著者
大塚 和弘 竹前 嘉修 大和 淳司 村瀬 洋
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.2317-2334, 2006-07-15
参考文献数
40
被引用文献数
9

複数人物による対面会話を対象とし,会話参加者の視線パターン,頭部方向,および,発話の有無に基づき会話の構造の推論を行うための確率的枠組みを 提案する.本研究では,まず,会話の構造として,話し手,受け手,傍参与者と 呼ばれる参与役割と会話参加者との組合せに着目する.次に,会話中の各人物の 行動は,会話の構造によって規定されるという仮説を立て,マルコフ 切替えモデルと呼ばれる一種の動的ベイジアンネットを用いた会話 モデルを提案する.このモデルは,会話レジームと呼ばれる会話の構造に対応 した上位プロセスの状態が,マルコフ過程に従い時間変化しつつ,その会話 レジームの状態に依存して,視線パターン,および,発話が確率的に生成され,さらに,各人の視線方向に依存して頭部方向が観測されるという 階層的な構造を持つ.このモデルにおいて,会話レジームは,会話中に頻出 する視線パターンの特徴的な構造に基づいて仮説的に設定される.また,ギブスサンプリングと呼ばれる一種のマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて,観測された頭部方向と発話の有無の時系列データより,会話レジーム,視線パターン,および,モデルパラメータのベイズ推定を行う方法を提案する.最後に,4人会話を対象とした実験により,視線方向と会話レジームの推定精度を評価し,提案した枠組みの有効性を確認する.A novel probabilistic framework is proposed for inferring the structure of conversation in face-to-face multiparty communication, based on gaze patterns, head directions, and the presence/absence of utterances. First, as the structure of conversation, this study focuses on the combination of participants and their participation roles. Next, we hypothesize that the structure of conversation governs how people behave during conversation, and propose a conversation model based on the Markov-switching model, a kind of dynamic Bayesian network. In this model, the state of the high-level process, we call it the conversation regime, is assumed to correspond to the conversation structure and that its changes over time exhibit Markov properties. Also, the conversation regime controls the dynamics of utterances and gaze patterns, which stochastically yield measurable head directions. The conversation regimes are hypothetically configured based on typical structures exhibited by gaze patterns among the participants during conversations. Furthermore, a Markov chain Monte Carlo method called the Gibbs sampler is used to realize the Bayesian estimation of conversation regime, gaze pattern, and model parameters from the observed sequential data of head directions and utterances. Finally, experiments on four-person conversations confirm the effectiveness of the proposed framework in estimating gaze directions and conversation regimes.
著者
大貫 啓行
出版者
麗澤大学
雑誌
麗澤学際ジャーナル (ISSN:09196714)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.99-111, 2005

第4世代の代表胡綿濤総書記に続いて、そのパートナーになった温家宝首相(国務院総理)と胡の最大のライバルだった曽慶紅の生き方(身の処し方)に焦点を当て、新たな時代の中国の党・国家のリーダーの資質の変化を考察してみたい。次いで、中国のタブーでもある天安門事件の評価を将来変える可能性を視野に民衆に人気の高い指導者だった胡耀邦・趙紫陽の新指導部における扱いの変化(再評価の芽)に注目してみたい。
著者
財田 伸介 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 森山 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.134-145, 2004-01-01
被引用文献数
22

近年,マルヂスライスCTの開発により全肺野の3次元断層像を短時間,高精度に得ることが可能になった.特に体軸方向の分解能の飛躍的な向上により3次元的な画像解析に期待が寄せられている.本論文ではマルチスライスCT画像から肺の葉間数を抽出するアルゴリズムについて述べる.臨床において葉間数は肺区域の同定に重要とされる臓器である.葉間数は非常に薄い膜状の構造をしている.本手法は,葉間数の存在する領域の特定と葉間数の強調処理を行って抽出する.これらには葉単位に分類された肺血管からの3次元距離値を用いることで葉間数の存在する領域の特定を行う.次に強調された面陰影の法線ベクトルを用いた領域拡張処理を行い葉間数を抽出する.本手法を臨床画像20例に適用し,精度を評価して有効性を示す.
著者
Kamiya Shin'ichi Miyatake Takashi Hirahara Kazuro
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.457-485, 1990-03-30

A new model of fine three-dimensional P-wave velocity structure down to a depth of 1200 km beneath the Japanese Islands and their vicinity is derived by a tomographic inversion of ISC travel time data with resolution analyses. We used 103,023 arrival time data observed at 548 stations from 833 earthquakes to determine the velocity anomalies in a number of blocks and source parameter corrections simultaneously. A block size of 0.5°× 0.5° in horizontal dimension and 50 km in depth (for the uppermost three layers 0.5°×0.5°×33 km) was used in this study. Detailed features of lateral heterogeneity in the upper mantle are revealed. High velocity zones corresponding to the Pacific and Philippine Sea slabs are well delineated. Low velocity anomalies corresponding to the volcanic front are found. High or low velocity anomalies in the crust or uppermost mantle correspond to positive or negative Bouger anomalies. And high velocity anomalies correspond to low heat flow. In the lower mantle, slab-shaped high velocity anomalies are found extending deeper than the termination of seismic activity within the Pacific slab descending from the Japan Trench. A resolution analysis confirms the existence of the slab-like high velocity region in the lower mantle, though the extent of its depth is not well resolved. On the other hand, the Pacific slab descending from the Izu-Bonin Trench seems to be fingering; that is, high velocity anomalies penetrate into the lower mantle at about 26°N, but do not penetrate and bend horizontally to the west in the deeper portion of the upper mantle at about 29°N.日本列島およびその周辺下1.200kmまでの3次元P波速度構造の詳細なモデルをトモグラフィー手法により得た.データは833個の地震による548観測点での走時データ103,032個(ISC報告値).解を得る際,未知数として震源位置・時刻の要素パラメータと速度構造を同時に求めた.速度構造を求める際に用いたブロックサイズは,水平方向に0.5°×0.5°,鉛直方向に50km(ただし深さ100kmまでは33km)である.その結果,上部マントルの不均質性が詳細に求められた.太平洋プレート,フィリピン海プレートを示す高速度域,火山フロントに対応する低速度域,等々.地殻,マントル上部のほとんどの高速度異常および低速度異常は,それぞれ正・負の重力以上と対応しているが,中国地方のように対応していないところもある.太平洋プレートの日本海溝からの延長上で地震活動が無くなる深さのさらに先に下部マントルまでのスラブ状の高速度域が得られた.レゾリューション解析から,深さ方向に分解能がないが下部マントルに確かに高速度域が存在することが分かった.一方伊豆-小笠原スラブではこの高速度域は,北緯26度付近では650km以深に鉛直方向に分布するが,北緯29度付近では650km付近で横たわって見える.
著者
石村 康生 高井 伸明 佐々木 進
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.15-20, 2005

現在,無人宇宙実験システム研究開発機構や宇宙航空研究開発機構/宇宙科学研究本部を中心に重力傾斜安定型の宇宙太陽発電システム(SSPS)が検討されている.本研究の目的は,このSSPSの組立時における姿勢安定性の評価である.まずはじめに,SSPSの構成モジュールをライン状に並べていく組立手順における安定性の解析を行った.近似式によって,組立初期において,ロールとピッチ周りの固有振動数が,それぞれ軌道運動の2倍及び1倍になることとが示された.さらに動力学解析によって,ロールとピッチ周りの姿勢運動が発散傾向にあることが確かめられた.この発散傾向を回避するために,相似形状が保たれた組立手順の検討を行った.しかしながら,この組立手順では,組立初期においてピッチとヨー周りの復元トルクが小さく,ヨー軸周りの姿勢変動が最大29度発生することがわかった.それ故,どちらの組立手順においても,組立初期においては能動的な姿勢制御が必要となる.
著者
高橋 幸弘 星野 直哉
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.238-241, 2009-12-25

金星における世界初の雷放電観測専用機能と微弱大気光の検出能力を兼ね備えた雷・大気光カメラLACは,ハードウェアの製作・各種試験が完了し,実地観測に備えたパラメータ設定と詳細シーケンスの検討に入った.LACの科学的背景と目標,設計方針,これまで行った試験などについて紹介する.
著者
山本 俊哉 持田 耕平 今井 剛 土師 岳 八重垣 英明 山口 正己 松田 長生 荻原 勲
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, 2003-03-01

17種類のマーカーを用いて,交雑育種で育成されたモモ9品種,枝変わり2品種,偶発実生由来5品種の合計16の日本のモモ栽培品種の親子鑑定を行った.交雑育種により育成された9品種では,すべてのSSR座において親の対立遺伝子が矛盾なく子供に伝達されていたことから,親子の関係が確認された.枝変わり品種の「暁星」は,原品種の「あかつき」と全く同じ遺伝子型を示したことから,枝変わりであることが示唆された.一方,枝変わり品種とされる「日川白鳳」では,原品種の「白鳳」と比較して,12ヶ所のSSR座で異なる遺伝子型を示した.このことから「日川白鳳」は「白鳳」の枝変わりではないことが明らかとなった.偶発実生由来と考えられている4品種「阿部白桃」,「川中島白桃」,「高陽白桃」,「清水白桃」では,各SSR座で推定親の「白桃」の対立遺伝子の一方を持っていた.これらの結果から,この4品種は,枝変わりではなく,「白桃」の子供であることが示唆された.以上のことから,SSRマーカーは,限られた遺伝資源に由来しているとされる日本の栽培モモ品種の親子鑑定に有効に利用することができた.
著者
土師 岳 八重垣 英明 山口 正己
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.97-104, 2004-03-15
被引用文献数
19

日待ち性が異なる生食用モモ品種について,果実の肥大,成熟および老化の過程を通して果実重,果皮の地色のa値,果肉硬度,糖度,滴定酸音量,エチレン生成量の推移を調査し,熱度の指標の相互関係すなわち成熟特性の差異とエチレン生成特性との関連を検討した.溶質品種の'あかつき','櫛形白桃'および'長沢自派'はいずれも満開後日数の経過とともに果実肥大,地色の抜け,桧皮の上昇,滴定酸音量の低下が進み,特定の日以降収穫によりエチレン生成と軟化が明瞭に促進されるようになった後,樹上でのエチレン生成が認められるようになった.しかしエチレン生成と熱度の指標の進行との間には大きな品種間差異が見出され,'櫛形白桃'は果実肥大の途中で地色が残り,精度が急速に増加する前であってもエチレンを多く生成し軟化が進んだのに対して,軟化が遅延する'長沢自派'では果実肥大と植皮の上昇を終え地色が抜けた後にエチレン生成が始まった.また硬肉品種の'有明'ではエチレン生成と収穫後の軟化が認められず,樹上での果肉硬度は4.0kg前後までしか低下しなかったものの,果実肥大,地色の抜け,糖度の上昇,滴定酸音量の低下は溶質品種と同様に進んでいた.以上の結果から,モモでは果実の軟化特性とともに成熟特性にも大きな品種間差異が認められ,その発現にはエチレン生成開始時期の遺伝的差異が重要な働きをしていると考えられた.
著者
野口 泰生
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.123-135, 1994-03-31
被引用文献数
25

日本の気象官署の8割は国土面積の3%に過ぎない都市の人口集中地区(DID)に立地しており,気温の永年変化に与える都市化の影響が懸念される.冬の気温に低下傾向が見られる1950年から1988年までの期間について,官署所在都市の人口階級別に日最高・最低気温の平均変化率を求めると,日最高気温には都市化の影響はほとんど見られない.一方,日最低気温は人囗2万未満の官署で冬を中心に著しく低下するのに対し,人口規模が大きくなるにつれて気温変化率は上向き,地方気象台所在都市や100万都市では著しい昇温を示す.主成分分析により日本を地域区分し,地域毎に,都市化の影響の無い官署群平均日最高・最低気温からの差として各官署の永年変化を表現すると,この差の時系列回帰直線の傾きは都市化による昇温率を示すものと思われる.日最低気温についてはこの昇温率と都市規模(人口)との間に強い相関が見られる.
著者
森 孝司 大河内 博 井川 学
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.157-161, 1997-03-10
被引用文献数
5

1994年4月35日に大山においてpH1.95の霧が観測された。この霧は非海塩起源の塩化物イオン濃度が12.8mmol/lと極めて高く, 塩化水素ガスの吸収によりpHが低下したことを示していた。非海塩起源の塩化物イオン濃度が高くpHの低い霧はこの他にも観測されたが, いずれも夕方を中心とした時間帯に限定され, また濃度は急激に増加し短時間の内に再び減少することから, 局地的な塩化水素ガスの汚染が考えられた。霧水量と霧水内濃度から霧発生前の大気中塩化水素ガス濃度は約2ppbと推測されるが, この値は都市部では普通に観測される濃度であることから, 塩酸により強酸性となる霧は都市近郊山岳部で今後も発生することが予想される。
著者
山田 泰弘 清島 満 和田 久泰 斉藤 邦明
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

C57B1/6のWTマウスに対し放射線照射を行うことにより、血液幹細胞を死滅させ、その照射マウスに対してWTならびにTNFやIL-6ノックアウトマウスから抽出した骨髄を投与して骨髄移植マウスを作成することに成功した。照射マウスに対して骨髄を移植しない場合には、これらのマウスは1ヶ月以内に死滅してしまうことを確認している。これらの移植済みマウスを1ケ月間無菌状態で飼育し、移植骨髄が生着したのを確認した後に、ガラクトースアミン並びにLPSを腹腔内に投与することにより,急性肝障害モデルを作成した。H&E染色を行ったところ、その時間的経過における肝障害の状態の違いを確認することが出来た。すなわちIL-6 KO移植モデルにおいてWTに比較してより早期の肝障害が観察されると同時に、TNF KOモデルにおいては、その肝障害が遅延することを初めて観察した。血清中の肝機能測定により肝障害の度合いの差異も裏付けられている。生存率の差異においては、さらに顕著であり、WT移植モデルにおいて処置後12〜18時間後に死滅するのに対して、IL-6 KO移植モデルにおいては処置後6〜8時間以内にその全てが死滅してしまう。TNF KOモデルにおいては、処置後16時間後より個体死が認められるようになり、処置後30時間後になってその全てが死滅していくのである。このように各種サイトカインを骨髄中からノックアウトすることにより、肝臓における障害の差が認められるようになったことは、今まで例を見ないことであり、今後は影響を及ぼしたサイトカインの経路を検討し、肝障害機序の解明について検討する予定である。
著者
和田山 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.143, pp.55-60, 2009-07-16

近年、コンプレスドセンシングに関する本稿では、2元線形符号に基づくp×m 2値センシング行列のランダム構成法を提案する。ここで与えられるセンシング行列は2元線形符号の生成行列を利用することにより、O(p log_2m)ビットの情報で表すことができる。提案法により構成される線形符号の平均重み分布の結果に基づき、行列の制約等長性(Restricted Isometry Property)とインコヒーレンスについての解析を行った。
著者
〓橋 沙織 勝股 理恵 吉澤 久美 八巻 桃子 大迫 美由紀 村上 満利子 毛利 さやか 佐藤 みずき 目黒 寛子 久保倉 寛子 広瀬 佳苗 田中 直義 渡辺 杉夫 木内 幹
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.454-461, 2005
被引用文献数
5 1

1. 中国雲南省の淡豆〓から分離した細菌でわが国の糸引納豆を製造した結果, 撹拌すると豆の形が完全に崩れてしまうほど軟らかい納豆を製造することができる菌, KFP843を見いだした. 同定の結果, KFP843株は<i>Bacillus subtilis</i>に属する菌であった.<br>2. <i>B. subtilis</i> KFP843の納豆製造には2種類の温度プログラムを用いたが, KFP843株の最適生育温度である43℃を初発温度とする製造プログラムが適しており, 製造した納豆の硬さは, 市販納豆の硬さを100%とすると, それは約40%の硬さに仕上がった.<br>3. ホルモール窒素は市販納豆のそれが0.94%であったのに対し, 本菌株で製造した納豆は0.28ないし0.38%であった. また糸引きは市販納豆よりもやや弱く, 相対粘度は市販納豆のそれが2.06であったのに対し, 1.10ないし1.21であった.<br>4. 官能検査では, 菌の被り, 豆の割れ・つぶれ, 硬さの項目で市販納豆に比べて有意に良い評価 (p<0.05) であった. 市販納豆に比べて有意に (p<0.05) 糸引きは弱いが, 豆が軟らかいという評価を得た.
著者
谷本 明逸 山内 義一 山口 顕司
出版者
米子工業高等専門学校
雑誌
米子工業高等専門学校研究報告 (ISSN:02877899)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.31-36, 2003-12

機械工学科3学年次の機械工作実習授業で行っているNC旋盤プログラミング実習について,平成15年度より新しい教授法を導入した.初めてNC旋盤に接する学生に対しては,早い段階で直観的イメージを形成することが重要である.そこで,NC旋盤の概要とプログラミングの基礎を説明するビデオを用いることにした.また,学生の作成したNC旋盤プログラムを検証するためにNC旋盤の動作状況を体感的に理解できるNC旋盤シミュレータを導入した.これらの手法によって学生にNC旋盤プログラミングを直観的かつ体感的に認識させることで,教育効果をあげることができた.
著者
青木 伊豆男 渡辺 邦洋 斎藤 隆
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.250-255, 1987-04-05

シッフ塩基[N-(アルキル)サリチリデン-1-ブチルアミン]とそのZn及びBe錯体の蛍光及びりん光特性に及ぼすアルキル置換基の効果を検討した.錯体の吸収スペクトルはシッフ塩基の中性分子ではなく,その陰イオンに類似していた.シッフ塩基の中性分子は低温においても蛍光を示さず,陰イオンは室温(296K)では微弱であるが蛍光を示し,低温では強い蛍光を示した.錯体は室温でも強い蛍光を示し,そのスペクトルは77Kにおけるシッフ塩基陰イオンのスペクトルに類似していた.又,錯体は77Kにおいて強いりん光を示すがシッフ塩基陰イオンのりん光性は小さい.錯体の蛍光及びりん光はシッフ塩基イオンが金属イオンに配位することにより固定され,イオンの振動が抑制された結果と考えられる.又,シッフ塩基のフェニル環中のアルキル置換基は鈴体の蛍光及びりん光に大きな影響を及ぼす.アゾメチン基に対して5位のアルキル基はシッフ塩基のπ電子を非局在化させることにより,錯体の蛍光を増大させ,4位のアルキル基は局在化させることにより,りん光を増大させると考えられる.