著者
中澤 高志 荒井 良雄
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.218-229, 2003-06-30
被引用文献数
2

本稿では,東京都区部における調査との比較を踏まえつつ,九州におけるインターネット関連産業の実態を,特に労働力に焦点を当てて分析した.東京都区部と九州のインターネット関連企業および従業員の属性を比較した結果,企業の設立時期や企業規模,従業員の年齢構成などに若干の差異があるが,大枠では共通性が認められた.続いて九州のインターネット関連企業従業員の属性や経歴,年収水準などを分析した.地元定着者のうち転職を行った者では,学卒直後にインターネット関連産業あるいは情報サービス産業とは無関係の職に就いていた者が過半数を占める.これに対して還流移動者では,還流移動前に情報関連産業のシステムエンジニアやプログラマーの職に就いていた者が多い.学歴も地元定着者に比べて還流移動者の方が高い傾向にある.年齢と年収の関係を見ると,地元定着者では加齢とともに年収が上昇する傾向が見られるが,還流移動者ではこの傾向が不明瞭である.
著者
近藤 浩幸
出版者
筑波大学地球科学系人文地理学研究グループ
雑誌
地域調査報告 (ISSN:02894491)
巻号頁・発行日
no.25, pp.93-101, 2003-03

I はじめに I-1 研究目的 日本では、長引く日本経済の不況の中、消費者の観光に対する支出は1991年を境に減少傾向が続いており、それにあわせて国内観光旅行回数、宿泊数とともに減少が続いている。 ...
著者
仁平 尊明
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.395-418, 2000-12-31
被引用文献数
1

本研究は, 現在の農業情報ネットワークの分布を示した上で, 比較的早くから農業情報コンピュータネットワークが作られた茨城県を対象として, 農業情報ネットワークの発展過程と運営上の課題を明らかにした.農業情報ネットワークのメディアには様々なものがあるが, 役場などの公的機関による運営が多いオフトーク通信と農村型CATVは, 中部以西の西日本に多く分布し, 生活関連情報を主に提供する.それに対して, 農協によるFAX通信や個人運営の多い農業情報BBS(パソコン通信)は, 北海道, 関東, 九州地方に多く分布し, 生産と出荷に関する情報の提供・交換に使用される.農業情報のメディアの中でも, パソコンを使用したコンピュータネットワークは, インターネットの拡大を背景に, 情報提供の空間範囲や会員数が変動している.茨城県のコンピュータネットワークの事例では, インターネット化によって, 県ネットワークから県と市町村ネットワークを組み合わせたものへの移行と, 市町村ネットワークから全国ネットワークへの移行みられた.前者は, IDと暗証番号を使用したクローズドなネットワークを維持しながらも, 農家への情報提供方法を改善することによって生産・出荷の効率化が図られた.後者は, WWWのオープンなネットワークを活用することで, 農家からの情報発信の場を拡大した.このような農業情報コンピュータネットワークの情報提供スケールの変化に注目した分析から, 運営組織と利用農家に対するいくつかの課題を提示した.
著者
古田 陽介 三谷 純 福井 幸男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. グラフィクスとCAD研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.76, pp.13-18, 2006-07-11
参考文献数
6

折紙は日本の伝統芸能であるが、折紙の形状を対話的に生成するための研究はまだあまり行われておらず、発展の余地が残された分野である。そこで、折紙を計算機上で折るためのデータ構造、アルゴリズム、およびインターフェース等を考案し、実装を行った。これにより、今まで計算機上で扱うことが難しかった立体的な折紙の形状を容易に扱えるようになった。また、本システムでは特別な三次元入力装置を用いずともマウスのみの操作で直感的に形状の生成を行うことができる。
著者
末柄 豊
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

室町時代の中後期に活躍した飛鳥井雅親・雅康という兄弟を中心に、和歌と蹴鞠を家業とした同家の活動について史料を収集するとともに、その史料に関する基礎的な研究をおこなった。とくに、室町時代の公家日記における飛鳥井家の者の所見5000件以上を索引形式でまとめて公表した。また、室町時代の和歌史の史料として注目すべきものでありながら、従来文学研究者によって注目されることの少なかった諸史料について、史料紹介を行った。
著者
渡邉 尚彦 川口 健一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2006, pp."662-1"-"662-6", 2006-08-06

The "Origamic" approach gives us useful information and suggestion in the design of folding pattern of membrane, which can be applied to retractable membrane roof or foldable membrane structures. In the Origamic approach, membrane is assumed that it has perfect shear rigidity and its flexural deformation occurs only along the crease line. In the paper extraction of basic folding pattern from eigen modes of bending deformation is firstly proposed. Then the condition of foldability and its applications to the generation of foldable pattern in the finite displacement range are also proposed. Finally the patterns and conditions are examined by folding analysis.
著者
胡 亜波 趙 希禄 萩原 一郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2009, pp."531-1"-"531-5", 2009-08-03

In recent years, the structures which used origami engineering attract much attention. It can be applied in many fields, such as automobile, building, medical care and so on. In this paper, it is focused on the reversed spiral cylindrical (RSC) origami structure, which is designed by Nojima. This structure is expected to use in side member and beverage containers. An automatic crashworthiness analysis system is developed to generalize different types of RSC origami structures which can transform RSC origami structures from polygon thin wall structures with a group of parameters automatically.
著者
中台 佐喜子 金山 元春 前田 健一
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.2, pp.151-157, 2003-03-28
被引用文献数
1

本研究では,76名の年長幼児を対象に,仲間集団における同性仲間および異性仲間からの人気度と社会的スキルとの関係について男女別に検討した.相関分析の結果,社会的スキルの高さは男児では同性仲間からの人気度と,女児では異性仲間からの人気度と関係していることがわかった.この結果を指名する方の立場から整理してみると,男児は相手の性にかかわらず社会的スキルに優れているかどうかが遊び仲間の選択に影響するのに対して,女児は相手が同性仲間であっても異性仲間であっても男児ほど社会的スキルを選択の基準としていないことが示唆された.本研究の結果は,幼児の仲間集団における人気度と社会的スキルとの関係を検討する際に性別の要因を考慮することの重要性を示している.
著者
栗林 香織
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、膜タンパク質の機能解析のためにマイクロ・ナノ加工技術を用いることによりこれまで実現の不可能であった直径の揃ったジャイアントリポソームを効率的に作製し、操作するマイクロ流体デバイスを実現することである。そこで、本年度は,主に下記の項目について研究を行ってきた。パリレンシートの穴あきシートに金を蒸着し電極基板を作製し、基板上に脂質膜のパターンニングを行いそれぞれのパターンからからジャイアントリポソームを作成する方法を検討した。これまで作成されてきたジャイアントリポソームでは、リポソームは閉じた系であるため作成後にリポソーム内の溶液を変えることはできなかった。本方法では、作成されたリポソーム内の溶液を小穴を通して変換することが可能である。脂質のパターンニングは、パリレンリフト法を用いて行い、エレクトフォローメーション法により作成された脂質パターンから均一径のリポソームを作ることが可能になった。さらに、作成されたリポソーム内に直径が200nm-1μmのビーズを注入することができた。ビーズをDNAや試薬等に変えることでドラックデリパリーシステムや生物系の観察などの分野での応用が可能である。一般的にエレクトロフォーメーション法で作製されたリポソームは基板上に固定されており、リポソームを単独で使用することはできなかったが、本デバイスでは、基板の小穴から溶液を流すことにより、リポソームを切り離すことができた。
著者
村尾 和哉 寺田 努
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1968-1979, 2011-06-15

近年,計算機の小型化・軽量化によりコンピュータを装着するウェアラブルコンピューティングに注目が集まっている.特に行動認識の分野では,加速度センサを用いたシステムが数多く提案されてきた.従来の行動認識システムで認識可能なコンテキストはその波形の形状から「座る」などの姿勢,「歩く」などの運動,「円を描く」などのジェスチャの3種類に分類できる.姿勢と運動は一定時間継続される状態であり,特徴量を用いて認識される.一方,ジェスチャは1回きりの動作であり,波形自体を用いて認識される.このような認識手法の違いから運動中のジェスチャ認識は困難とされてきた.また,従来のジェスチャ認識はジェスチャの開始点を明示するためにいったん停止したりボタンを押したりする必要があった.そこで本論文では,加速度波形の定常性を判定し,ジェスチャの部分に対してのみジェスチャ認識を行うことで姿勢,運動,ジェスチャを認識するシステムを提案する.評価結果より,5種類の運動中に行った7種類のジェスチャ認識のRecallとPrecisionは従来手法では0.75および0.59であるのに対し,提案手法では0.93および0.92と改善した.提案システムを用いることで運動中でもジェスチャによる入力や機器の操作が可能になる.
著者
王 碧昭
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

腎臓の発生は他の臓器と異なり、二つ別×の始原から出発、其々尿管と糸球体を生成する。この二つの始原の相互作用は異なる基質段階を経て、最後にネフロンを構成する。本研究は、腎臓発生期に発現する複数のコラーゲンを中心とし、損傷細胞の再生環境を築くことを最終目標とする。そのため、細胞が再生する際、細胞と足場が緊密付着よりもダイナミックな付着することに着目し、発生期の外的環境を模倣し、基底材料をV型-IV型コラーゲンで重層する。腎糸球体細胞が時間的に基質から付着、脱着を可動化し、空間的に凝集して、糸球体を形成することを目的とする。本年度の研究は、以下の点を明らかにした。(1)マウス発生期(胚性E11,E13,E15,E17)の後腎組織を其々取得し、コラゲナーゼ処理後、腎組織をV型コラーゲン再構成繊維上で培養する。V型コラーゲン繊維が発生腎臓に及ぼす影響を、免疫染色、共焦点顕微鏡観察とタイムラプスで観察した。その結果、V型コラーゲンは培養した後腎において、帯状高次構造を形成し尿管芽先端に巻きついていることを明らかにした。また、培養後腎は、V型コラーゲン繊維の足場情報により、後腎間充織中で閉鎖血管構造を形成することも明らかにした。(2)胚性期各時期のマウスの後腎組織をコントロールとして、組織取得後、すぐに凍結、切片化、各発生期におけるV型コラーゲンの局在とIV型コラーゲン、フイブロネクチンなど、V型コラーゲンからバトンタッチされる次環境ECMの局在を調べた。その結果、V型コラーゲンは発生後腎成長面に近い未成熟糸球体に局在、逆にIV型コラーゲンは発生後腎内部の成熟糸球体に局在、ECMバトンタッチが行われている。(3)アダルトの腎疾病モデルマウスから腎臓を摘出、mesh seiving法により、糸球体を取得する。V型コラーゲン繊維内で糸球体を培養してから、発生期の胚性腎臓と共培養する。その結果、アダルトの糸球体が発生腎の尿管芽先端に付着、融合することが可能となった。共焦点蛍光顕微鏡で観察した結果、発生期後腎尿管芽先端にアダルト進級態が近づくと、間充織細胞を巻き込んだシャープなV型コラーゲン繊維が尿管芽先端を糸球体間に形成されることを認めた。これらの結果より、V型コラーゲンが超高次構造ECMを介したcell-ECM-cell間相互作用を緩やかに誘導し、腎発生における基調ECMとして働き、毛細血管組織である腎糸球体と尿管芽との融合を助長するECMであることが明らかにした。