著者
大村 知子 山内 幸恵 平林 優子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.393-402, 2008-06-15

人体の動作により衣服にはひきつれやだぶつきといった着くずれが生じる.本研究では,姿勢変化の過程における人体とパンツの軌跡を三次元動作解析システムにより捉え,動作により人体とパンツがずれるプロセスの解明を試みた.また,ずれの量や方向についてパンツ別,被験者別,動作別に比較を行った.主な結果は次のとおりである.(1)ずれの量は開口部で大きく,ずれは皮膚の伸展の大きい部位に向かって生じた.(2)ずれはアンクルラインやニーラインなど衣服にゆとりが多い部位で先に生じ、それからウエストラインなど衣服のゆとりが少ない部位で徐々に生じる傾向にあった.また,ずれは水平方向や横方向へ先に生じ,その後に垂直方向に生じる傾向にあった.(3)股上が浅く,ゆとりの大きいパンツは,後ウエストラインにおいて下方へのずれの量が大きかった.立位から蹲踞への動作では立位から椅座への動作よりウエストラインにおいて後方へのずれの量が大きかった.また,ずれの量や方向は被験者の着衣の仕方や好みに影響を受けた.
著者
渡辺 雅子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.35, pp.573-619, 2007-05-21

本稿では、日米仏のことばの教育の特徴を比較しつつ、その歴史的淵源を探り、三カ国の「読み書き」教育の背後にある社会的な要因を明らかにしたい。まず日米仏三カ国の国語教育の特徴を概観した後、作文教育に注目し、各国の書き方の基本様式とその教授法を、近年学校教育で養うべき能力とされている「個性」や「創造力」との関係から比較分析したい。その上で、現行の制度と教授法、作文の様式はどのように形作られてきたのか、その革新と継続の歴史的経緯を明らかにする。結語では、独自の発展を遂げてきた各国の国語教育比較から何を学べるのか、日本の国語教育はいかなる選択をすべきかを、「国語」とそれを超えたグローバルな言語能力に言及しながら考えたい。

37 0 0 0 OA 名将百話

著者
足立栗園 著
出版者
積善館
巻号頁・発行日
1911
出版者
京都大学公共政策大学院
雑誌
公共空間
巻号頁・発行日
vol.2011 Autumn, pp.24-26, 2011
著者
豊前 太平 (嶋田 太平)
出版者
東京工業大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

【目的】煮込み調裡における食材へのうま味のしみ込み現象は,煮汁中のうま味成分が食材表面から内部へと浸透する物質移動現象である.本研究は,ゆで卵への調味という身近なテーマを題材とし,高校の教育課程では触れることの少ない化学工学(移動現象論)について,入門的な学習機会を創出することを目的とする.ここでは,食材(ゆで卵)への物質移動について,食紅を用いた視覚的評価,および,煮汁中の金属カチオン濃度の定量的評価から考察する.【題材】おでん料理では,事前に作ったゆで卵を,殻を剥いた状態で煮汁に浸して調味する.一方,「味付けゆで卵」と称されるゆで卵は,「殻付き」の状態で味付けを施されたゆで卵であり,味付けに係わる物質移動は,卵殻を介する点で,おでん料理の場合と大きく異なる.本研究では,味付けゆで卵の調味プロセスについて取り上げる.【実験】精製水,市販の硬水(硬度1468mg/L),または,イオン調製水(Mg^<2+>,Ca^<2+>またはNa^+;0.025~0.1mol/L)500mLをビーカーに取り,生卵を投入後,ガスコンロにて加熱した.沸騰から5分経過後に加熱を終了し,すみやかに卵を取り出した.また,精製水または市販の硬水200mLに食紅0.05gを溶解し,その中に加熱後の殻付きのゆで卵を3~24時間浸すことにより,物質移動の視覚的評価を行った.さらに,卵殻に精製水20mLを入れ,75℃に調節したイオン調製水50mL中で所定時間加熱し,卵殻を通した金属カチオンの移動を評価した.金属カチオンの定量には,イオンクロマトグラフィーまたは原子吸光光度計を用いた.【結果】煮汁から卵殻内への金属カチオンの移動は,浸漬時間60分程度では,有意に現れなかった.これは着色による評価でも同様に観察され,白身の着色は,薄くまばらであった.浸漬時間が24時間と長くすることで,卵殻を通した白身の着色は明確になった.
著者
中村 博一
出版者
文教大学大学院言語文化研究科付属言語文化研究所
雑誌
言語と文化 (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.256-271, 2011-03 (Released:2011-10-13)

Ninja is said to be the ancient warrior originated in Japan. Nowadays its transnational emerging has been seen globally, even in Sokoto, northern Nigeria where I have conducted field research for Nollywood kungfu film since 2001. In this article, I trace some transnational process of ninja representation outside Japan and consider ways to transform global image into a localized ninja/ninjoji of Sokoto.
著者
Kota Katanoda Tomomi Marugame Kumiko Saika Hiroshi Satoh Kazuo Tajima Takaichiro Suzuki Akiko Tamakoshi Shoichiro Tsugane Tomotaka Sobue
出版者
Japan Epidemiological Association
雑誌
Journal of Epidemiology (ISSN:09175040)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.251-264, 2008 (Released:2008-12-17)
参考文献数
40
被引用文献数
98 108

Background: Quantitative measures of the burden of tobacco smoking in Asian countries are limited. We estimated the population attributable fraction (PAF) of mortality associated with smoking in Japan, using pooled data from three large-scale cohort studies.Methods: In total, 296,836 participants (140,026 males and 156,810 females) aged 40-79 years underwent baseline surveys during the 1980s and early 1990s. The average follow-up period was 9.6 years. PAFs for all-cause mortality and individual tobacco-related diseases were estimated from smoking prevalence and relative risks.Results: The prevalence of current and former smokers was 54.4% and 25.1% for males, and 8.1% and 2.4% for females. The PAF of all-cause mortality was 27.8% [95% confidence interval (CI): 25.2-30.4] for males and 6.7% (95% CI: 5.9-7.5) for females. The PAF of all-cause mortality calculated by summing the disease-specific PAFs was 19.1% (95% CI: 16.0-22.2) for males and 3.6% (95% CI: 3.0-4.2) for females. The estimated number of deaths attributable to smoking in Japan in 2005 was 163,000 for males and 33,000 for females based on the former set of PAFs, and 112,000 for males and 19,000 for females based on the latter set. The leading causes of smoking-attributable deaths were cancer (61% for males and 31% for females), ischemic heart diseases and stroke (23% for males and 51% for females), and chronic obstructive pulmonary diseases and pneumonia (11% for males and 13% for females).Conclusion: The health burden due to smoking remains heavy among Japanese males. Considering the high prevalence of male current smokers and increasing prevalence of young female current smokers, effective tobacco controls and quantitative assessments of the health burden of smoking need to be continuously implemented in Japan.
著者
斎藤 貴江子
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.108-115, 2018 (Released:2018-05-28)
著者
奥邨 大輔 塩崎 一紀 三田 村隆 菅野 幸雄 嶋倉 一實 横山 真太郎
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成19年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1375-1378, 2007-08-24 (Released:2017-08-31)

The present study describes control methods for influenza virus. We verified the effect of slightly acidic electrolyzed water on influenza virus in both fluid condition and aerosol condition. By the hemagglutination test and the TCID50 test, it was confirmed that virus lost its viral activity drastically. In addition, we introduced the new system adopted electrolyzed water into school facilities. Experimental results showed the effect of keeping adequate relative humidity and decreasing airborne common bacteria and fungi.
著者
稲葉 洋平 大久保 忠利 杉田 和俊 内山 茂久 緒方 裕光 欅田 尚樹
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.31-38, 2014 (Released:2014-01-29)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

Objective: To determine constituents of fillers and mainstream smoke from Neo Cedar. Methods: Neo Cedar is a second-class over-the-counter (OTC) drug and similar to cigarettes in a number of ways. In particular, the design and usage are very similar to those of cigarettes. For the fillers of the drug, the levels of nicotine, tobacco-specific nitrosamines (TSNA), and heavy metals, and mutagenicity were determined using the methods for cigarette products. For the mainstream smoke, the levels of tar, nicotine, carbon monoxide (CO), TSNA, polycyclic aromatic hydrocarbons (PAH), and carbonyl compounds were also determined using the methods for cigarettes. The mainstream smoke from the drug were collected with a smoking machine using two smoking protocols (ISO and Health Canada Intense methods). Results: The nicotine and total TSNA levels in the fillers of the drug averaged 2.86 mg/g and 185 ng/g, respectively. The nine species of heavy metals were also detected in the fillers of the drug. The levels of nicotine, tar, CO, TSNA, PAH, and carbonyl compounds of mainstream smoke from the drug were higher when determined using the HCI regime than when using the ISO regime. The mutagenicity of the mainstream smoke determined using the HCI regime was also higher than that determined using the ISO regime. Conclusion: In this study, all constituents of Neo Cedar were determined by methods for cigarette products. The drug had a ventilation hole on its filter. Thus, its constituents are different from those determined by the smoking protocols. Neo Cedar users should be careful of higher exposure to the hazardous gases owing to smoking patterns.
著者
小川 雄一 Momin Md. ABDUL 倉本 誠 河野 靖 椎木 友朗 山本 一哉 近藤 直
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.255-261, 2011-04-15 (Released:2015-09-03)
参考文献数
12
被引用文献数
7 7

The fluorescent substances in citrus fruit peels were investigated by NMR analysis and excitation, and
著者
鈴木 恵輔 加藤 晶人 光本 (貝崎) 明日香 沼澤 聡 杉田 栄樹 中村 元保 香月 姿乃 井上 元 柿 佑樹 中島 靖浩 前田 敦雄 森川 健太郎 土肥 謙二
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.35-38, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
10

ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン薬であり過量内服により多彩な中毒症状を呈するが, 重症例では最悪死に至ることがある。近年インターネットなどで取り上げられ, 自殺目的での中毒症例の増加が懸念されている。今回, 市販の抗ヒスタミン薬の大量服薬により心肺停止に至った症例を経験したので報告する。17歳女性。公園内で倒れているところを通行人が発見し救急要請。ジフェンヒドラミン12,000mg内服したと推定され, 救急隊現着時には心肺停止状態であった。当院救命救急センター来院時も心肺停止状態であり蘇生することはできず永眠となった。後日ジフェンヒドラミンの血中濃度を測定したところ, 来院時の血中濃度は26.73µg/mLと過去に報告されている心肺停止症例と比較しても高値であった。OTC医薬品として簡単に手に入る薬剤での死亡症例のため治療側も販売側も十分に注意していく必要があると考えられる。
著者
永井 宏達
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-6, 2023-08-21 (Released:2023-08-23)
参考文献数
5

いわゆる介護予防(要介護化の予防)のニーズの向上に伴い,近年は地域リハビリテーション活動支援事業や保健事業と介護予防の一体的実施の事業等を通して療法士が地域で活動する機会が増えている。地域での介護予防に関わる上では,療法士に求められている役割を正しく把握し,自身の関りで個人や地域にどのような好影響を与えることが出来るかを常に考えることが求められる。事業形態に合わせて対象者の状態を適切に評価するとともに,対象者の状態に応じて他の専門職との連携や他部門への接続を積極的に検討する。通いの場は互助に位置づけられることから,専門職が主導することなく,住民の主体性を支援する関りを心掛ける必要がある。一方,療法士が専門職として関わることによる介護予防のエビデンスは発展途上であり,専門性の強みを示していくことも併せて求められる。
著者
植村 優衣 齊藤 奈緒 多留 ちえみ 宮脇 郁子
出版者
日本慢性看護学会
雑誌
日本慢性看護学会誌 (ISSN:18822061)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1_41-1_50, 2021-05-25 (Released:2021-05-25)
参考文献数
21

訪問看護師が訪問開始から看取り後に実践するグリーフケアを明らかにした.訪問看護師17名に半構造化面接を行い質的に分析した.訪問看護師は,訪問開始から【利用者らしく家での穏やかな時間を過ごせるように可能な限り心身の苦痛を緩和する】【家で24時間介護している家族の心身を支える】実践を行っていた.さらに,【利用者らしい生活が送れるように利用者と家族の価値観や思いを大切にして関わる】ようにしていた.その上で,【利用者と家族が納得してお別れできるように思い出を残す】【利用者と家族の心情に寄り添いながらお別れの準備ができるように関わる】を行い,【利用者と家族が望んだお別れができるように環境を整える】【遺族が新たな生活を送れるように共に故人を偲びつつ悲しみを分かち合う】に繋げていた.そして,これらの実践のために常に【利用者と家族がかけがえのない時間を過ごせるように責任と覚悟をもって全力で支える】を行っていた.本研究は,訪問看護師が実践するグリーフケアの実践を可視化できたと考える.