著者
奥谷 禎一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-33, 1965-03-25
被引用文献数
4

Caliroa属(ナメクジハバチ属)のハバチは, わが国では今日までに4種が知られていたが, 飼育によって3新種を得たので, その記載とともに7種の検索を記した。本属の幼虫は, 前脚の前方に頸腺が発達し(図13), ここより粘液を分泌し, 生時は, 休全体粘液に覆われナメクジ状である。また, その食痕は図14に示したように, 表皮を残した特徴のあるものである。多くは7〜9月に少なくとも2世代を繰り返す。成虫の検索は次のようである。1.翅は透明;触角第3節は第4,5節の合長よりやや短い。(図7);コナラ・クヌギ等を食害する。……C.oishiiコナラナメクジハバチ(新称)-翅の基部は曇っている。……2 2.後脚は全体黒色;オウトウの害虫として有名。……C.cerasiオウトウナメクジハバチ(改称)(旧和名ウチイケオウトウハバチ)-後脚には白色または褐色部をもつ……3 3.触角第3節は第4,5節合長より明らかに短い……4-触角第3節は第4,5節合長よりわずかに短い……5 4.頭楯は前縁彎入する;♂は後翅に縁脈あり;食草不明……C.annulipesハクサンナメクジハバチ(新称)-頭楯前縁は裁断状;♂は後翅に縁脈なし;触角, 図10;食草はナツハゼ……C.vacciniナツハゼナメクジハバチ(新種)5.後腿節は汚黄色または褐色;触角, 図11;有名なモモの害虫……C.matsumotonisモモナメクジハバチ(改称〉(旧和名モモハバチ)-後腿節はほとんど黒色……6 6.後脛節と趺節は大部分褐色;触角, 図9;小型種;ケヤキの害虫……C.zelkovaケヤキナメクジハバチ(新種)-後脛節と趺節は大部分黄色;触角, 図8;大型種6mm以上;ミツバウツギを食す……C.staphyleaミツバウツギナメクジハバチ(新種)
著者
藤沼 宏彰
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, 2008-02-01
被引用文献数
1

糖尿病は生活習慣病であり,食習慣や運動習慣の偏りが発症の原因となる.すなわち,過食や運動不足による肥満,特に内臓肥満が発症・増悪の根底にあり,予防や治療のためにはその改善が求められる.このため,運動療法は食事療法とともに糖尿病治療の基本とされ,その効果も広く認識されつつある.しかし,生活習慣を変えるということは容易なことではない.歩くより車に乗るほうが楽であり,空調の効いた室内で大型TVを見るのは暑い屋外を動き回るより快適である.このような楽で快適な生活に慣れ親しんだ方たちに,運動を習慣化していただくには大きな動機付けが必要となる.そのためには先ず運動の効果を理解していただくことが重要となる.
著者
木下 正博 市瀬 和義
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.57-66, 2002-01-31
被引用文献数
6

富山湾の東部沿岸地域では毎年, 4〜6月にかけて10数回程度, 上位蜃気楼が観測される.その発生理由は, これまで海に流出した冷たい雪解け水が海面上の空気を冷やし上暖下冷の空気層を形成するためと言われてきた.しかし, 富山湾の5月の海面水温は, 周辺海域に比べて特に冷たいわけではなく, とりわけ富山湾が上位蜃気楼の発生に有利な地域ではないと思われた.そこで, この疑問を明らかにするため1999〜2000年の5,6月に気温の鉛直分布を観測した.その結果, 1999年5月22日の上位蜃気楼の発生日における気温の鉛直分布には, 海面上11〜15m付近に境界層を持つ上暖下冷の空気層が見られた.この観測結果と気温の鉛直分布を仮定した光路計算による蜃気楼画像のシミュレーションからは, 海岸だけでなく海上においても上暖下冷の空気層を形成していることが推定された.
著者
梅本 通孝 熊谷 良雄
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.6, pp.441-447, 1996-11

原子力事故により環境への大量の放射性物質の放出という万が一の事態が発生した場合、地域住民への被害を軽減させるためには迅速かつ効率的な避難が重要となる。現行の地域防災計画等に示された避難計画では、原子力災害時には地域住民は指定された一時集合場所に徒歩で集合し、そこから輸送車両により避難先へ避難するという計画的避難が考えられている。しかし、それらの計画中ではどこの車両を、どこに配車し、どの避難先へ、どのルートで避難させるのかといった具体的な内容、あるいはそれらの事項を判断決定する際の指針などについては必ずしも明らかではない。そこで本研究では、住民の被曝線〓最小化を達成するために、輸送車両の配車、避難先および避難経路を具体的に導出・提示できる避難計画策定支援システムを開発することを目的とし、また、このシステムを試行することによって避難計画策定に関する考察を得ることとした。本研究では、原子力災害時における地域住民の緊急避難の手段について『バスのみによる避難』,『乗用車のみによる避難』,『バスと乗用車による避難』の3ケースを設定し、各ケースに対応して避難方策に関する諸情報を具体的に導出・提示できる「避難計画策定支援システム」を開発し、同システムを用いて計算実験を行ったものである。開発されたシステムは、人口分布、道路ネットワーク、放射性物質の分布予測等の条件を所与として、被曝危険性のある分析対象地域内の道路ネットワーク上における「バス」と「避難対象乗用車」、さらに「通過交通」と避難対象乗用車のうちで避難指示に従わない車両(以下、「不従車両」と略記)の交通挙動と被曝状況についてシミュレーションを行い、その結果から避難所要時間、予測被曝線量あるいは具体的なバス配車や避難先、避難経路などの避難方策に関する結果情報を提示するという機能を備えている。開発されたシステムにより仮想地域を分析対象として計算実験を行った。まず「不従車両の挙動要因」、「不従車両の発生率」、「通過交通の有無」、「避難者を輸送するパスの台数の多少」の各事項が避難所要時間や予測被曝線量などの結果に及ぼす影響についての感度分析を計34ケース、さらにこの感度分析を踏まえた上で避難住民の被曝線量最小化のために最適なバスの配車や避難先、避難経路を判断決定するための指針・基準に関して36ケースの計算実験を行い、政策的分析検討を行った。この結果から、『被曝線量を小さくする避難方策か、他の避難方策に比較して、必ずしも避難所要時間を短くするものではない』など、基準の設け方によって評価に相違が生じることが明らかとなり、原子力災害時の避難方策に関しては予めから極めて明確な政策方針が決められていることが必要であると指摘された。なお、本論は筑波大学修士課程環境科学研究科修士論文として作成されたものである。また、研究を行うにあたっては日本原子力研究所原子炉安全工学部緊急時システム研究室の指導・協力を受けた。
著者
石向 桂一 大西 直文 澤田 恵介
出版者
日本流体力学会
雑誌
ながれ : 日本流体力学会誌 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.515-523, 2005-10-25
被引用文献数
2

近年, DengらによってWeighted Compact Nonlinear Scheme (WCNS)と呼ばれる高次精度スキームが開発された.このWCNSは, 数値振動を生じることなく衝撃波を単調に捉えることができるため, 陰的LESに適用できると考えられる.本研究では, WCNSを用いた陰的LESによりBurgers乱流の数値計算を行い, エネルギースペクトルを求めた.得られたエネルギースペクトルはDNSの結果と良い一致を示したが, 従来型のLESでは, 高波数域に非物理的な振る舞いが現れた.
著者
Miyake Hiroshi Iwao Kenji Kakinuma Yoshiko ミヤケ ヒロシ イワオ ケンジ カキヌマ ヨシコ
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋研究 (ISSN:09160752)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.273-285, 1997
被引用文献数
3

We investigated the seasonal occurrence, growth, age, and life history of Aurelia aurita in the Taniyama areaof Kagoshima Bay, also some of the environmental factors such as the specific gravity, pH and the temperature,influence the appearance of Aurelia aurita in the surface layer. The size of an individual depends on environmentalfactors. In contrast the number of branching points of radial water vascular canals increasing with time, independentlyof environmental factors, and therefore could be used as an age index.By using age index, the population of Aurelia aurita sampled may consist a mixture of two cohorts. Theassumption may be that the life span of Aurelia aurita is up to two years.By examining all stages of the life history of Aurelia aurita in Kagoshima Bay and comparing it with that ofother locatives, it is found that the life form of Aurelia varies with their environmental circumstances. We suggestthat how the habitat influence the life history in Aurelia should now be reviewed.

1 0 0 0 OA 近世百傑伝

著者
干河岸貫一 編
出版者
博文堂
巻号頁・発行日
vol.続, 1900
著者
小関 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.220, pp.13-21, 2009-10-01

Googleの凄さは、実世界とネットがentangleしていることの発見にある。すなわち、Webページの重要さは個人的な意図、知識に依存するが、それをリンク情報から機械的に推定できることを示し、現在の情報インフラの地位を確立した。ここでは、マルコフ遷移確率をリンク数の平方根に反比例すると、実態に即してGoogleを2-normに修正して、システム分析のツールとして有効性を確立した。さらに、システム評価の客観的測度として、モードエントロピー・ノードエントロピーを定義し、それらの有効性を東京鉄道網で実証した。情報時代の社会インフラとしてのGoogleが、実世界に適合しない1-normで記述されていることによる重要度評価誤差の社会的インパクトなど検討・対策が、情報大航海時代に期待される。
著者
藤井 澄二 井口 雅一
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.132-138, 1961-05

運転者により操縦された自動車の運動特性は,自動車の運動力学的特性と,運転者の動作特性とから組み立てられる.そこでまずオーバ・ステアリング,アンダ・ステアリングで表現される自動車の静力学的特性から,さらに手放し走行などを含む動力学的特性を解説し,ついで運転者の操縦が加えられた自動車の運動特性へと論議を進め,最後に自動車の研究と平衡した運転者の研究の必要性を述べる.理解の助けとするためにアナログ計算機による計算曲線例を示す.
著者
山下 元
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.250, pp.21-26, 1993-09-25
被引用文献数
5

ファジィ理論は,人間の行動,認識などに関するあいまいな情報を解析し思決定を行う理論で,近年,社会科学,人間科学などの分野にも広く応用されている.通常,心理,教育などに関するあいまいな情報は,ファジィグラフで表すと解析し易い.筆者は,ファジィグラフの情報構造を分析し,近似的にN値グラフで表現する方法を考案した.本稿では,ファジィグラフの近似N値化法を論ずると共に,その応用として,数学教材の構造分析について述べる.
著者
尾花 雄路
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.43-56, 2003-08-08

子ども達にとって水遊び(プールでの活動)は,夏季の活動の中心的なものである。なぜなら,夏の暑い屋外でも子ども達は快適に遊ぶことができる。水遊び(プールでの活動)は,子ども達の健康にも貢献している。それは,呼吸器官,皮膚,血管に良い影響を与え,風邪を防ぐ効果もある。本研究は,子ども達は楽しく遊びながら健康になり,泳力を学び,知的発達を促すための保育実践のためのカリキュラムの作成を試みるものである。水遊びのカリキュラムを作成するとき,保育園における全体のカリキュラムを中心に計画することが必要である。基本的には,環境をとおしておこなう保育を実践の中で子ども達は楽しく遊ぶことによって成長・発達することができる。しかし,子ども達はプールで遊ぶだけでは泳力を学ぶことはあまり期待できない。子ども達に泳力を学ばせたいのであれば,泳ぎ方を学ぶ必要がある。基本的には,子ども達が泳力を学ぶためには,指導・伝達・訓練も限られた条件のもとでは必要なことである。
著者
堀江 秀典 井上 宏子
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

酸化型ガレクチン-1(GAL-1/Ox)はマクロファージを刺激しサイトカインIL-6の発現上昇を促進する傾向が見られたが、更に実験を重ねて統計的有意差を確認する必要がある。IL-1βやLIFの発現を有意には上昇させなかった。次にiNosを加え更に実験を重ねて統計的検討を行った結果GAL-1/Oxは1ng/mlの濃度で有意にiNOSの発現を上昇させた。iNOSは酸化作用のあるNO産生に関与する酵素で酸化型ガレクチン-1刺激によりマクロファージ内でその発現が上昇する。このNOは細胞外に分泌され、神経細胞やその軸索並びにシュワン細胞から分泌された還元型ガレクチン-1を酸化し、酸化型ガレクチン-1とする作用が考えられる。マクロファージから分泌されたNOの作用についてはin vitro並びにin vivoの研究から今後明らかにしていく計画である。次に炎症下でマクロファージを刺激する物質LPS(lipopolysaccharide)のマクロファージへの作用に酸化型ガレクチン-1がどのような作用を示すか検討を行った。10ng/ml,100ng/mlのLPSをマクロファージに作用させそのときのIL-1β、IL-6,LIF, iNOSのmRNAの発現変化を各作用時間1h、2h、3h、4hについて解析した。10ng/mlではIL-1β、LIF, iNOSのmRNA発現を上昇させたが、IL-6につてははっきりした効果が見られなかった。100ng/mlでは4種類の因子の発現上昇がはっきり見られた。この系に1ng/mlの酸化型ガレクチン-1を作用させると、4時間作用させた群では明らかに発現の減少が見られた。その抑制効果は酸化型ガレクチン-1の濃度を0.1ng/ml,0.01ng/mlと下げていくと次第に減少し、LPS10ng/mlでは0.01ng/mlの酸化型ガレクチン-1の抑制効果が、LPS100ng/mlでは0.1ng/ml以下の酸化型ガレクチン-1の抑制効果が見られなかった。以上の結果より酸化型ガレクチン-1がLPSのマクロファージ刺激作用を抑制することが示唆された。今後実験を重ねこの効果が統計的に有意であることを確認し、in vivoでの抑制効果を検討することにより、酸化型ガレクチン-1を炎症抑制因子として確立していく計画である。

1 0 0 0 OA 難太平記

著者
今川 了俊
出版者
京都大学附属図書館
巻号頁・発行日
2010-05-20

今川了俊著, 写, [33]丁 和 帙入, 「右一冊源侍従範英朝臣御所持之以秘本…書写…」の識あり, 91004030, [谷村文庫], 5-08/ナ/1