著者
デルゲルマー モンフバータル 岩橋 政宏 石井 俊平 神林 紀嘉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.470-482, 2004-04-01

リフティング構成されたウェーブレット変換に基づく画像符号化は,フィルタ処理後にラウンディング処理を行うことで効率的な可逆符号化が可能となるため,可逆・非可逆統合符号化の一手法として近年注目されている.しかし,ラウンディング処理が非可逆符号化時にも行われる場合,量子化誤差に加えてラウンディング誤差が再生画像に重畳されるため,これにより更なるSNRの低下を招いてしまう.そこで本論文では,一般的なNステージに拡張可能な,新しい非分離型2次元ウェーブレットの変換モジュールを提案する.これにより,従来の分離型ウェーブレットと互換性があり,なおかつ,ラウンディング誤差の低減された可逆・非可逆統合符号化が可能となる.更に,ラウンディング誤差のフィルタバンク内の伝搬メカニズムを解析し,再生画像に重畳するラウンディング誤差の分数値を理論的に導出することで,Nステージにおけるラウンディング誤差の低減効果を理論的に裏づける.結果,ラウンディング誤差の分散値が分離型に比べて50%程度低減できること,及び,高ビットレート非可逆符号化時において平均1.30[dB]程度のSNR改善が確認された.
著者
楠 繁雄 山本 勝也 初谷 匡長
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.270-282, 2003-03-01
被引用文献数
2

電力増幅器が発生する隣接チャネル漏れ電力(ACP)において,上下非対称な広がりが見られる場合がある.非対称なスペクトルの広がりは,包絡線に対する電源インピーダンスの値に影響を受けることが知られているが,Predistortionを用いたPredistortion PAにおいても観測される場合がある.本論文では.Predistortionとして,特にdual-gate FETを配置したPredistortionにおける非対称ACPの発生について,ボルテラ級数を用いて解析し,その発生の機構を解明するとともに,これを回避できる回路構成について報告する.
著者
横森 励士 近藤 和弘 大畑 文明 井上 克郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.150-158, 2003-03-01

影響波及解析とは,プログラム変更の影響を受ける部分を識別する手法で,回帰テストでのテストケース選択に利用されてきた.我々はプログラム理解,保守といったより広い範囲でも影響波及解析が利用できると考えているが,既存の手法は被影響部分の探索ルールがテストケース選択用に特化されているため,利用目的に応じて探索ルールを定義できる仕組みが必要となっている.また近年のソフトウェア開発環境では,オブジェクト指向言語が多く利用されており,それらに対応した解析手法及びその実装が求められている.本論文では,ユーザの利用目的に応じて様々な影響波及ルールが定義できる影響波及解析手法を提案する,提案手法では,オブジェクト指向言語JAVAを対象に,クラスメンバ間の関係を表す二つのグラフに基づき解析を行う.また,提案手法をJAVA影響波及解析システムとして実装し,その有効性を検証する.
著者
楠 繁雄 山本 勝也 初谷 匡長 田上 研之 冨永 尚人 大沢 完至 田辺 顕 桜井 賢 飯田 哲也 飯田 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.102, no.558, pp.65-72, 2003-01-09

本報告は、新しい方式によるPre-distortionを用いた歪補償技術と、その技術を一一体化したN-CDMA端末に適応し得るPAモジュールの開発に関するものである。入力包絡線でLook-up-table(LUT)をアクセスする方法を用いることにより、Base-Bandブロックから独立して歪補償を行い得る。適応補償に際しては、AM/PMの適応補償を省略し、入出力包絡線差によりLUTを修正する方式を開発した。これにより、回路規模を大幅に簡単化するとともに、主たる回路をCMOS ICに集積し、モジュールとして一体化することにより、携帯端末に適した歪補償PAモジュールを実現した。試作したPAモジュールは900MHz帯N-CDMA端末用であり、Pout = 27.5dBmで効率=48%と言う極めて高い効率を実現し得た。
著者
楠 繁雄 山本 勝也 初谷 匡長 田上 研之 冨永 尚人 大沢 完至 田辺 顕 桜井 賢 飯田 哲也 飯田 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.556, pp.65-72, 2003-01-09

本報告は、新しい方式によるPre-distortionを用いた歪補償技術と、その技術を一体化したN-CDMA端末に適応し得るPAモジュールの開発に関するものである。入力包絡線でLook-up-table(LUT)をアクセスする方法を用いることにより、Base-Bandブロックから独立して歪補償を行い得る。適応補償に際しては、AM/PMの適応補償を省略し、入出力包絡線差によりLUTを修正する方式を開発した。これにより、回路規模を大幅に簡単化するとともに、主たる回路をCMOS ICに集積し、モジュールとして一体化することにより、携帯端末に適した歪補償PAモジュールを実現した。試作したPAモジュールは900MHz帯N-CDMA端末用であり、Pout=27.5dBmで効率=48%と言う極めて高い効率を実現し得た。
著者
原田 津 範 公可
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.915-918, 2008-09-01

本論文では,フルスイング出力するXNOR回路を用いた10トランジスタ全加算器を提案する. 0.18μm CMOSプロセスを用いて,HSPICEによるプレレイアウト及びポストレイアウトのシミュレーションを行った上性能を評価した.従来全加算器と比較した結果,提案全加算器は遅延及び消費電力がともに大きく改善された.
著者
永田 誠
出版者
近畿大学
雑誌
商経学叢 (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.597-614, 2006-03-31

カントの道徳哲学とドイツ観念論哲学を土台にして,ニックリッシュはかれの組織論を展開している。その組織論はかれの経営経済学の哲学的根底をなしている。かれの組織論の最も大きな特徴は,道徳原理が組織の最も根本的な法則だと捉える点にある。この考えが,今日の経営の諸問題,例えば,企業倫理,コーポレートガバナンス,成果主義賃金制度などの解決にどのような意味を持つのかを論じ,さらに,彼の組織論あるいは経営経済学の持つ学史的意義を明らかにした。
著者
上西 幸司
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.167-183, 2009-08-31

An earthquake of moment magnitude 6.3 has struck the L'Aquila region in Italy on April 6, 2009, at 3:32am (local time), and claimed nearly 300 lives. Another 1,500 were injured and 66,000 became homeless. The Research Center for Urban Safety and Security of Kobe University has sent the author to investigate the earthquake-induced damage in the stricken area from April 16 to 19, 2009. This article briefly reports the damage of buildings and the ground by showing the photographs taken in the L'Aquila region together with the pre-earthquake images provided by the Google Street View. The response of the affected people, living in a developed country, to the disaster is also mentioned.
著者
川村 邦光
出版者
大阪大学
雑誌
待兼山論叢. 日本学篇 (ISSN:03874818)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-11, 2006-12-25
著者
小松 建男
巻号頁・発行日
2008

筑波大学博士 (文学) 学位論文・平成20年2月29日授与 (乙第2341号)
著者
森 正樹 石田 正行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.704-709, 2003-11-25

出版社の情報システムには,企画編集に係わるデータベース類,制作に際してのDTPシステム,印税・原稿料管理システム,財務会計システム,販売流通管理システム,Web管理システムなどがある.限られた大手の出版社以外は,中小規模の出版社が多い出版界は,多品種少量生産の上,委託販売制度のもとで,出荷,返品,再出荷を繰り返すのが特徴で,その複雑さゆえに経験ある社員の勘に頼る部分も多く,情報システム化は遅れているといってよい.しかしながら昨今にいたって,執筆者がワープロソフトで原稿を作成し,入稿がメール送信での送稿を希望し,編集制作がDTPへと急速にインターネットを利用した情報環境が進展するにつれ,一定の情報システム化も実施せざるを得ない状況にあるといえよう.また,出版関連産業をみると,出版販売会社(取次)がもつ商品流通管理システム,出版社と書店を結び在庫情報を提供する出版VANシステム,Web利用による直販システム,著作権を管理する複写権管理システムなどの大型システムがある.ここでは,比較的多くの中堅出版社に共通な編集現場でのサーバーの利用とDTP制作の現状を概観し,主として販売流通システムのうち,出版VANシステムとオンライン販売システムについて述べる.
著者
宮原 伸二 藤田 悦郎 安部 伸治 林 泰仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.631, pp.81-86, 2003-01-27

ネットワーク上の大量の情報コンテンツに対して,マップ散策型のインタフェースを用いて関連発見的々情報提供を可能とするコンテンツガイドシステム「AssociaGuidelを提案する.AssociaGuidoによって電子地図をメタファとする操作感覚で,直感的にコンテンツの探索が可能となる.本研究では,ネットワーク上の大量のストリーミング映像コンテンツのガイドを実現するブロードバンドコンテンツガイドシステムとしてAssociaGuideを提案する. AssociaGuideの画面七ではブロードバンドコンテンツは,各ジャンルごとに宇宙空間の星雲のように表現され,所望のジャンルにズームインするとサムネイルとして表示される.サムネイルをクリックすることによりプレビュー映像が提示され,映像の世界ですばやく番組の概要を掴むことが可能である.さらに本視聴を指定するとプレイヤーが立ち上がりストリーミングコンテンツを閲覧することができる.このようにAssociaGuideでは,マップ散策空間上で映像サーフィンを楽しむ様々な機能が提供されている.
著者
岩永 雅也
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.134-145, 1983-10-20

The rapidly increasing number of unemployed youths has now become a most common phenomenon in many western capitalist countries. In Japan, however, there is no visible increase in the rate of youth unemployment, because in Japanese labor markets the number of so-called "first job seekers" is very small. On the other hand Japanese unemployed youths remain without jobs for a longer period than their western counterparts (especially U.S.A.). Thus we can presume that the Japanese youth labor markets are structurely organized not to discharge the employed and also not to charge the unemployed from the outside. This sort of structure is known as the institution of "collective employment" of school leavers. Because this institution minimizes the "gap" between schools and work, business companies can meet their demands for labor, and school leavers can also avoid the risk to be unemployed. But for companies, it would be better to recruit workers whoes productivity has already been tested through previous job experiences. How do companies measure the productivity of school leavers without job experience? Japanese companies (especially big ones) resolve this dilemma through organizing the youth labor markets in the dual (outer/inner) dimensions. First, the "outer" organization is the segmentation of the labor market rigidly combined with educational attainments of school leavers. Secondly, the "inner" organization is the organization of the career education system in schools (especially high-schools) based on a kind of hierarchy of schools. By this way business companies can shift the responsibility for measuring the productivity of their new conscripts to schools.
著者
森田 愛子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.417-427, 2006 (Released:2008-11-13)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The purpose of the present study was to examine pseudo-homophone effect in a sentence verification task in which sentences included a two-kanji compound nonword in the case that the target was identified by an underline. In a sentence verification task, participants asked to judge whether the presented sentence was acceptable or not. Previous studies showed that participants responded more quickly when sentences included a pseudo-homophone than when they included a non-homophonic nonword. However, participants responded more slowly to pseudo-homophones than to non-homophonic nonwords when a context of the sentence (a sentence without a target) was presented first, and a target followed which required judgment. The current experiment showed that participants responded more quickly when sentences included a pseudo-homophone, even if an underline was added at the target. Thus, the pseudo-homophone facilitation effect was observed even when the participant did not need to search where a target was. The result suggested that the main factor of the pseudo-homophone facilitation effect would be simultaneous processing of the target stimuli and sentence meaning.
著者
藤部 文昭 瀬古 弘 小司 禎教
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.777-786, 2003-10-31
被引用文献数
8

23年間のアメダス1時間値資料を使って,夏の午後に関東平野で発生する降水の分布と地上風系との関係を調べた.日最高気温が28℃以上で,午前中に降水がほとんどなく午後に降水のあった239日を対象にし,12〜24時の降水量分布をfuzzy c-means methodを利用して6つの型に分類した.このうち4つは主に北関東で降水がある型である.これらにおける14時の地上風系は,平野全体を南寄りの風がおおう"広域海風"を成すが,降水のない日に比べて平野中部の収束がやや大きい傾向がある.また,夕方以降になると北関東では北東風が吹く.この北東風は,降水に伴う冷却域からの北寄りの外出流と東寄りの海風とが重なったものと見なすことができ,かつ翌日にかけての総観的変化の1段階でもある.残る2つの降水型は,降水域が南関東に及ぶものである.そのうちの1つは東京23区に降水域の中心があり,14時の地上風系は鹿島灘から吹く東風と相模湾からの南寄りの風が東京付近で収束する状態になっている.
著者
丸田 頼一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.33-55, 1974-05-10
被引用文献数
2 5

1961年から1967年にかけて,夏季を中心に,都内の公園緑地を対象として,公園緑地内の気温,湿度および風に関する観測を行い,特に,公園緑地内の植栽の構成法の差異が,そこの各気象要素のそれぞれの分布に及ぼす影響を把え,次の結果を得た。1) 夏季,一般に,高木・亜高木層の材床が低木層または草本層で覆われている比較的植栽密度の高い樹林内では,最も低い低温域や最も高い多湿域が形成される。2) 夏季,午前10時,午後2時および午後6時には,天侯と公園緑地の周縁植栽の構成法とが関連性を保って市街地内空気は周辺公園緑地内へ移動する。3) 夏季,公園緑地内の芝生上に,樹林内と比較してより低湿性を呈する区域が存在している。4) 冬季の日中,常緑樹林で囲まれた南西斜面および常緑樹林で囲まれ,なおかつ陽光を受ける地形の平坦な芝生地に高温域が認められる。5) 冬季,約3m/sec以上の風が吹く時には,天気および観測時刻に関係なく,比較的植栽密度の低い所を通じて,市街地上の空気の公園緑地内への移動が行われる。6) 樹林内の風速は,芝生上のそれと比較して著しく弱いが,樹林内の園路上のそれは比較的強い。7) 公園緑地内の高木亜高木・層の林床が低木層または草本層で覆われている区域,あるいはこのような植栽構成により囲まれている区域の付近に,付の樹林構成地区と比較して,より低い不快指数の値がみられる。8) 風による影響を含めて,公園緑地内の樹林地の体感温度と芝生上の独立木下のそれとを比較すると一日中,前者よりも後者において快適性が認められる。
著者
吉門 洋
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.641-648, 1998-08-25
被引用文献数
2

日本海沿岸を東進する総観規模低気圧に伴って初冬季の関東平野にしばしば出現する局地前線の気流構造を、1996年12月5日に観測された例について解析した。前夜からの北部・西部の山地方面から吹く下層風が平野部に冷気を供給していた。低気圧暖域の総観規模の南風が平野南部で夜半からしだいに強まり、北部からの冷気塊との間に局地前線を形成した。南風は前線面において下層の北風が供給する冷気を取り込み、相対的に冷たい南風の「遷移層」を形成して、冷気を運び去る。前線の北側後背部で観測した各層の厚さはかなり定常的で、下層の冷気供給量に対する遷移層内の北向き冷気輸送量の過剰分は、前線の北進に伴う前線先端部の冷気量の減少にほぼ対応する。しかし、下層の冷気流は午後まで持続し、そのため前線は平野中央部に維持される。なお、前線の先端部の構造の一例として、前線通過前の東京都心周辺では、厚さ50mあるいはそれ以下の冷たい弱風層が2時間以上持続した点が特徴的であった。