヤング率が最も低い(100)面に配向した銅バンプ作製を可能とするめっき条件,下地材料の探索を行った.(001)面配向のβ-Taバリア層上に銅シード層を形成しめっき成膜した銅薄膜で(100)面配向の増加を確認した.このめっき銅薄膜のヤング率をナノインデンテーション試験により評価したところ,(111)面配向単結晶銅より約20 GPaも小さいヤング率(平均127 GPa)を得た.以上より,結晶方位を制御しためっき銅バンプの作製による低ヤング率化の実現可能性を実証した.