著者
白田 茜
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.41-52, 2009-03

This research revealed that citizen participation on food safety would visualize the problems in food safety policy and would contribute to the determination of the direction of the policy. Biases in the developing technologies, due to decision by a restricted number of people such as experts, could possibly be corrected by the participation of various citizens. Thorough their participation in conferences, citizens deepen their opinion, exert a role as a more constructive partner in food safety, and also express tolerance and understanding of other participants' opinions. This indicates educational aspect of citizen participation.
著者
安井 湘三 鈴木 宏昭 下薗 真一
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々が開発したCSDF構造刈り込みの手法は、脳機能の本質に迫るとされる冗長削減原理の一形態と考える。本基盤研究では、この手法を洗練・改良した上で以下のような応用を行い、当初の目標は概ね達成されたものと考える。(A)アナロジー類推プロセッサアナロジーは認知科学、心理学、科学史、AIなどで研究されてきた。アナロジー類推を行う我々のニューロプロセッサは比較的シンプルで、そこでは抽象化内部モデルおよび具体⇔抽象の結合がCSDFの働きで自律生成されるという独自のものである。内部モデルへの引き込み等が起こることで、複合アナロジーや追加アナロジーの学習パラダイムにおいても有効であることが確認された。(B)独立成分分析(ICA)ICAもしくはBSSとは、混合された複数未知信号を分離抽出するという新IT技術である。我々の方法は、情報理論に基づいた従来法とは根本的に異なる。センサー信号を入力するオートエンコーダに恒等写像学習を行わせ、同時に、デコーダ部にCSDFを施す。すると、CSDFに抗して生き残った隠れ素子が源信号を再生する。また、デコーダ行列は混合行列を再生するので、デコーダ部は外部世界(源信号-センサ)の内部モデルとなる。従来法と比べて適応性・ロバスト性に富むことが特長で、音声や画像の実データを使った実験においてもある程度の成功を収めた。
著者
大野 旭
出版者
静岡大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、中国・内モンゴル自治区に居住するモンゴル族遊牧民の定住化過程における文化変容の実態をフィールド・ワークを通して明らかにしようとするものである。本年度は主として同自治区西部のオルドス地域と首府呼和浩特市周辺で現地調査を実施し、その成果を公開した。1.定住化においこまれた最大の原因は放牧地の狭小化に求められよう。清朝の政策転換にともない、19世紀末から大量の漢人農民が内モンゴルに入植し、草原を占領して農耕地に改造した。それと同時にモンゴル族の方は家畜を失い、農民に変身していった。こうした歴史的な出来事を「19世紀末におけるモンゴルと漢族関係の一側面」、「19世紀モンゴル史における<回民反乱>」にまとめ、公開した。2.社会変動期において、モンゴル人はなにを考え、どのように行動してきたかを示す資料として、手写本(古文書)がある。手写本の内容は哲学、文学、天文学、医学など多分野に及んでいる。このような手写本を民間から収集し、著書Manuscripts from private collections in Ordus, Mongolia(2)-the Ghanjurjab collectionのかたちで発表した。今後は、現地調査で収集した資料と、世界各国の文書館に保存されているモンゴルの社会変容に関する档案資料とを併せて、モンゴル族の社会変容を歴史人類学の視点から一層綿密に解明していく予定である。
著者
前島 渉
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究で対象とした地層はインド、オリッサ州およびジャールカンド州の石炭-ペルム系タルチール累層、オリッサ州の白亜系アトガー累層、西南日本の新第三紀山陰-北陸区に属する糸生累層および国見累層である。このうちオリッサ州のタルチール累層、アトガー累層および国見累層で重要な成果を得た。タルチール累層の研究では、石炭紀末からペルム紀にかけてのゴンドワナ氷床の衰退と消滅の初期段階において急斜面性ファンデルタが形成され、その過程で氷河の崩壊や山間の氷河湖の決壊が頻繁におこり、高流速かつ浅水深の大規模なシート洪水流が頻発して、射流領域での堆積作用がおこったことが明らかとなった。このようなシート洪水流堆積物には反砂堆起源の中〜大規模な斜交層理がよく保存されている。アトガー累層については、上部扇状地堆積物中に認められる側方への連続性のよい塊状砂岩や弱く成層した礫まじり砂岩がシート洪水流堆積物であると考えられ、礫まじり砂岩の成層構造がシート洪水流内で常流と射流の両領域が繰り返すことによって形成されていったことを明らかにした。国見累層では、扇状地堆積物中の特に下部扇状地起源と考えられる地層に、反砂堆起源の斜交層理をともなう射流領域のシート洪水流堆積物がよく発達しており、河川流の作用よりはむしろシート洪水の作用の方が卓越したため射流領域の堆積物の地層への保存ポテンチャルが高くなったと考えられる。これは扇状地面の傾斜が交差点近傍で急変し、傾斜が一気に低下することによって河川流の運搬能が急速に衰えて粗粒砕屑物の堆積が一気に起こり、そのため河川チャネルが激しく分岐して浅化してついにはチャネルの形態をも失ってしまったためとみなされる。そのため洪水時には下部扇状地を広くおおうような高流速・浅水深の射流領域のシート洪水がひんぱんに発生したと考えられる。
著者
福澤 利江子
出版者
甲南女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

米国で開発・実施されたListening to Mothers質問紙の日本語翻訳と文化的改変を進めるため、プレテストを拡大した。妊娠・出産・産褥早期版では220名、産後後期・育児・就労版では翻訳と専門家による内容妥当性評価を経て130名の産後の女性より参加が得られた。妥当性、信頼性、同質性をさらに高めるため、尺度開発のプロセスは今後も続く。今回の調査結果はホームページを通じて社会へお返ししていく。
著者
糸久 正人
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

申請者は「イノベーションを追及することは競争優位の源泉になりうるのか?」という問題意識のもとに、主に製品開発プロセスの視点から先発企業(イノベーター)と後発企業(イミテーター)の企業活動について調査分析を行ってきた。前年度の成果としては、後発企業でありながら電気電子製品の分野において高いグローバルシェアを誇る韓国サムスン電子の製品開発プロセスについて分析を行い、『リバース・エンジニアリング型開発プロセス」という概念を打ち出した。これは、通常、機能設計→構造設計へと至る「フォワード・エンジニアリング型開発プロセス」に対して、日本企業などのあるイノベーティブな製品を前提に、そこから構造設計→機能設計→構造設計へとさかのぼっていく製品開発プロセスである。以上の研究成果を踏まえて、本年度は主に3つの方向性に研究を拡張した。一つ目は、上記サムスン電子とブラウン管および液晶パネルメーカーであるサムスンSDIの製品開発戦略を『製品アーキテクチャ」の視点から捉えた研究である。具体的には、藤本(2003)の「アーキテクチャの両面戦略」のフレームワークを用いて同社のブラウン管TV、液晶TV事業を中心に分析したところ、サムスン電子は技術の寄せ集め的で業界に参入し、その後、BRICsなど各市場向けにカスタマイズを行う『内モジュラー・外インテグラル戦略」を、逆にサムスンSDIは自前の技術を利用し、その後、広範囲な顧客に汎用品として販売する『内インテグラル・外モジュラー戦略」をそれぞれ志向することで高い競争力を維持していることがわかった。二つ目は、先発企業の製品開発プロセスに焦点を当てた研究である。具体的には、様々なツールをクロスさせて、3次元CADCAEなどを活用したデジタルエンジニアリング、ロバストネスを達成するタグチメソッドなどを活用して、高品質の製品をいかに早く開発するのか、という問題に対して、インタビュー調査およびアンケート調査から分析を行った。この研究成果に関しては、まだ未公開であるが、現在『組織科学』に投稿中である。三つ目は、製品開発の視点からやや離れて、効率的な生産および需要予測の方法について調査分析したものである。この視点では、現在のところ、先発企業VS後発企業という比較分析が十分でないので、この点は今後の研究課題としたい。
著者
秋山 麻実
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の成果は、以下の二点に集約される。第一に、本研究では、19世紀を中心に多数出版された宗教小冊子で扱われる死のテーマについて、その構造を明らかにした。そこには、忍苦と信仰、幸福な死を描くと同時に、残された者の喪の作業とグリーフ・ケアという側面も含まれていた。第二に本研究は、そうした小冊子が生まれてきた系譜について明らかにした。これは17世紀宗教改革後に著された多くの宗教書との関連において捉えられるべきであり、そうした大人のための宗教書と、子どものための本との内容的な一致点と相違点を明らかにした。
著者
深田 高一
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.227-231, 2003-03-20
被引用文献数
1
著者
鳥本 悦宏 高後 裕
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.2005-2009, 2006-10-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

鉄欠乏性貧血は最も頻度の高い貧血で, 我が国は欧米と比べてその頻度は高い. 日本人の鉄摂取量は年々減少傾向にあり, 30歳代から40歳代女性の4人に1人が貧血で3人に1人は鉄欠乏状態にある. 小球性貧血によって本症を疑い, 血清フェリチン値, 総鉄結合能により診断する. 血清鉄は本症に特異性が低い. 本症とピロリ菌の関与が注目されている. 治療の基本は経口鉄剤投与で, 非経口的鉄剤投与の場合過剰投与に気をつける.
著者
鉄村 琢哉 本勝 千歳
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

屈曲した培養根は多数の側根を形成するというシロイヌナズナで認められた知見をもとに、バーミキュライトを添加し、ゲルライトで固化した培地を根発達培地として使用することにより、カキ栽培品種およびマンゴー実生由来のミクロ挿し穂から発生した1次根に側根を形成させることに成功した。この根発達培地は発根能力の低いニホンナシ栽培品種やマンゴー実生由来のミクロ挿し穂の発根率を向上させた。シロイヌナズナの側根形成に関わる遺伝子解析のための変異系統の作出に成功した。
著者
倉沢 央 川原 圭博 森川 博之 青山 友紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.54, pp.15-22, 2006-05-23
被引用文献数
25

我々は 近い将来携帯電話に搭載可能な小型センサを用いてユーザのおかれているコンテキストを推定し,このコンテキストに応じて,ユーザに適切な情報配信を行うコンテキスト情報基盤の構築を目指しているンテキストアウェアサーピスを現実のものとするには,常に変化し続けるユーザの状況をいかに推定するかが重要な技術課題となる.本稿では,単一の加速度センサを搭載した携帯電話を-つ身に着けるだけでユーザの姿勢,動作の推定を可能にする手法を示す.本手法はリアルタイムの信号情報からセンサがどこに取り付けられているかを自ら判別し,その情報をもとに推定アルゴリズムを動的に切り替えることで推定精度を向上している.We are focusing on theb development of a context-aware information platform which allows users to receive personalizedi information based on their context inferrd by tiny sensors attached to their cellular phone.A dynamic user context infrence method is one of the impotant technologies for realizing th context aware servivces.In this paper,we how a new context inference scheme which realizes a user posture inference with only one sensor embedded in a cell phone.to improve inference acctuacy,the system automatically detects the sensor position on the user's body and selects the most relevant inference method dynamically.