著者
後川 隆文
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.149-154, 2006-03-01

八幡製鐵所と自動車会社間における鋼材の納入指示から納品に至る業務にSCM(サプライチェーンマネジメント)を適用した業務システムを導入した.その適用に当って,(1)サプライヤーとユーザー双方の業務実態を調査し,(2)従来業務が抱える問題点や課題を抽出し,双方の業務効率化(デメリット排除)を達成出来る新業務モデルを考案し,(3)最適化技法やシミュレーション予測などを適用すると共に,(4)IT活用による情報連携を強化し相互メリットを享受出来る仕組みを実現した.この業務システム導入のいきさつおよび取組み事例などについて紹介する.
著者
宮原 哲浩 内田 智之 久保山 哲二 廣渡 栄寿
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

知識発見と情報融合を実現するため,半構造データからのデータマイニングと機械学習について研究した.厳密には定義されていない構造を持つデータを半構造データという.主に,半構造データとして木構造で表される糖鎖データを対象とし,その構造的特徴を表す木構造パターンを獲得する機械学習手法を提案した.手法として,木構造などの構造的表現を扱うことのできる進化的最適解探索手法である遺伝的プログラミングを用いた.
著者
高原 淳 戈 守仁
出版者
九州大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

表面自由エネルギーの低い末端基を有する高分子固体の表面には分子鎖末端が濃縮される。本研究では低表面自由エネルギー末端基を有するポリ(スチレン-b-4-ビニルビリジ)[P(St-b-4VP)]ブロック共重合体膜の表面ナノ構造に及ぼす末端基構造の影響について検討した。水素末端のP(St-b-4VP)-H及びフルオロメチル基末端のP(St-b-4VP)C_2C^Fをリビグアニオン重合で合成した。薄膜を調整し、表面組成はX線光電子分光(XPS)測定に基づき、また、薄膜の表面凝集構造及び力学特性を原子間力顕微鏡(AFM)及び水平力顕微鏡(LFM)測定に基づき評価した。423Kで90時間熱処理後のP(St-b-4VP)-HとP(St-b-4VP)-C_2C^Fの表面P4VP組成の膜厚依存性を評価した。P(St-b-4VP)-Hの場合、表面自由エネルギーの低いPS成分は熱処理より空気界面へ濃縮された。一方、P(St-b-4VP)-C_2C^Fの場合、P4VP側の低表面自由エネルギー末端基CF_3が空気界面に局在化ため、末端基に連接されるP4VPは高表面自由エネルギー成分であるにもかかわらず熱処理後も表面に配向している。またP(St-b-4VP)膜のLFM像は水平力の高い領域と低い領域を示した。高い水平力を示す相は表面自由エネルギーがカンチレバ-のSi_3N_4に近いP4VP相に対応すると考えられ、表面におけるP4VP相の存在が確認された。
著者
芦田 実 片平 克弘 吉田 俊久
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

教育学部および学外のサーバーからインターネットに公開したホームページを下記の様に充実させた.H15年度(2月下旬まで)に47件(29名),H14年度に21件(12名)の質問があった.必要に応じて日常生活に例えて,できる限り速やかに平易な言葉で回答(e-mail)し,質問の回答も公開した(ホームページ).質問内容としては,光の吸収と反射(色と光),溶解現象と溶解度(沈殿と溶解度積),電子殻・電子式(化学結合と分子の形),イオン化エネルギー(電子親和力),化学式(分子と結晶水),イオンと酸-塩基の中和(濃度とpHの計算),酸化・還元(電極電位と電池),気体,沸騰現象・沸騰石と蒸気,溶液の調製や再結晶などの小学校〜高校程度の素朴な疑問が多い.他に,局部電池など高校までの知識では説明できない現象,大学の講義や実験のレポートに関すると思われる質問もあった.質問箱とは別に,化学の考え方や現象を分かりやすく解説する目的で,クイズ形式の化学Q&A集を自作している.以前に制作したものを改良し,さらに項目を追加した.その他,水溶液の濃度計算と調製方法(食塩水,塩酸,酢酸水溶液,アンモニア水,水酸化ナトリウム水溶液),Excel形式とJava Applet形式の計算・作図(直線の回帰分析,表形式,CSV形式),酸-塩基滴定のシミュレーションに関する自動サービスを試行的に開始した(ダウンロード可能).教育実習を含めた学校の授業(実験の準備,実験中のデータチェック,実験後の整理,予習・復習)や自由研究など種々の目的で使用できよう.なお,インターネット上の雑誌「化学教育ジャーナル(CEJ)」や日本コンピュータ化学会年会などで成果の一部を発表した.
著者
竹内郁雄
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.16(1978-PRO-005), pp.1-28, 1978-08-21
著者
新島 渓子 有村 利浩
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
no.69, pp.47-49, 2002-02-28
被引用文献数
1

The outbreak of Chamberlinius hualienensis happened between Goryo and Ishikaki Station, Ibusuki Makurazaki Line, Kagoshima Prefecture and stopped trains in early winter 2000. The mulch and windmills to protect the crops from winter chillings seemed to provide the favorite environment for the millipedes, which is originally distributed in Hualien, Taiwan.
著者
寺村 謙一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.933-942, 1993

本稿は平成4年11月27日(金),札幌市民会館において行われた「データベース新時代:21世紀に向けた情報戦略」丸善札幌支店開設70周年記念講演会での講演を収録したものである。演者は今日の情報化時代に至る過程を1950年代より10年区分で略説し,1990年代の特徴の一つとしてマルチメディア媒体CD-ROMを取り上げ,海外における流通実態と我が国との相違点および,市場が未発達である現状で販売側が体験する問題点を述べた。最後にCD-ROM利用の新動向を紹介し,併せて新媒体を定着させるには,製作者·販売店·利用者間の理解と協力が必要であると説いている。
著者
諸田 龍美
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

中国の中唐時代を代表する詩人白居易は、恋愛詩の傑作「長恨歌」によって広く知られており、平安朝を中心とする日本文学にも多大な影響を及ぼしたが、そうした本質的な影響関係が成り立ち得た背景には、「風流・多情・好色」の美意識を基軸とした、両国の<文化における共通性・同質性>が存在したことを、多様な資料および論拠によって明らかにした。
著者
菊池 長徳
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.338-338, 1985-03-25

第5回東京女子医大漢方医学研究会 昭和59年11月27日 東京女子医科大学中央校舎1階会議室
著者
寺尾 保
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、肥満者を対象に、低圧環境下の歩行運動に対する運動終了後のエネルギー消費量(実験1)、さらに、12週間のトレーニング期間で歩行運動を週3回の頻度で、1回が高地(低圧低酸素環境)、残り2回が平地(常圧環境、走者応答型トレッドミル使用)の併用によるトレーニングの有効性(実験2)等を検討した。その結果、実験1では、1.低圧環境下の運動終了30分、60分後のエネルギー消費量は、常圧環境後の値に比べて,有意な高値を示した(p<0.05)。2.翌朝の安静時代謝量は、低圧環境後の方が非運動時の値に比べて、有意な増加を示した(p<0.01)。安静時の脂肪からのエネルギー消費量は、低圧環境後の方が常圧環境後に比較して、有意な増加を示した(p<0.01)。実験2では、1.トレーニング前後の体重は、実験群と対照群(週3回、常圧環境下の歩行運動)とも、有意な低下を示した(p<0.01、p<0.05)。トレーニング前後の平均値の差では、実験群が対照群に比して、大きな傾向を示した。2.体脂肪量は、両群とも有意な低下を示した(p<0.05)が、平均値の差では実験群が対照群に比して、大きな傾向を示した。3.トレーニング前後の安静時代謝量は、実験群が有意な増加を示した(p<0.05)。4.安静時の脂肪からのエネルギー消費量は、両群とも有意な増加を示した(p<0.01、p<0.05)が平均値の差では、実験群が対照群に比べて、大きな傾向を示した。以上、本研究の成績から、低圧環境下の歩行運動は、運動後、長時間にわたって脂質代謝を亢進させ、エネルギー消費量を高める可能性のあること、さらに、トレーニング頻度を週3回とした場合、1回の高地と2回の平地による併用の歩行運動が単に平地の歩行運動に比べて、長期間、継続することで安静時代謝量の亢進と脂質代謝の改善が行われ、より効果的な減量ができる可能性のあることが示唆された。これらの観点からも本トレーニングシステムは、肥満の有効な運動療法の1つになると考えられる。
著者
栗原 康輔 堀 浩樹 小早川 雄介 坪谷 尚季 岡村 聡 世古口 さやか 出口 隆生 駒田 美弘
出版者
特定非営利活動法人日本小児血液・がん学会
雑誌
小児がん : 小児悪性腫瘍研究会記録 (ISSN:03894525)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.68-72, 2010-02-25

三重大学附属病院小児科外来を受診している小児がん患者と家族を対象に地域密着型のサマーキャンプを実施した.本キャンプの特徴は,地域の学生ボランティアが主体的にキャンプを運営していることである.開催地が近く,費用が安いこと,週末を利用した開催であることから多くの家族の参加があった.実施後調査では,患者交流を通じて頑張る気持ちや前向きな気持ちが参加者に醸成されていた.
著者
水村 和枝 小崎 康子 片野坂 公明 本多 たかし
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

筋機械痛覚過敏の末梢性機構を明らかにするため、持続が数日の伸張性収縮(LC)負荷による筋性疼痛のラットモデル(遅発性筋痛、DOMS)を作成し、1.筋圧迫・収縮に伴って遊離・放出される感作性物質の量的変化、それによる筋C線維受容器の感作,2.筋C線維受容器のイオンチャネル、受容体の発現変化,3.筋浮腫に伴う受容器終末の物理的(機械的)環境の変化、の3点について調べ,以下の点を明らかにした。1.取り出し筋標本の灌流液中のATP量は筋圧迫によって増大し、運動後2日目にもその量に変化は無かった。しかし、ATPは100μMまで筋細径線維受容器の機械感受性をむしろ抑制した。B2受容体拮抗薬、COX阻害薬、抗NGF抗体投与の遅発性筋痛に対する影響を調べたところ、遅発性筋痛の始発にはB2受容体を介しブラジキニンが、またCOX2が関わり、維持にはNGFが関わっていることが明らかになった。これに対応して、COX2のmRNA及び蛋白質はLC直後から12時間後まで増大し、NGFのmRNAは12時間後から2日後まで増大していた。NGFの筋注によって筋細径線維受容器の機械感受性は投与30分後から増大し、運動後の筋機械痛覚過敏における役割を支持する結果となった。2.suppression subtractive hybridizationによりLC2日後の後根神経節で増大するRNAを調べたところ、65種が見出された。そのうち痛みと関係があるannexinA2とcalbindin1の発現をRT-PCRで調べたところ、LC2日目の後根神経節で有意に増大していた。3.運動後の筋は対側と比べ約5%重く、浮腫状態であることがわかった。筋におけるアクアポリン1,4の免疫組織化学を行ったところ、その発現には一定の傾向が見られなかった。
著者
緒方 一喜 池田 高治 海野 登久子 BOCANEGRA Rodolfo Zeissig
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.47-57, 1992
被引用文献数
2

グアテマラにおけるマラリア対策のための残留噴霧法の改良のために, Anopheles albimanusの吸血・休息行動の観察を, 南部太平洋岸の一部落で2年半にわたって実施した。吸血活動の季節的ピークは, 雨期の始まり直後(6月)と終わり(11月)に現れる二山型であった。時刻的消長は, 日没3時間内にピークをもつ一山型であったが, 季節的には必ずしも一定しなかった。最初の観察時には屋外・屋内吸血性は相半ばしたが, 殺虫剤の散布開始によって屋外吸血性が高まった。屋内で吸血した個体は数時間内に大半は屋外に脱出し, 翌朝まで残るのは数%にしかすぎなかった。屋内平均滞留時間は, 無散布家屋で約30分, 殺虫剤散布家屋で10数分であった。しかし, 殺虫剤残渣面への忌避は顕著ではなく, とくにプロポクスルにはよく接触し, 大部分は屋内で死にいたった。昼間の休息場所の観察では, 常に多数発見できたのは小屋の屋根裏で, 人家内・屋外には少なかった。以上の知見を現行の残留噴霧法にからめて論じた。
著者
田中 寛 佐藤 直樹 野崎 久義 河村 富士夫
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2004

真核細胞の基本的な作動原理を、その成立に深く関わったミトコンドリア・葉緑体の進化や機能に注目して研究した。動物・菌類を除く多くの真核細胞系統が一旦は葉緑体を持っていたとする'超植物界仮説'を提唱すると共に、共生由来オルガネラである葉緑体からのシグナルが、植物細胞周期の開始に必須であることを示した。さらに、細胞内に共存する3種ゲノムにおける遺伝情報の発現協調機構の解析などを通じ、原始的な真核細胞シゾンをモデル系とした細胞生物学の新分野を切拓いた。
著者
新宮 学
出版者
山形大学
雑誌
山形大学歴史・地理・人類学論集 (ISSN:13455435)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.111-138, 2006-03-20

キーワード:出版, 禁書, 野史, 皇明通紀, 陳建, 科挙
著者
豊倉 賢
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

回分式攪拌槽内で硝酸鉛水溶液と硫酸水溶液を反応させることにより硫酸鉛微結晶を生成させる実験において、種晶存在下での溶液中の鉛イオン濃度低下速度と成長させた結晶の粒径分布との関連について以下の知見を得た。均一粒径の種晶を粒径分布を保ったまま成長させるためには、種晶の成長に伴う溶液中の鉛イオン濃度低下速度が過飽和度の一乗で相関できるような過飽和範囲で成長させることが望ましいという成果を得ている。この実験の操作では原料の全てを一気に混合したが、この方法では反応初期の混合状態が悪く得られる結晶の粒径分布幅は広くなった。また再現性についても問題があった。そこで新たに、反応液を制御して供給されるように考案したダブル・ジェット装置を用いて、硫酸鉛微結晶の生成実験を行った。(この操作法は、Controlled Double-Jet法と呼ばれている。以下CDJ法)本実験では、反応溶液である硝酸鉛および硫酸ナトリウム両水溶液を別々の供給管を通して、攪拌されているゼラチン溶液中に供給し反応晶析を行った。均一粒子を得るために、核発生を短時間で終了させ、その後に供給される原料は結晶成長のみに使われるように操作した。まず均一微粒子の生成に適した反応条件について検討を行った。反応溶液濃度、槽内の操作濃度(pPbまたはpSO_4)、酢酸添加量を変化させて実験を行ったところ、反応溶液濃度0.1mol/l、供給速度10ml/min、酢酸濃度1.74*10^<-1>mol/lの場合で、操作濃度pPb=2,3、pSO_4=2,3において長径15μm以下のひし形板状晶が得られた。pPb=3、pSO_4=2では、時間が経つにつれて新たな核の発生により槽内結晶総個数は著しく増加したが、pPb=2では結晶数は一定であり相対分布幅が約15%の長径6μm以下の均一な単分散微粒子が得られた。以上よりCDJ反応晶析法は硫酸鉛の均一微結晶生成プロセスとして、有効であると考えられる。
著者
藤本 強 小林 達雄 西本 豊弘 松井 章 佐川 正敏 吉田 邦夫
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は世界各地の土器の出現について、土器を発明・受容していく社会背景を解明することにその主眼を置いている。これまでの土器出現の問題は最古の土器の存在を突き止める研究に集約されていたが、本研究では地域ごとに異なる、生活の中に土器を取り入れていく人間活動の解明に努める。土器の用途は容器だけでなく、調理具・食器として、また鑑賞用や死者への副葬品、棺として使われてきた。ほかの素材に比べ土器が優れる点は、素材の粘土が入手しやすいこと、可塑性に富み自由な成形ができること、焼成後は硬く、耐火性を持つことである。衝撃を与えると粉々にでき、都合がよい素材である。これらの特性は、同じ形の土器が2つとない一方で、モチーフが特定の人間関係内で共有されることに繋がるのである。個性的な形は用途に応じてある程度のカタチを保たれながらも、様々に変化する。これらの共通性と独自性を時間軸に沿って整理し、地域毎の土器との向き合い方を研究していくことが中心となる。また、その土器保有していた集団の残した遺跡から検出された諸属性の分析から、当時の環境やそれに基づく生業活動を整理し、土器の受容形態を解明する。既存資料のデータの集成、整理分析を行ない各地域の土器出現の様相を解明してきた。世界的なデータベースの構築は困難なため東アジアを重点とした。また特定地域に絞って、土器を生活に組み込むシステムのモデル構築を試みた。一は土器自体に含まれる属性を分解し整理することにより、人間の製作物としての土器を徹底して分析し、製作モデルであり、他方は土器に付随するその他の遺物類や土器が検出された遺構・遺跡についても土器の使用痕跡と併せて解釈から土器の使用モデルの構築である。研究終了後の現在は、土器の出土状況の把握に重点をおいた発掘調査に継続的に取り組み、モデルの検証を図り、研究の位置づけを進めている。