著者
国分 禎二
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-126, 1973-03-24
被引用文献数
2

作物の栄養器官が同化産物の貯蔵器官として特に発達し, その器官の貯蔵物質の含有率が作物の品種によって異なる場合, 含有率の差異が貯蔵器官のどのような構造の差異に基づくものであるかと云う観点から, 貯蔵器官の構造とその機能の発現との関係を解明した研究は、きわめて少ない.本研究は, 以上のような観点より, 作物の同化産物の貯蔵器官の組織構造とその蓄積能力との関係に関する基礎的資料を得る目的で, 甘しょの塊根を材料としておこなったものであって, 塊根の組織諸形質の品種・系統間変異, およびその遺伝を検討し, 塊根の組織諸形質の特性から得られた知見に基づいて, 甘しょ高でん粉多収性品種の育種に関して考察をおこなったものである.A 塊根の組織構造塊根組織に関する明確な基礎的知見を得ることを目的として, でん粉貯蔵器官にとってとくに重要と考えられる維管束の分化と柔細胞の増生に焦点をあてながら, 発生初期の不定根から収穫期の塊根に至る一連の組織観察の結果を論述した.I 不定塊の根端部における組織の分化 甘しょ品種沖縄百号の栽植5日後の不定根を供試して, 根端部における組織の分化様相を観察した.1 根冠はその中央部を構成する中央構造とその側層を構成する側層構造とからなっている.2 横断面では, 根冠の中央構造の細胞は一定の配列様式を示さないが, 根冠の側層構造の細胞は, 中央構造を取り囲む輪状配列を示している.3 根冠の最内層は表皮原となっている.4 表皮原に接して頂端側(根冠側)と基部側(皮層および中心柱側)の両側に分裂組織がある.5 皮層は約8層の細胞層からなり, 横断面では, 中心柱を取り囲む輪状構造を示し, 根端部から約200μの部位では, 細胞間隙が認められる.6 内鞘細胞は, 表皮原先端部の基部側にある分裂組織から2〜3個の細胞を隔てた極先端部において識別できる.7 中心柱の先端部には表皮原の基部側の分裂組織に接して, 不整形の細胞よりなる半球形の部分が存在する.8 原生篩管は, 中心柱の先端部から約500μの部位において明瞭に認められる.9 原生木部道管の厚膜化が認められるのは, 中心柱の先端から1cmないし2cmの間である.10 中心柱の柔細胞は, 縦軸方向では皮層細胞より長く, また, 横断面におけるその細胞配列には一定の様式がみられない.11 軸の中心を通る縦断面では, 中心柱の中心部には大きな核をもった比較的大型の細胞からなる一列の細胞列があって, 頂端分裂組織のごく近くまで達している.II 不定根の塊根形成 沖縄百号および九州34号を供試して, 栽植5日後より1カ月間5日おきに合計6回不定根を採取し, 不定根の最肥大部または最肥大予想部位の組織標本を作成して, 塊根組織の分化発達過程を追跡した.1 栽植5日後には, 皮層は約8層の細胞層からなり, 離生細胞間隙にとむ.内鞘細胞はその並層分裂により中心柱の細胞数を増加し, 直層分裂によって内鞘細胞自身の数を増加してその円周を増加している.原生篩部は内鞘に接して, 5〜6個所に放射状に認められ, その周囲には, すでに伴細胞を伴う後生篩部が分化している.原生木部構成道管の細胞膜は厚膜化しているが, まだ木化しておらず, 原生木部は完熟していない.2 栽植10日後には, 厚生篩部に対応する皮層部に破生細胞隙が認められる.原生木部道管および中央後生木部道管が木化し, 成熟する.また, 篩部を取り囲む扇形の分裂組織が発達する.3 栽植15日後には, 中心柱では一次形成層が完成し, 道管周囲に分裂組織が発達する.4 栽植20日後には, 一次形成層による維管束ならびに柔細胞の増生が旺盛となる.道管周囲の分裂組織による柔細胞の増生も顕著であるが, この分裂組織は直接には維管束の分化をおこなわないので, いわゆる形成層とは認め難い.木部柔組織内に新しい篩部が分化し, この篩部に接して分裂組織が発達するこの分裂組織は維管束を分化するので, 形成層と認められる.従って, この木部内に発達した篩部(interxylary phloem)に接する分裂組織は, 先に分化した塊根周囲の一次形成層に対して, 二次形成層(secondary cambium)と呼称すべきである.5 栽植25日後には, 前期までに認められた諸種の分裂組織による細胞の増生は依然旺盛であるが, さらに, 木部柔組織の個々の大型の柔細胞が, 比較的孤立的に分裂するのが観察される.この種の細胞分裂は維管束の分化を伴わず, また一連の分裂細胞層の形をとらないので, 前期までの諸種の細胞分裂に対して, とくに, 大型柔細胞分裂として区別できる.6 栽植30日後には, 皮層はほとんど脱落し, 新しく, コルク形成層が発達して皮部を形成する.中央道管の周囲の分裂組織の活性はやや衰える.この時期に, 甘しょの塊根の組織学的諸形質は完成する.7 以上の観察結果から, 塊根肥大に寄与する細胞の増生は, コルク形層, 一次形成層, 二次形成層, 道管周囲の柔細胞分裂および大型柔細胞分裂によるものと結論される.これらの細胞分裂の中で, 一次形成

1 0 0 0 OA 和算独学

著者
千葉六郎 著
出版者
千葉六郎
巻号頁・発行日
vol.前編, 1901
著者
黒田 治 山内 清太
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.48, pp.21-24, 1996-09-26

February 10th of this year, involving a crash of a local-line bus and a vehicle, the collapse of a base rock in the Toyohama Tunnel in Hokkaido ended in a tragedy with the deaths of 20 people. Today, NHK would like to report how we coped with this accident by relay broadcasting throughout the country day and night.
著者
渡辺 輝夫 藤井 義明 播磨屋 敏生 福田 正己 川村 信人 宇井 忠英
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は1996年2月10日午前8時頃,国道229号線の豊浜トンネル古平側(西側)坑口上部の急崖が崩落し,バスの乗員,乗客と自家用車の運転手20名が圧死した事故に関係する斜面崩落とその災害に関する調査研究である.地質,地形,地球物理,凍結岩盤の物性,気象などに関する研究がまとめられた.すでに1996年9月14日に,豊浜トンネル崩落事故調査委員会が調査報告書を北海道開発局局長に提出しているため,本研究は,その報告内容をふまえ,1996年10月以降に実施した.研究は,復旧工事との関係で今後永久に観察出来なくなる崩落斜面下部の観察を最重点として行なわれた.岩盤表層の凍結深度の変化と気象の関係を岩盤の凍結前から観察することも重点的に行なった.さらに,岩盤崩落の機構に関する考察を深めた.その結果,岩盤下部の表面構造は上部とは違っていることを明らかに出来た.また,崩落面下部では火山レキの破断が特徴的に見られたが,岩石圧裂引張実験から,6MPaで破断することが明らかとなった.これは,岩石上部に少なくとも300mは累重しなければ破断が生じない圧力である.したがって,レキの破断は特殊に応力がかかるか,地質時代にさかのぼる長い時間の出来事であると考えられる.研究はハイアロクラスタイト中の火山岩の全岩化学組成やスメクタイトの鉱物組成も明らかにした.岩石の応力解析の研究は,崖の鉛直面では粘着力の失われたある長さ以上の初期不連続面が不安定に成長すること,水平面では2次連続面が生じ,自由面に達することを明らかにした.凍結一融解の実験は調査地域の気象が岩石の脆弱化を招くことを明らかにした.地質の研究は,地質構造に規制された地下水の浸透面と枝わかれパイプ状の流路と地下水圧が崩落面の形成に関係し,過去の落石も同様の経過で崩落したものと推測された.
著者
松本 睦子 吉松 藤子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.40-46, 1983-02-20

妙め調理を行う際の油通しの効果について植物性食品としてピーマンと白菜を,動物性食品として鶏肉を用いて検討した結果を要約すると次のようになる。以下は油通しをしないものと比較したものである。1) ピーマン,白菜は妙め後の重量減少が少なく,付着油量は多く,脱水は少なく歯ごたえがありテクスチャーにおいて有意に好まれた。特に緑色野菜では色が彩やかに保たれる。2)鶏肉においても重量減少および加熱による収縮は少なく,硬さは柔らかくテクスチャーにおいて有意に好まれた。また,調製中の内部の温度変化は油通しをして妙めた方が上昇率が緩慢であった。以上のことから油通しをすることは,低温で内部温度の緩慢な上昇を促すことになり,これが妙め時間を短縮することになり,色やテクスチャーに好ましい影響を与えるものと思われる。
著者
天坊 昭彦 山川 龍雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1595, pp.80-82, 2011-06-13

問 東日本大震災では東北の被災地のみならず、首都圏でもガソリン不足が発生しました。 答 地震や津波の影響で、太平洋側にあった石油の生産工場、いわゆる製油所が被災しました。コスモ石油の千葉製油所と、JX日鉱日石エネルギー仙台製油所では火災も発生しました。石油の生産能力は、1日当たり約450万バレル。これが震災で約140万バレル分、止まってしまった。
著者
安井 裕次 鈴木 啓太郎 岡留 博司 奥西 智哉 橋本 勝彦 大坪 研一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.592-603, 2004-11-15
被引用文献数
3 10

発芽玄米および発芽大麦を配合した混合A,また,発芽玄米,発芽大麦さらにビール酵母を加えた混合Bを2軸エクストルーダーにより膨化処理を行った.生理機能性および消化性に優れた多目的食品素材の開発を試みた.得られた結果は以下の通りである.<br>(1) 混合膨化Bの膨化粉末では,粒径が膨化前107.6μmに対し,膨化後では97.7μmとなり,各膨化粉末は粗い粒径の体積が減少し,粒径の細かい部分へと移行した.<br>(2) 発芽処理工程により,発芽玄米および発芽大麦の一般生菌数が多くなるが,膨化処理により300(cfu/g)未満となり,大腸菌群も検出されなくなった.<br>(3) 発芽玄米,混合A,混合Bの膨化粉末は,精米粉よりも消化性が優れていることが確認された.<br>(4) 膨化処理により,脂質の分解が抑制されることにより脂肪酸度が増加しなかった.<br>(5) 各混合膨化製品は,膨化発芽玄米と比べてフィチン酸,イノシトール,フェルラ酸,食物繊維を多く含有していた.<br>(6) 高血圧自然発症ラットを用いた血圧試験では,投与日数28日目において,膨化精米粉20%置換に対し,膨化発芽玄米粉,混合膨化粉Bが有意に低い値を示した.膨化発芽玄米粉,混合膨化粉Bは高血圧抑制作用を持つことが明らかになった.<br>(7) 官能検査においては,混合膨化A30%配合パンは,小麦粉パンと比較し食感(P<0.05)と甘さ(P<0.05)で有意に優れていた.各膨化粉末30%配合パンは,小麦粉に比べ柔らかく,しっとりとした食感という評価を得ることが出来た.また,和菓子の官能検査では,混合膨化B20%配合は,小麦まんじゅうとの比較で香り(P<0.05),食感(p<0.05)で有意に優れていた.いずれも食品として高い評価が得られた.

1 0 0 0 OA 釈迦

著者
高山樗牛 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1899
著者
島 弘 シマ ヒロム
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.1-25, 1954-07-15

研究
著者
Tamaoka Katsuo Sakai Hiromu Kawahara Jun-ichiro Miyaoka Yayoi Lim Hyunjung Koizumi Masatoshi
出版者
Springer
雑誌
Journal of Psycholinguistic Research (ISSN:00906905)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.281-332, 2005-05
被引用文献数
9 42

The present study investigated scrambling effects on the processing of Japanese sentences and priority information used among thematic roles, case particles and grammatical functions. Reaction times for correct sentence decisions were significantly prolonged for scrambled active sentences with transitive verbs in the first experiment and with ditransitive verbs in the second experiment. Errors were made with scrambled sentences more than canonical sentences in both experiments, which suggested that scrambling effects were apparent in active sentences. Passive sentences in the third experiment indicated that canonical order defined based on case particles, not thematic roles, was more quickly and accurately identified than scrambled order. Potential sentences in the fourth experiment and causative sentences in the fifth experiment indicated that the processing of scrambled sentences based on grammatical functions, but not on case particles, required longer reaction times and resulted in higher error rates than canonical sentences. Consequently, scrambling effects in the present study indicated that neither thematic roles nor case particles can provide fully-satisfactory information for canonical phrase order, and that only grammatical functions offer satisfactory information in all types of sentences.
著者
瀧澤 恵介 竹之内 星矢 青森 久 大竹 敢 田中 衛 松田 一朗 伊東 晋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.106, pp.119-124, 2011-06-23

本稿では,Paricle Swarm Optimization(PSO)を用い,符号化レートを最小とするセルラーニューラルネットワーク(CNN)による画像予測器の教師付学習手法を提案する.提案手法では,従来予測誤差電力を最小化するよう設計されているCNNによる画像予測器をロスレス符号化性能向上のため,符号化レート最小化をPSOを用いた学習により実現している.特に,本方式で用いられているPSOは評価関数の勾配情報を利用しないため,CNNによる非線形予測器の学習に非常に効果的であると考えられる.様々な標準画像に対し符号化を行い,従来手法と比較し提案手法の有効性を確認した.
著者
加藤 進 市岡 高男 山内 徹
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.331-336, 1999-07-10
被引用文献数
2

1997年12月2日から7日まで, フィリピン, ケソンシティーのビサヤス通りに面した環境天然資源省の敷地内でハイボリュームエアーサンプラー(High Volume Air Sampler)とパッシブサンプラー(Passive sampler)を用いてエーロゾル総重量(TSP)濃度とその組成およびNO_2濃度を求めた。その結果, TSP濃度は平均値で216μg/m^3であり国家基準(230μg/m^3)を満足していた。鉛の平均濃度は0.43μ9/m^3で, 1980年代の値よりも1/2まで濃度が減少し, 無鉛化燃料への転換状況の進行が伺えた。しかしながら, TSP濃度は鉛やNO_2と良好な相関関係を示し, 移動発生源の寄与が高いことも伺わせた。重金属分類のうちでは鉄の濃度がもっとも高かった。水溶性イオンの中では硫酸イオン濃度がもっとも高く, ついで塩化物イオン濃度が高かった。測定地点が海岸線から約12km離れているのにもかかわらず, 塩化物イオン濃度は1992年に測定された四日市(環境科学センター, 海岸線から3km, 国道1号線から約50m)の測定値よりも高く, 海塩粒子以外の発生源の存在が示唆された。また, 硫酸イオン濃度は1.77μg/m^3で四日市の年平均値の1/3値であった。また, 石油燃料の寄与度を示すバナジウム濃度は同方法で観測された四日市の値に比較すると高く, NO_3^-やSO_4^<2->との相関も良好であった。
著者
岡村 寛之 宮内 聡 土肥 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.210-219, 2006-02-01
被引用文献数
2

本論文では,PageRankを導出する確率モデルとしてマルコフ決定過程を通用することで,Webページコンテンツに依存したランキングアルゴリズムを提案する.現実のWebページを用いた評価実験では,Webページコンテンツの情報量を表す基準にtf-idfを適用し,tf-idfやPageRankのみの評価と比較を行った.最終的に,提案するWebページランキングアルゴリズムはリンク構造とコンテンツを同時に評価することが可能であり,実利用上有効な手法であることが定量的に示される.
著者
戸田 雅裕 門田 和之 久保 和毅 森本 兼曩
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.383-386, 2004-11-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
7
被引用文献数
18 57

Objective: To assess the reliability and validity of a cellular phone dependence questionnaire (CPDQ) we designed.Methods: The CPDQ, a 20-item self-rated scale, was given to 168 healthy female university students (mean age, 21.7 years). Each question uses a 0 to 3 response scale; a higher score indicates greater dependence. The reliability and validity of the CPDQ were assessed by an internal consistency estimate and a factor analysis, respectively. Question scores were then summed to provide a cellular phone dependence score ranging from 0 to 60.Results: The reliability coefficient (Cronbach's alpha) for the CPDQ was 0.86. In addition, six significant factors were extracted by factor analysis for the 20 items of the CPDQ. The cellular phone dependence score showed a normal distribution (Kolmogorov-Smirnov's test), and the average (±SD) was 33.2±8.7.Conclusion: These findings suggest that the CPDQ is a useful scale for rating cellular phone dependence.