著者
篠原 成彦
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.37-46, 2007-03-15
著者
木越 英夫 北 将樹 早川 一郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,抗腫瘍性および腫瘍細胞増殖抑制活性を持つ研究代表者独自の化合物であるアプリロニンA,オーリライド,ハテルマライド類の抗腫瘍性および腫瘍細胞増殖阻害活性の発現機構に関する研究を行った.アプリロニンAについては,人工類縁体(ハイブリッド化合物)を合成し,その生物活性を検定した.オーリライドについては,その標的分子がプロヒビチンであることを確認し,活性発現機構を解明した.ハテルマライドについては,その人工類縁体を調製し,構造活性相関を得た.
著者
土器屋 由紀子 岩坂 泰信 梶井 克純 山本 正嘉 山本 智 増沢 武弘
出版者
江戸川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

2004年に無人化された富士山測候所を有効に活用し、国際的な視点に立って、多方面に開かれた総合研究施設とすることを目的として調査研究を行った。主要な行事としては、2006年11月22,23日に国際ワークショップ/シンポジウムを開催した。以下に内容を要約する。(1)富士山は工業発展の著しい東アジア大陸の東に位置しており、偏西風の通り道であり、大気汚染の観測サイトとしての価値は大きい。(2)富士山測候所の施設はまだ十分利用可能であり、利用されずに放棄されるのは資源の無駄と考えられる。最近、中国のWaliguan山、台湾のLulin山に大気化学観測地点が新設されている。ハワイのマウナロア、さらに中央アジアの山などを含めた高所観測ネットワークの中で富士山の観測が不可欠である。(3)航空機の宇宙線被爆の観測にとっても、富士山はユニークな連続観測地点である。(4)日本で唯一永久凍土が確認された富士山におけるコケ類の調査は地球温暖化を目視できる「指標」であり、今後、より詳しい継続的な観測には測候所を基地として利用することが望ましい。(5)富士山頂で7年間サブミリ波望遠鏡による冬季観測を成功させた技術を活かすことによって、天文学並びに超高層大気化学への利用が可能である。(6)高山病の原因の究明や高所トレーニングにとって富士山測候所は有用な施設である。(7)脂質の代謝機構の解明や、耳の蝸牛機能に対する低圧低酸素環境の影響など医学研究にも測候所の施設は有用である。(8)廃止になった筑波山測候所を生き返らせ、リアルタイムの気象データの配信を含めて水循環の研究に用いている筑波大学の業績に学ぶところが大きい。(9)新しい分析化学的な手法や新素材の開発・応用などにも低温・低圧の高所研究施設として測候所は利用できる。
著者
源栄 正人 永野 正行
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.61, no.488, pp.39-48, 1996
参考文献数
25
被引用文献数
18 2

To estimate the amplification characteristics of the ground motions in the heavily damaged belt zone in Kobe City during the 1995 Hyogo-ken Nanbu earthquake, 3-D wave propagation analyses of a 2-D deep irregular underground structure model with vertical discontinuity were performed using the hyperelement method for incident plane waves expected from the wavefields due to the source mechanism. The incident waveform at bedrock is evaluated by deconvolution analysis using the observation record at Kobe University. The ground motion at the surface of the Osaka group layers and at ground surface are calculated. The effects of the deep irregular underground structure and shallow surface layers on the ground motion amplification are discussed. The analytical results show that the ground motions in the heavily damaged belt zone were amplified due to the focusing effect in the deep irregular underground structure as well as the shallow surface layers, and that the calculated maximum acceleration distributions coincide closely with the distribution of structural damage.
著者
野田 哲夫
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.155, pp.131-137, 1930-03-18

開き翼とは第1圖に示した如くに翼の後端を開閉する仕掛のある一種の變形翼のことである。この翼の特徴は開きを開くに從ひ益々揚力が大になり其の最大揚力の値は從來の種々の變形翼の内ハンドレー・ベーヂのスロツト翼に次ぐ大さに達するものである。本文には一つの開き翼の模型に就ての風洞試驗の結果を掲げ開きの開閉に伴ふ翼の性質の變化を示してある。開き翼の實用上の價値に就ては此の翼が開き零なるときの小なる抗力と開き大なるときの大なる揚力とを兼備する故に飛行機の速度比を大いに増大することが出來るのである。本文には開き翼を用ふれば飛行機の速度比を約3割増加せしめ得る事を述べてある。此の3割の増加は離着陸速度を3割減ずる爲めにも亦は最大速度を3割増す爲めにも利用出來るものである。尚ほ速度比を大ならしむる見地より開き翼と他の變形翼とを比較するときは開き翼が從來の何の變形翼よりも有利であることを知ることが出來る。ハンドレー・ベージのスロツト翼は揚力の大なる點に於ては開き翼に優つて居るが其の高揚力を與へる迎角が實用の範圍を越ゑて居る爲めに速度比を大ならしむる事に於ては開き翼に及ばないのである。
著者
山崎 瞳 原 清治
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.155-172, 2010-03-15

現在、子どもたちのなかでケータイ電話を介したネットいじめの問題が深刻化している。こうした事態に対処するため、2008年6月に18歳未満の青少年がケータイを利用する場合には、保護者からの申し出がある場合を除いてフィルタリングを適用することを各ケータイ電話会社に対して義務付ける「青少年ネット規制法」が成立した。しかし、フィルタリングの導入はネットいじめの「万能薬」とは言いがたく、子どもたちを守る本質的な取り組みが喫緊の課題となっている。本研究が注目するのは、ケータイ電話利用を始める際の「モラル教育」のあり方である。昨年度に京都府下の小学校においてネットいじめに関する予備調査を実施し、以下の知見を得た。(1)小学生の30%前後がすでにケータイ電話を所有すること、(2)ネットいじめの被害とケータイの使用頻度(内容)は相関すること、(3)ケータイ利用に関しては、必ずしもその導入期に家庭におけるルールが成立していないことである。 本研究では、京都市教育委員会の協力を得て、市内に在住する小学生の児童に対してアンケート調査を実施し、予備調査において明らかとなった子どもたちのネットいじめの実態を精緻に分析するとともに、その元凶ともいわれるケータイ電話利用に関する意識調査を実施した。結果として、(1)小学生のおよそ3割程度がケータイ電話を所有していること、(2)小学生の12.5%は何らかのネットいじめの被害経験をもつこと、(3)ネットいじめの被害と相関関係にある項目として(1)性別、(2)1日あたりの平均メール回数、(3)家庭でのケータイやインターネット利用に関するルールの有無があげられ、ネットいじめの被害者となった児童はネットいじめの加害者となりやすい傾向が明らかとなった
著者
池田 浩敬 中林 一樹
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.549, pp.223-230, 2001
参考文献数
11
被引用文献数
6 1

The Hanshin-Awaji Earthquake clarified the importance of preparedness of housing recovery and urban reconstruction. This is a basic study on the construction of methods for estimation of demands for the preparedness of shelter and housing recovery measures after the next earthquake disaster. The questionnaire survey was made at main cities in Shizuoka prefecture, where the Tokai Earthquake of M.8 shall occur in the near future. The purpose of this survey is to clear the demands of shelter and housing recovery for residents after the earthquake. The results are as follows; 1)the elderly and the people of low income need a shelter much more. 2)The renters of private houses, the elderly and people of low income need not only temporary houses but also temporary stay in the public houses after a sheltering. 3)The renters need the public houses very much for a permanent housing. The estimation methods will be able to be built through these analyses, which give the parameters for estimation models.
著者
村山 留美子 内山 巖雄 中畝 菜穂子 岸川 洋紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

全国の成人を対象とし,一般市民のリスクや科学技術に関する認知レベルとその構造の把握のための調査を行った。その結果,1)17の項目について,それぞれの項目が持つ特徴的な認知構造について明らかにした。日常良く使用するものや科学技術では,必要性や恩恵を感じている場合,危険度の認知が低くなる傾向が示された。2)東日本大震災一年前の市民の地震へのリスク認知は非常に高かった。特に京浜,東海地域で意識が高く,一方で東北地方はやや低くなっていた。また,原子力発電所については,生活への必要性が高いと認知されている項目であった。半数以上が危険であると認知し,安全性がないとの意識を持っていたが,他の項目から相対的に見た場合,その意識はそれ程高くなかった。東日本大震災とそれに伴う原子力発電所の事故を鑑み,大地震や原子力発電所等の電力供給源については東日本大震災以後大きく認知構造が変わる可能性があり,今後もその変動を検討する必要がある。
著者
石原 昌家
出版者
沖縄国際大学
雑誌
沖縄国際大学社会文化研究 (ISSN:13426435)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.23-41, 2008-03

2008年、年明け早々、沖縄から「靖国神社合祀取消」が提訴されるということが明るみなった。それは戦後63年も経て、沖縄戦体験研究者に「沖縄戦体験とは何だったのか」とか「沖縄戦体験の認識」を改めて問うものである。1970年から戦争体験の聞き取り調査を実施してきた筆者としては、「靖国神社合祀取消」訴訟にあたって、ただちに沖縄戦体験との係わりを実証的に論理展開できるほどの研究を蓄積しておくべきであった。しかしながら、沖縄戦体験と靖国神社合祀との係わりについては、2005年4月以降、資料収集に着手したに過ぎず、一年前の2006年2月に、「援護法」によって捏造された「沖縄戦認識」-「靖国思想」が凝縮された「援護法用語の集団自決」-を書き上げたにすぎない。そこで本論では、「援護法」が日本の国会でいかなる議論の中で制定されたか、それが制定される過程で日本人が戦争責任を総括する機会を失うことになったことや「援護法」が沖縄にも適用されることによって米軍政下の沖縄が「靖国化」されていったことを明らかにしていく。
著者
梅本 順子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

多方面において人道的、かつ教育的に活動した牧師、田村直臣という人物の足跡を、The Japanese Brideに代表される日本の風習や習慣を紹介するための英書の発行や、それに先立つ童話集の翻訳などの仕事を中心に、文化の受容、発信という視点からたどった。田村の多様な活動の背景には、四年あまりのアメリカ留学と、帰国後も五年に一度の割合で海外に出かけた経験がある。当時まれにみる国際人として、幅広い知識と卓越した語学力で日本文化を発信、かつ西欧の文化の受容と紹介に努めたことが明らかとなった。田村が先駆者となったものとしては、宗教教育の実践、児童文学の翻訳の際の言文一致体の導入などが挙げられる。また、アメリカでのThe Japanese Brideという英文書籍の出版は、新渡戸稲造の『武士道』よりも早い。日本女性の窮状を、結婚をテーマに紹介した同書には、当時すでに男女平等を説く、田村の思想が表れていた。そのため、同書を日本で翻訳・出版するとなると、保守派のみならず、日本基督教会側からも圧力がかかった。それが「花嫁事件」であり、田村は牧師職の剥奪という処分を受けるが、独立教会の牧師として、「児童」と「女性」の問題に生涯にわたって関わり続けたのだった。
著者
河野 允宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

前年度は、3次元波動伝播理論と理論的震源関数を用いた地震動モデルを作成し、この地震動モデルの有効性の検証を、兵庫県南部地震で測定された神戸大学、新神戸変電所、松村組の技術研究所の3ヶ所の地震記録を対象に行うと共に、これらの地震動特性の構成についての考察を行っている。地震動モデル作成において、断層面での滑り分布は、Sekiguchi et al.(1995)の結果を考慮したが、震源関数を規定する断層破壊に関するパラメータは、神戸大学記録のNS成分1つのみと地震動モデルの対応する成分と合致させることから決定した。このようにして、一つの震源関数を定めた。神戸大学のEW成分、新神戸変電所および松村組技術研究所のNS、EW成分の地震動は、それぞれの地盤モデルから評価されたグリーン関数と上記の一つの震源から作成した。神戸大学、新神戸変電所、松村組技術研究所の加速度記録のNS、EW成分と地震動モデルの波形、速度応答スペクトラムの比較により、地震動モデルと観測地震動は全体的に良く合致していることが示された。しかし、3次元地盤での地震動を波動伝播理論を用いて計算すると莫大な時間を必要とする。そこで今年度は、前年度の研究成果を更に発展させ、上記の3つの観測点の震源から地震基盤までの地震動は従来と同じ3次元地盤波動伝播理論を用いて計算し、1次元の地盤で置換された表層地盤の基盤に、その地震動を入射し、表層地盤での任意の位置での地震動を評価する方法を示した。この様にして作成された地震動モデルにより、神戸大学、新神戸変電所、松村組の技術研究所の3ヶ所の地震記録のシミュレーションを行なった結果、3次元地盤の波動伝播理論を用いて作成した前年度の地震動と殆ど同じ程度のシミュレーション結果が得られた。この研究によって、兵庫県南部地震の様な直下型地震動に対しては、今年度示した方法で、将来発生する兵庫県南部地震の様な直下型地震動を極めて短時間に予測出来る可能性を充分に示した。
著者
阪口 政清 片岡 健 村田 等 許 南浩
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

がん幹細胞クローニング用プラスミドベクターを完成させたこと、このベクターを使用して、がん幹細胞の特性を備えたクローン化がん幹細胞株を樹立できたこと、があげられる。クローン化の高効率化を目指し、独自のプラスミドベクターを完成させるまでに多大な時間を費やした。現在、膜タンパク質を調製し、免疫のステップに移行している。
著者
櫻井 純 小林 敬子 永浜 政博 藤井 儀夫
出版者
徳島文理大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

ウエルシュ菌α毒素は、致死、壊死、溶血活性、さらには、血管、腸管の収縮活性など多彩な生物活性を有する特異な毒素である。一方、本毒素は、本菌によるガス壊疸の主要毒素であるので、この感染症に対する毒素の役割を明らかにするため、主に、細胞膜に対する作用に焦点を絞り検討した。α毒素をウサギ赤血球に作用させると、毒素量に従って破壊される赤血球数が増加し、さらに、血球膜中におけるホスファチジン酸合成の促進することが判明した。このホスファチジン酸合成の促進は、赤血球膜ゴ-スト本毒素を作用させた場合も認められた。これらの結果から、本毒素による溶血作用発現にはホスファチジン酸合成が密接に関係していると推察される。次に、GTP、NAD存在下赤血球膜ゴ-ストに本毒素を作用させると、ホスファチジン酸合成は、著しく促進されることが判明した。但し、intact赤血球における本毒のホスファチジン酸合成の促進作用に対して、GTP、NADの添加効果は認められなかった。これらの結果から、本毒素による赤血球膜のリン脂質合成促進は、内因性のGTP、NADが重要な因子であると推察される。これらの結果を確かめるため、血小板に対する本毒素の影響を検討した。ウサギ血小板は、毒素の用量に従って凝集し、しかも、血球の場合と同様に細胞膜中のホスファチジン酸量も増加することが判明した。また、赤血球の場合も、血小板の場合も、本毒素による他のリン脂質、そして、アラキドン酸の合成促進は認められなかった。一方、脂肪細胞に毒素を作用させると、毒素量に従ってアラキドン酸合成が促進されることが明らかとなった。以上から、本毒素が生体膜に作用すると、リン脂質代謝が活性化され、その影響によっておのおのの細胞が有する特有の代謝系も活性化されると推察される。その結果、細胞膜が破壊されたり、細胞凝集が引き起こされると思われる。