著者
虫明 眞砂子 財満 健史 大脇 雅直
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

アマチュア合唱団員とプロ合唱団員は,合唱歌唱の発声をそれぞれどのように捉えているのか。まず、アマチュアとプロ合唱団員に対して質問紙調査を行った。その結果、両合唱団員は,ソロ歌唱と合唱歌唱それぞれの特質を認識し,両歌唱に適した発声技術で歌唱しようとしていることが明らかになった。次に、プロ歌手4名に発声を依頼し,合唱歌唱とソロ歌唱で,発声をどのように変化させているのか,歌い方の違いでどのような音響学的な差異が出るのかを,聞き取り調査と音の可視化装置によって,より客観的に捉えることを試みた。その結果、和音発声,旋律発声のいずれでも,4名の合唱歌唱では,音の到来方向が中央に収束する傾向が確認された。
著者
暮沢 剛巳 江藤 光紀 加島 卓 鯖江 秀樹 飯田 豊
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

4年計画の2年目に当たる本年度は、各メンバーとも初年度から行ってきた基礎調査を継続する発展させると同時に、国内外での現地調査を本格化させ、さらに多くの情報を収集することを目指した。暮沢は夏季に江藤と合同で中国での調査を行ったほか、その直後にイギリスでも調査を行い、また国内でも京都の国際学会や研究会に参加したほか、沖縄でも調査を行った。江藤は暮沢と合同で中国で調査を行ったほか、ドイツでも調査を行った。鯖江は主に資料収集に注力した。加島は多くの外国語文献を収集したほか、大阪で70年大阪万博についての現地調査を行った。飯田は70年大阪万博についての多くの資料を収集した。各メンバーの活動は基本的には個人単位で行ったが、定期的に連絡を取り合って情報を交換し、また8月上旬には京都で、3月中旬には東京で全員が一堂に会しての研究ミーティングを行った。個別の研究成果に関してだが、暮沢は紀元2600年万博についての論文を発表したほか、オリンピックについての共著を出版し、そのなかで万博についても扱った。江藤は今年度は基礎研究に専念した。鯖江は2本の論文を発表したほか、翻訳書を出版した。加島は2本の論文を発表したほか、学会での研究報告を行った。飯田は単著『メディア論の地層』を出版したほか、70年大阪万博に言及した論文を発表したが、2020年初頭からのコロナウイルスの急速な感染拡大の影響で、一部の計画を変更し、研究費の一部を次年度に繰越使用するなどの影響が出た。以上の実績を踏まえて、3年目に当たる次年度以降も引き続き積極的に調査研究に取り組んでいく予定だが、コロナウイルスの急速な感染拡大が計画に影響を及ぼすことは避けられないので、注意していく必要がある。
著者
前田 修作
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

有効な治療法が限られる重症下肢虚血患者は増加しており再生医療に強い期待が持たれているが、未だ重症例では治療効果が十分ではなく治療効果の高い細胞の開発が大きな課題であると考えられる。我々はNotchシグナルに関する遺伝子の改変を行った間葉系幹細胞(SB623)が系の大きい動脈の発生(Arteriogenesis)を誘導することで重症下肢虚血に対して高い血流改善が得られるという仮説を立てた。この細胞の治療効果とそのメカニズムを動物実験モデルで証明することで、重症下肢虚血に対してより高い治療効果をもつ細胞治療を確立することを目的とする。
著者
及川 靖広 池田 雄介
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、光音響効果を用いた音源生成の理論を確立し、最終的にはそれを気体中に適用することで任意の音源を再生可能な空中音源の生成を目指している。本年度は、初年度の成果に基づき、物体表面を音源位置とする音響信号の再生を目指し、システム構築、実験を行なった。光学的音響計測器を構築し、音波生成の様子を確認した。具体的には、以下の課題について取り組んだ。(1)複数の周波数を再生可能なシステムの構築:初年度は光音響効果という物理現象の基礎的な特性を明らかにするため、正弦波などの単純な定常音の発生を対象としたが、レーザパルスの周波数を変えることにより複数の周波数の音を再生可能なシステムを構築した。レーザを金属、木材、炭化コルク等に照射して、音の発生を確認した。光を照射する物質との関係など、光音響効果に関わる様々な要因を実験により確認した。(2)音源のプロジェクションを目指した処理:可動式ミラーによりレーザ光照射位置を変えることができるシステムを構築し、光を照射した場所を音源とすることができることを確認した。このシステムにより移動音源を生成可能であることを実験により確認した。(3)光学的音響計測による音源近傍の計測:我々がこれまで開発してきた位相シフト干渉法と偏光計測技術を組み合わせた空気の屈折率変調を定量的かつ高速高空間分解能で計測可能な計測器を用いて、音波発生の様子を計測するために音源近傍の観測を行ない、音波発生の様子を可視化した。
著者
太田 晴久 橋本 龍一郎 金井 智恵子 山田 浩樹
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ASDと ADHDの存率は高いことが報告されおり、両障害に共通して感覚過敏が認められる。本研究ではDTIを用いて、両障害における白質繊維走行の異同および感覚過敏との関連について調査した。知的障害のない成人のASD、ADHD、健常発達成人合計約200人を対象とした。脳梁において発達障害群で健常成人群と比較して白質繊維走行の異常が認められた。それは両障害で共通した所見であり、両障害間での統計学的に有意な差異はみられなかった。発達障害群で感覚過敏の評価尺度の点数と白質繊維走行に関係する値との相関を示した部位は両障害間で共通しているところが多くみられた。
著者
宮崎 充功 坪田 敏男 下鶴 倫人
出版者
北海道医療大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、「冬眠」を長期間の寝たきり状態と仮定して、冬眠動物(ツキノワグマ)がどのような仕組みを利用して骨格筋量を維持しているのか、筋肉細胞の中のタンパク質や遺伝子の働きに注目して解析しました。その結果、骨格筋量の維持に影響を与える因子のうち、筋タンパク質合成を促進する命令系統が冬眠後の筋肉で活性化されていることや、筋肉が大きくなり過ぎないようリミッターの役割をしている遺伝子の働きが冬眠中に抑えられていること、などがわかりました。
著者
笠井 孝久
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、子どもたちがナマハゲ行事によって感じる恐怖の性質を明らかにした。子どもたちはナマハゲに対して強い恐怖を感じるが、それらは一過性のものでトラウマにならない。その要因は、ナマハゲが神性をもつ存在として、地域住民の生活の中に位置づけられているという文脈によるものと考えられる。また、恐怖の感じ方、表現は年齢による変化があることが明らかになった。ナマハゲ行事は、子どもたちに恐怖とどのように向き合い、どのように統制していくかを経験させる機会となっていると考えられる。
著者
鏑木 陽子 大角 欣矢
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年度は、校訂譜の再検討、筆写譜の現地調査、成果発表の機会としてレクチャーコンサートの開催を予定し、準備を進めた。[研究代表者・米沢陽子] ザムエル・シャイト『カンツィオネス・サクレ』のうち、Nr. 6 O Domine Jesu Christe SSWV6、Nr. 10 Duo Seraphim SSWV10、Nr. 11 Gelobet seystu Jesu Christ SSWV11、Nr. 17 Gott der Vater wohn uns bey SSWV17、Nr. 20 Prima pars: Tulerunt Dominum: Prima pars SSWV20、Nr. 21 Secunda pars: Cum ergo fleret: Secunda pars SSWV21、Nr. 24 Prima pars: Richte mich Gott: Prima pars SSWV24、Nr. 25 Secunda pars: Sende dein Liecht: Secunda pars SSWV25、Nr. 27 Lobet den Heren, er ist sehr Freundlich SSWV27、Nr. 33 Zion spricht der Herr hat mich SSWV33、Nr. 34 Quaerite primum SSWV34、Nr. 38 Lobet den Herren in seinem SSWV37 以上、12曲の校訂作業を行い、校訂譜を作成した。校訂譜に基づき、楽曲分析を行ったところ、不協和音を斬新に、しかも効果的に使用している箇所が見つかった。シャイトの作風は保守的であり、作曲上、あまり大胆な和声付けはしないと捉えていたが、この最初期の声楽作品において、若きシャイトが和声に関する果敢な試みをしていることがわかり、収穫であった。このような和音の使用は同時代のシュッツがそうであるように、歌詞との関係によるものであることも確認できた。[研究分担者・大角欣矢] ドレスデン国立図書館、ベルリン国立図書館において『コンチェルトゥス・サクリ』筆写譜の現地調査を行った。また上記12曲の歌詞対訳および楽曲分析を行ない、レクチャーコンサートのための曲目解説執筆、講演準備を行った。[研究協力者・サリクス・カンマーコア]レクチャーコンサートのリハーサルを4回実施し、この作品を「神々しい響き」であると評価した。
著者
石川 憲一 畝田 道雄
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成30年度における本申請研究は,国宝や重要文化財に指定される日本刀,並びに現代刀匠による新作日本刀のそれぞれの図録を参照することを通じて,デジタルアーカイブ分析に基づく「形状美」,すなわち,日本刀形状の特徴抽出を継続して実施した.加えて,新作日本刀を対象に地鉄の要素が評価(審査)結果に及ぼす影響の解明を試み,これらの結果を踏まえて,新作日本刀の2次元設計,並びに現代刀匠と刀剣研師の協力による第1次作刀に成功した.具体的な実施項目は次のとおりである.(1)日本刀の「形状」「反り」「刃文」「地鉄」「樋」等を対象にしたデジタルアーカイブの継続と特徴分析及び解明:日本刀の製作を特徴づける一つの作刀法である「相州伝」に着目し,国宝や重要文化財に指定される日本刀の特徴をレーダチャートによって解析するとともに,現代刀匠による作品も同様に解析した.それを通じて,現代における審査会において重要視されると考えられるポイントを継続して整理した.とりわけ,地鉄については現在刀匠による作品を評価する講評文のテキストマイニング分析を試みることによって,審査結果に及ぼす地鉄の重要要素の抽出を行った.(2)新作日本刀の作刀に資する科学的考察に基づく押し形の設計と第1次作刀の実施:現代刀匠による多数の作品と審査結果を数値解析と統計(加重平均法)の観点から考察することを通じて,科学的アプローチによる押し形設計を試みた.具体的には,現代刀匠による新作日本刀の図録データから日本刀の形状について,「内挿法」と「近似法」の双方を適宜用いることによって,「樋」を除く全ての要素に至るまでの2次元設計(図面作成)に成功した.そして,設計図面,並びに上記(1)における地鉄の分析結果を作刀を依頼する刀匠並びに刀剣研師へ提出し,第1次作刀に成功した.そして,本年5月に開催される日本刀展覧会に向けた審査出品を果たした.
著者
植田 弘師 松永 隼人 永井 潤 水田 賢志 田中 義正 水谷 龍明 内田 仁司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

LPAシグナルは神経障害性疼痛、線維筋痛症モデルの形成と維持機構の共通鍵分子である事を明らかにし、創薬標的分子に対する阻害剤探索やin slico解析、最適化合成を行った。慢性疼痛は免疫系を含む複数のフィードフォワード機構により構成されることを見出したので、特異的薬剤処置やLPAプライミングした培養アストロサイト、iPS細胞、T細胞をin vivo疼痛機構に再構成する研究を実施した。その結果、ミクログリアLPA3受容体-サイトカインによる形成・維持機構、アストロサイトLPA1受容体-ケモカインによる維持機構が主な仕組みであることが明らかになった。
著者
十合 晋作 小見山 博光
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

テロメススキャンによる高感度CTC検出の条件検討で、高感度ハイスループットのCTC検出法を独自の方法で開発した。結果:Stage0-I (n=28)早期肺癌患者中 CTC陽性率(2≧3ml/末梢血)82.6%CEA(5>)陽性率 7.1%で、CTC-/CEA+は0人。よって検診測定の血清腫瘍マーカーのCEAより早期に癌を発見可能な高感度測定を達成した。本法は、現在特許申請準備中である。また、CTC表現型解析では、EMT-CTCが悪性度が高く、治療抵抗性につながる報告をしたことから、あたらな間葉系CTC特異的間葉系バイオマーカーの探索のため、様々な間葉系抗体等で免疫染色を行ったが、Vimentinが最終的に信頼性の高いマーカーであることに帰着した。更に、近年、免疫チェックポイント阻害剤が肺癌での有効性が注目されているが、PD-L1-CTC、EMT-CTCの同時検出をVimentinとPD-L1の同時染色により検出する系を構築した。化学療法直前、投与後1コース後に採血してCTC数を測定する。実際のがん治療の奏効とCTCの経時変化の解析から抗がん剤の奏効予測、再発/耐性予測バイオマーカーとしての有用性を検証する前向き臨床試験倫理申請準備に着手した。本試験では、前記のCTC検出法を用いPD-L1-EMT-CTCのモニタリングを行える準備が整っている。研究代表者の十合はオンコリスバイオファーマ社との共同研究から、CTCからFISH法によりALK阻害剤が有効な肺がんのDriver変異であるEML4-ALK遺伝子変異陽性患者を検出することが可能となり、ALK阻害剤投与における非侵襲的な液体生検でテロメスキャンF35によるCTCで評価可能であることを論文報告した(Oncotarget. 2018.Watanabe J, Togo S. etal)。
著者
本多 真 児玉 亨
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

眠気と脂質代謝:カルニチンの効果主観指標を用いたL-カルニチン過眠改善効果について、奏功基盤を動物での基礎検討と客観指標を用いた臨床研究で検討した。L-カルニチンは中枢・末梢ともにCPT1活性指標を改善させ、ドパミン系などの脳内の遺伝子発現や代謝産物を変化させ、実際に休息期特異的に睡眠の増加をもたらした。臨床研究と共通し睡眠段階遷移指標での睡眠安定化作用が示唆された。4割程度にL-カルニチン反応群が存在し、その判別法を検討した。