著者
麻柄 啓一 伏見 陽児
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.212-218, 1980-09-30

本研究は,幼児の法則学習における「劇化」教材の効果を検討したものである。 われわれは,Brunerの提案する劇化装置(dramatizing devices)にさらに厳密な概念規定を与え,学習されるべき事実や法則が一連のストーリーの中で提示されるだけではなく,さらに,それらの事実や法則がストーリーの筋や結末を左右するようになっているとき,これを「劇化」教材と呼ぶことにした。このような「劇化」教材が幼児の法則学習を有効に援助し得ることを調べるのが,本実験の目的であった。 対象児は,平均年齢6歳3か月の幼児48名であり,事前テストの結果から等質な2グループに分けた。一方にはわれわれの作成した「劇化」教材を,他方には非「劇化」教材を与えて,重さの保存の法則を教授した。結果は以下のとおりである。 (1)「劇化」教材で学習したグループ(dt群)は,非「劇化」教材で学習したグループ(nd群)より,事後テストで有意に高い得点をあげた。 (2)再生課題,転移課題とも,dt群がnd群にまさった。 (3)事前テストの成績から対象児を高成績群と低成績群に分けた場合,dt・高成績群とnd・高成績群の間には,事後テストの得点に有意な差はなかったが,dt・低成績群はnd・低成績群より事後テストで有意に高い得点を示した。 (4)教材提示の回数(1回or2回)は,事後テストの成績に影響を与えなかった。 (5)事後テストで,実物を用いて質問する方が,同一事態を絵カードを用いて質問するより,高い得点をあげる傾向があった。
著者
岩手県知事
出版者
岩手県
巻号頁・発行日
2011-04-11
著者
杉 繁郎 大塚 勲
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.77-79, 1984-09-20

1983年4月,熊本県上益城郡矢部町目丸で採集された5♂の標本にもとづいて,新種Orthosia yoshizakii SUGI & OHTSUKAヒゴキリガ(新称)を記載した.本種は,日本産Orthosiaのうちでは,もっともO.lizetta(BUTLER)クロミミキリガに似るが,雄の触角が鋸歯状である点で,容易に区別される.その他の種とは,前翅の環状紋は暗色点で表され,環をもたないこと,腎状紋全体がほぼ一様に黒く染められることなどが区別点となる.雌は未知.上記の標本は著者のひとり大塚が,吉崎一章氏とともに採集したもので,同氏の多年にわたるご協力に対し厚く御礼申し上げる.種名は同氏に献名したものである.
著者
遠田 勝
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近代日本におけるオリエンタリズムの多様な役割を検証するために、その分析の対象を欧米人のいわゆる日本論や日本人論、あるいはアカデミックな日本研究から、短い雑誌記事やフィクション・民話における「語り」に広げ、さまざまな事例を検討した。それにより、たとえば、ハーンのオリエンタリズム的物語が逆輸入され、日本の民話の語りを変容させた事例などが発見され、異文化の歪曲と圧殺という、オリエンタリズムについての西洋の公式見解とは異なる役割を論証し得た。
著者
林 宏美 宇陀 則彦 松本 浩一 二階堂 善弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.36-45,46, 2002
被引用文献数
2 1

本論文は道教の教典「正統道藏」に含まれる道教呪術の理論的解説書「道法會元」の電子化実験について報告する。道法會元は宋から元の時代にかけて成立したといわれ、道教の儀式に用いられる符などの図が中心の資料である。歴史資料を電子化する際にはその資料の特徴を考慮した電子化が必要である。道法會元では、図と文字が混在しているという特徴を活かす視点で、図の論理構造を記述する電子化を行い、WWWベ一スの「道法會元」検索システムを実現した。また、電子化作業の際に発生する問題点について考察した。
著者
木下 武徳
出版者
北星学園大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、3年計画の本研究の3年目であった。昨年度にアメリカの福祉改革の全体像とその民間化の状況、ウィスコンシン州における民間化の特質などについては、まとめた。そのため、本年度は、ロサンゼルスとニューヨークの調査研究とそのまとめを行う予定であった。それを踏まえて、研究業績の概要を述べると、次のようである。第一に、ロサンゼルスには9月3日から12日まで行き、民間化された福祉事務所や管轄しているロサンゼルス・カウンティの社会福祉部の本庁などに訪問調査を行うことができた。そのなかで、インタビュー調査や公開されていない資料等を入手することができた。第二に、それらロサンゼルスでの現地調査を踏まえて、『社会科学研究』(東京大学)に、「ロサンゼルスの福祉改革における民間化の特質-GAINケースマネジメントを中心に」の論文を掲載することができた。これは、民間化された福祉事務所の委託契約の流れとそのインセンティブ収入や成果目標などをどのように設定し、福祉事務所運営を任された企業をいかに行政コントロールしているのかを明らかにした。第三に、これらのアメリカの福祉改革の権限委譲(地方分権、民間化)の枠組みを援用しながら、日本の社会福祉制度をどのように見ることができるのかを『北星論集』(北星学園大学)にて、共著であるが、研究成果を公表した。第三に、ニューヨークの福祉改革における民間化の動向については、昨年度現地に訪問することができなかったため、詳細のつめがまだ不十分であり、これまでの研究を踏まえて2008年度以降に研究成果を公表できるようにしたい。以上

1 0 0 0 OA 食育白書

出版者
内閣府
巻号頁・発行日
vol.平成22年版,
著者
神谷 和秀
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013

高効率かつ安価な酸素還元触媒の開発は燃料電池のさらなる普及拡大のために必要不可欠となっている。本研究では鉄と窒素をグラフェン面内に短時間熱処理によって導入した酸素還元触媒(Fe/N-graphene)のさらなる高活性化を目的としている。今年度は高活性化に向けて、Fe/N-grapheneの構造および酸素還元活性メカニズムを放射光を用いて明らかにした。まず広域X線吸収微細構造(EXAFS)によって鉄周りの配位構造を明らかにした。その結果、一般的な炭素触媒を作製するような30minを超えるような長時間の熱処理では容易に切断されてしまう鉄-窒素配位構造が、短時間熱処理によって作製する本触媒においては残存しており、その鉄-窒素配位構造が高密度にグラフェン面内にドープされていることが明らかになった。また、Fe/N-grapheneと窒素を加えずに作製したグラフェン(Fe-graphene)の鉄L端の軟X線吸収分光スペクトルを比較したところ、窒素から鉄への強い電子供与に基づき鉄の電子密度が向上していることが明らかとなった。これにより、鉄から酸素の反結合性π軌道に強いπ逆供与が生じ、その結果、酸素分子のO=O結合が活性化され、酸素還元反応が効率的に進行したと推察された。このように、短時間熱処理で作製した触媒は前駆体の触媒活性を決定する構造的本質(この場合は鉄-窒素配位結合)を残す形で炭素構造内に導入することが可能であることが示された。これは錯体触媒の活性と炭素材料の耐久性の両立した触媒の合成が可能であることを示している。
出版者
東津軽郡農会
巻号頁・発行日
1911
著者
藤広 満智子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.107-110, 2013 (Released:2013-06-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
勝又 大介 大野 学
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.873-878, 2013

This paper describes development of an in-pipe mobile robot driven by pneumatic pressures. Town gas is supplied to houses through polyethylene pipes laid under the road. It are necessary to inspect these pipes regularly caused by the gas leak owing to earth load and oscillation for driving cars on the road. The robot is fabricated on the model of a green caterpillar for the purpose of inspecting these pipes. The caterpillar moves forward on leaf by waving motion of somites and clinging to a leaf for using abdominal legs and anal prolegs. The robot is structured by three somites and four suction brakes. This somite which structured by four pneumatic bellows actuators plays the role of the caterpillar's somite, and suction brake plays the role of the abdminal prolegs and anal prolegs. We confirmed that the robot's moving speed is 9.2 mm/s at acrylic pipe more 110 mm in inner diameter, and maximum traction force is 28.4 N. The robot having traction force 28.4 N can move mathematically in a horizontal pipe which has two elbows and 30 m length. In addition, mechanism of traction force is clarified by using the dynamic model of the robot.
著者
藤野 敬久 福田 直樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

SPARQLを用いた検索では,オントロジーで定義された概念を用いる.しかし,検索対象が持つオントロジーと検索を行う者が持つオントロジーが異なる概念化を行なっている場合には,検索者が持つオントロジーに基づいた検索を行えるようにしたい.このために,本発表では,クエリ変換によりオントロジーの差異を適切に反映する手法を検討する.