著者
関岡 哲也 横川 勇仁 舩曳 信生 東野 輝夫 山田 朋弘 森 悦秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.459-470, 2001-03-01
被引用文献数
24

唇の輪郭線は, 口腔外科における口唇裂症などの術式検討や術後トレースに重要であり, シンプルかつ高精度のモデルでの自動抽出が望まれている.そこで本論文では, 顔画像を入力とし, 前処理, 1次検出, 2次検出の3段階の処理を経て, 唇の輪郭線を関数で合成する手法を提案する.まず前処理では, 顔画像から唇の位置を検出し, おおよその大きさを決定する.次に1次検出ではDeformable templateマッチング法により唇のおおよその輪郭線を探索する.そして2次検出では, 遺伝的プログラミングを用いて置換と分割によって詳細な唇の輪郭線を探索する.本提案手法が従来の動的輪郭モデル(SNAKES)よりも精度, パラメータ数, 探索時間の点で優れていることを一般人の唇, 口唇裂症患者の唇のサンプルに対するシミュレーションにより示す.
著者
東野 史裕 進藤 正信 戸塚 靖則 北村 哲也 安田 元昭
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、腫瘍細胞で増殖し、正常細胞ではほとんど増殖しない腫瘍溶解アデノウイルスの開発を試みた。我々は、アデノウイルスの特定のタンパクを欠損したアデノウイルス(AdΔ)が、がん細胞では増殖でき、正常細胞では増殖できないことを解明した。さらに、AdΔはがん細胞で強く細胞死を誘導し、ヌードマウスに作成した腫瘍にも効果を持つことがわかった。これらの結果は、AdΔが腫瘍溶解ウイルスとして利用できることを示している。
著者
橋爪 敦子 中川 洋一 石井 久子 小林 馨
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-10, 2004-01-20
参考文献数
19
被引用文献数
7 3

We describe the preoperative use of limited cone beam computed tomography (CT) with a dental CT scanner for the assessment of mandibular third molars before extraction. Cone beam CT provides 42.7-mm-high and 30-mm-wide rectangular solid images, with a resolution of less than 0.2mm.<BR>The positional relationship between the mandibular third molars and the mandibular canal was examined by dental CT. Sixty-eight lower third molars of 62 patients whose teeth were superimposed on the mandibular canal on periapical or panoramic radiographs were studied. Dental CT scans clearly demonstrated the positional relationship between the mandibular canal and the teeth. The mandibular canal was located buccally to the roots of 16 teeth, lingually to the roots of 27 teeth, inferiorly to the roots of 23 teeth, and between the roots of 2 teeth. The presence of bone between the mandibular canal and the teeth was not noted in 7 of 16 buccal cases, 24 of 27 lingual cases, and 10 of 23 inferior cases on dental CT scans, suggesting that the cana was in contact with the teeth.<BR>Fifty-nine of the 68 mandibular third molars were surgically removed, and postoperative transient hypoesthesia occurred in 4 patients. Dental CT scans showed no bone between the mandibular canal and the teeth in all 4 patients. Hypoesthesia was not related to the bucco-lingual location of the mandibular canal or to the extent of bone loss between the canal and the teeth. However, hypoesthesia did not occur in patients with bone between the mandibular canal and the teeth. Thus, information on the distance between the canal and teeth on dental CT scans was useful for predicting the risk of inferior alveolar nerve damage.<BR>Because of its high resolution and low radiation dose, cone beam CT was useful for examination before mandibular third molar surgery.
著者
Nakashi SASANO Atsushi ENOMOTO Yoshio HOSOI Yosuke KATSUMURA Yoshihisa MATSUMOTO Kenshiro SHIRAISHI Kiyoshi MIYAGAWA Hiroshi IGAKI Keiichi NAKAGAWA
出版者
Journal of Radiation Research Editorial Committee
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.495-503, 2007 (Released:2007-11-21)
参考文献数
58
被引用文献数
20

Edaravone, a clinical drug used widely for the treatment of acute cerebral infarction, is reported to scavenge free radicals. In the present study, we investigated the radioprotective effect of edaravone on X-ray-induced apoptosis in MOLT-4 cells. Apoptosis was determined by the dye exclusion test, Annexin V binding assay, cleavage of caspase, and DNA fragmentation. We found that edaravone significantly suppressed the X-ray-induced apoptosis. The amount of intracellular ROS production was determined by the chloromethyl-2',7'-dichlorodihydro-fluorescein diacetate system. We found that the intracellular ROS production by X-irradiation was completely suppressed by the addition of edaravone. The accumulation and phosphorylation of p53 and the expression of p21WAF1, a target protein of p53, which were induced by X-irradiation, were also suppressed by adding edaravone. We conclude that the free radical scavenger edaravone suppresses X-ray-induced apoptosis in MOLT-4 cells by inhibiting p53.
著者
菅野 博史 ZHANG Wenliang
出版者
創価大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

張は、湛然の著作『金剛〓』、鮮演の『華厳経玄談決択記』、鳳潭の『金剛〓逆流批』などの解読を通じて、中国の天台宗も華厳宗もその根底に心性思想があり、しかもお互いに思想の交渉があることに注目し、主に鮮延と鳳潭の思想を中心として天台宗と華厳宗との交渉を検討した。「鮮延の性具善悪説」の中で、鮮延の心性説を考察し、澄観の華厳思想を継承しながら天台宗の性具善悪説を取り入れ華厳の心性説を改造したことを明らかにした。「鳳潭の中国華厳思想に対する批判と理論的意義」の中で、鳳潭は如何に澄観、宗密の華厳思想を批判し法蔵の華厳思想を堅持したかを考察し、澄観と宗密の「真心縁起」を否定し法蔵の「法性本空」の立場に立ち返ろうとした鳳潭の姿勢を分析した。「鳳潭と中国天台宗」の中で、山外家の華厳思想吸収の立場を批判し、智者大師の天台思想を守り、さらに「華天一致」の新説を打ち出した鳳潭の天台宗に対する認識を分析し、その思想的な価値と問題点を指摘した。以上の論文の中で心性問題をめぐって天台宗と華厳宗の立場の相違と思想の交渉を論じ、法性と仏性が一致するか一致しないかという問題をめぐって両宗が対立しながら、華厳宗が天台宗の思想を吸収し法性仏性一致の立場に変容した、という結論に到達した。さらにまた、華厳宗の心性論の変容を把握するために、中国で最初の『華厳経』注釈書である霊弁の『華厳経論』の「心」思想を考察した。霊弁の心性論の思想は、後の中国華厳思想に大いに影響したことを明らかにした。
著者
平井 信義
出版者
全国社会福祉協議会
雑誌
社会事業
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.31-42, 1960-02
著者
松下 敬一郎
出版者
関西大学
雑誌
關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.135-148, 2006-09-20

近年の日本の少子化においては、子供をもたない女子人口割合の増加が顕著にみられ、4人ないし5人に1人の女子が無子を選択している。本論では、子供をもたないことが選択される端点解が最適となるモデルを用いて、子供の養育費用が増加することにより端点を選択する割合が増加することを示している。さらに、実証研究のための含意として、端点においては子供の養育に対する補助の効果が小さいこと、経済的に自立している場合には子供をもたないことが資産所有者の資産分布に与える影響は小さいこと、子供の需要増加に結びつかない結婚の奨励は離婚を奨励することになる可能性があること、資産継承は子供の需要増加に結びついており少子化を減速させることを指摘している。
著者
井廻 道夫 金子 隆志 森山 貴志 安藤 量基
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

HLA B44を有する慢性C型肝炎患者の検討で,HCVコア抗原アミノ酸残基88-96を抗原エピトープとするHLA B44拘束性CTL応答が認められる症例では末梢血HCV RNA量が低値であり,CTLがHCVの増殖に対して抑制的に作用していることを示唆する結果が得られた.また,同一患者において異なった抗原エピトープを認識する2種類以上のCTLが存在することも明らかになった.CTL応答が認められるにも関わらずHCVが存在することは,HCV感染においてはCTL応答が不十分であることが考えられる.抗原エピトープの変異が認められたのは27例中3例と多くはなかったが,その3例のHCVコア抗原アミノ酸残基88-96のアミノ酸配列のペプチドを作製し,HCV特異的CTLに認識されるか,あるいはCTLを効率良く誘導できるかを検討したところ2例では変異エピトープは野生型エピトープと同様に認識されるものの,CTL誘導能は低いことが判明した.他の1例ではむしろ変異エピトープの方が抗原性が強いという結果が得られた.このなかのエピトープの一つを用いて,変異ウイルスが野生型ウイルスと混在した場合にどのような影響がCTL応答に生じるかを検討したところ変異ウイルスは野生型ウイルスと混在した場合には,CTLのウイルス感染細胞障害が抑制されるとともに,変異ウイルスを認識するCTLの増殖も抑制されることが明らかになった.HCVコア抗原アミノ酸残基88-96をHLAB44拘束性に認識するCTLクローンを用いた検討より,C型肝炎においてはCTLはHCV感染細胞を認識しパーフォリン,Fasリガンド,TNFにより認識した細胞を障害すると共に,抗原を認識し活性化したCTLは炎症などにより感受性を獲得した肝細胞をFasリガンド,TNFにより障害し,肝炎の拡大に関与していることが明らかになった.
著者
盛 英三
出版者
東海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

認知症と糖尿病も加齢とともに増加し、糖尿病による脳微小循環障害は認知症を増悪させる可能性が高い。一方、血糖値が下がりすぎると脳神経細胞死を誘発する可能性もある。ラット脳循環障害モデルとして昨年度に作成したストレプトゾトシン投与等によりI型糖尿病モデルに引き続き、本年度はより臨床的な頻度の高いII型糖尿病モデル(OLETFラット)を導入し、LETOラットを対照群として脳微小循環造影所見を比較した。放射光微小血管造影検査は兵庫県佐用町の放射光実験施設Spring 8の共用実験として脳、腎臓、下肢等の微小血管造影を行った。空間解像度5-10μmの血管撮影装置により、細動脈レベル(50-200μm)の血流制御機能の定量的評価を行った。安静時の撮影後、アセチルコリン(30μg/kg, IA)の投与下で撮影を繰り返した。LETOラット(対照群)では安静時の造影で中大脳動脈から分岐する3-4本の脳穿通枝(血管径50-200μm)を観察することができた。一方、糖尿病ラット(OLETFラット)では観察可能な脳穿通枝数が減少する、同血管径が狭小化する、中大脳動脈自体の血流が途絶するなどの所見が得られた。対照群、糖尿病群のいずれでもアセチルコリンに対する血管反応性は他の臓器の微小血管(心筋、指尖、腎臓)と比べて乏しかった。以上から脳微小循環の糖尿病性血管障害の評価に放射光微小血管造影法が有用であることが確認できた。本方法をアルツハイマー病動物モデルに応用することで認知症と糖尿病の合併の病態生理の検討と最適な治療法の開発が可能となる。
著者
大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.495-500, 2000-03-30
被引用文献数
8 9

都市域におけるカエル類の保全を検討するため,多摩丘陵南部においてシュレーゲルアオガエルの鳴き声による個体数把握を行い,各生息地の環境条件との関係を調べた。生息地点は全域で77地点であり,そのうち30個体以上の計数個体数が得られたのは10地点のみであった。水田タイプ毎の個体数密度は過湿田>湿田>乾田の順であり,都市緑地における過湿田・湿田の重要性が示された。また,分散能を考慮した地域個体群としての評価を加えることにより,多くの地点が不安定な状態の個体群であることが示された。得られた結果を基に,本種の生息に必要な整備・管理指針および丘陵全体でのメタ個体群の保全について考察を加えた。
著者
酒井 英樹
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

照明光源に含まれるわずかな紫外線で励起され,停電後にりん光を発する蓄光材を使った蓄光式誘導標識の発光輝度を向上させる方法を検討した。その結果,視認性確保のために設置されている夜間照明からの漏れ光などによって,弱いながらも常に(停電直前まで)励起状態を保つことが,夜間停電時の発光輝度を高める方法として有効であり,また,照明に用いる光源としては,色温度の高い蛍光灯が適していることを明らかにした。
著者
五福 明夫 中谷 武平 横田 直人 伊藤 一之
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
設計工学・システム部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.285-288, 2003

This study develops a dialogue model and a command interpretation technique for service robots to obtain interactively the necessary information of actions for the tasks requested from users. A request from users sometimes misses some data necessary to complete the requested task because a voice command is usually requested depending on context and situation. The developed command interpretation technique first divides a command into words. Then, it analyzes the content of the command paying attention to the verb used and object included. If there are some missing data in the command, it sequentially generates queries to obtain them. The applicability of the dialogue model and the technique is demonstrated by dialogue experiments using a robot arm system.
著者
塘 茂樹
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

平成22年度は、研究プロジェクトの三年目にあたり、前年度に引き続き、ネヴィル・ケインズの日記のマイクロフィルムのトランスクリプションを継続した。現段階で、すべてのトランスクリプションが完了していないものの、これまでに、ネヴィル・ケインズの主著『形式論理学』初版(1884)出版に至る経緯が明らかとなった。750部印刷された同著は、彼がケンブリッジ大学での講義録をまとめたものであったが、その受講生の少なさから、マクミランは当初、印刷費用の負担を要求した。ところが出版してみると、売れ行きはきわめて良好で、印刷費の負担は事実上消滅すると同時に、第二版出版が1887年に実現する。この改訂に際しては、教え子のWilliam Ernest Johnsonの助力を得た。彼は、ネヴィルの息子、John Maynard Keynes が、キングズ・コレッジに入寮した1902年から、同コレッジのフェローとなり、モラルサイエンスのシジウィック講師として、メイナードに大いに影響を与えることになる。今後、19世紀から20世紀への転換期におけるケインズ経済学形成前史を理解する上で不可欠の知見が蓄積されることとなった。
著者
宮田 等 川崎 健夫 小野 裕明 田村 正明 鈴木 崇民 山口 容史 渡辺 みのり 勝亦 正明 VEQUIZO Reynaldo M. JACOSALEM Editha P.
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

原子炉ではウラン燃料が消費されると共にプルトニウムが生成される。危険なプルトニウムの量をモニターできる原子炉ニュートリノ検出器の開発をGd含有新型プラスチックシンチレータを用いて行った。 Am241/Be線源からのガンマ線,中性子をニュートリノ疑似信号として用い,82kgのプロトタイプ検出器の性能を評価した。得られた実験データを基に,Geant4シミュレーションによって1トンの原子炉モニターの性能について評価した。熱出力3GWの原子炉の燃料交換前後でのプルトニウム量に関して、11日間の測定で6% の燃料(プルトニウム90kg相当)の取り出しを2σの有意度で確認できるという結果を得た。