著者
藤原 健志 村上 達也 西村 多久磨 濱口 佳和 櫻井 茂男
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.187-196, 2014 (Released:2015-03-27)
参考文献数
38
被引用文献数
4 4

本研究の目的は, 小学生を対象とした対人的感謝尺度を開発し, その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生から6年生までの1,068名を対象とし, 対人的感謝, ポジティブ感情, ネガティブ感情, 共感性, 自己価値, 友人関係認知, 攻撃性を含む質問紙調査を実施した。主成分分析と確認的因子分析の結果, 1因子8項目から成る対人的感謝尺度が構成された。対人的感謝尺度は高いα係数を示し, 十分な内的一貫性が認められた。また, 対人的感謝尺度は当初の想定通り, ポジティブ感情や共感性, 友人関係の良好さと正の関連を, 攻撃性と負の関連を有していた。以上より, 対人的感謝尺度の併存的妥当性が確認された。さらに, 尺度得点については, 男女差が認められ, 女子の得点が男子の得点よりも有意に高かった。最後に, 本尺度の利用可能性について考察されるとともに, 今後の感謝研究に関して議論された。
著者
髙橋 由美子
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.15-23, 2014 (Released:2015-02-26)
参考文献数
3

新潟県中越地震により被害を受けた山内写真館の写真資料群が十日町市に寄託された.これらの写真資料を後世に伝え,活用できるようにするために,十日町市と市民ボランティアが協働して整理し,記録化する活動を始めた.具体的には,写真を公開しながら,個々の写真に関する市民の記憶や体験を収集し,撮影された内容を解読して記録化し,写真データベースを作成する作業である.これらの情報に客観的な検証を加えていくならば,歴史的・文化的価値が高まり,学術的な利用にも応えられるようになるだろう.私たちはこの取り組みを,十日町市における「地域映像アーカイブ構築の始点」と位置付けるとともに,市民の心の拠り所となるアーカイブとして育んでいくことを目指している.
著者
柳橋 博之
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.1-46,en3, 2009-03-30 (Released:2014-03-31)

カルダーによれば、九世紀の法学テキストが一般にそうであったように、現在我々が目にするような『アスル』のテキストは、最初に弟子が師の言葉を書き取り、それにたいしてその弟子自身またはそれ以後の編纂者が次々と加筆、修正、並べ替えなどの編集を積み重ねる過程を経て確定され、シャイバーニーの著作とされた。ハッラークも、法源学の著作を資料として用いて、九世紀末までの法学者は、「導出」によって学祖の説から二次的に導き出した説を、学祖の説と識別不能な形でテキスト中に取り込んだとしている。しかし両者とも、用いている資料に由来する制約から、そのような著述の方法がいつどのようにして始まったのかについては述べていない。本稿は、その過程を、カイロ写本、シャイバーニー(八〇五年没)『アスル』「賃約の書」を分析することによって推察する試みである。この写本の一部は、これまでに刊本になっている最終版『アスル』が成立する前の編纂段階を反映している点で、その編纂過程を知る上で有益な情報をもたらしてくれる。その分析の結果、つぎのような結論を得た。1.原『アスル』は、シャイバーニーの口述である。2.そのつぎの段階―編纂の前期―では、原『アスル』を補足・敷衍する形で設例が付け加えられるが、テキストとしては原『アスル』とは切り離された形で作成された3.最終段階―編纂の後期―では、テキストの混交が行われ、シャイバーニー以降に作成されたテキストが原『アスル』に埋め込まれている。このように、『アスル』の前期の編纂段階においては新しいテキストは古いテキストとは別個に作成され、また異なる文体が用いられたが、それ以降の編纂段階においてテキストの統一ないし混交が行われ、校訂本の多くの書に見られるようなテキストが確立したのである。このことは、前期の編纂者が学祖の説とそれ以降の学説を区別しようとしていたのにたいして、後期の編纂者には、学祖の説とそこから「導出」によって導かれる学説を全体として一つの体系―つまりはハナフィー派学説―とみなす傾向が見られると解することができよう。
著者
本間 幸子 伊藤 昭治 古藤 高良 池上 晴夫
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.98-107, 1992-02-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
23
被引用文献数
2 6

加速度脈波と血圧の関係および加速度脈波の各波の生理的な意義を明らかにすることを目的として, 男子学生5名を対象に, 上腕圧迫によって末稍血流が変化する際の指尖容積脈波, その二次微分波および指動脈圧波をbeat-by-beatに測定した.得られた結果は以下の通りであった.1.収縮期血圧の上昇によって加速度脈波のa波は上昇し, bおよびe波は下降するのに対して, 拡張期血圧の増大によってa波は下降し, bおよびe波は上昇する傾向にあった.また加速度脈波は細動脈弾性率によっても大きな影響を受け, 弾性率がノ1丶さいほどa波は上昇し, bおよびe波は下降する傾向にあった.2.加速度脈波のcおよびd波は収縮期血圧の上昇によって下降し, 拡張期血圧および細動脈弾性率の増大によって上昇する傾向があるが, それらの3要因では十分に説明できず, ほかに影響をおよぼす要因の存在が示唆された.3.収縮期血圧が上昇する場合でも, それが血流量の増加に起因する場合には加速度脈波の波形パターンはG→Aに変化するのに対し, それが末梢抵抗の増加に起因する場合にはA→Gに変化するものと考えられた.これらの結果から加速度脈波と血圧の関係は単純でなく, 血圧構成因子である血流量や末梢抵抗によって大きく影響される.したがって加速度脈波と血圧を併せて測定することが末稍循環状態をより正しく評価する上で有効であると考えられる.
著者
Rie KOIDE Shoichi SAKAGUCHI Takayuki MIYAZAWA
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.14-0623, (Released:2015-01-26)
被引用文献数
3 15

Feline morbillivirus (FmoPV) is an emerging virus that was recently discovered in domestic cats with chronic nephritis. Despite the potential role of FmoPV in chronic nephritis, little is known about its biological characteristics. In this study, we established a quantitative assay of FmoPV by using an indirect immunofluorescence (IF) technique. Viral titers of FmoPV were determined in one week. Treatment with polybrene® or trypsin which was previously used in virus isolation did not augment the virus titers. FmoPV was notably stable at 4°C, retaining high titers for at least 12 days. Heat-treatment at 60°C and 70°C effectively inactivated FmoPV in 10 and 2 min, respectively. The biological characteristics of FmoPV reported here will be beneficial for establishing an efficient virus isolation method and will provide important information to take a measure to reduce the risk of FmoPV infection.
著者
太田 幸夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.99, 2008 (Released:2008-06-16)

薬の正しい服用指示はこれまで、病院ないし薬局で入手する薬の容器または紙袋に文字で表示されてきた。その文字表記の意味内容を正しく理解し、正しく服用することは、全ての人にとって極めて重要でありながら、実際には困難が伴っていた。用語の難しさ、小さな文字による視認性と可読性の低さ、言語の違いなどが主な原因であった。 本研究では、薬の服用者の年齢差や、多国籍化や輸出入などを考慮し、教育程度や国語の違い、視覚障害や表示スペースの制約などを克服し、全ての人にわかりやすい薬の服用指示を可能とする視覚言語デザインを研究・開発する。さらにそのデザイン成果の国際標準化をめざす。
著者
丹羽 政美 平松 達 仲田 文昭 濱屋 千佳 小野木 啓人 齋藤 公志郎
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.661-666, 2005 (Released:2006-01-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

本研究ではヒトのストレス緩和に果たす咀嚼刺激の機能的有意性をfMRIを用いて検討した。先ず不快な音刺激(ストレス音)を与えた時の脳賦活部位を同定し,次いでこの賦活が咀嚼運動(チューイング)によってどのように影響されるか調べた。またストレス関連物質であるカテコールアミンとACTHの血中濃度を分析した。チューイングは適度な硬度を有するガムベース(Xタイプ,ロッテ)を使用して行なった。その結果,ストレス音刺激によって扁桃体と前頭連合野腹側部が有意に賦活された。またカテコールアミンとACTHの血中濃度の僅かな上昇が認められた。しかし脳と血中に見られたこれらのストレス応答はチューイングにより抑制された。したがって,咀嚼刺激はストレス軽減ためのツールになることが示唆された。
著者
池本 桂子 駒沢 大輔 村尾 亮子 小山 敦
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.143-147, 2011-04-15 (Released:2015-04-02)
参考文献数
4

2011年3月11日の東日本大震災後の3カ月間に,第一原子力発電所に最も近い中核総合病院である,いわき市立総合磐城共立病院(819床)の3次救命救急センターを受診後入院し,リエゾン科にコンサルトされた自殺企図症例11例(男性2例,女性9例)の臨床像を検討した。女性症例が男性の4.5倍を占め,年齢的には20歳代が6例と半数を占めた。神経症圏の20歳代女性の過量服薬(急性医薬品中毒)と自傷が多く(4例),中高齢者のケース(3例)では,縊頸・農薬服毒など成功率の高い手段が用いられていた。関連する状況と要因は,過労と家庭内トラブルの表面化(4例),異性間の問題(3例),飲酒(3例),農業・自営業の先行きと放射能への不安(3例),不眠の長期化と抑うつ(3例),不安障害・心的外傷後ストレス障害の再燃・発症(3例)など,多岐にわたっていた。昨年同時期と比較すると,自殺企図による同センター受診例は,女性の急性医薬品中毒がいずれも最多であり,既遂自殺者は,男性は1例と変化がなかったが,女性は0から4例に増加していた。
著者
Kei KONDOH Ayman ATIBA Kiyoshi NAGASE Shizuko OGAWA Takashi MIWA Teruya KATSUMATA Hiroshi UENO Yuji UZUKA
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.14-0279, (Released:2015-04-04)
被引用文献数
1

In the present study, we compare a new carbon dioxide (CO2) absorbent, Yabashi lime® with a conventional CO2 absorbent, Sodasorb® as a control CO2 absorbent for Compound A (CA) and Carbon monoxide (CO) productions. Four dogs were anesthetized with sevoflurane. Each dog was anesthetized with four preparations, Yabashi lime® with high or low-flow rate of oxygen and control CO2 absorbent with high or low-flow rate. CA and CO concentrations in the anesthetic circuit, canister temperature, and carbooxyhemoglobin (COHb) concentration in the blood were measured. Yabashi lime® did not produce CA. Control CO2 absorbent generated CA and its concentration was significantly higher in low-flow rate than a high-flow rate. CO was generated only in low-flow rate groups, but there was no significance between Yabashi lime® groups and control CO2 absorbent groups. However, the CO concentration in the circuit could not be detected (≤5 ppm) and no change was found in COHb level. Canister temperature was significantly higher in low-flow rate groups than high-flow rate groups. Furthermore, in low-flow rate groups, the lower layer of canister temperature in control CO2 absorbent group was significantly higher than Yabashi lime® group. CA and CO productions are thought to be related to the composition of CO2 absorbent, flow rate, and canister temperature. Though CO concentration is equal, it might be safer to use Yabashi lime® with sevoflurane anesthesia in dogs than conventional CO2 absorbent at the point of CA production.
著者
Hikaru Sugita Yasuo Hatanaka Tamejiro Hiyama
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.379-380, 1996 (Released:2006-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
13

Alkynylation of chlorosilanes with copper(I) alkynides takes place smoothly in the presence of triphenylphosphine, N, N, N′, N′-tetramethylethylenediamine, or zinc powder to give a variety of alkynylsilanes in good yields.
著者
奥 敬一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第125回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.40, 2014 (Released:2014-07-16)

薪の利用は、生態系サービス概念では通常「供給サービス」の中の「燃料供給」と位置づけられる。しかし、薪ストーブを媒介として薪を利用することは、一定のライフスタイルのもとでは精神的・レクリエーション的な「文化的サービス」の発揮にもつながり、健康、安全、豊かな生活、社会的な連帯の形成、教育といった人間社会の福利へと生態系サービスを拡張する可能性を含んでいる。 こうした視点から、京都、滋賀の都市近郊において、里山林からの薪を利用している薪ストーブユーザー4軒を対象として3~5年間にわたるモニター調査を行った。その運転記録と生活の質に関わる聞き取り調査から、薪ストーブによって拡張された文化的サービスの実態について報告する。調査結果からは、薪ストーブを「里山林から得られる供給サービス(燃料)を、複合的な生態系サービスに拡張する装置」ととらえることができ、そのことが生活の質の向上の実感に大きく関わっていることが示された。
著者
山家 一哲 高橋 哲也 石井 香奈子 加藤 光弘 小林 康志
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.83-87, 2015 (Released:2015-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
3 9

青色LED光(最大波長465 nm,80 µmol・m−2・s−1)照射が,収穫後のウンシュウミカンの青かび病抑制と果実品質に及ぼす影響について検討した.果実に青かび病菌を接種後,6日間青色LED光照射を行った結果,照射果は無照射果と比較して,腐敗部(軟化部,菌糸部,胞子形成部)が有意に小さくなった.続いて,最初に青色LED光を6日間果実に照射した後,果実に青かび病菌を付傷接種し,腐敗部の広がりを調査した.その結果,接種菌濃度が低い場合において,照射果は無照射果と比較して腐敗部が有意に小さくなった.このことから,青色LED光は青かび病菌の生育抑制と果皮の病害抵抗性を高める可能性が示唆された.青色LED光照射の有無により,果実の減量歩合とクエン酸含量に差が見られたが,その他の果実品質については照射の影響は認められなかった.
著者
安井 位夫 舟橋 宏明 河辺 佳子 小野塚 英明
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.3-9, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8

A new character processing system has been developed in order to freely generate various style of characters on a personal computer. Center lines of each stroke of a letter are extracted from the bitmap data of the kanji ROM and the lines are expressed by equations of interpolation curves. Widths of strokes are classified and expressed by several function of the distance along the center line from its starting point. Because characters have been expressed by the equations of center lines and widths of strokes, arbitrary styles can be easily generated, which has been demonstrated by using Ming-style font.
著者
本多 克宏 田中 大士 大塩 竣也 野津 亮
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.14, 2013 (Released:2015-01-24)

共クラスタリングの有望な応用事例として,インターネット上での協調フィルタリングが注目されている.嗜好の類似したユーザ群に関連性の強いアイテムを割り当てる共クラスタリングにより,未購入・未評価のアイテムを推薦する.大規模なユーザ群への実応用を目指す上では,従来の共クラスタリングアルゴリズムでは計算コストの面で限界があった.本研究では,サンプリングアプローチに基づく大規模データへの適用可能性について,検証する.
著者
梅原 英一 渡部 和雄
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2013年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.105-108, 2013 (Released:2013-09-19)

1990年代後半に欧米において電子マネーの実証実験が行われた.しかし,欧米では電子マネーは普及しなかった.一方,日本やアジア地域では,電子マネーは急速に普及している.つまり,電子マネー普及については何らかの境界条件が存在していると考えられる.そこで本研究では,この境界条件を検討するために,Shy and Tarkkaのモデルをベースに,電子マネーの普及プロセスをマルチ・エージェント・モデルとして表現し,普及プロセスをシミュレートする。