著者
大藪 多可志 木村 春彦
出版者
金沢星稜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

植物は様々な環境要因を認識する能力を有している。また, 移動することは困難なため環境適応能力に優れている。本研究においては, 植物の環境認識能力を生体電位を用いて明らかにすると共にその癒し効果を表現するインタフェースを構築した。インターフェースとしては, 植物にとって良い環境状態であるとき微笑んでいることを顔表現で示す。暑さや寒さを顔表現で示し, 人間からの問いかけに対して環境状態を音声で知らせる。成果を書籍として出版した。
出版者
岩波書店
雑誌
文学 (ISSN:03894029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.2-181, 2011-05
著者
前田 晴良
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

北海道・上部白亜系中の菱鉄鉱ノジュールを産する貧酸素環境の層準等から, Sphenoceramus naumanniのセンサス群集を発見した.これらは合弁で,非常に薄く壊れやすい後耳が保存されており,当時の個体群がそのまま埋没・固定された可能性が高い.底生生物の活動に不適な環境下で,逆に生態情報を保ったままの化石群が保存されるという逆説的な結果は,今後のイノセラムス類の古生態復元の上で重要なヒントとなる.
著者
椙村 春彦 森 弘樹 奥寺 康司
出版者
浜松医科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

喫煙リスクの同定されている大腸癌、胃癌などで、喫煙歴を調整した症例対照DNA多型研究をおこなった。まず修復遺伝子MutYHのhaplotypeを構築し、約800対の中規模の相関関係研究で、大腸癌リスクを有意に上昇させるハプロタイプを見いだした。もっとも重要とおもわれる多型はプロモーター部位にみられた多型であったが、機能差を確認することはできなかった。胃癌についても、喫煙歴と食事歴を調整可能な150-300例の症例対照相関研究をおこなった。ひとつは、inconsistentなdataが続いていた、CDH1promoterの多型であるが、ハプロタイプ構築の結果、日本人の胃癌への寄与が確認された。これで、北欧のdataとあわせて、2集団で確認されたことになるが、ともに症例数、寄与度とも少ない。胃癌発生背景粘膜の炎症の活動度を病理学的に評価して、炎症が少ない(これは酸化的DNA障害が比較的少ないのではないかと予想した)にもかかわらず、DNA付加体である、80H guanineが、上皮細胞、リンパ球などに強染し、多くのDNA障害が存在するという症例を、200例以上の胃癌手術例より抽出した。これちは、酸化的DNA障害修復遺伝子になんらかの機能低下をおこすような多型あるいは変異があるのではないかと期待した。そこで、酸化的DNA障害修復遺伝子である、OGG1、MutYH、NTH1、MTH1の全エクソンの塩基配列を決め、異常な変異や多型が存在しないかどうか確認した。結果として、このような胃癌例に重大な結果を及ぼすような変異は見つからなかったが、いくつか、機能差の可能性のある多型候補が見いだされた。この点についてさらに検討を続けている。家族集積性のある胃癌の例のなかから,あらたなP53多型を発見した。試験管内での検討では、明白な機能差がみられるのであるが、発見された例における発症は60代でありpopulation studyが必要と考えられた。
著者
寺澤 敏夫 浅野 勝晃 天野 孝伸 羽田 亨 山崎 了
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、宇宙空間・宇宙の極限環境におけるさまざまな粒子加速機構について、最新の理論と観測結果を用いた研究を行い、長年の謎である宇宙線陽子・電子比決定メカニズムに迫った。中心的に扱われたのは衝撃波加速機構、乱流統計加速機構であり、それらを共通のキーワードとして、地球定在衝撃波から超新星衝撃波、ガンマ線バーストに伴う相対論的衝撃波まで、広範なパラメタ領域における加速機構の描像の最新化に寄与した。
著者
山木 邦比古 近藤 功 中村 秀夫
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

私達は当該の科学研究費の交付を受け、melanocyteの不溶性抗原の解析をおこなってきた。この中で、melanocyteに特異的に発現しているtyrosinase family proteinの免疫によって白色ラットに実験的Vogt-Koyanagi-Harada(VKH)病を惹起させることができることは既に報告したが、今回は有色ラットに実験的VKH(EVKH)を惹起させることができた。有色ラットのEVKHは臨床的にはVKH diseaseに特徴的とされる夕焼け状眼底を呈するものも認められた。組織学的にはやはりVKH diseaseに特徴的とされる著名な脈絡膜の肥厚、Dalen-Fucks noduleなど肉芽腫性の炎症も広範にみられ、EVKHが惹起されたものと考えられた。またVKH患者リンパ球を分離し、melanocyteの不溶性抗原を抗原としてlymphocyte proliferation assayを行った。この結果tyrosinase family proteinを含む複数の不溶性成分に対して、VKH患者リンパ球が反応性を有していることが判明した。またVKH患者リンパ球をclone化し、VKH病に関与している免疫反応について更に検索すべく実験を行っている。これらの結果は現在投稿準備中である。
著者
宇杉 和夫
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 = Transactions of AIJ. Journal of architecture, planning and environmental engineering (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.444, pp.87-96, 1993-02-28
参考文献数
28
被引用文献数
2

The purpose of this paper is to clarify the relations of spatial recognition and the composition in landscaping, and to find the meaning of traditional landscaping in Japan. The natural and geographical features in the Oki islands corresponds to a spatial pattern "Alternative Circles" of land and sea. There are many old shrines that were located in important places in the spatial patterns and the compositions of the landscape in the Oki islands.
著者
堀田 典裕
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.585, pp.219-224, 2004
参考文献数
21

This paper is an attempt to analyze three works of Aldo van Eyck (1918-99), that was designed when he was a member of Team X, from the viewpoint of repeated 'Spatial Units'. The results of the analysis as follows : 1) There are two types of 'Spatial Units' and 'Inter-Spatial Units' between each of them. 2) The outline of 'spatial unit' causes the relationship of 'figure- ground', that is the development of 'Poche' in the architectural principle of Beaux-Arts and also the universal space in 'Stempel Model'.
著者
朽木 順綱
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.609, pp.185-191, 2006

The intention of this paper is to make a thematic explication of Aldo van Eyck's architectural thought through his treatises titled "steps towards a configurative discipline." The analysis consists of three chapters as follows: Chapter 2 explicates his key concept of "place" and analyzes the structure of "a bunch of places" with reference to "Gestalt." Chapter 3 illustrates the multiplications of "twinphenomena" by way of "configuration." In Chapter 4, through analyzing his method of "repetition", it is explicated that he intends to realize a multimeaning of house and city as man's "home-realm."
著者
山内 智史 島津 樹一 佐藤 衛 堀内 誠三 白川 隆
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25
被引用文献数
1

日本国内ではレタス根腐病菌病原性グループ1,2,3の発生が確認されており,病原性グループ1のみがビオチン要求性を示すことを明らかにしてきた.そこで,病原性グループ1におけるビオチン要求性が菌の諸性質にどのような影響を与えているか検討を行った.合成培地である駒田培地から抗菌性物質を除いた培地(1/2BM)上で11〜28日間培養を継続したところ,4/800の割合でビオチン非要求性変異株が得られた.野生株と変異株の間で形態的特徴,PSA培地上での菌糸伸長に違いは認められなかったが,気中菌糸の生育と胞子形成量は変異株が上回った.さらにVCG,レタス品種のパトリオット,晩抽レッドファイヤー,コスタリカ4号に対する病原性は野性株と同じであった.これらの結果から,病原性グループ1におけるビオチン要求性は生育に関わる代謝系に影響を与えるものであるが,病原性との関連性は低いものと考えられた.
著者
今井 晋哉
出版者
帯広畜産大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

形成期の近代ドイツ市民社会における「市民的公共」の正と負の両面の解明を目指し、今年度は1840年代のハンブルクを例に、市民的公共の担い手としての啓蒙主義的市民結社「パトリオット協会」と、同結社の援助・指導の下、活動を始めた初期の「労働者教育協会」との相互関係を直接の対象として、文献・史料の蒐集・分析に取りかかった。この間、ハンブルクの文書館・図書館への史料情報の照会、先方からの返答など、発注段階での手続きに思いの外時間がかかり、注文した史料のなかには、なお現地でフィルム化を進めてもらっている最中のものもあり、したがって、今年度内における原史料の入手については計画通りいかなかった面もあるが、一方公刊史料や各種研究・参考文献については、本補助金のおかげで非常に充実した蒐集を行うことができた。パトリオット協会自身による協会史や労働者教育協会会員による新聞への寄稿などを読み進むうち、教育協会の活動についての両協会の交渉過程で鮮明になっていった両者の対立においては、協会構成員の経済的地位の相違に起因したという側面よりも、直接にはむしろ、行われるべき教育を、技術・職業教育や市民として修得すべき生活道徳の面に限定しようとするパトリオット協会と、歴史や社会問題についての講義や討論会をも求める教育協会の手工業職人との間の、教育プログラムをめぐる対立の方が中心的であったことが明らかになってきた。現在、この論点を中心とする論文の原稿を執筆中である。また、教育協会に参加した多様な「労働者」の状況を探るため、19世紀初め以来の社会下層民の、とりわけ手工業職人の状況についても勉強にも取り組んだ。この過程で、社会経済史学会からの依頼もあり、裏面の通り、ドイツにおける労働者階級形成を主題とする近年の歴史研究の動向についてまとめた論考を執筆、発表することとなった。
著者
山中 亜紀
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

現代アメリカ政治分析にかんしては、アメリカ・ナショナリズムとネイティヴィズムとの関係性を、より多面的に論じるために、多文化主義研究や「白人性(whiteness)研究」に着目した。具体的には、まず、アメリカ史研究者John C. RoweやGeorge J. Sanchezらが中心となって提唱するNew American Studiesを瞥見し、そこにおいて、「保守派」による「反多文化主義論」や「ヒスパニック移民亡国論」が、「現代におけるネイティヴィズムの再燃」としてとらえられていることを確認した。次に、Sanchezが「現代のネイティヴィスト」と批判するPatrick J. BuchananやPeter Brimelowらの言説分析をおこなった。その結果、多文化主義政策やヒスパニック移民政策をめぐる、SanchezらとBuchananらとの対立は、アメリカにおける国民統合のあり方についての理想像の相違に由来していることが明らかとなった。歴史研究に関しては、19世紀初頭から世紀中葉にかけてのネイティヴィズム運動を、通史的に描きだす作業に従事した。以下、概括する。1830年代なかば、「移民(労働者)のアメリカ化」を論じたSamuel F.B. MorseやLyman Beecherによって、ネイティヴィズムの理論的基盤は整えられた。この主張は、1840年代後半にはいると、社会的重要性を増大させる。急速な産業発展、膨張する領土、そして大量に流入する移民によって、アメリカの姿は大きく変わりつつあり、それに見合った新たな国民統合のあり方が必要となったからである。こうしたなか、Know Nothing (American Party)は、「真のアメリカ人とは、生粋のアメリカ人であり、その本質は、独立宣言と合衆国憲法の精神への理解である」という明確な国民像を提示するとともに、この国民像は「公立学校における教育」によってのみ実現するという立場を打ち出し、社会的共感を得ることに成功する。しかし、1850年代後半、奴隷制問題が国民統合における第一義的なテーマとなったとき、Know Nothingの提起する国民像は二義的なイシューとなり、党は急速に解体し、ネイティヴィズムは衰退するのであった。