著者
鈴木 禎宏
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究計画に従い、資料の蒐集・整理を継続しつつ、研究発表活動を行った。当初の計画では、イギリスのクラフツ・スタディ・センターでの調査を予定していたが、同センターがウェブ上での資料公開を開始したため、渡英の緊要性が薄れた。そのため、代わりに日本国内での調査に重点を移し、四国地方(砥部、伊予西条など)や北陸地方(高山、富山、金沢)、信州(松本)などで調査を行った。特に倉敷市の大原美術館においては、同館の全面的な協力のもと、充実した作品調査を行うことができた。今年度は研究の最終年度にあだるが、これまでの研究を総括し、社会に還元する好機に恵まれた。それは、松下電工汐留ミュージアムの「生誕120年バーナード・リーチ生活をつくる眼と手」展(平成19年9月1日-11月25日)である。研究代表者は「企画協力」として、この展覧会の構成や作品解説に関わった。これは、前年度までに行った調査に基づく最新の研究成果を展示に生かす機会となった。さらに、この展覧会を契機に、同ミュージアムでの講演や、『エクラ』『カーサブルータス』といった一般商業誌への取材協力を通して、研究を社会に発信することができた。以上の他にも、12月6日には総合地球環境学研究所の第6回人と自然:環境思想セミナーにて、「民芸運動の自然観と生活のかたち:バーナード・リーチを手がかりに」を発表し、「自然観」という新たな視点から、リーチ論を試みた。蛇足ながら、平成19年6月に、拙著『バーナード・リーチの生涯と芸術』(ミネルヴァ書房)が第11回日本比較文学会賞を受賞した。
著者
内田 忠賢
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は主として近世史料を用いて、都市における怪異空間を復原・記述することを目標とした。そして本年度はさしあたり、江戸で流通していた説話的史料を分析することにより、新しい知見を得た。つまり科研費をいただいたお陰で、次の成果があがった。(1)フィクション(怪異小説)で描かれる怪異空間には、読書(聞き手)にリアリティを感じさせる周到な状況描写がなされ、近世の怪異空間の論理が読み取れた。(2)フィクションの怪異空間は、悪/良、魔/神という両面性を常に帯びており、日本文化に共通する空間的特徴をもつ。(3)ノンフィクション(世間話)の怪異空間とフィクションのそれを比べ、その共通点と相違点を見出だせた。これは当時の空間認識を知る手掛かりとなる。以上の知見は管見の限り、地理学はもちろん、このような研究対象を扱ってきた民俗学・歴史学などでも指摘されておらず、オリジナルな成果であろう。一方、このように研究を進めるプロセスで、いくつかの課題が残された。(1)地方都市(高知)の怪異空間と比較することを目指したが、在地の日記類を分析する途中である。(2)ノンフクションの空間のハード面での検証が残る。(3)空間に対する感覚のより詳細な検討が必要。(4)異なる時代・地域への目配りが欠ける。以上の仮題は次年度以降、解明していきたい。なお研究成果は学術論文以外にも、公開講座・放送ほか一般にも還元するよう心掛けた。
著者
平野 稔泰 小川 美敬 後藤 仁 清水 亀平次 野呂 新一 桜田 教夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.633-638, 1985-08-15

1980〜83年に, 北海道帯広市の十勝総合食肉流通センターで収集したブタ血清3,701例について, 香港型(H3N2)インフルエンザウイルスに対する抗体調査を行った. 1980〜82年では抗体陽性率は0.7〜7.4%で, 1980年には7〜8月に集中して陽性血清が認められた. これらのブタは屠殺時に7か月齢であり, 同年1〜3月に帯広地区学童間に確認されたH3N2ヒトインフルエンザウイルス流行時に若齢豚への感染がおこったものと考えられた. 一方, 1983年には3月に抗体陽性例が出現し, 3〜7月を通じて高率(4.8〜53.4%)に陽性例が認められ, 同年1〜3月におこったH3N2ウイルスのヒトにおける流行時に成豚も含めてブタが感染したことが示唆された.
著者
西野 嘉章
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

平成15年度に開始された本研究で、1910-1930年代に欧米で刊行されたアヴァンギャルド美術諸誌紙(雑誌・新聞・年鑑)379件について、邦訳名、表題原綴(含副題)、創刊者・編者・主筆・編集委員、発行地、発行者、発行年・月日、解題、参考文献の諸項目の書誌学的な記載を行うことができた。ただし、上記の年代、地域に収まらぬものの、内容的に関わりが深いと思われる文献についても、適宜選択の上でリストに加えることとした。また書誌解題とは別に、本研究のもうひとつの研究課題となった、イタリア未来派の伝播普及の問題については、イタリア国内における未来派出版物の書誌解題を行った上で、イタリア未来派の日本国内での受容様態について、詳細な編年と研究を行った。この後者については、森鴎外、高村光太郎、木村荘八、東郷青児、神原泰、平戸廉吉、柳瀬正夢、村山知義という、イタリア未来派受容の系譜を明らかにすることができ、また、大正初期から昭和初期にかけて公刊された日本近代詩のなかで、未来派領袖フィリッポ=トマーゾ・マリネッティの唱える「自由語」の造形的言語表現形式が受容され、展開されてきたのか、という問題についてその道筋を明らかにすることができた。従来の研究を縛ってきた造形と詩歌、文学史と美術史、海外と国内、欧文献と和文献といった対立的な枠組みを超えて、統合的・俯瞰的な視座から前衛芸術のグローバルな展開を顧みることができたというのが、本研究の最大の成果と結論づけることができる。上記の研究成果は、『平成15年度-平成17年度科学研究費補助金(萌芽研究)研究成果報告書』として刊行されると同時に、デジタル・テキスト情報としていつでも利用可能な状態にあり、研究期間中に蓄積された書影のデジタル画像情報と組み合わされ、CD-ROM版の資料集成(コーパス)として、機会を見て公刊したいと考えている。
著者
黒田 忠史 三阪 佳弘 野上 博義 深尾 裕造
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、主要五カ国(独・英・日・仏・米)における法曹養成制度と法学教育制度の「歴史的類型」を理念型として析出し(黒田論文「法曹養成の歴史的諸類型」)、それらが近・現代200年にわたる各国特有の国家と法のあり方、および社会構造史的な基礎、とりわけ法律家集団と官僚制の各国あり方によってどのように規定されて成立したのかを明らかにしようと試みた。そのために、各国の歴史的諸制度とその改革の経緯に着目し、そのための史料や文献を収集し分析する作業に取り組んできた。これによって、各国における法曹養成と法学教育の実情が、史料に即してかなり明らかになった。歴史的に概観する研究報告論文の他に、共同研究者による個別的歴史研究としては、まず黒田(研究代表)がアメリカにおいて弁護士事務所での見習教育からロースクールでの法曹養成に転換していった原因とプロセス、法曹団体の役割と性格、およびProfession「理念」について、そしてドイツについてはグナイストの「自由弁護士」論とベルリン法学協会の果たした歴史的役割について研究した。イングランドについては深尾がLaw Society関係史料にもとづき19世紀後半のイギリスでの法科大学院設立運動の隆盛と挫折の過程を分析、フランスについては野上が革命後の弁護士職の歴史と特殊フランス的法律家秩序の変容のプロセスを、三阪が第三共和政初頭における司法官試験導入過程を研究した。三阪と黒田は、日本の司法官試験・弁護士試験と弁護士団体について比較法史的観点から研究をおこなった。本研究の成果の全体については、平成14年10月5/6日に開催される第50回法制史学会研究大会シンポジウム「歴史の中の法曹養成」において報告し、そこでの討論とあわせて公刊することになっている。
著者
片山 麻美子
出版者
大阪経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

グレイが1750年代に執筆した論文「カンブリア」における、(1) ウェールズの詩法の研究(2) ドルイドとバルドに関する好古的知識について考察した。特に近年の民族学や考古学の研究成果を取り入れ、18世紀のケルト民族起源論と国民意識に関する言説に焦点をあて、グレイがウェールズにおける古詩復活とバルドの伝統復活のなかで果たした役割を明らかにした。成果として、当時の好古研究の進展状況とケルト再発見の議論を検討し、グレイやメイソンの古詩研究と好古家の相互にわたる影響関係を跡付けて発表した。

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著者
鈴木 洋
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
早稻田商學 (ISSN:03873404)
巻号頁・発行日
vol.318, pp.31-48, 1986
著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.615-624, 2000
被引用文献数
3 1

1999年11月に,欧米主要12出版社が引用文献から電子ジャーナルへの相互リンクシステムを実現することで合意した。これに基づきCrossRefプロジェクトが発足し,2000年6月には米国化学会など主要学会も含め36出版社が参加し,すでに10出版社2,700雑誌へのリンクが可能となった。CrossRefはDOI (Digital Object Identifier) をリンク先のURLに用いている。そのメカニズム,料金,影響,問題点について解説した。
著者
小坂 俊夫 秋鹿 祐輔
出版者
九州大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究では、1)通常の光学顕微鏡あるいは、共焦点レーザー顕微鏡による光学的切片を用いたステレオロジーによる定量解析、特に、disector法、2)免疫細胞組織化学における反応強度の定量解析法を検討し、中枢神経系における基本的な定量解析法の確立をめざした。1)光学的切片を用いたdisector法disector法を適用するために必要なサンプルの条件、例えば、染色の切片内への浸透の程度の評価、プロセッシングでの面積、厚さの変化等を詳細に検討し、DAB発色標本の通常の光学顕微鏡による解析、蛍光染色切片の共焦点レーザー顕微鏡での解析法がほぼ確立でき、この方法を、海馬及び嗅球の介在ニューロン群の解析に適用した。2)免疫細胞組織化学における反応強度の定量解析法反応強度の定量解析法を適用するためのサンプルの条件を検討し、DAB発色標本の通常の光学顕微鏡像、蛍光染色切片の共焦点レーザー顕微鏡像をパーソナルコンピューターに取り込み、画像解析ソフトNIH imageを使用して、グレイレベルを測定する事で、反応強度の定量解析法が可能になった。この方法を用いて、海馬のGABAニューロンサブポピュレーションにおけるGABA合成酵素GADの2つのアイソザイムGAD67とGAD65の個々の細胞体、及び、シナプス終末での分布の差異を明らかにすることができた。
著者
Ng Peter K.L. 武田 正倫
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.47, pp.29-32, 1992-06-25

イワガニ科の中で,完全な淡水生活をするのはGeosesarma属のカニ類だけで,東南アジアを中心に,現在までおよそ32種が知られている.分布の北限にあたるフィリピンからはルソン島北部とパナイ島から1種ずつ記録されているが,1985年に国立科学博物館によって行われた学術調査の際にミンダナオ島で採集された3雄,4雌は両種とは明らかに異なっていた.これらの7個体の標本においては,第3顎脚外肢の鞭が完全に退化しており,この点に関してはG.malayanum NG et Limの種群に属す.しかし,甲と鋏脚の特徴が既知種とは異なることから,新種としてG,protosの学名を与えた.
著者
宮下 敏恵 北島 正人 森 慶輔 西村 昭徳
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

小・中学校教師におけるバーンアウト尺度の因子構造については、小学校、中学校ともに3因子構造が適切ではないかという結果がみられた。小学校、中学校の教諭においては、個人的達成感の後退が著しく進んでおり、脱人格化得点もやや高いという結果が得られた。学校現場においてメンタルヘルスの悪化は深刻だといえるだろう。その中でも小学校よりも中学の教諭の方がバーンアウト得点は高いという結果がみられた。また教職経験年数により、バーンアウトの進行が異なるという可能性が示唆された。若手教師は情緒的消耗感から進行し、脱人格化、個人的達成感の後退というプロセスを進むという結果が示された。中堅以降の教師は個人的達成感の後退がバーンアウトプロセスの始発点になり、脱人格化、情緒的消耗感と進むという結果が示された。バーンアウトの予防を考える際には教職経験年数を考慮に入れたモデルを考える必要があるといえる。バーンアウト予防の介入のためには、教職経験年数に応じて、教師自身が多忙な中で自分自身の状態をチェックし、どう対応したらよいか振り返ることが必要ではないかと考えられる。バーンアウト低減のためにパソコン上で簡単にチェックでき、結果を振り返ることができる予備的プログラムを作成した。本研究は小・中学校のバーンアウト尺度の因子構造を明らかにし、教師におけるバーンアウトのプロセスを明らかにしたという点が画期的である。さらにバーンアウト予防の介入のために、予備的プログラムを作成したことから、今後バーンアウトのプロセスモデルを精緻化していくことによって、バーンアウトの予防が可能になると言える
著者
高田 豊
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.231-237, 2009-02-25
参考文献数
4

九州歯科大学附属図書館における入館者数を平成14年4月から平成20年7月の間で分析した.年間入館者数は平均69,810名で,平日一日入館者数は平均291名であった.新図書館となった平成19年度は旧図書館入館者数よりも年間入館者数で14,039名,一日入館者数で39名増加していた.月間と一日入館者数では最も多い月は2月と9月で最も少ない月は8月であった.平成19年度に開始された土・日の週末入館者数は平成19年度より20年度で増加の傾向であった.平成20年4月から実施された20:00〜22:00の開館延長時間帯の入館者数も4月から7月と漸増していた.平日入館者数が最も多い時間帯は16:00〜17:00で,次に多いのは12:00〜13:00と14:00〜15:00であったが,週末入館者数は平日とは異なり19:00〜20:00が最も多かった.図書館開館時間延長は利用者にとって最も有用なサービスの向上になるが,より効率的なサービス提供のためには月別,曜日別,時間別,平日・週末別での入館者数の詳細な分析が必要と考えられた.
著者
安田 加代子 古賀 明美 佐藤 和子 檜垣 靖樹 山地 洋子 黒木 智子 川上 千普美
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

虚血性心疾患患者の自己管理行動の継続支援として、携帯型の測定機器(ライフコーダEX)を用いた身体活動に伴う心負荷の程度等を調査した。対象者の多くが軽度の運動(Mets≦3)であり、1日あたりの歩数の平均は6764.5±3521.0歩、運動量の平均は161.5±100.9kcalであった。息苦しさや動悸などの自覚症状のあった人ほど軽い運動であることが多く、基礎疾患に虚血性心疾患がない人よりも、虚血性心疾患を有する患者のほうが1日あたりの歩数が多かった(P<0.05)。自覚症状の出現頻度とQOLには有意な関連性を認めなかった。
著者
澤田 裕子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は父子関係・兄弟関係・養子関係の三つの観点から、平安貴族社会における家族のあり方を明らかにし、中世的な「家」の成立に伴う変化について考察することを目的とする。今年度は昨年度の成果を基にさらに分析を重ね、特に中世的「家」が成立する直前の十世紀から十一世紀前半にかけての元服と叙爵の変遷を中心に考察した。従来、父の地位に基づいて元服と同時に叙爵される元服同時叙爵は十世紀前半に摂関等子息の特権として成立し、十一世紀初頭には公卿層子息にまで広まったとされる。しかし実際に十世紀から十一世紀前半の元服と叙爵の関係を調べると、十一世紀前半の元服同時叙爵は摂関の近親者など一部の公卿子息に限定されており、一般公卿子息ではむしろ元服以前の叙爵が主流であったことがわかった。そしてこの時期の叙爵の変遷、特に元服前叙爵という変則的な叙爵の背景を解明することにより、元服と叙爵のタイミングが公卿層の中でも摂関との親疎によって異なっていたことが明らかとなった。また、こうした元服と叙爵の分析を通して、昨年度手がけた養子に関する分析もさらに深化させることができた。従来、家のための養子が成立するのは院政期とされてきた。しかし関白藤原頼通の養子信家(頼通同母弟教通一男)は摂関等子息の正妻子に相当する初叙を元服と同時に与えられており、頼通の後継とするために養子とされた可能性が考えられる。信家のケースが家のための養子であったとすれば、家のための養子の成立時期は一世紀ほどさかのぼることになる。本年度はこのように、叙爵や養子の問題から中世的「家」が成立する直前の社会変化の解明に取り組んだ。
著者
桑原 里紗
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

近年頻発している地震の被害を教訓に,被災した建築物の復旧に要する費用などの修復性能,および被災した建築物に残存する耐震性能(残存耐震性能)をともに満足する合理的な設計手法の確立が重要な課題となっている。その中で,地震応答終了時の残留変位は構造物の耐震性能を把握する際の重要な指標の一つである。残留変位は,地震動の位相特性や構造物の非線形性に依存するため,従来は非線形地震応答解析により直接計算するか,あるいはあらかじめ異なる周期ごとに残留変位を求める残留変位スペクトルを用いるなどして推定するしかなかった。研究代表者は,地震動の位相特性のうちどのような因子が残留変位に影響を与えるのかについて解析的な検討を行い,また通常の弾性応答スペクトルに加えて,最大応答経験後にそれと符号を異にする最大値をプロットした応答スペクトルを新たに定義することにより,弾性応答スペクトルを用いた簡便な手法による残留変位の推定についての研究を進めている。本年度に実施した残留変位の推定における検討結果より,(1)正負最大ピーク(第1,第2ピーク)だけでなく,後続の第3ピークを用いた推定により格段の精度向上がみられること,また(2)既往の応答スペクトル法に,第2,第3ピークスペクトルが適応可能なこと,よって(3)PCなどを用いた解析によらなければ推定できなかった残留変位について,第2,第3ピークスペクトルと建物の耐力性能曲線を用いて,最大応答変位のみならず残留変位も推定可能であること,が示された。加えて,弾性応答スペクトルを用いた残留変位の推定手法を構造設計へ応用・展開させるべく,時刻歴応答解析同様の物理的意味を付与させた,新たなる簡便な残留変位推定方法の開発に取り組んでいる。