著者
林 理三雄 安田 茂 石原 秀泰 張 宰赫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.254-262, 2001-02-01

九州地域(鹿児島, 熊本, 福岡)及び太平洋沿岸の地域(高知, 浜松, 静岡)の1分降雨量(降雨強度)観測データを用いて, 鹿児島の降雨の特徴を抽出した.また, 鹿児島における降雨の特徴が, 衛星放送電波の降雨減衰や斜め伝搬路特性に与える影響について解析した.その結果, 鹿児島では, (1)強い降雨強度の降雨が多く, 散発的な降雨が多い.(2)一般に降雨量は長時間の小降雨強度に依存することが多いが, 鹿児島では降雨強度の強い物の寄与が大きい.(3)散発的な強い降雨強度の降雨は, 小雨期と思われる10月に多い.地点降雨強度と斜め伝搬路における降雨減衰(区間降雨強度に関係する)を評価するため, 地点降雨強度と降雨減衰が同一累積時間率のとき, 地点降雨強度と降雨減衰の関係を求めた.結果, (4)地点降雨強度が雨域伝搬通路に一様にあるとすると, その等価通路長は実際の通路長よりも8〜10倍長くなることがわかった.
著者
吉田 勲 原田 昌佳
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画論文集 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.91-96, 2001-12-07
被引用文献数
1
著者
深井 穫博 眞木 吉信 高江洲 義矩
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.676-682, 1996-10-30
被引用文献数
11

口腔保健行動は生涯発達のなかで獲得・修正・定着するものであるが,成人期以降の口腔保健行動については不明な点が多い。本研究では質問紙調査を行ない,成人の口腔保健行動の年齢特性について検討した。調査対象は,関東地方の7企業に勤務する20歳から50歳代の男性468名,女性205名の計673名である。調査内容は,(1)口腔保健に関する態度,(2)口腔保健用語の認知度,(3)口腔の健康に関する自己評価,(4)口腔保健行動に関するものである。「歯・口に関する会話」,「新聞の健康欄への注目度」「歯・口を鏡でみる頻度」の質問項目から,自己の口腔内への関心度は中高年層ほど高まることが示された。しかし,この関心度は知識等の情報収集行動には反映されるが,自己の口腔内を直接観察する行動には結びついていないと思われた。口腔保健用語の認知では,全年齢層にわたり50%以上の者が「知っている」と回答した用語は「歯石」,「歯垢」,「歯周病」であり,成人期によくみられる歯周病に関連したものであった。口腔の健康状態に関する自己評価では「外観や噛み具合に満足している」と回答した者が,24歳以下の年齢層で10〜20%に対し,55歳以上の年齢層では20〜30%であった。昼食後・就寝前の歯みがき習慣の有無といった口腔清掃行動では中高年層に比べて若年齢層の方が定着していた。また「かかりつけの歯科医師の有無」,「定期歯科健診の受診」についての受診・受療行動では逆に若年齢層に比べて中高年齢層が高い割合を示していた。
著者
松本 洋一 宗田 悟志 望月 伸晃 梅比良 正弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.98, no.435, pp.69-74, 1998-11-27
被引用文献数
25

本報告は, 広帯域無線システムに適したOFDM方式について検討している.まず初めに, 同一情報伝送速度を得る変調方式および誤り訂正符号化率の組み合わせとして, 同期検波を前提に8PSK(R=2/3)および16QAM(R=1/2), さらに遅延検波を前提にD8PSK(R=2/3)および16DAPSK(R=1/2)の特性について, 実際の通信路を想定したシミュレーションによりパケット誤り率特性について明らかにし, 8PSKが, 特にマルチパスおよび非線形通信路においては, 他に比べその有効性が大きいことを示している.さらに, 実際に同期検波をOFDMシステムに適用するために必要な各サブキャリアの等化方法について, RLSアルゴリズムを適用したものを提案するとともに, パケット誤り率特性および所要プリアンブル長の観点から従来方式との比較検討をおこない, 所要プリアンブル長が2OFDMシンボル以上の場合, 提案方式が優れた特性を有することが示されている.
著者
織 順一 吉海 拓史 吉村 修一 竹中 佐重美(
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.263-265, 1998-02-25
被引用文献数
2 13

シベリアン・ハスキー犬2頭の3眼が, 検眼鏡検査と超音波断層検査(USG)によって臨床的に第一次硝子体過形成遺残症(PHPV)と診断された。二次性進行性白内障を伴った1眼球においでPHPVの診断的治療のための超音波乳化吸引術を行い, PHPVが確認された。
著者
田島 良男
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.127-130, 1955-11-30

1)アカ, クロ, モドウマツ, スギ, コノテガシハの幼植物で, 成葉の発出を目安として, 日長と幼形期→後続形期変移の関係を調べた.[table]2)アカ, クロ及びモドウマツの幼植物では, 日長の増加は針葉の発現を促す.また主軸の伸長並びに針葉数は日長の増加により促進されるが初生葉数は影響されない.3)スギ及びコノテガシハの幼植物は成葉発出には14時間前後の日長が好適であるが, ヒノキ幼植物の成葉発出は日長に影響されない.
出版者
立教大学
雑誌
立教法学 (ISSN:04851250)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.6-53, 2007-03-20
著者
渡辺 徹
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.121, no.10, pp.562-564, 2007-10

新潟市民病院では,25年前から,当院で初期研修を終了した医師の希望者に対して,「特別研修医」の名称で1-3年の後期研修を行ってきた.2002年からは(シニア)レジデントに改称し,各科の研修プログラムを公開し全国公募を始めた.いままでに48名が当院で後期研修を終了し,13名が現在研修中である.後期研修として選択した科は小児科,消化器科,呼吸器科,救命科が多かった.後期研修終了後の進路は,大学医局への入局が半数強,当院へスタッフとしての就職が3割であった.当院における後期研修の問題点としては,後期研修終了後の進路について明確に提示していない点と,研修評価が十分なされていない点であり,改善が必要である.今後新潟大学や県内の各臨床研修病院と協力して,より良い後期研修体制が構築できるよう努力していきたい.
著者
伊藤 隆史 川原 幸一 橋口 照人 丸山 征郎
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.418-421, 2009-08-01

急性炎症とは,生体にとっての非常事態体制である.感染を察知した免疫細胞や,損傷に伴って壊死した細胞は,High mobility group box 1 protein (HMGB1) を放出することによって周囲に非常事態宣言をする.これを受けた周囲の細胞は,炎症,免疫,組織修復のプログラムを立ち上げ,非常事態に対応しようとする.このように,HMGB1は生体防御的役割を担っているが,その一方で,大量に産生されて全身を循環するHMGB1は,全身性炎症反応症候群(SIRS)や播種性血管内凝固症候群(DIC)を引き起こし,致死的に働く.このHMGB1の全身化を防ぐ役割を担っていると考えられるのが,抗凝固タンパク質として知られるトロンボモジュリン(TM)である.TMはトロンビンと結合するとともにHMGB1とも結合し,トロンビン-TM複合体がHMGB1を分解して不活化する.TM は凝固反応や炎症反応を多面的に制御していると考えられる.
著者
久保 加津代
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.325-333, 2004-04-15
被引用文献数
1

以上のことをまとめるとつぎのようにいえる.1.住生活関連記事の分量は決して多くはなかったが,当時の『家の光』には農村の生活改善の核である住生活改善の実態が読みとれる記事がある.数は少ないが平面図もある.初期には「啓蒙」が中心であったが,1930年頃から「実践」がみられるようになる.2.農村の住生活改善は,(1)個人の活動,(2)共同による活動,(3)組合による活動または組合の協力による活動の3つのパターンで進められている.個人の活動については1933年以後に多くみられ,男性による寄稿が多く,能率的になった事例が客観的に述べられていることが特徴である.共同による活動については,女性たちが協力して講演会や台所批評会を開いたり,台所改善講などにとりくんだ記事が多く,個人の活動と比べると,改善の成果・感想が伝わってくるものが多い.組合による活動または組合の協力による活動は,産業組合および信用組合や県農業会などが関係して住宅改善を行った例である.また産業組合による共同浴場は,健康管理意識も高め,教育機能や村民の情報交流機能まで果たし,共同作業場の設置や農業経営の向上,住宅の居住性向上にもつながっている.都市部で連んだ住生活改善の影響もあって,昭和時代初期には農村部でも台所改善を中心に住生活の改善が進んだ.『家の光』は『婦人之友』『主婦之友』などの女性雑誌と比べると,女性自身の寄稿が少なく内容も客観的事実を述べるものにとどまっているが,貧困のなかで協力しあって生活を衛生化・能率化したエネルギーと,そして限定された階層の限定された活動であったとしても,戦後に展開される農家の住生活改善のモデルになったであろう点は評価できる.
著者
齋藤 一雄 星名 信昭
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.49-54, 1992-03-30
被引用文献数
1

MA3歳代のダウン症児に対して、手拍子によるリズムパターンへの同期の学習効果をみた。その結果、等間隔の〓への同期は2回の学習で50%以上に達した。そして、4/4〓〓〓〓というリズムパターンへの同期は、4回以上繰り返す中で50%以上できるようになったが、80%以上にはならなかった。リズムパターンへの同期は、等間隔の〓への同期→休符の予期→パターンの把握→細かい動きによる調整をして同期するという過程をたどることも示唆された。さらに、示範やテンポ、同期反応のさせ方は、リズムパターンへの同期の学習に影響を与え、テンポの設定や学習のさせ方、課題提示の仕方、指導方法等を子どもに合わせて工夫する必要がある。また、学校全体が休みになったり、長い間学習が中断したりすると、同期の成績が落ちる傾向がみられた。
著者
石崎 涼子
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-38, 2004-03-01
被引用文献数
3

本稿では,独自の施策を展開する先駆的自治体の代表例として注目されてきた神奈川県と,「改革派」とされる知事により積極的な県政改革が進められるなかで独自の構想に基づく施策を導入した三重県を事例として取りあげ,都道府県が独自に展開する森林整備施策と森林管理の現状を明らかにすることで,施策形成主体としての都道府県の特質を検討した。その結果,両県による施策は積極的な独自性を有しているが独自の枠組を築いたがゆえに抱えた問題も生じている点,施策形成にあたっては大規模な施策の費用を負担しうる対象が強く意識されており,その対象との関係が両県の施策形成を特徴づけている点,三重県においては地域や事業体の主体的な取組を重視した地域による森林管理の仕組みが模索されている点などが明らかになった。都道府県による施策は,一方で県民間の合意や国の支援を求めながら制度設計や施策決定を行い,他方では地域や事業体等との関係のうえに森林整備や管理のあり方を模索している。都道府県による施策形成は,様々な課題を抱えつつも,両者を繋ぐ仕組みを主体的に模索するものとして注目できる。