著者
宇佐美 覚
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本申請研究では、rho依存性転写共役因子MRTF-Aの病的心筋リモデリングにおける役割とその分子機構に関する研究を行った。まずMRTF-Aが心筋肥大刺激により心筋細胞において細胞質から核内にrho-actin dynamics依存性に移行することを確認し、MRTF-Aノックアウトマウスを用いて、MRTF-Aが心肥大に重要な役割を果たしている結果を得た。さらに心臓ホルモンであるBNP遺伝子の発現制御領域に新たにMRTF-Aに反応するSRF結合部位を同定することに成功し、BNPが新たなMRTF-A-SRF経路の直接的な標的遺伝子であることを明らかにした。
著者
木村 克治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

アナログ信号処理において、線形トランスコンダクタンスアンプ(linear transconductance amplifier, i.e., OTA: operational transconductance amplifier)は必須のフアンクションブロックである。本稿では、差動対をトリプルテール・セルに替えてmulti-tanh技術を適用した、スーパーmulti-tanh技術を提案し、線形入力電圧範囲を拡大できることを明かにする。
著者
Masakatu MORII Yosuke TODO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E94-D, no.11, pp.2087-2094, 2011-11-01

In recent years, wireless LAN systems are widely used in campuses, offices, homes and so on. It is important to discuss the security aspect of wireless LAN networks in order to protect data confidentiality and integrity. The IEEE Standards Association formulated some security protocols, for example, Wired Equivalent Privacy (WEP) and Wi-Fi Protected Access Temporal Key Integrity Protocol (WPA-TKIP). However, these protocols have vulnerability for secure communication. In 2008, we proposed an efffective key recovery attack against WEP and it is called the TeAM-OK attack. In this paper, first, we present a different interpretation and the relation between other attacks and the TeAM-OK attack against WEP. Second, we present some existing attacks against WPA-TKIP and these attacks are not executable in a realistic environment. Then we propose an attack that is executable in a realistic environment against WPA-TKIP. This attack exploits the vulnerability implementation in the QoS packet processing feature of IEEE 802.11e. The receiver receives a falsification packet constructed as part of attack regardless of the setting of IEEE 802.11e. This vulnerability removes the attacker's condition that access points support IEEE 802.11e. We confirm that almost all wireless LAN implementations have this vulnerability. Therefore, almost all WPA-TKIP implementations cannot protect a system against the falsification attack in a realistic environment.
著者
田中 仁 MOHAMMAD Bagus Adityawan MOHAMMAD BagusAdityawan
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

2011年3月11日に発生した東日本大震災津波は東北地方を中心として甚大な人的・物的被害をもたらした他に, 大規模な海浜地形変化の変化ももたらしている. 本研究では, 津波の流動モデルを用い, 東日本大震災津波による土砂移動の再現を通じて, モデルの検証, および必要に応じてモデルの改善を行うことを目的としている.今年度は研究の最終年度であり, これまでの研究の進捗を踏まえて予定通りに研究を終えた. まず, 昨年度の研究活動で選定したサイトとして宮城県東松島市における石巻海岸を研究対象とした. この海域を対象にして, 一昨年開発した数値モデルを適用し, 仮想的に海岸堤防の高さを4段階(0m, 1m, 3m, 5m)に変化させ, 津波の遡上に伴う流速値, せん断力, シールズ数などを数値シミュレーションにより求めた. モデルは水表面の計算にVOF法を使用し, 乱流モデルとしてk-εモデルを連立させることにより, 境界層の特性を数値計算に取り込んでいる. 数値計算により, 海岸堤防高さの増加に従って, 海域でのよどみ領域が拡がり, 海域における侵食が低減することが分かった. このように, 海岸堤防が堤内地での氾濫の低減のみならず, 海域における侵食をも低減できることは新たな構造物の価値としてきわめて興味深い知見である.これらの成果を, 第35回国際水理学会(平成25年9月, 中国・成都), 第12回河川土砂移動シンポジウム(平成25年9月, 京都)などにおいて発表を行った.
著者
藏田 耕作
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

骨細胞ネットワークの健全性に着目して骨リモデリング機序を調査することを目的とし,局所的なひずみや破断を与えながら骨細胞を培養できる実験系およびマウス脛骨に疲労亀裂を付与できる動物モデルを開発して実験を行った.その結果,骨基質に生じる大ひずみにより骨細胞ネットワークが損傷を受け,その周囲でアポトーシス細胞が誘導されることが分かった.これがシグナルとなり,損傷部位をターゲットとした骨リモデリングが開始されたり,骨強度低下を補償する骨形成が生じたりすることが示唆された.
著者
佐藤 満 井野 秀一
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

大地震等で孤立した被災地に容易に携帯搬送でき、電力や燃料を使わずに閉鎖空間からの初期救助活動に利用できる携帯瓦礫昇揚装置の開発を行った。1t以上の瓦礫を1分以内に50mm昇揚できる仕様の外径347mm高さ90mmの昇揚機構を試作した。動力源には加熱することで大量の水素を放出する水素吸蔵合金を利用し、その熱源には酸化カルシウムと水の反応熱を利用した。試作した昇揚機構は0.2MPaという比較的低い水素内圧で1.19tの出力を発揮し、昇揚動作中に堅牢な水素気密性が保たれることを確認した。さらに140gの酸化カルシウムの反応熱によって上記の出力が達成できることを実験的に示した。
著者
木村 晶子
出版者
岩手県立盛岡農業高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、高等学校における性に関する教育を効果的なものにするため、性感染症を身近な問題として感じるためにどのような内容が効果的かを探ることであった。方法として、講義とワークショップを交えた2時間程度の性教育プログラムを2学年5クラスに実施した後、質問紙調査を実施した。性感染症を「とても身近に感じる」と答えたのは男子20.0%、女子41.8%だったのに対し、「身近に感じない」と答えたのは男子32.9%、女子24.0%であり、女子に比べ男子は性感染症に関心や危機感を感じていなかった。性感染症を身近な問題として感じられたかどうかをプログラムごとに検討したところ、「感染者数などの統計資料から性感染症の現状を知る」では男女差が見られなかったが、「ビデオ教材で実際にクラミジア感染症に感染した人の体験談を聞く」、「感染が広がる様子を擬似的に体験するゲームに参加する」の効果は、女子が男子に比べて有意に高かった。つまり、性別によって受け止め方が異なり、教育効果も異なることが示唆された。学校で性に関する指導を行う際、クラスまたは学年単位で行われることが多いが、この場合教育効果に男女差が生じる可能性がある。五十嵐(2002)は、男子は周りの人との比較によって性交を行おうとする傾向が強いこと、また斎藤ら(2006)は男子高校生の購読頻度が高い雑誌の性に関する記述が、女性誌に比べ医学的信憑性が低く興味本位な描写が多いという結果を報告している。このような現状を踏まえた男女別のプログラムを実施するか、またはプログラムに男子に対する動機付けを高める内容を組み入れるなどの工夫が必要であることが示唆された。今後は前述の工夫を施した予防プログラムの実施と評価が課題である。
著者
富永 真琴
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.78-81, 2006-08-01

カプサイシン受容体TRPV1は1997年にクローニングされ,感覚神経特異的に発現し,カプサイシンのみならず私達の身体に痛みをもたらすプロトンや熱によっても活性化される多刺激痛み受容体として機能することが,TRPV1発現細胞やTRPV1遺伝子欠損マウスを用いた解析から明らかにされた.さらに,TRPV1は炎症関連メディエイター存在下でPKCによるリン酸化によってその活性化温度閾値が体温以下に低下し,体温で活性化されて痛みを惹起しうることが分かった.このTRPV1の機能制御機構は急性炎症性疼痛発生の分子機構の1つと考えられている.TRPV1は消化管の感覚神経にも多く発現することが明らかになっているが,消化管では疼痛発生以外に粘膜保護などの消化管の生理的機能に深く関わることが明らかになりつつあり,それは長い歴史をもつトウガラシの消化管機能への影響に関する研究成果を説明する.TRPV1やTRPV1発現神経の消化管機能制御の詳細な作用メカニズムの解明が待たれている.<br>

1 0 0 0 秋の歌

著者
吉屋 信子[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1939-09
著者
平澤 〓
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.128-141, 2004-07-10
被引用文献数
2

Research evaluation in the Japanese science and technology field is discussed from the author's point of view on avoidance of possible confusion due to early legislation, prevention of barren formality, and improvement of efficacy. Aspects of research evaluation are categorized into basics and more specific issues : the former includes the framework and structure of the evaluation system, related issues, scientific basis of evaluation, and the management of evaluation in the scientific community ; the latter is concerned to further development of evaluation theory, finding the outcomes, improvement in survey and analysis techniques, difficulties associated with exante evaluation, and the evaluation of the evaluation policy itself. These problems are reviewed in the perspective of the present situation in Japan.
著者
松井 尚子
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.237-250, 2006-06-30

乳幼児の「自己」形成の問題は,他者との関係性をはじめとする,自己および他者表象など,発達上の根幹的な事柄を含む問題である。又この問題は,発達・療育相談の場においては極めて日常的な課題として立ち現れてくる。本論文では,ダニエル・スターン(Stern, D.)とアンリ・ワロン(Wallon, H.)の自己感,あるいは自我意識に関する論考を読み取りの手がかりとしながら,この問題への接近を試み,6ヶ月から3歳後半までの乳幼児の日常的なエピソードを「自己」意識の観点から検討し,日常場面の捉え直しを仮説的に提起した。最後に,スターンとワロンの論考を,乳児像の捉え方,関係性の捉え方,表象の問題の,3つの観点から比較検討した。
著者
佐野 智章 神原 誠之 萩田 紀博 宮下 敬宏 篠沢 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CNR, クラウドネットワークロボット : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.178, pp.29-32, 2011-08-17

twitter等のリアルタイムコミュニケーションサービスの登場により,個人間での即応性の高いやりとり(Q&A)が行われている.それらを利用して,時間や場所に依存した疑問に答えるサービスが提供されているが,素早く信頼性の高い回答を集める仕組みがない点や,類似の疑問を集約できないという問題が残る.そこで本研究では,即応性の高いQ&Aシステムを実現するために,1)類似した疑問の集約,2)信頼性の高い回答ができるユーザの推定,3)そのユーザへの疑問の提示,を行う機能を持つtwitter上でのエージェントを提案する.本稿では,課題2)へ主眼をおき,専門知識の有無,回答候補者の返答の可能性,返答の信頼性の観点に着目し,4人の被験者による実験結果について述べる.
著者
浅沼 幹人 宮崎 育子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

アストログリアでのグルタチオンおよびメタロチオネインの発現誘導およびその放出が,ドパミン神経特異的酸化ストレスであるドパミンキノンによるドパミン神経障害に対する抗酸化機構として重要であるであることを明らかにできた.神経・グリア培養系およびパーキンソン病モデルマウスを用いた検討により,セロトニンアゴニストがアストログリアの増殖誘導ならびにドパミンキノンセンサー分子賦活を介したドパミン神経保護作用を併せ持ったパーキンソン病治療薬となり得る可能性を示すことができた.
著者
崔 ジュン豪 中尾 節男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではSi-DLC膜の表面に酸素プラズマ処理を施すことで超低摩擦および高硬度を兼ね備えた膜を開発し,その摩擦摩耗機構の検討を行った.シリコン含有量の増加とともにSi-DLC膜の摩擦係数と硬さはともに減少する.酸素プラズマ処理によりSi-DLC膜の膜全体の硬度は維持したまま,摩擦係数は0.02まで低減できる.酸素プラズマ処理により,シリコン酸化物,カーボンで構成される移着膜を増やすことができ,これにより低摩擦化が実現できる.グラファイト化が進んだカーボンの移着は,Si-DLC膜の低摩擦の一つの原因である.以上の結果から酸素プラズマ処理は,Si-DLC膜の低摩擦化,シリコン添加による硬度減少の防止に有効であると考える.
著者
萬戸 克憲
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要 (ISSN:09182683)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.165-171, 1995-08-20

This paper discusses the English proficiency of Japanese students on the basis of 1991〜1993 TOEFL Tests. The concept of the TOEFL Test, its validity as a proficiencytest, and the comparative position of Japanese students are examined. The poor performance of Japanese students is often attiributed to the lack of the linguistic affinity to English, but this is partly negated by the studies of the performance of students from European and other Asian countries, leading to the conclusion that there are some serious deficiencies in ELT itself in Japan.