著者
別所 正博 坂村 健
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.582-588, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

IoT時代に活躍できる人材には,コンピュータ・サイエンスを身につけることと,自分と違う能力をもつ仲間と連携できることが重要だと考えられる。2017年4月に開設した東洋大学情報連携学部(INIAD)は,このような考えの下で独創的な教育を行っている。INIADでは,連携を身につけるための空間と,先進的なIoT環境を備えたINIAD Hub-1という校舎を新たに建て,コンピュータ・サイエンスの教育や,様々なプロジェクトのフィールドとして,その環境を活用している。本稿では,IoT時代の教育の観点から,INIADの取り組みを紹介する。
著者
鍋師 裕美 菊地 博之 堤 智昭 蜂須 賀暁子 松田 りえ子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.415-418, 2013-12-25 (Released:2013-12-28)
参考文献数
2
被引用文献数
4 5

平成23年3月の福島第一原子力発電所事故後,牛肉から高濃度の放射性セシウムが検出されたことから,暫定規制値を上回る牛肉が市場に流通しないよう全頭検査が実施された.しかし,検査の過程で同一個体の部位間で放射性セシウム濃度が異なる例が明らかとなり,検査結果の信頼性に疑問が生じる事態となった.そこでわれわれは放射性セシウムを含む同一個体由来の5部位の肉を用いて測定部位間の放射性セシウム濃度の違いについて原因の解明を試みた.その結果,検討した3個体すべてにおいて,脂肪含量が高い部位ほど放射性セシウム濃度が低下することが判明し,部位間の放射性セシウムの濃度差が脂肪含量に起因することが明らかとなった.さらに,筋肉組織は平均して脂肪組織の7倍以上の放射性セシウムを含んでいたことから,ウシの個体検査で放射性セシウム濃度を測定する場合には,脂肪の少ない筋肉部を用いた検査が適当であると考えられた.
著者
三枝 純一 三枝 直人 三枝 純郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.813-818, 2010 (Released:2010-10-15)
参考文献数
25

Hemorrhoidの記述は古代よりあり,人類の長い痔核との苦闘の歴史が偲ばれる.加持祈祷や貼付薬,無麻酔下痔核焼灼などの時代を経て,欧州で1800年代半ばに様々な化学物質による痔核への注射が試行されたが,腐蝕剤は施行後出血から死に至らしめることすらあった.ほぼ同時期に手術的治療法が興隆し今もって硬化注射と手術治療は痔核治療の両輪である.歴史的には英国のSt. Mark's病院創立と結紮切除法の開発が転換点であろう.本邦では江戸時代の鎖国政策により近代医学の導入が遅れたが,幕末になると西洋医学が徐々に輸入され外科の始祖の華岡青洲,本間棗軒などが痔核の治療を行った.明治になると腐蝕注射が席巻し,その後本国の英国ではとうに廃れたWhitehead法が本邦で全盛期を迎えた.漸く昭和50年頃以降より結紮切除法が標準手術とされ,現在では(ゴム輪)結紮に加えPPH法や明礬が主剤の硬化剤なども用いられている.
著者
伊藤 陽司
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.32-41_1, 1996-12-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

空中写真から, 645箇所のランドスライド地形を判読し, それらの分布, 形態, 規模や滑動方向の特徴, 地形, 地質との関係, 最近発生した斜面災害との関係を解析した。 “グリーンタフ” や凝灰岩薄層をはさむ頁岩を主とする新第三系分布地域には小規模なものが集中し, それらの多くは岩屑スランプの形態を示す流れ盤型地すべりである。地すべり多発地質である新第三系を覆ってキャップロック構造を形成する第四紀陸上溶岩類の周縁部には大規模なものが数多く存在し, それらは岩盤スランプ, 岩盤崩壊や岩屑なだれの形態を示す。第四紀成層火山体の山頂, 山腹にはその山容を大きく変える地すべり, 崩壊, 岩屑なだれやさまざまな規模の溶岩ドームの崩壊がある。ランドスライド地形の斜面では集中豪雨や地震に起因して古い滑動地塊の再滑動や滑落崖での新たな崩壊が発生しており, 防災上, 少なくとも住宅・道路に近接するランドスライド地形の斜面には注意が必要である。
著者
村井 祐一
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.369-374, 2017-12-15 (Released:2018-01-20)
参考文献数
17

Drag reduction using bubbles are now in operation for marine vessels, and recorded significant fuel saving. Beside it, fluid mechanics inside high-speed bubbly turbulent boundary layer is highly complex. Efforts by scientists and engineers in Japan straggled in the last 30 years and recently reached the goal. They found further potential of technical improvement with recent experimental discovery on bubbles’ organizing behaviors.
著者
白石 昌春 室伏 力
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.399-405, 1980-06-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
1

1. 悪臭対策以前の状況鈴川は, 北に富士山, 南は駿河湾に面した静かな農村であった。昭和12年, 内地で最初のクラフト工場が建設されたが, 工場の規模は拡大され, 他の産業も立地し, 工業地帯と変った。公害問題は, 当初粉じん, 次いで田子の浦港のヘドロ, そしてクラフト工場の悪臭が問題となった。2. 新施策鈴川工場は, 1971年に新たなポリシイを決めた。(1) 鈴川工場は公害を出していることを認識する。(2) 隣接住民との対立を最小にすべく努力する。(3) 最も効果的な部分より設備改善を進める。(4) モニターを置いて潜在的な公害原因を探知する(5) 公害の発生源, 量と, 住民に対するインパクトを調査する。3. 工程の改善(1) 悪臭ガスの集合と, キルンとRBでの燃焼。(2) 排水の蒸気加熱真空型ストリッピング。(3) RB関係の改善。モードースクラバーの設置, 無臭化ボイラーの設置。大昭和一荏原 (D-E プロセス) の設置。4. 隣接住民の工程改善に対する反応ガス集合は, 悪臭減少の評価が出たが, 3~6カ月後には, 悪臭が元にもどった, と言われた。鼻が鋭くなったためである。ストリッピングも評価が高かったが, 同じく3~6カ月後には元にもどった, と言われた。回収ボイラーについては反応が出なかったが, 工場の態度は好感が持たれた。重要なのは緊急時に濃い悪臭物質が流れた場合, 無臭に馴れた住民にインパクトが大きい点である。鈴川工場は, 1971年以来, 40名のモニターを配置し, 粉じん, 騒音, 悪臭, 振動のデータを集めている。工場はこれをもとにして, 設備改善を進めたが, その結果が良くモニターの記録に表われた。悪臭に対する感覚は, 悪臭物質が1/10になって, 1/2になったと感ずると言われる。鈴川工場の悪臭物質は, 1972年と比較して, 8.7%以下であるが, 未だ隣接居住者は, 悪臭が消えたとは思っていない。
著者
若林 功
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.5-32, 2009-03-30 (Released:2017-06-28)

発達障害者の就労支援に関する応用行動分析学的な手法を用いた研究に関する文献レビューはわが国ではあまり見られない。本稿では、米国における発達障害者の職業に関するスキル習得の報告を中心に、まず70年代から90年代中盤までの研究の流れを概観した。続いて、1998年以降の応用行動分析学に基づいた発達障害者への就労支援に関する研究について概観し、「作業技能(正確性・効率)」「作業技能(作業の自発的開始・課題従事・終了)」「対人生活技能」「問題行動低減」「就労支援者への指導」に分け内容を述べた。そして、米国の研究報告では、十分にエビデンスレベルが確保されているとは言えないまでも、有効な支援方法を開発しようとする流れが確かにあることを確認した。一方で、軽度発達障害者への取り組みや職業相談・職業評価等に関してはあまり応用行動分析学に基づいた研究が行なわれていないことも示された。また、なぜ応用行動分析学が発達障害者の障害者就労支援に有効なのか考察した。
著者
岩井 洋 角嶋 邦之 川那子 高暢
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.600-609, 2012-11-10 (Released:2012-11-20)
参考文献数
48

MOSFET is a key component for integrated circuits which controls and helps the human activities in modern society. The demands for high performance and low power MOSFETs become stronger and stronger with the progress of smart society. Gate stack is the most critical element of the MOSFETs which controls its operation. In this report, after the explanation of the overall basics of the gate stack technology, recent status of the gate stack R & D are reviewed, focusing on that for high-k/metal gate stack.
著者
大藪 貴子 森本 泰夫 田中 勇武
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.275-279, 2001-12-20 (Released:2009-01-08)
参考文献数
32
被引用文献数
1
著者
守隨 治雄
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.13-23_1, 1999-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
45
被引用文献数
2 2

地すべり運動が生じると地すべり土塊はより安定な位置へ移行するが, 第三紀層地すべりでは, 繰り返し再活動が生じている。その原因としては, 移動するにつれてすべり面がよりすべり易い性状や鉱物組成に変化している可能性がある。そこで, 本研究は, それらを解明するために, 運動履歴の異なる5つの第三紀層地すべりを選び, 主として, 地質学的観点から, 第三紀層地すべり地におけるすべり面の発達過程とすべり面粘土の生成を調べた。その結果, 粘土化するほど土の摩擦抵抗は低下すること, 粘土の中でもスメクタイトの摩擦抵抗はとくに小さいことを考慮すると, すべり面付近が凝灰岩もしくは凝灰質な地質よりなる第三紀層地すべりが繰り返し再活動する原因は, 移動に伴うすべり面近傍の粘土分の増加と地下水の影響によるスメクタイトの生成にあることがわかった。
著者
Arisa Nishihara Shin Haruta Shawn E. McGlynn Vera Thiel Katsumi Matsuura
出版者
日本微生物生態学会・日本土壌微生物学会
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
pp.ME17134, (Released:2018-01-24)
被引用文献数
21

The activity of nitrogen fixation measured by acetylene reduction was examined in chemosynthetic microbial mats at 72–75°C in slightly-alkaline sulfidic hot springs in Nakabusa, Japan. Nitrogenase activity markedly varied from sampling to sampling. Nitrogenase activity did not correlate with methane production, but was detected in samples showing methane production levels less than the maximum amount, indicating a possible redox dependency of nitrogenase activity. Nitrogenase activity was not affected by 2-bromo-ethane sulfonate, an inhibitor of methanogenesis. However, it was inhibited by the addition of molybdate, an inhibitor of sulfate reduction and sulfur disproportionation, suggesting the involvement of sulfate-reducing or sulfur-disproportionating organisms. Nitrogenase activity was affected by different O2 concentrations in the gas phase, again supporting the hypothesis of a redox potential dependency, and was decreased by the dispersion of mats with a homogenizer. The loss of activity that occurred from dispersion was partially recovered by the addition of H2, sulfate, and carbon dioxide. These results suggested that the observed activity of nitrogen fixation was related to chemoautotrophic sulfate reducers, and fixation may be active in a limited range of ambient redox potential. Since thermophilic chemosynthetic communities may resemble ancient microbial communities before the appearance of photosynthesis, the present results may be useful when considering the ancient nitrogen cycle on earth.
著者
島田 忠人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.6, pp.1207-1212, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

Helicobacter pylori(H. pylori)除菌後に治療抵抗性の鉄欠乏性貧血(IDA)が改善したというケースレポートが相次いで報告されており,疫学的研究でもH. pylori感染とIDAとの相関が示唆されている.また,これまでに行われた臨床介入試験でも,H. pylori除菌がIDA改善に有効に作用することを示したものが多い.H. pylori感染はホストの鉄バランスに微妙な負の影響を与えており,H. pylori感染がIDA発症のリスクとなっている可能性が考えられる.
著者
小金澤 正昭 田村 宜格 奥田 圭 福井 えみ子
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.99-104, 2013-12-25 (Released:2017-04-03)

2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故は,広範な地域に放射性核種を飛散させ,原発から約160 km離れた栃木県奥日光および足尾地域においても低線量ではあるが,放射性セシウムの飛散が確認された。そこで,今後,森林生態系における放射性セシウムの動態と野生動物に及ぼす影響を明らかにしていく上での基礎資料を得るため,両地域において2012年の2月と3月に個体数調整で捕獲された計80個体のニホンジカの筋肉,臓器類および消化管内容物等の計9試料と,各地域における冬季のシカの餌植物8種の放射性セシウム濃度を調べた。9試料のセシウム濃度は,両地域ともに直腸内容物が最も高く,次いで第一胃内容物,筋肉,腎臓,肝臓,心臓,肺,胎児,羊水の順となっていた。このことから,放射性セシウムは,シカの体内全体に蓄積していることが明らかとなった。また,奥日光と足尾における放射性セシウムのシカへの蓄積傾向には,明瞭な差異が認められた。これは,両地域における放射性セシウムの沈着量と冬季の餌資源の違いが反映した結果と考えられた。さらに,直腸内容物の放射性セシウム濃度は,第一胃内容物および餌植物8種よりも高濃度であった。このことから,シカは採食,消化,吸収を通じて,放射性セシウムの濃縮を招いていることが示唆された。
著者
吉川 穣 西尾 悠 伊澤 精一郎 福西 祐
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.17-00478, (Released:2017-12-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Numerical simulations are carried out aimed at finding a key flow structure which leads to a laminar-turbulent transition of a boundary layer with streaky structures. In the preliminary computation, an array of cuboids is used to form streaky structures inside a boundary layer. Then, a disturbance is introduced into the boundary layer by ejecting a short-duration jet from a hole in the wall into a low-speed region in the streaky structures. Although the boundary layer returns to a laminar state when the jet velocity is set to 18% of the uniform flow velocity, it eventually turns into a turbulent state downstream in the 20% case. The differences are investigated in detail in terms of the vortical structures. As a result, only in the stronger jet case, a flat spanwise vortex is generated beside one leg of a hairpin vortex and it merges with the streamwise vortex nearby forming an inclined streamwise vortex. On the other hand, the flat spanwise vortex disappears without being connected to the streamwise vortex in the weaker jet case. The inclined streamwise vortex is stretched by the mean velocity gradient of the boundary layer growing into a strong vortex, and new vortex structures are generated around the inclined one, which leads to turbulence. Therefore, the results suggest that formation of the inclined vortex is the key to transition of the boundary layer.
著者
レス バック 有元 健
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.7-18, 2016-03-25 (Released:2017-03-24)
参考文献数
23
著者
張 峰 尾城 隆 隆島 史夫
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.151-155, 1992-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14

天然雌性発生3倍体性ギンブナの再生産機構を解明するために, その卵形成過程の電顕および光顕観察を行うとともに, ゲル電気泳動法により母子間のアイソザイムパターンの変異を分析した.その結果,(1) ギンブナ卵形成過程の第1減数分裂の前期に, 相同染色体問の対合を示すシナプトネマ構造が観察され,(2) 母子間のPGMアイソザイムパターンに少数例ながら明らかな相違が認められた.従って, ギンブナの相同染色体間において, 少なくとも部分的には対合と乗換えが起こるものと推察された.