著者
鴨川 仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性
巻号頁・発行日
vol.101, no.252, pp.7-8, 2001-08-14

地震に関連する電離層の擾乱は放送局からの電磁波が見通し距離外で受信されることや、電離層ゾンデの観測などから検出されている。この擾乱メカニズムの一つの解釈として地震に関連して地表が帯電し、そのため大気電場が発生し結果として電離層を擾乱させている可能性が考えられる。そこで我々はコロナ電流の観測によって大気電場、電離層ゾンデにより電離層を同時に観測することによって、電離層擾乱の物理的過程を明らかにしようと試みる。ゆえに台湾に5カ所、日本に6カ所の大気電場観測地点を設置し常時観測を行っている。
著者
山田 弘文 南出 章幸 竹俣 一也 中村 純生
出版者
金沢工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

グローバル化の進む21世紀において国際的に活躍できる技術者を育成するには、専門知識に加えて、外国人とのプロジェクトを円滑に推進するためのコミュニケーション能力が必要である。そこで、本研究では、学生がWeb上の共同実験施設を外国人とチームを組んで利用し、プロジェクト活動を推進する国際交流型の工学教育を実践できる教育ネットワークを構築することを目的とし、Webブラウザでコントロールできる遠隔操作ロボットシステムの開発を試みた。開発したシステムの有効性を検証するためシステムー式を協力機関に設置した結果、本システムが使えそうであることを明らかにできた。
著者
杉田 米行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

国際関係と福祉国家論の融合を目指す研究を行い、世界情勢の構造的変化が日本の健康保険制度・国民健康保険制度の設立、展開に大きな影響を与えたことがわかった。Yoneyuki Sugita ed., Japan Viewed from Interdisciplinary Perspectives (Lexington Books, forthcoming).Yoneyuki Sugita, "'Fairness' and Japanese Government Subsidies for Sickness Insurances," Japan Studies Review (forthcoming)
著者
春日 淳一
出版者
関西大学経済学会
雑誌
関西大学経済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.29-53, 2011-06-10

本稿の目的は、N.ルーマン(Luhmann)が自らの社会理論に取り込んだ数学由来の概念「固有値」(Eigenwert)に着目し、その有効性をとくに現下の時代状況に照らして浮かび上がらせることである。はじめに数学概念と照合しつつ、ルーマンが「固有値」という語で指し示そうとしたものが何であるのか、そのイメージ把握に努める。しかし、得られるのはひとつの明確なイメージではなく、さまざまなイメージのいわば寄り集まりである。そこで固有値の集合を整序すべく、まずは機能(的下位)システム・レベルの固有値と全体社会レベルの固有値を区別する。議論を補強する意味でルーマンの固有値論とハイエクの自生的秩序論との対比をはさんだあと、このシステム・レベルの区別をふまえた固有値の入れ子構造ないしピラミッド状構成という整序図式を提示し、それにもとづいて固有値概念の有効性をいわゆる「改革」のケースについて検証する。
著者
野口 和美 穂坂 正彦 木下 裕三
出版者
横浜市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

幼若ラットのセルトリ細胞培養液(SCCM)中に、成熟マウスのライディッヒ細胞を刺激してテストステロン(T)分泌を促進する因子があることを確認し、その生化学的性質の一部を明らかにした。セルトリ細胞は3週齢の幼若ラット精巣よりトリプシンとコラゲナーゼ処理により得、無血清培地で培養した。分子量1万をカットオフ値とする限外濾過にてSCCMを15倍に濃縮した。ライディッヒ細胞は10週齢の成熟マウス精巣より酵素によらず分離した。濃縮したSCCMをライディッヒ細胞浮遊液(最終密度10^6cells/ml)に加えたところ、37℃3時間のインクベーションにてSCCMの濃度依存性にTの基礎分泌は促進された。上清中のcAMPをRIAにて測定した。その結果、cAMPもTと同様に、添加したSCCMの濃度依存性に上昇した。5×10^7個のライディッヒ細胞をSCCMあるいはLHと34℃3時間インクベーションし、ライディッヒ細胞を分離した。これをホモジナイズして酵素液とした。14C-pregnenolone,14C-progesterone,14C-17α-hydroxyprogesterone,14C-androstenedioneを基質としてそれぞれ3β-HSD,17α-hydroxylase,C17-20 lyase,17β-HSDの酵素活性を測定した。コントロールと比較し、SCCM処理にてはLH処理と同様にこれら酵素活性に変化を認めなかった。すなわちSCCMの作用点はLHと同様にテストステロン生合成の初期段階、すなわちcholesterol→pregnenoloneの過程(ミトコンドリアでのT合成経路)に作用している可能性が考えられた。LHの過剰刺激下ではT分泌がそれ以上に亢進しないこともこれを裏付けるデータと思われる。各種濃度のFSHを4、72、96時間、培養セルトリ細胞に作用させた後新鮮な培養液に交換し、これに分泌された同因子の生理活性を測定して比較検討した。その結果、FSH100mIU/mlを4時間作用させたセルトリ細胞培養液中に有意にライディッヒ細胞刺激因子の生理活性が高かった。その他の条件下ではコントロールと比較していずれも生理活性は高かったが、有意差は認められなかった。
著者
東方 和子 澤田 みどり 生田 純也 新野 直明 Kazuko Tobo Midori Sawada Junya Ikuta Naoakira Niino
出版者
桜美林大学大学院老年学研究科
雑誌
老年学雑誌 (ISSN:21859728)
巻号頁・発行日
no.1, pp.29-38, 2011

通所介護施設を利用する虚弱な地域在住高齢者の精神健康と活動能力に対する園芸活動プログラムの効果を調査した.園芸活動プログラム(週1回4か月間)に参加した高齢者7名を実施群,園芸活動のない通常のデイサービス利用者10名を非実施群として,精神健康と活動能力について,調査票を用いてプログラム前後の状態を調べた.実施群において有意な精神健康の上昇が示され,非実施群では高次の活動能力に有意な低下があったが,実施群では維持されていた.以上の結果,園芸活動プログラムが虚弱な地域在住高齢者の精神健康,活動能力向上に効果がある可能性が示された.

1 0 0 0 IR 倪瓚論

著者
横山 伊勢雄
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.53(114)-78(89), 1979-03
著者
高田 峰雄 中村 宏 細川 雅章
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.221-230, 1994-02-28
被引用文献数
3

ノンクライマクテリック型果実の柑橘果実と,カキ型果実のカキ果実を切断して,その後のwoundエチレン生成量の変化をヘッドスペース法によって経時的に調べた。柑橘果実については,収穫適期に採取された7種類の市販の果実(早生温州ミカン,中生温州ミカン,晩生温州ミカン,レモン,バレンシアオレンジ,ユズ,甘夏ミカン)を使用し,果実の中央部を果軸と直角に横に切断した後,1時間毎にエチレン生成量を測定した。その結果,すべての果実で切断後数時間のラグタイムの後エチレン生成が始まり,甘夏ミカンを除くすべての果実でピークに達した後減少した。ピークは切断後約20〜30時間の間に出現した。ピーク値は約5〜20μl/kg・hの範囲で,果実の種類によってまちまちであった。収穫適期に採取したカキ(富有)果実を中央部で縦に切断した場合,woundエチレン生成量のピークは切断18時間後に現われ,ピーク値は約5μl/kg・hであった。カキ(富有)果実については,生育ステージ及び切断方法の違いとwoundエチレン生成との関係についても調べた。生育ステージの異なるカキ果実の場合,ステージIとステージIIの果実では切断5〜6時間後にピークが出現した。ピーク値は縦切り果では両ステージの果実とも約10μl/kg・hと等しかったが,横切り果ではステージI中期の果実で約13μl/kg・hと高く,ステージの進行とともに低下し,ステージIIの果実では約7μl/kg・hと半減した。切断方法の違い(縦切りと横切り)とwoundエチレン生成量との関係では,ステージI中期の果実の場合横切り果の方が縦切り果よりもピーク値がかなり高かったが,ステージI後期になると両者は等しくなり,ステージIIでは逆に横切り果の方がかなり低くなった。ステージIIIの果実の場合,切断10時間後まででは,縦切り果のエチレン生成量の方が横切り果のそれよりも大きかった。またその差はステージが進むと拡大した。
著者
伊達 勲 三好 康之 杉生 憲志 徳永 浩司 小野 成紀 市川 智継 亀田 雅博
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

I型コラーゲンによる足場を形成して、神経幹細胞をカプセル化したところ、カプセル内での幹細胞の生存を確認できた。また、腫瘍形成は認めなかった。カプセル化した神経幹細胞を中大脳動脈閉塞モデルへ移植したところ、行動学的改善を認め、組織学的には、脳梗塞体積の縮小を認めた。また、移植操作に伴う、ドナー細胞への虚血負荷を減らすには、Glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF)による前処置が有効であることを確認した。
著者
平瀬 肇 篠原 良章 眞鍋 理一郎
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

脳機能の左右差はヒトではよく知られているが、その分子的基盤は、ほとんど分かっていない。また、マウスを用いた左右差の分子基盤を探る実験でも、神経伝達物質受容体の定量等のボトム・アップ的アプローチによるものが殆どである。さらに、体軸を形成する遺伝子のスクリーニングは数多いが、それらはすべて動物の初期発生期に誘導される分子に限られており、成熟した個体に対する徹底した遺伝子の網羅的スクリーニング皆無であった。哺乳類左右脳の遺伝子発現の違いを解明するために、平成21年度に収集した成獣ラット海馬CA3領域サンプルを次世代DNAシークエンサーを利用して遺伝子解析を行った。まず、収集された左右の海馬CA3サンプルより、short RNAライブラリを調製した。ライブラリ調整には理化学研究所オミックス基盤領域(鶴見)で開発されたLNAを用いてアダプターダイマーを除去する最新式のプロトコルを採用した。その結果、1サンプルあたり、約1000万タグ、左右合計6サンプルのshort RNAのシークエンシングに成功した。シークエンスされたshort RNAの中、約9割がmiRBase15に登録されているmicro RNAであった。micmoRNAの発現で際立った左右差が認められるものは殆ど無かった。また残る1割においては、バイオインフォマティック的手法により新規microRNA解析を行ったところ十数種類の新規microRNA候補遺伝子が見付かった。新規microRNA候補遺伝子の中から発現(タグ数)が高い2つの遺伝子の発現をin situ hybridization法を用いて確認した。新規microRNA候補遺伝子でも左右発現差が顕著な物は皆無であった。
出版者
京都大学図書館機構
雑誌
静脩 (ISSN:05824478)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.9-9, 2005-10
著者
吉岡 豊 森 壽子 藤野 博 瀬尾 邦子 濱田 豊彦 寺尾 章
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.169-176, 1992

本研究では42例の失語症患者と3歳から8歳の正常児94例を対象に, 文理解力と物語理解力を調査し, 失語症患者と正常児の相違点を考察した.課題として文理解力の評価には2種類の3文節能動文を用い, 物語理解力の評価には失語症鑑別検査(老研版)を用いた.主な知見は以下の如くであった.1.失語症患者では物語理解力が文理解力よりも良好であった.両課題の成績には乖離が見られ, 特に重度・中度群で著しく, 軽度群では差がやや縮まった.2.正常児ではどの年齢でも物語理解力と文理解力はほぼ並行して発達した.また, 理解良好な者の比率は4〜5歳代で有意に上昇した.以上の結果から, 文理解力と物語理解力の乖離は失語症患者に特有な現象であることが確認された.その原因としては, 文理解力には主に左脳の能力が, 物語理解力には右脳の能力も関与しているためと考えられた.
著者
菊池 良和
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

これまでの研究(Kikuchi et al., NeuroImage, 2011)では、吃音者において、左聴覚野の聴覚ゲーティング機能の障害、右聴覚野の周波数配列の拡大、そして右聴覚野の灰白質量の増大を発見した。2011年度は、先行研究のデータから、別の解析方法を試みた。周波数配列に使った純音250Hz,1000Hz,4000Hzを聴覚閾値上30dBの音圧で片耳刺激した左右の聴覚野の反応を、位相同期という指標で再検討した。位相同期は0から1の範囲の値で示される。位相同期は、1つのチャンネルが刺激とどの程度同期したかが分かるPLF(phase locldng factor)と、2つの離れたチャンネル同士がどの程度位相同期したかが分かるPKV(phase locking value)という2つの方法で検討した。まず解析には、MEGデータをwindowsパソコンのmatlabで動かすようにデータ変換をする必要がある。それにはFIF accessというソフトを使用した。その後、時間-周波数解析には、ウェーブレット解析を用いて、PLFとPLVを計算するプログラミングをmatlab上で行った。結果としては、吃音者の右聴覚野のPLFが高まり、吃音者の左右聴覚野のPLVも高まっていることを発見した。この発見をSociety for Neuroscienceで発表し、受賞した。PLFの結果は、これまで機能的MRIの研究で、発話時に右聴覚野が過活動という報告が見られたが、基礎的な聴覚刺激においても、吃音者は右聴覚野が過活動となっていることが確かめられた。また、左右聴覚野のPLVも高まっているということは、左半球の活動が、右半球で代償されていることを裏付ける結果となり、今後の吃音研究において、基礎となる研究結果を得られた。
著者
片浦 弘道
巻号頁・発行日
1987

カルコゲナイド系非晶質半導体において短距離秩序が存在し長距離秩序が無いということは周知の事実であるが、これらの情報だけでは非晶質特有の様々な物性を説明するには不十分である。そのため最近ではさらに一歩進んだ中距離構造に関する研究が盛んである。非晶質As2S3やGeS2ではX線回折のFSDPの解析から20A程度の層状の構造相関があることが示唆されている。またラマン散乱や赤外吸収からは7A程度の相開距離が得られている。一方、共有結合のネットワークに着目すれば2配位のカルコゲン原子の存在により、カルコゲナイド系非晶質半導体は基本的に低次元ネットワークを組むと考えられる。これらの構造を特徴づけているのは、分子内の強い共有結合と分子間の弱いファンデルワールス結合であり、静水圧に対する応答を見ることにより中距離構造に開する情報を得ることが期待される。 そこで我々はカルコゲナイド系非晶質半導体As2S3を基準として、それに2配位のSを加えた事による系の秩序変化、また4配位のGeを加えたことによる系の秩序変化を、高圧下における光学測定によって調べる事を目的とし、Asx-S(1-x)系及びGeS2x-As2S3(1-x)系の基礎吸収端及びラマン散乱スペクトルの静水圧依存性を、ダイヤモンドアンビルセルを用いて約50kbarまで測定した。 Asx-S(1-x)系の基礎吸収端の圧力依存性をPenn-Phillips型2振動子モデルで解析することにより、As2S3からSの組成比が増加すると共に系のネットワークの次元性が低くなってゆくことが解った。またGeS2x-As2S3(1-x)系においてはGeS2の組成比が増加すると共に系の次元性は高次元化することが解った。さらにGeS2x-As2S3(1-x)系においては20kbar付近にEoの急激な変化が観測ざれ、それにともなうヒステリシスの振舞いなどから圧力によって誘起される構造変化が示唆された。具体的にはGeS2の3次元結晶に存在する空隙構造に類似し売構造が与隔質にも存在しそれが圧力によって潰れることによるものと推察される。 またAsx-S(1-x)系のラマン散乱の圧力依存性を特にボゾンピークと呼ばれる低波数域を中心として測定し、MBモデルで解析することにより、加圧により相関距離2σが減少・することが解った。これは加圧により等方性が増すことにより、基本的に異方性を持つ中距離秩序が乱されたためと考えられる。しかし高圧下におけるX線回折による結果とは違い、相関が消失するようなことはない。これはX線回折により見られる相関は層間の相関であり、ラマン散乱等で見られる相関は基本的に層内の相関であるという見方を支持する。また音速の加圧による増加はパルスエコー法による音速測定の結果と良い一致を示しMBモデルによる解析が正当性のあるものであることが示された。しかしながらGeS2x-As2S3(1-x)系においてGeS2の組成比の大きな試料、特にGeS2に対しては音速はバルスエコー法による結果と良い一致を示さず、10kbar付近までにボゾンピークが低波数側ヘシフトするという異常な振舞いを示した。これはこの圧力域で生じると思われる構造変化と深く関わっていると考えられる。