著者
岡田 麻衣子
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本年度は、リガンド依存的なユビキチン制御システムの新たなモデル基質の候補として、プロテアソーム構成因子に焦点を当てて解析を行った。ER陽性乳癌細胞株MCF7において、プロテアソーム阻害剤下においてUBE3Cがプロテアソーム構成因子をユビキチン化することが確認された。しかし、そのユビキチン化の程度は微弱である一方で、女性ホルモンによりERを活性化することで、プロテアソーム構成因子のユビキチン化が顕著に亢進することが示された。UBE3Cによるプロテアソーム構成因子のユビキチン化修飾はプロテアソームの機能に抑制的に働くことを踏まえると、女性ホルモンがER/UBE3Cを介してプロテアソーム阻害剤効果を増強させることが示唆された。そこで、各種乳癌細胞株において女性ホルモンの有無に応じた乳癌細胞株のプロテアソーム阻害剤の感受性を検討した。その結果、ER陽性乳癌細胞株の阻害剤の感受性は、ER陰性乳癌細胞と比較して低い傾向にあったものの、女性ホルモンの添加により顕著に亢進することが示された。上記の系において既存の多様なER合成リガンドの評価を行った。SERMをはじめとする既存のリガンドはERの転写機能に部分的に作用することが知られているが、UBE3Cを介したERのユビキチン制御能に対する作用は未知である。その結果、ER陽性乳癌細胞株において、ERの転写機能に対するアンタゴニストとであるタモキシフェンとラロキシフェンは、プロテアソームに対するER/UBE3Cの機能に対してはアゴニストとして作用する可能性が示唆された。このことから、本モデル系はERの"機能”に選択的なリガンドの特定に有用であると考えられる。さらに、このような機能選択的なリガンドの評価を個体で確認することを想定し、UBE3Cノックアウトマウス及びノックインマウスを作出した。また、新たにこれらの生体内での意義として、DNA損傷応答に寄与する可能性を見出した。
著者
是永 美樹
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.123, no.1578, 2008-07-20
参考文献数
1

マカオの都市拡大政策とカジノ産業は過去も現在も相互依存関係にあるが、中国への返還を機にこの関係は新たな展開を迎え、更なる飛躍を目論み、日夜戦略を巡らせている。
著者
今永 清二 ウンガムニサイ ノム ウオルカウイン カウイ コンチャナ プラップルン ファルーク オマール WORRAKAWIN Kawee KONGCANA Plubplung コンチャナ ブラップルン ノム ウンガムニサイ カウイ ウオルカウイン ブラップルン コンチャナ アルン チャウジェン ブラッブルン コンチャナ 利光 正文
出版者
広島女子大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

東北タイとラオスのイスラム共同体の成立時期は約100年前と推定され、主としてパキスタン人、インド人ムスリムの移住により成立したものである。この地域のムスリムは商業、牛の飼育、牛肉販売に従事している。なお、東北タイとラオスには各1ヵ所のチャム人のイスラム共同体があり、これはカンボジアから移住してきたチャム人の共同体である。以上のムスリムはスンナ派であるが、ラオスのインド人イスラム共同体の場合は、カ-ディリ-教団のス-フィズムの名残りを色濃くとどめていて、注目される。カンボジアのイスラム共同体の殆どはチャム人の共同体である。現在のベトナム中・南部にチャンバ王国を建てたチャム人は、北の強国ベトナムの侵略を受け、15世紀後半、17世紀末、19世紀初の3期を画してカンボジアに移住してきた。今日、チャム人ムスリムはカンボジア政府の民族政策によって「クメール・イスラム」と総称されているが、実際にはジャフド、チャム、チャム・ジュバの3類型に分類することができる。ジャフドとチャムは、チャム語を母語とするムスリムであるが、チャム・ジュバは、14、5世紀頃カンボジアに移住していたジャワ人やマレー人とチャム人とが混血し、文化的にも同化していって形成されたムスリムである。彼らはクメール語を日常語とし、またマレー語やマレー文化に親近感をもつムスリムである。これらチャム人ムスリムは、メコン川やトンレサップ湖の漁業に従事している。コンポン・チュナンやシェムリアップにおいては、川の中のモスクや浮船のスラウを中心に水上生活を営むチャム人ムスリムの調査を行い、イスラムの地域的特色と多様性を明らかにすることができた。
著者
新田 栄治 西谷 大 井上 和人 渡辺 芳郎 BUI Chi Hoan CHAIKANCHIT CHALIT Chaik
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

メコン流域の先史時代から初期国家成立にいたる文明化現象について、ベトナム南部、タイ東北部、ラオス南部、カンボジアのメコン流域とその近隣地域で考古学的調査と研究を行った。ベトナム南部においては、メコン・デルタおよびドンナイ川流域の調査を行い、各地で前3世紀以降、河川毎に地域的統一化現象が起きていることを確認した。タイ東北では首長の威信財であったと考えられる銅鼓資料の収集を行い、合わせてメコンおよび支流のムン川、チー川、ソンクラーム川の流域と各河川の合流点が、メコンと支流の河川交通とコーラート高原内陸部とメコン本流およびベトナム沿岸地域との交通の重要な地域であったことを確認した。ラオス南部チャンパサック県の調査では,メコンの河川交通遮断地であるコーン瀑布上流域の河川交通上での経済的、政治的意義を調査した。カンボジアではプノンペン一帯での河川交通の意味を調べるため、メコン、トンレサップ等4つの河川の合流点を考古学的に調査し、博物館資料として保存してあるカンボジアの青銅器、特に銅鼓を中心に資料収集を行った。現地調査の結果、メコン流域とその支流域には、東北タイに代表される鉄や塩、森林産物などの内陸産物を集荷また出荷するセンターが前3世紀ころから誕生したこと、これらのセンターの首長の威信財として東南アジアの代表的青銅器であるヘーガー1式銅鼓が受容されたこと、このような経済的、政治的拠点は、メコン本流とその支流の交通と運輸の拠点、つまり合流点、遮断点、島などに形成されたことが明らかとなった。これらの拠点的地域の中から後1世紀以降の都市の成立さらには国家形成へと進むものがあった。
著者
神取 秀樹 須藤 雄気 井上 圭一 岩田 達也 片山 耕大 山田 大智
出版者
名古屋工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

多くの生体分子は共通の構造をもとに多彩な機能を演出している。本課題で我々は、ロドプシンやフラビンタンパク質などを対象として機能の発見・転換・創成をテーマに柔らかさと機能との関わりを研究した。その結果、内向きプロトンポンプや新規チャネルロドプシン、環状ヌクレオチドを光で分解する酵素ロドプシンなどの発見を報告した。一方、機能転換については、ロドプシンやDNA光回復酵素に対して限られた変異導入により機能転換に成功したが逆方向は成功せず、非対称な機能転換が明らかになった。機能の創成に関しては、光駆動ナトリウムポンプの構造基盤に基づき、カリウムやセシウムをポンプするタンパク質を創成することができた。
著者
竹中 千春 網谷 龍介 磯崎 典世 戸田 真紀子 田村 慶子 小川 有美 中田 瑞穂 津田 由美子 合場 敬子 森本 泉 小嶋 華津子 柄谷 利恵子 勝間 靖 浪岡 新太郎 中村 文子 河本 和子 木村 真希子 中村 唯 小倉 清子 サンギータ ラマ アニー ダンダヴァティ ウルバシ ブタリア パメラ フィリポーズ
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ジェンダー研究の提起した概念や理論を導入し、国際政治学・国際関係論の再構築をめざすプロジェクトである。グローバリゼーションの波を被る国家や社会、および「国際体制(International Regime)」の変動について、成熟社会・成長社会・危機社会における政治過程と政治現象の事例分析をもとに、現代世界における「ジェンダー・ダイナミクス(gender dynamics)」を分析した。
著者
河邉 真也
出版者
福井県立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

マガキは、他の多くの水棲生物と比べて様々な環境ストレスに強い耐性を示し、特に低酸素状態に陥る空気曝露に強い耐性を示す。これは、マガキが空気に晒される潮間帯の岩礁などに生息する固着性二枚貝類であることから、遺伝的に獲得してきた能力であろう。しかし、空気曝露ストレスに応答して発現するストレス応答遺伝子群の転写レベルでの調節機構の詳細は殆どわかっていない。プロモーター領域をクローニングしたところ、空気曝露により転写誘導される分子シャペロンCRTおよびGRP94には低酸素応答エレメントHREが認められた。このことから、これら遺伝子は空気曝露の間、低酸素応答性転写因子HIF-1によってその転写レベルが調節されていることが示唆された。また、熱ショック転写因子HSF1のプロモーター領域にもHREが認められた。real-time PCR法による発現解析の結果、マガキのHSF1は転写レベルで空気曝露誘導性を備えており、8種のHSF1変異体の応答様式は各種異なることが明らかとなった。各々のHSF1変異体は、機能モチーフの構造が異なることから、遺伝子発現制御において異なる役割を担うと考えられた。また、哺乳類でHSF1によりその転写が誘導されるHSP70は、空気曝露の間、マガキにおいてはHSF1の発現以後に転写レベルで顕著に誘導されていた。また、構成型であるHSC71は、空気曝露の間、転写レベルでの誘導は認められなかった。これらの結果から、マガキの空気曝露応答機構において、HIF-HSF経路およびHSF1の新規アイソフォームを介した全く新規の空気曝露応答機構の存在が示唆された。
著者
松鵜 彩
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

犬赤血球内寄生原虫であるBabesia gibsoni培養系にDeferoxamine、トランスフェリン(Tf)およびラクトフェリン(Lf)を添加したところ、Deferoxamineによる原虫の増殖抑制作用が認められた。培養液中に添加した59Feの赤血球への鉄取込みは添加直後に開始され、感染赤血球および非感染赤血球の間に差は認められなかった。59Fe-Tfの取込みは認められなかった。Far Western Blot法により、B. gibsoni感染赤血球由来可溶性蛋白中に存在するTfおよびLf結合蛋白は確認されなかった。以上の結果からB. gibsoniの非ヘム鉄の取込みは宿主赤血球の能動的な鉄取込みのみに依存するものと考えられた。
著者
天野 英樹 江島 耕二
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

今回の研究で野生型及びPGE2のサブタイプであるEP3受容体欠損マウス(EP3KO)と野生型マウス(WT)を用いてLewis肺癌細胞の同所性移植による縦隔リンパ節転移モデルを作成し、リンパ濾胞で産生されたCOX-2 由来のPGE2が免疫抑制性樹状細胞のEP3受容体 を介し癌細胞がリンパ節に転移する前に免疫 抑制性樹状細胞が集積しEP3受容体を介しケモカイン(SDF-1)を産生しTregを活性化することで、更に増殖因子の一つであるTGF-bの産生を促すことで一層転移をしやすい土壌いわゆるpre-metastatic nicheを作成し癌細胞の集積を促すことを明らかにした。
著者
鴨良弼編
出版者
成文堂
巻号頁・発行日
1980
著者
高見沢 実
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

現行のゾーニングは「ユークリッドゾーニング」として20世紀に普及したが、近年、用途分離の弊害等が大きな課題となり、米国ではニューアーバニズムの計画論が制度に取り入れられるようになり、先進的ゾーニングの普及段階へと入った。本研究の前半部ではこの制度化のプロセスを体系的にとらえるとともにゾーニング技術進化の内容を整理した。日本ではゾーニングをはじめ都市計画制度が未だ中央集権的であり、人口減少時代の新たな計画論に対応するためには都市計画制度そのものの地方分権の中でゾーニングを使いやすくすることが重要ととらえ、全国自治体を対象にアンケート調査を実施し分析・考察したのが後半である。
著者
荒井武美[ほか]編集
出版者
郷土出版社
巻号頁・発行日
1988
著者
内山誓一 編
出版者
桑陽館
巻号頁・発行日
1913