著者
野村 晴夫
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.99-113, 2008 (Released:2019-04-12)
被引用文献数
1
著者
豊岡 公徳 若崎 眞由美 宮 彩子 佐藤 繭子
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.7-12, 2020-04-30 (Released:2020-05-09)
参考文献数
14

植物研究分野において走査電子顕微鏡(SEM)は,葉や根など器官の表面の微細構造観察によく用いられてきた.近年,SEMの電子銃や検出器などの技術革新により,生物試料を包埋した樹脂切片をスライドガラスなどの平板上に載せ,反射電子検出器を用いてSEMで観察することで,透過電子顕微鏡法(TEM)と遜色ない切片電顕像を撮影できるようになった.これにより,TEMよりも厚い樹脂切片を用いて,広域に渡り容易に撮像することができる.本稿では,厚い切片でも高感度で帯電せずに撮像できるYAG(Yttrium Aluminum Garnet)-反射電子検出器を搭載した電界放出型SEMによる撮像条件の検討と,その応用として,植物試料の広域にわたる微細構造解析,連続切片を用いた3次元再構築解析,光-電子相関顕微鏡解析により得られた結果について報告する.
著者
田中 宏昌 関雅 樹 阿部 英彦 野辺 武 稲葉 紀昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.105-116, 2000-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
6

The paper deals with the pin-connected railway truss bridges, which were used for as longas 114 years across Daiyagawa River. The authors present their brief history, structuralfeatures, and deterioration of structural parts which was caused by such a long service, especially wearing of pins and holes in eye bars. Also the restoration works for preservationis described.
著者
髙橋 一揮 藤沢 拓也 佐藤 光 菊地 優太 鈴木 沙斗美 松本 栞 沖 侑大郎 石川 朗 藤澤 宏幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0578, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】足踏み運動は,麻痺の改善や歩行能力改善など運動の中に多く取り入れられている。しかし,その運動強度に関して詳細な検討はなされていない。そのため,本研究では1分間当たりの足踏み回数(以下,ステップピッチ)と上肢支持の有無を変数として運動強度を中心に呼吸循環応答を検討することとした。【方法】対象者は健常若年成人女性13名であった。測定は運動負荷試験と足踏み運動とし,それぞれ別日に実施した。運動負荷試験は自転車エルゴメータを用いたramp負荷試験(10W/min)とした。一方,足踏み運動は股関節屈曲角度を45度と設定して算出した高さに紐を張り,対象者には紐に軽く触れるまで脚を上げるよう指示し,鏡を使用してフィードバックを促した。足踏み試験の設定条件はステップピッチ60・90・120(以下,P60・P90・p120)の3条件と上肢支持(手すり)の有無の2条件の計6条件としてランダムにて実施した。なお,ステップピッチはメトロノームを用いてコントロールし,上肢支持の手すりは大転子の高さとした。測定プロトコールは各条件の足踏み運動を3分間,休憩3分間を繰り返した。データは酸素摂取量を中心に呼吸循環パラメータを呼気ガス分析装置にて測定し,各条件終了直前の30秒間を平均化して代表値とした。統計処理は,R(3.2.1)を使用し,呼吸循環パラメータに関して上肢支持の有無による2要因について2元配置分散分析を,host-poc testとしてHolm法を用い,有意水準は5%未満とした。【結果】運動負荷試験の結果,平均最高酸素摂取量は23.3±3.4mi/kg/min,平均ATは12.2±2.1ml/kg/minであり,比較的低体力層であった。足踏み運動の結果では,酸素摂取量にてステップピッチと上肢支持の有無には有意な主効果が認められたが,交互作用は認められなかった。多重比較では,P60・P90・P120間にいずれも有意差が認められ,P60では上肢支持無が有に対して有意に高値を示した。他の呼吸循環パラメータも類似傾向を示した。また,各条件におけるMETsと%ATでは上肢支持の有無による違いは小さく,P60(約2.5METs/約75%),P90(約3.0METs/約85%),P120(約3.5METs/約100%)であった。また,歩行率から算出した健常者の相対的平均歩行速度でのMETsと比較したところ,いずれのステップピッチにおいても足踏み試験が低値であった。【結論】本研究は対象が若年成人女性であったが,体力は60歳男性に相当していた。この対象者において,ステップピッチが増加することにより有意に呼吸循環応答が増大したが歩行に比して低負荷であったこと,ならびに,おおよそATレベルまで運動として容易に実施できる可能性を示した。よって,ステップピッチを変数とすることで合目的であり運動耐容能改善の方法となりうることを示唆した。
著者
杉下 由行 前田 秀雄 森 亨
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1045-1049, 2005 (Released:2014-08-06)
参考文献数
7

目的 日本では,管針を用いた経皮接種により BCG 接種が行われている。本調査の目的は BCG 接種による針痕数が接種医によって異なるか否かを検証することである。対象と方法 東京都葛飾区の 3 歳児健診に来所した218人に調査を行った。対象者全員が葛飾区の保健所で生後 4 か月時に管針法による BCG 接種を受けている。管針法では最大18個の針痕を確認する事ができる。BCG 接種による針痕数の調査を行い,接種医別にその個数をまとめた。結果 平均針痕数は9.23個(SD6.11)であった。同じ管針法で行われた特別区22区の平均針痕数(12.18±5.64)より有意に低く(P<0.01),22区の中で 3 番目に低い結果であった。平成12年結核緊急実態調査での全国の針痕数の調査結果と比較しても,葛飾区の平均針痕数は有意に低かった(P<0.05)。葛飾区では 7 人の接種医の間で平均針痕数は明らかな違いを認めた。良好な接種医上位 2 人の平均針痕数はそれぞれ15.26個(SD3.62)と14.59個(SD3.58)で 7 人の接種医の平均針痕数より有意に高く(P<0.01),良好でない接種医 1 名の平均針痕数は,3.34個(SD4.46)で 7 人の接種医の平均針痕数より有意に低かった(P<0.01)。結論 接種医により平均針痕数は有意な違いを認めた。針痕の個数が少ないのは特定の接種医の技術に問題があるためで,接種技術水準向上のためには,これらの接種医に対する技術訓練が必要であると考えられた。
著者
大平 悠季 桑野 将司 福山 敬
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.319-325, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
10

我が国の地方都市では,人口減少やモータリゼーションに伴う郊外化の進行によって,中心市街地の空き店舗が増加し,商店街が空洞化している.本研究は,中心市街地の魅力を向上させるための施策を検討する第一段階として,鳥取市をケーススタディとし,空間構造の観点からみて利便性の高い場所の土地利用状況の有効性を診断することを目的とする.分析に際して,中心市街地を訪問する人々の行動を直接観察するのではなく,ネットワーク理論や地理空間情報システム(GIS)を援用し,中心市街地の骨格を形成する街路や都市施設の空間構造の特性を表す客観的な指標に基づいた分析を通じて,潜在的ににぎわいが形成されやすい場所を明らかにし,中心市街地整備方策に対する示唆を導き出す点に新規性がある.分析結果より,対象地域では,歩行者・自転車による利用が多い施設の周辺では,施設のにぎわいが波及することによって空き店舗が少ない状況を維持できているのに対し,自動車利用が中心の施設である施設の周辺ではそのような波及効果が得られていないことがわかった.
著者
高橋 利枝
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会誌 (ISSN:18842135)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.7-17, 2019 (Released:2019-06-10)

本論文の目的は,人工知能(AI)やロボットがもたらす社会的インパクトを理論的かつ経験的に捉えることである.まず理論枠組みとして,これまで理論と経験的調査研究との往還運動を通して発展させてきた「コミュニケーションの複雑性モデル」について紹介をする.次に,AIやロボットに関する日本と西欧の差異についてアプローチしていく.両者の差異に関しては,これまで思想や宗教的な観点から主に多く説明されてきた.そのため本稿では,ケンブリッジ大学との共同研究「グローバル・AIナラティブ」プロジェクトから,1920年代以降のAIナラティブについて社会経済的な力学から考察を試みたいと思う.さらに人とAI/ロボットとのエンゲージメントに関する実態について,現在行なっている2つの調査研究—若者とAI調査,高齢者のロボット・エンゲージメントから考察する.最後に今後のAI/ロボット開発において必要な「ヒューマン・ファースト・イノベーション」について提案したいと思う.
著者
神前 裕 時 暁聴 松井 大 新保 彰大 藤巻 峻
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.60-77, 2015-09-30 (Released:2015-12-26)
参考文献数
115

Throughout the history of research on animal learning, it has been widely acknowledged that the temporal relationship between events exerts a critical influence on the acquisition of a conditioned response. Until more recently, however, no explicit and systematic studies had investigated how animals learn the temporal relationship itself. In this article, we first review some basic functions of temporal information in classical conditioning. We then focus on one influential learning theory, temporal coding hypothesis, which posits that animals can automatically encode temporal relationships between events and express learned behaviour through integration of multiple temporal relationships acquired across contexts. After reviewing basic results supporting the temporal coding hypothesis, we present an alternative explanation of some temporal coding-like phenomena on the basis of AESOP model combined with the potentially different contributions of motivational and sensory US representations in higher-order conditioning. In a second article (Fujimaki, Shimbo, Matsui, Shi, & Kosaki, 2015), we will discuss interval timing in operant conditioning and neural substrates of timing behaviour.
著者
桜井 俊男
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.850-854, 1982-10-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2
著者
青山 友里 椎塚 久雄
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第52回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.57, 2009 (Released:2010-01-22)

近年,ロボットセラピーがアニマルセラピー(動物介在療法)に代替する療法として注目されている.本研究では,恐竜型のペットロボットPLEOとのふれあいによるストレス緩和に関して実験調査を行った結果について示す.
著者
丹治 敬之 横田 朋子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.526-541, 2017 (Released:2018-02-21)
参考文献数
25
被引用文献数
4 8

作文を書くことに困難を示す発達障害の子どもは少なからず存在する。近年,作文の自己調整方略学習(SRSD)モデルを用いた教授法が注目されている。本研究は,特別支援学級に在籍する小学3,4年生の自閉症スペクトラム障害(ASD)児童6名を対象に,SRSDモデルを用いた小集団介入の効果を検証した。1群事前事後テストデザインを用いて,物語作文の要素数,物語作文内容の質的評価の変化を介入前後で比較した。その結果,物語作文の要素数では5名,物語作文内容の質的評価では4名において,高い介入効果量が確認された。介入効果の背景には,作文のプランニング方略やセルフモニタリング方略の学習があり,方略使用の有効性の認知も影響することが示唆された。また,従来のSRSDモデルにはない接続詞の学習,対象児の好みを反映させた教材,方略模倣のためのビデオ教材,シールによる自己評価,仲間同士の学び合いも,介入効果を支えていたと考えられた。一方で,わずかな介入効果に留まった児童もおり,個に応じた教材や学習環境の工夫は更なる改善が必要であった。本研究の結果から,対象児の作文方略知識の学習状況や,障害特性に合わせた作文のSRSDモデルの展開について考察した。
著者
佐藤 法仁
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.61-67, 1999-09-13 (Released:2017-04-27)
参考文献数
16

日本において、研究施設を直接規制する法律は存在せず、建築基準法等の一定の基準を満たしていれば、建設が可能なのが実状である。法的に問題がないにせよ、周辺住民の不安は小さなものではなく、建設反対や研究中止を求める運動が各地で起きている。本稿では、事例を検討し、現在の研究者側主導の研究施設と周辺環境の関係を再考し提言を行う。提言の中心は、研究者と施設側の「説明(explanation)」と住民の「同意(consent)」であり、研究者と施設は住民の生活領域における安全(安全権)を保障する義務を負う必要があるということと、今後、研究者、施設側は、WHOの定めるLaboratory Biosafety Manual 1993等の国際基準を厳守して研究を進めていく必要があり、また、住民と共に、国に法整備を求めていくことが必要である。その事は結果的に、住民の反対運動による研究中止という事態を回避させ、順調な研究活動、そして周辺住民の生活の安全を保全すると考える。