著者
石田 信一
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-18, 2009-03-15

本稿では、複数政党制に移行した一九九〇年から二〇〇七年までのクロアチア議会選挙を中心に、クロアチアにおける選挙制度の変遷および選挙結果に着目し、まずは基礎データの整理を行いつつ、論点を提示した。 クロアチアでは議会選挙のたびに与党を利する形で選挙制度が大きく変わってきた。一九九〇年には完全な小選挙区制だったものが、一九九二年には全国区(比例代表方式)と小選挙区の二票制となり、二〇〇〇年には全国を一〇選挙区に分けた比例代表制に移行した。二票制の時期を通じて、全国区と小選挙区の定数も大きく変化している。どの選挙制度においても、一票の格差や選挙区の区割りなどが完全には解決されない問題として残された。 さらに、クロアチアでは、やや流動的な少数民族枠と在外同胞(ディアスポラ)枠の存在がつねに議論を呼んできた。一九九〇年代のクロアチアを内戦状態に陥れたセルビア人問題の解決策として少数民族枠は重要な意味を持ったし、同じく隣国ボスニアとの関係から在外同胞枠は必須とされたが、選挙制度上の取り扱いはきわめて不安定で合理性を欠く場合も多かったからである。 かつての大統領による権威主義体制から議会制民主主義へと移行したかに見えるクロアチアであるが、なおも選挙制度は固定的なものではなく、さらに変化していくように思われる。
著者
宮西 洋太郎 中村 俊一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SWIM, ソフトウェアインタプライズモデリング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.366, pp.15-22, 2007-11-23
被引用文献数
2

近年,Tim O'Reilly氏によって名付けられた「Web2.0」というキーワードが様々な議論を集めている.Web2.0を一時的な流行語であるといった用語自体への様々な批判的意見はあるが,最新のWeb利用形態はWeb2.0と呼称するに相応しい新たな様相となっている.本格的なWeb2.0時代では,情報は双方向に広く伝播するものとされている.すなわち,広範な情報も低コストで入手できるはずである.ところが現実には,先般の参議院選挙結果に見られたように,事後にならないと結果がわからないという事象はまだまだ多い.本考察では,このような現象の対策例として,(1)立法・行政の政策策定のために,民衆の政治的要望を調査する仕組み,(2)製品開発における,製品ニーズ調査の仕組み,の2つを例に,Webによる解決策を考察する.まず,どの程度の標本数のアンケートにより,どの程度の正確さで調査が可能であるかのシミュレーション実験を行った.本稿の中心的内容として,その実験結果を報告する.次に,Web2.0的な双方向型要望調査システムの構想について考察する.
著者
伊藤 重剛
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.363, pp.146-157, 1986-05-30

ドクシアデスは,彼の「古代ギリシャの建築空間」(邦題「古代ギリシャのサイトプランニング」長嶋訳)の中で,古代ギリシャの神域の配置を分析している。それによると,ギリシャ人の空間認識の仕方は,人間の視点を中心にして,そこから各方向に何フィートのところに何があるといった,いわば極座標的な理解の仕方であるとしている。彼はこの考えに基づいて,神城内の建物の配置について,神域の入口に視点をおき,それを極座標の原点とし,そこから神域内の建物の特定の点(例えば建物の隅角部)までの距離,それらの距離の比,およびそれらの視線のなす角度を測り,これらの距離,角度の関係を検討した。その結果,神域の配置は,視点から建物の各点までの距離が幾何学的比例関係をなし,そられ視線の角度の関係が, 360°をそれぞれ10等分または12等分した角度体系「10分割法」および「12分割法」の,2つの体系によって計画されたとしている。しかしながら彼の分析は,むしろ残存している遺跡の現況,つまり計画の結果を説明するが,建築家が実際に神域の寸法をどのような手順で決定したか,その過程を説明しない。本文では,アテネのアクロポリスについての彼の分析を例にとり,これを批判した。また建物が互いに直角または平行に配置された神域では,彼の述べるような極座標によって,その配置を考えるのは,もともと不自然と思われるし,また施工者にとっては却って不便であり実践的ではないと思われる。むしろ最初から直交座標で考えた方が,合理的かつ現実的だろう。古代の建物の寸法決定の二大要因は,寸法それ自体の値と,寸法間の比例であると思われる。建物の寸法が最終的に決定されるまでには,最初の基本原則から最後の微調整に至るまでの,いくつかの段階を経ると思われるが,最初の段階ではなるべく端数のない完数による寸法,あるいはなるべく簡潔な比例を選ぶだろうということが,当然推測される。この2つの要因を判断の規準として,現在一般的に考えられている古代尺の値をもとにしながら,コス島の2つの神域の分析結果を次に述べる。紀元前2世紀に建設されたアスクレピオス神域の上部テラスは,コの字型ストアとそれに囲まれた神殿が,左右対称に配置されている。分析の結果,前時代の神城壁の基礎を利用して建てられている,このストアのスタイロベート長さは,最初南側が270 ft, 東・西側がその3/5の162 ft と計画された。柱間は最初基本的に8ftとして計画されたが,次の段階で,入隅部の柱間が15/8ft拡張,北端の柱間が7/16ft縮少され,標準柱間が南側で81/6ft,東・西側で81/16ftと調整された。スタイロベート長さは,最終的にはこれらの調整を経て,南側2723/4ft,東・西側1621/3ftとなった。神殿の大きさは,その正面スタイロベート幅が東西ストア間の距離に対し,1:5という単純な比例で決定されている。アフロディテの神域は,紀元前2世紀に建てられたものであるが,ドリス式のペリスタイルの中庭に,前柱式の神殿が2つ左右対称に配置されている。プロピロンも神殿に対応して,正面に2つ左右対称に配置されているが,これらの建物の大きさが周囲の付け柱の柱間に対応していることから,最初の段階では,9ftのこの柱間をモジュールとしたグリッドプランで計画されたものと思われる。中庭の大きさは,この段階では15×13グリッドだったものが,外周の柱より中庭の柱が少さいため,モジュールの値,つまり柱間を7.5 ft に縮少し,大きさを17×15グリッドとした。さらに,中庭の幅,奥行きを寸法比をより単純な7:6とするための微調整を行い,最終的には幅を128ft, 奥行きを110 ft とし,対応する柱間をそれぞれ,717/32ft,71/3ftとした。以上の検討結果から,ドクシアデスの分析は理論的ではあるが,実際の設計手順としては,実践的ではないということが判った。彼のいう空間認識の仕方は,一般の観察者にとっては正しいかも知れないが,計画家にとっては不充分である。むしろ計画家には,平面を鳥瞰できる抽象的な空間把握の能力が要求され,これなしにおそらく設計はできないであろう。そしてこの平面に対して寸法を与えるたためには,当然必要な計算がなされたのである。コスの2つの神域も,もちろんこの例にもれず,直交座標上で,寸法とその比例を規準に計画された。
著者
堀田 浩平 坂本 眞一 渡辺 好章
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.145-151, 2011-04-01

本稿では,熱音響冷却システムの小型化について検討を行った。熱音響冷却システムの一つであるループ管では,発振する音波の周波数と管全長との関係が逆比例であるため,小型化すると周波数が高くなる。本研究では,発振する音波の周波数が高くなるときの適切なヒートポンプの設置位置について無次元パラメータωτと音圧と粒子速度の位相差φに着目し検討を行った。実験結果から,スタックのωτによって冷却温度が最大となる設置位置が異なることが確認された。この結果から,小型化した場合においてもωτや管内の音場をヒートポンプの設計指針として適用できると考えられる。
著者
西村 紀三郎
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大學經済學部研究紀要 (ISSN:03899861)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-109, 1997-03

初めにも記したように,本稿の意図はこれまですすめてきた地方財政分析のまとめであり,指摘してきた課題の現時点での点検であった。西高東低型としてとらえた地方財政の構造は,平成に入ってからの経済変動,地方財政の対応の過程でも変っていないことを確認した。西高東低型はさらに強化されたとも言えるものになった。それは今後も続くであろうし,容易に変えることのできない体質のように思われる。現代の一つの課題が地方分権の促進と言われる。日本国憲法の示す地方自治の精神からすれば当然の課題であろう。政治・行政の面での方途はかなり具体的に示されてきている。しかしその実現を裏づける財政については具体的な方式は示されず,スローガン的な項目羅列の域を出ていない。項目としては自主財源の充実を軸とする地方税重視,国庫支出金の抑制・整理があり,そのための地方交付税(財政調整)強化等が指摘されるが,どれ一つとっても実現は容易でない。形の上での実現はできても,それが実を伴うものになりえないことが,これまでの私の多くの論稿と今回の要約で明らかとなった。西高東低型自体がすでに地方自治財政として正常なものではなく,西高東低を裏付ける国庫支出金の極端な東西の開きを,どのような他の財源で補填できるのであろうか。地方交付税等に頼るのは,東西の開きを縮める以上に,地方間の開きの調整を困難とする。地方差には眼をつぶって,行財政の混乱を放置するのであれば,分権促進はできるであろうが,そのような事態を導いても,それが望ましいものなのであろうか。またそもそも地方自治ということがそれを期待するものなのであろうか。地方分権を期する多くの入々が,地方財政の現実態を熟知して,自主性強化を図る方がより望ましき地方財政の実現となるという具体的な構図を描いているとは到底考えられない。消費税の一部を地方消費税として地方の自主財源とすることも,どのように各地方に配分するかを有効に進めるには,各地域にまかせるのではなく,人口比例で配分するのがせいぜいの策である。これでも財政力の乏しい地方に力をつけるにはいたらず,方式としては自治とは縁のない中央の統制によるものである。地方分権の促進が誤りであるなどと言うつもりはない。しかし結果はどうなろうと地方分権を進めればよいとする考え方には賛成しかねる。より有効な,地域住民も地方政府もその結果に評価を与えることができるものでなければ無意味であろう。結果が失望するようなものであったならば,その結果ゆえに地方分権自体を評価しなくなるおそれが多い。地方分権は本来地方住民の利益のためのものであって,地方政府のためのものではない。昨今の分権論は多分に地方政府のためのものに偏っている。分権が実現しても住民にとってはほとんど変ることはない。行政者が交替しただけで,よりよくなる保証はない。まして,分権の結果が住民負担を強化するものとなったのでは,住民は分権を歓迎することにならなくなろう。分権に付帯する地方財政の性格,実態をより有効に人々に提示するのは地方財政研究者の重要な仕事であると思う。その課題の一端を果したものと言えるならば,本稿の企画は成果をあげたとすることが許されると思う。
著者
衣笠 哲生
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.527-596, 1982-03-25
著者
田中 三郎 栃窪 優二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.208-211, 1983-03-20

パソコンFM-8の信号をNTSCに変換し, 放送素材に対応できるように画素拡大回路, 漢字拡大ソフトウェア, 外字作成ソフトウェアを開発し, 低廉な漢字放送システムを作った.ランダムアクセステロップ, 天気予報, スポーツコーダー, ゴルフ中継, 選挙速報機, ワードプロセッサー速報機になる.
著者
冨田 良彦 田中 政昭 白石 雅幸 竹迫 紘一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.16, no.63, pp.23-28, 1992-10-16

We developped the system for election reports by applying LAN system organized from PC and Ethernet in 1989. Since then, we have being given satisfactory results in election reports based on this system. We think this system have had a high level of function, ability and cost efficiency in local TV station. We are going on making all the software of this system more functionaly and the graphics for on air more distinctly so that we can obtain more better results.
著者
熊木 俊朗 大貫 静夫 高橋 健 佐藤 宏之 福田 正宏 臼杵 勲 國木田 大 高橋 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、古代から中世における日本列島の北方地域の社会変動について、特に中世アイヌ文化の形成過程に関する問題を中心に考古学的な検討をおこなった。具体的には、北海道東部地域を主な対象としてオホーツク文化の考古資料分析と擦文文化集落の発掘調査を行うことによって、この地域におけるオホーツク文化の終末とその後の擦文文化の展開・終末の過程を解明し、中世アイヌ文化が成立するまでの社会変化の実態を復元した。
著者
山本 芳美
出版者
都留文科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本課題では、19世紀末から20世紀初頭に、欧米や東南アジアに出稼ぎや移民した者を含めた日本人彫師の活動を研究した。各地の研究機関、大学、図書館、博物館などで、新聞や雑誌、古写真、公文書のデータベースや所蔵資料を調べ、香港、シンガポール、フィリピン、タイ、インド、イギリス、アメリカ、カナダで複数の日本人彫師が活動したことを解明した。本研究により、英米に渡った彫師Yoshisuke Horitoyo、香港の野間傳の足跡が判明した。また、船で渡航した当時、客を彫師のもとに効率よく送りこむ、ホテル、古美術商、写真師、彫師間のネットワークが横浜、神戸、長崎に形成されていた可能性も明らかとなった。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1923年02月03日, 1923-02-03
著者
對馬 達雄 今井 康雄 遠藤 孝夫 小玉 亮子 池田 全之 山名 淳
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、戦後ドイツを通底する課題である「過去の克服」という課題に、これまで等閑視されてきた精神史、文化史、広く人間形成の側面からその本質に迫ることを目的としている。本年度は、7名の分担者が交付申請書記載のそれぞれの研究テーマに則して、文献・資料の分析を進め、2回の全体研究会を通じて、共同研究としての統一性を保ちつつ研究を進めた。より具体的には、まず遠藤は、州憲法及び基本法の制定を通して、ナチズム克服の理念としてキリスト教の復権が行われたこと、小玉はナチズムにより解体の危機に瀕していた家族の再建に関する議論と施策が行われたこと、渡邊はナチ教義の注入手段と化していた歴史教育の再建において、ヴェーニガーの「政治的歴史教育」の理念が重要な役割を果たしたことを明らかにした。また、池田は20世紀ドイツを代表する哲学者ハイデガー、リット、ヤスパースの「過去」に対する思想的対応の相違を腑分けし、今井は「政治的成人性」の理念を中核とするアドルノの教育思想の特質を「過去の克服」との関連で明らかにし、對馬は反ナチ運動の復権を司法界において最初に宣明した「レーマー裁判」の意義を検事ブリッツ・バウアーの思想と行動に関連づけて明確にした。そして、山名は「追悼施設教育学」の成立経緯とその今日的意味を「記憶文化」と関連づけて明らかにした。これらの研究成果は、平成23年3月に上梓された對馬達雄編著『ドイツ過去の克服と人間形成』の各論文として収録された。
著者
名和 小太郎
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.684-687, 2012-12
著者
倉田 敬子
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.681-683, 2012-12
著者
東川 繁
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.675-680, 2012-12