著者
Atsushi TOYODA Takahiro KAWASE Takamitsu TSUKAHARA
出版者
Biomedical Research Press
雑誌
Biomedical Research (ISSN:03886107)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.101-111, 2020-04-01 (Released:2020-04-19)
参考文献数
41
被引用文献数
6

The intestinal ecosystem is involved in the pathogenesis of mood disorders such as depression. Intestinal microbes can affect the central nervous system through the gut–brain axis, which raises the possibility of using probiotics for preventing depression. In this study, we examined the effect of heat-inactivated Lactobacillus gasseri CP2305 (CP2305) in a subchronic and mild social defeat stress (sCSDS) mouse model. sCSDS suppressed food intake. However, dietary CP2305 intake rescued it, suggesting that CP2305 improved the decreased appetite in sCSDS mice. sCSDS did not alter the gene expression of brain-derived neurotrophic factor, nerve growth factor, and neurotrophin-3 in the hippocampus. However, dietary CP2305 provided following sCSDS increased the gene expression of these neurotrophins in the hippocampus. These findings suggest that CP2305 supplementation would aid in preventing psychosocial stress–induced disorders.
著者
中山 まき子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.51-64, 1992-12-25 (Released:2017-07-20)

本稿では既婚女性15名の妊娠・出産に関する予定質問を含む自由会話方式の聞き取り調査 (1987-90) -特に初めての妊娠体験の語り-に基づき, 現代日本社会における, 子どもを持つことに関する意識を探る。具体的には, 子どもを<授かる>・<つくる>という語彙の用いられ方, 意識の存否, およびそれらの内容のあり方を明らかにすることを目的とした。その結果 (1) 自分の妊娠に関して語る際の日常的表現としては<つくる>という語彙が頻繁に用いられ, <授かる>は用いられることが少ない。 (2) しかし妊娠状況の意識を語る手段としては<授かる>が現在も用いられる。 (3) その際の<授かる>という語棄は様々な意味で使用されている。例えば, 子どもを<つくろう>と計画的していた女性たちの喜びの表現として/子どもを (まだ) <つくらない>と計画していた女性たちが妊娠した際の落胆を緩和する表現として/生殖技術を用いた妊娠に対して生殖技術を用いないで妊娠した自分の状況を語る表現としてなどの意味をみいだすことができる。総じて今日の子どもを<授かる>という意識表現はコンテクストに依存して変化し, 多義的意味を包含する。よってこの意識は子どもを<つくる>という意識とは「位相が異なる」ものであった。従って両者は対立することなく複合的に存在する場合があることを示した。この結果を基に, 日本人の生命誕生に関する認識とその時代的変化を考察した。
著者
嶋田 和治
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会誌 (ISSN:24330116)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.109-117, 1969-12-30 (Released:2017-09-26)

The line of position by heaven body on the Mercator chart has some kinds of error. For example, there are 1. error due to the curveture of equall altitude circle 2. bearing error due to the difference between great circle bearing and Mercator bearing 3. distance (intercept) error due to the scale of Mercator chart. Usually they are so small that they are used to be negligible. But we have to understand the nature of these errors and we must know which error is bigger than other's. This paper gives a calculation some kinds of error in LOP on the Mercator and chart also some error tables. Another purpose of this paper is to investigate the formula, error due to curveture=tan (altitude)/6876. This formula gives a assumption that the equall altitude curve on the Mercator chart is a circle. This is not a circle and not a simple curve, as many bibliographies say. So this is not exact formula but approximate one. This paper gives the limit of its adaptation, exact and simple formula, some tables and digrams to obtain the error and so on.
著者
八田 宏之 東 あかね 八城 博子 小笹 晃太郎 林 恭平 清田 啓介 井口 秀人 池田 順子 藤田 きみゑ 渡辺 能行 川井 啓市
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.309-315, 1998-06-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
20

この研究では, 大学および職域においてhospital anxiety and depression scale (HAD)の日本語版の妥当性と信頼性を検討した.大阪府と京都府において, 1983年に, 106名の学生と62名の勤労者を対象に調査は行われた.信頼性を決定するために, アイテム間相関と内的一貫性を求めた.STAIとSDSを用いて共存的妥当性を調べた.両者の集団において, 感情障害の頻度は19〜26%であった.Cronbachのα係数は, 不安尺度に関して0.8であったが, 抑うつ尺度に関しては0.5以上であった.HADの不安尺度とSTAI得点とのSpearmanの係数は, 学生の場合0.65であり, 勤労者の場合0.63であった.HADの抑うつ尺度とSDSとの同係数は学生の場合0.46であり, 勤労者の場合0.50であった.HAD日本語版は, 女性において感情障害スクリーニング法として有用であると考える.
著者
花田 定晴 岡戸 敦男 濱野 武彦 平野 佳代子 宮下 浩二 小林 寛和
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.205, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】 腰痛の発生は、様々な身体機能の低下が相俟って腰椎-骨盤リズムの乱れなどを生じさせることが問題となる。それが動作時の問題を誘発させ、痛みの発生につながると考えられる症例を多く経験する。その中で、特に股関節の可動域制限は腰痛を誘発する重要な要因の一つである。 今回は腰痛の発生要因の一つである股関節の関節可動域に限定し、動作時の痛みの発生パターンとの関連を定量的に調査した。【対象と方法】 対象は平成4年4月より平成14年10月までに当所にて腰痛症と診断され、理学療法を実施した男性179名とした。 対象を体幹運動の方向と痛みの発生の関係から_丸1_体幹屈曲時に痛みが生じる屈曲型、_丸2_体幹伸展時に痛みが生じる伸展型に分類(川野)した。また、この2項目に分類されないものは対象から除外した。内訳は、屈曲型52名(年齢21.6±9.7歳、身長171.2±5.1cm、体重64.1±11.8kg)、伸展型127名(年齢19.7±8.4歳、身長169.6±8.8cm、体重63.9±14.1kg)であった。 理学療法記録より下肢伸展挙上(以下、SLR)、股関節伸展、外旋、内旋の関節可動域を調査し、各々の項目について屈曲型と伸展型の間で比較した。検定はt検定を用い、有意水準5%未満とした。【結果】 関節可動域の平均値はSLRでは屈曲型74.9±11.1度、伸展型77.9±10.9度であり有意差がみられた(p
著者
小川 拡 片野 修 横田 賢史 CARLOS AUGUSTO STRUSSMANN
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.438-446, 2015 (Released:2015-06-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

東京都秋川の河床に生息する国内外来種アカザと在来種カジカ大卵型の食性を 5 月から 1 月まで調査した。食性は餌動物の体積比と餌料重要度指数 IRI により解析した。両種ともに主要な餌として,カゲロウ目,トビケラ目,双翅目の幼虫を利用し,それらを摂食する割合は時期によって異なった。カゲロウ目に対する餌選択性は時期により種間で異なり,これは摂食戦略を反映した結果と考えられた。しかし,食性は両種ともに餌生物組成の季節変化に対応し,月によっては種間で大きく重複することから,餌を巡る競合が生じる可能性が示唆された。
著者
高田 邦昭
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.173-177, 2007-07-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
内山 智枝子 武村 政春
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.167-172, 2018 (Released:2018-10-29)
参考文献数
8

現行の高等学校学習指導要領における生物教育では,高校生の9割以上が履修する「生物基礎」において,セントラルドグマの概念の理解が求められている.セントラルドグマのメカニズムを説明するためには,DNAとRNAの役割の違いを区別することが不可欠である.しかし,大学生を対象とした国内外の調査から,「複製」と「転写」に関する混同が報告され,高校生を対象とした調査でも,DNAとRNAの構造や構成成分の概念構築が曖昧であるとの問題提起がなされている.そこで本研究では,最終的な目標であるセントラルドグマの理解に不可欠な「複製」と「転写」におけるDNAとRNAの役割を,高校生が区別しているかどうか現状を把握し,その原因を追究することを目的として,高校1年生「生物基礎」履修者を対象に質問紙調査を実施した.質問紙調査の結果,「複製」と「転写」におけるDNAとRNAの役割を区別していない生徒の存在と,どのように混同しているのかその実態が明らかになり,記号や模式図,岡崎フラグメント,相補的結合が起こる鎖の数,「複製」や「転写」の必要性に対する誤った理解が,混同の要因となっていることが示唆された.このことから,提示するメカニズムの内容と使用する記号や模式図を生徒の実態に合わせて検討すること,「複製」や「転写」の必要性を強調し相補的結合に関する知識の転化を促すように学習環境や授業デザインを工夫することが,生徒の混同の解決につながるのではないかと考える.
著者
佐治 孝
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
金属表面技術 (ISSN:00260614)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.2-11, 1977-01-01 (Released:2009-10-30)
参考文献数
76
被引用文献数
1 2
著者
尾仲 達史
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.127-132, 2005-02-01 (Released:2009-05-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1
著者
釜野 静也 深谷 昌次
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.89-93, 1965-06-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
5
被引用文献数
4 7

ニカメイチュウを人工飼料を用いて無菌的に累代飼育を行ない,同系交配と環循交配における幼虫の生育,蛹化,羽化,産卵およびふ化を調べた。その結果同系交配では,第2世代,第3世代で幼虫の生育が遅れ,蛹化率,産卵数,ふ化率が低下した。第4世代まではかろうじて飼育継続が可能であったが,第5世代ではふ化する卵はなく,飼育は中絶してしまった。これに反し循環交配を続ける場合には10世代以上にわたって飼育を続けることができた。なおその間幼虫の生育,蛹化,羽化,産卵およびふ化にほとんど変化は見られなかった。以上のことから,ニカメイチュウを累代的に飼育するため現段階では交配方法に留意する必要がある。
著者
大見 士朗
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-15, 2015-05-15 (Released:2015-07-07)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Seismic activity near Mt. Hotaka in the Hida Mountains, central Japan was analyzed by using the Matched Filter Method (MFM). In this analysis, MFM was implemented as an automatic hypocenter relocation system. We selected about 30 template earthquakes in the target region that enables us to detect more than 3,000 events and locate about 800 earthquakes in the time period from April 2013 to October 2013. Comparison with manually inspected results indicates that location errors by MFM system is within a couple of kilometers. The seismic activity in the target region started in April 2013 and most intense activity occurred in October 2013. The largest event took place on October 8, 2013 at 19:28 (JST) whose magnitude was 3.9 (JMA). Epicentral area extends about 4km in EW direction with 1km in NS direction at the eastern frank of Mt. Hotaka. Although manually inspected catalogue data is essential to evaluate seismic activity, we suppose MFM is one of the powerful tools to automatically obtain preliminary results for the swarm activity that concentrated in a small area such like this study or volcanic regions.
著者
野中 敬介 渡邊 良亮 塚本 航平
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.180-186, 2020 (Released:2019-12-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1

来る5G時代の新たな映像体験技術として,ユーザに高い臨場感を提供する自由視点映像合成技術のニーズが高まっている.これまで,数多くの自由視点映像合成技術が提案されてきたが,複数の高精細なカメラ映像から被写体の3次元形状を推定するために膨大な時間を要するといった課題があり,コンテンツのオフライン制作が必須であった.この制約から,放送波や無線を用いた自由視点映像のリアルタイム配信はこれまで実現されてこなかった.本論文では,リアルタイム処理が可能な自由視点映像合成技術,および5G網を用いた配信システムを提案する.提案手法では,従来,点群として表現されていた被写体3次元形状を,平面によって表現することで高速な映像合成を可能としている.また,当該技術を含む配信システムに5G網を用いることで,ユーザ操作に対して遅れのない合成映像の提示を実現した.実際のスポーツシーンにおける5G網を用いた実証実験において,本提案システムの有効性を確認した.
著者
小野寺 勇雄 上條 康幸 宮西 孝則
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1655-1661,017, 2003-11-01 (Released:2010-10-27)
参考文献数
14
被引用文献数
2

スギは国内に豊富に存在する樹種であり, 建築材や家具等, 様々な用途に利用されているが, パルプ原料とした場合, リグニンや樹脂成分を多量に含み, 容積重が低いことからKP原料としては適していないとされている。しかし, 容積重が低いというスギの特徴はKP原料ではなく, 機械パルプの原料として適性があると考えられたことから, 本研究では実験室スケールでスギを原料としたTMP製造技術について検討を行った。ラジアータパインに対するスギの配合率を種々変更した原料チップからCTMP法を用いて機械パルプを調製し, パルプ物性の評価を行った。その結果, スギ配合率の増加に伴って, パルプの比散乱係数が増加した。各パルプにおけるファインの性質について調査を行ったところ, スギ配合率が増加するにつれて, 光学的性質に寄与するフレーク状ファインが多く生成することが明らかとなった。従って, スギを配合することにより比散乱係数が増加したのは, 生成するファインの性質が変化したためであると推定される。また, 過酸化水素を用いた漂白実験において, スギを20%配合した場合は, 配合しないものに比べて到達白色度が約3ポイント高いという結果が得られた。以上の結果から, スギを原料として製造した機械パルプは, 光学的性質に寄与するフレーク状ファインが多く生成することから比散乱係数が高く, 紙の不透明度向上に対して有望な原料であると考えられる。さらに, 今回評価を行ったスギCTMPは白色度が高く, 漂白性にも優れていることがわかった。
著者
編集部
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.351-380, 1998-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
262
被引用文献数
1

1997年度の味噌・食酢の研究業績をみると, 研究の目的と投じられたエネルギーが味噌, 食酢で明らかに異なることがわかる。味噌については, 一般的な説明研究が多く行われてはきたが低調気味であることを否定できない。一方, 食酢については, 新たな開発ならびに研究が数多く行われている。いずれも醸造食品として機能性などに関心がもたれ検討されていることが注目されるが, このような点で味噌・食酢産業のさらなる発展の糸口が得られることを期待したい。
著者
押尾 恵吾
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.225-238, 2017 (Released:2017-09-29)
参考文献数
34
被引用文献数
8 9

本研究は, 学習方略の使用や有効性の認知は教科によって異なるのかという学習者の実態を明らかにすることを目的として, 方略使用および有効性の認知の教科間比較を行った。また, 方略使用と有効性の認知の関連, 方略使用と有効性の認知それぞれの教科間の関連についても検討した。予備調査では, 複数の特定教科において実質的に高校生が使用可能であると考えられる学習方略尺度を作成した。本調査では, 高校生を対象に, 数学, 国語, 社会における方略使用の頻度, 有効性の認知, 達成目標, 教科の好み・得意感を尋ねる質問紙調査を実施し, 257名からの有効回答を得た。分散分析を実施した結果, 数学の体制化方略・精緻化方略, 国語の教訓帰納方略は, 有効性の認知が高いものの方略使用が少ない学習方略であった。パス解析を実施した結果, 教科や学習方略の種類によらず, 有効性の認知は方略使用の規定要因であること, 数学と国語は教科間の関連が弱いことが示された。以上から, 有効でありながら教科の学習の性質のために使用されていない学習方略の存在が明らかになり, 教科ごとに学習者に対して使用の促進をする価値のある可能性がある学習方略の存在が示唆された。