著者
田中 公夫 鎌田 七男 大北 威 蔵本 淳
出版者
日本放射線影響学会
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.291-304, 1983-12
被引用文献数
1 25

The distribution of breakpoints within chromosomes in lymphocytes of 39 healthy atomic bomb survivors who were heavily exposed were studied by means of G- and Q-banding techniques. A total of 1,414 breakpoints in 651 cells with structural chromosome aberrations were used for the present analyses. The results obtained were as follows: (1) In chromosomes #15, #18 and #22, the breaks were more frequently observed than expected. On the contrary, the number of breaks among chromosomes #1, #2 and X was less than expected. (2) A higher incidence of breakpoints according to the length of regions in 4q3, 5q3 and 14q3 and a lower incidence in regions around centromeres of large chromosomes were observed. (3) Distribution of breakpoints was 26.6% in the centromeric region, 30.8% in the middle region and 42.6% in the telomeric region. (4) Seventy-four percent of the breaks was observed in the negative bands.
著者
山田 恭央 間渕 利明 境 有紀 山越 隆雄 八木 勇治 松島 亘志 庄司 学
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、大規模斜面災害に対する予測精度向上を目指して(1)最新の国土基盤情報データベースを導入した解析支援システムの構築(2)高精度な強震動予測手法の開発(3)地盤の飽和度が斜面流動に及ぼす影響の検討と(4)降雨による集水地形評価・危険斜面の簡易抽出・斜面崩壊危険度および流動範囲予測を組み合わせた多段階斜面崩壊・流動シミュレータの開発(5) 斜面崩壊危険度を地震動特性から予測する被害関数の構築、および(6)斜面崩壊に伴う道路インフラ等の被害の類型化と被害関数の構築を行った。
著者
田中 慶太 川勝 真喜 根本 幾
出版者
社団法人日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 : 日本エム・イー学会誌 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.551-559, 2006-12-10

Magnetoencephalography (MEG) was recorded under attend and ignore conditions to detect auditory steady-state responses (ASSR) to stimuli regularly repeated 40 times/s for 2 s, and synchronization of its 40-Hz component was measured using phase coherence. The major finding of the experiment was that the increased ASSR obtained by averaging in the attend condition was due to the increased degree of synchronization as the result of stimulation during the 40-Hz activity rather than the increase in power. We made a simple differential equation model for phase dynamics and compared the change of phase coherence calculated from the model with that obtained from the measurement. The model predicted the behavior of experimental phase coherence quite well, and the estimated value of one of the two parameters in the model representing the effect of stimulus on the phase was significantly larger for the attend condition than for the ignore condition, suggesting the validity of the model.
著者
佐藤 正隆
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.47, no.420, pp.1604-1611, 1981-08-25

エントロピに負号を付けるという, ネゲントロピの従来の定義は, 情報や秩序, 非平衡性, 仕事などを統一した概念としてとらえるには不十分であった. 本研究では従来の定義に変更を加えた新しい定義を提案し, 上記の諸概念をより適切に表現できる量を導いた. これによってネゲントロピと仕事との密接な関連が示され, この方向は有効なエネルギなどへもつながるが, 本報ではこのような展開のための基礎概念の定式化を行っている.
著者
佐藤 正隆
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.52, no.475, pp.1078-1085, 1986-03-25

Kullback-Leibler の情報量による定義を導入することによって、一般的な状況へ拡張されたネゲントロピの式を、本報では二つの異なる視点から展望した。第1の展開式からは交差項が得られる。交差項は系に課せられた前提条件を動かすことによって取り出しうるネゲントロピを表す。第2の展開式からは相互ネゲントロピが導かれるが、これは系を部分的に分割したとき、部分系相互間の非平衝性を表すものである。
著者
佐藤 正隆
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.51, no.467, pp.2132-2139, 1985-07-25

ネゲントロピを一般的な状況に適用できるように拡張する場合,エントロピ差でなくKullback-Leiblerの情報量によって定義すべきことを前報で述べた.本報ではこのネゲントロピと,置かれている状況下で系から取り出しうる最大仕事との関係を,例題について調べた.すなわちKullback-Leiblerの情報量によるネゲントロピと最大仕事とは,等温系においては比例し,等温系でない場合も両者の微少変化量をとれば比例する.
著者
山本 智子 廣井 敦子 柴田 亮行 大澤 真木子 小林 槇雄
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.E25-E36, 2011-03-31

福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD) は、筋肉の他、中枢神経系や眼の形成異常を伴う筋ジストロフィーで、常染色体劣性遺伝を示す。原因遺伝子fukutinの遺伝子産物は、基底膜形成に関与するα-dystroglycan (α-DG) の糖鎖修飾に関与する。α-DGは豊富な糖鎖を有する糖蛋白で、基底膜/細胞膜部分において細胞内外の蛋白をlinkする複合体、dystrophin-glycoprotein complex (DGC)、の構成成分のひとつである。糖鎖部分が種々の基底膜構成蛋白の受容体となっている。FCMDの中枢神経病変は、小多脳回に代表され、グリア境界膜でのα-DGの糖鎖修飾低下を伴う。グリア境界膜は、astrocyteの足突起により形成されるため、FCMDの中枢神経病変形成には、astrocyteが大きく関与していると考えられる。Fukutinは、さらに、未熟な神経細胞の遊走を促進している可能性があり、また、成熟神経細胞においては、シナプス機能と関連している可能性も考えられる。Fukutinは、ほとんど全ての組織に発現しているが、astrocyte, 神経細胞以外の中枢神経構成成分や、他の諸臓器における役割は、ほとんど解明されていない。また、ゴルジ装置や小胞体以外に、核への局在も示唆され、α-DGの糖鎖修飾以外の機能を有している可能性もある。今後、遺伝子治療等の先端医療が開発されていくと思われるが、より副作用の少ない、効果的な治療のためには、FCMDの病態やfukutinの機能に関する基礎的な検討が不可欠と考えられる。
著者
久野 崇文 赤塚 大典 筧 康明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.109, no.466, pp.49-50, 2010-03-05
参考文献数
2
被引用文献数
5

本研究では,ミュージアム展示に対する鑑賞者の質問や感想の共有,および展示者と鑑賞者または鑑賞者同士の対話を促すことを目的とする.今回筆者らはQRコード付きの付箋紙を用いた感想共有システムを構築した.本システムでは,鑑賞者はコメントを自由に付箋紙に記して展示会場に残す.書かれたコメントは会場で共有されると同時に,ウェブ上にも公開され展示者や展示を見た別の鑑賞者が返信やコメントを付加することができる.本稿では,システム設計に加え,展示会で用いた際の様子に関して報告する.
著者
赤塚 大典 筧 康明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.466, pp.45-48, 2010-03-05
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究はウェブを利用した時間軸方向に対する鑑賞体験を支援する試みである.美術館や博物館などでは様々な展示が催され,その支援も多様に行われてきたが,そのほとんどが会場内での支援に留まっている.我々は鑑賞中のみならず鑑賞前,鑑賞後にまたがって支援を行うことで,より深い理解を促すことを目的とする.今回は特にウェブを介して展示会期前および会期中のWeb空間および実空間での観客の興味の盛り上がりや行動を視覚化し伝えるためのWebアプリケーションを提案する.
著者
藤居 宏平 柴田 智広 小林 亮太 北野 勝則 西川 郁子 池田 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.295, pp.31-36, 2010-11-11
参考文献数
13

本研究の目的は,四肢を用いたドラム演奏時における熟達者-非熟達者間の脳活動を比較することである.このように全身を用いた運動時の脳活動を非侵襲に計測するため,近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy; MRS)を用いた.演奏課題としては,非熟達者にとっては演奏が容易でないが,熟達者にとっては容易である一小節のドラムパターンを用いた難課題と,いずれの被験者にとっても演奏が容易な一小節のドラムパターンを用いた易課題の2種類を用意した.解析の結果,熟達者では主に難易度が高いと前頭葉付近の活動が低下するのに対し,非熟達者では前頭葉付近や頭頂葉付近で活動が増加することが観測された.
著者
島岡 みどり 蛭田 秀一 小野 雄一郎 堀 文子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日本、スウェーデン、中国の老人介護施設において、介護業務従事職員の作業負担とその関連項目について、アンケート調査およびフィールド調査を行った。アンケート調査(日本325人、スウェーデン84人、中国74人)の結果比較において、日本の職員の作業負担とその関連項目の特徴として、中国とともに作業量が多く作業は通常1人で行われ、さらに疲労度や筋骨格系症状が3か国の中で最も高い状況にあることが示された。スウェーデンの特徴としては、作業量は少なく、2人以上で作業を行う機会が多く、就業継続希望も高いが、仕事や待遇への不満は大きかった。中国の特徴としては、日本とともに1人作業および作業量が多く、特に時間外労働をする割合が高いが、仕事や待遇への満足度は高かった。3種類のフィールド調査(勤務中の上体傾斜角、心拍数、歩数の各測定)のうち、座位作業と休憩時間を除く上体傾斜角測定(日本3人で4回、スウェーデン7人が各1回、中国は実施せず)において、日本の介護職員はスウェーデンの職員に比較して、より深い角度寄りの頻度分布を示した(双方とも看護師1人を除く)。心拍数測定(日本24人、スウェーデン6人、中国15人)では、各国とも個人差が大きく、休憩時間を含む勤務時間中の身体活動強度指標(%HRR)の平均値は26%〜27%とほぼ同水準であった。休憩時間を含む勤務時間1時間当たりの歩数の平均値(日本45人各1日、スウェーデン5人で延べ25日分、中国7人延べ30日分)は、日本(1122歩/時間)が最大で、次いで中国(1026歩/時間)、スウェーデン(779歩/時間)の順であった。本研究において、相対的に多くの日本の介護業務従事職員が、高水準の作業負担と疲労の状況を示したことから、各国の状況も参考にしながら、より適切な作業量や作業方法の目安が設定されるべきであると考察された。
著者
松田 直 山西 哲郎 岩崎 清隆 金澤 貴之
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,県内の企業と学校関係者,障害者本人,保護者間の連携により,社会調査,実際の就労場面を用いた評価,改善案の提示,再評価を行い,その結果を養護学校での就労支援を中心とした個別移行支援計画の構築に反映させることで,知的障害者の就労が定着しにくいという問題の具体的な改善を図るために,以下のような形で研究を進めた。初年度は,1)就労支援に専門的に関わる関係者へのインタビュー,2)県内の養護学校教員,保護者,福祉行政担当者,作業所職員などによる検討会の実施(3年間継続して月1回程度実施),3)就労場面のビデオ分析を行い,県内の障害者就労の状況の把握やコミュニケーションが障害者の職場定着を促す可能性を示唆することができた。二年目は,1)養護学校卒業後,中度知的障害をもちながら一般就労しているモデルケース1名への長期的な参与観察,2)知的障害者と共に働く職場職員に対するアンケート調査,3)知的障害者雇用企業へのインタビュー調査を行った。わかりやすい指示の仕方や知的障害者の行動特性を職員に伝えることの必要性や,知的障害をもつ職員と他の職員とをつなぐ支援の必要性などが示唆された。また,心地よい職場環境や社長との信頼関係が職場定着の要因の一つとなることや,作業台の配置によって近くで仕事をする職員がすぐに手助けできる体制が作業効率を上げていることが示唆された。三年目は,養護学校高等部での現場実習において,モデルケース1名について参与観察を行い,支援方法の検討を行った。その際に,二年目に行ったモデルケースと,上記ケースとの比較をすることによって,一般就労と現場実習においての同僚職員との関係構築過程の違いを探った。これらの結果をふまえ,三年間の成果をまとめた報告書を作成した。
著者
小田 竜也 柳原 英人
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

磁性ナノ粒子を腫瘍に集積させ、外部から照射する交流磁場による誘導加熱で癌を焼灼する新規治療の実現を目的にした。コバルトなどの生体に有害な金属を添加せずに高効率に発熱する、棒状の磁性ナノ粒子(DINP)の開発に成功し、国際特許出願した。血管内投与する磁性ナノ粒子のステルス化、iRGDペプチドの同時投与による腫瘍集積増強は十分な効果を得られなかった。DINPを腫瘍に直接注入し、交流磁場照射により腫瘍を完全に焼灼する事には成功し、新たな電磁誘導癌焼灼治療性の可能性を示せた。
著者
布施 安隆 高橋 達
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.635, pp.33-38, 2009-01-30

This paper describes a study on "exergetic" design method to efficiently utilize nutrient matter contained by domestic wastewater and its results. The followings were found. An algorithm to purify domestic wastewater and to efficiently utilize its nutrient matter is derived. Only in the case of purifying wastewater by the combination of soil and vegetation such as small wetland, if the area of a vegetation site is 5〜13m^2 at least, exergy production by plants absorbing nutrient matter will exceed exergy consumption by a power plant and the other mechanical eguipment. Cascade use of domestic wastewater must be significant. A combined treatment septic tank or a multi-layering soil tank consumes "chemical exergy", vegetation site fixes of chemical exergy and absorbs "concentration exergy", and outdoor thermal environment is cooled by "wet exergy" consumption in summer. If the area of vegetation site is 20-40m^2 at least, exergy production by palnts will exceed exergy consumption by power plant and vehcles transporting compost on 50km/year.