著者
小岩 信治
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 (ISSN:13464744)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.171-174, 2012

楽器産業によって長らく世界に知られ、「音楽の都」を目指す浜松市に立地している静岡文化芸術大学は、文化や産業に関する学際的な研究領域を射程に収める文化政策学部を擁しており、浜松というユニークな都市の文化史を楽器産業を軸に探究する使命も負っていると言えよう。こうした研究(それを仮に「楽器産業文化学」と呼ぶ)は、本学入学者が学ぶべき「浜松学」「静岡学」の一部を構成するはずであるし、それは地域の人びとの「シビック・プライド」の醸成に繋がることにもなろう。筆者は本学の奥中康人、根本敏行、羽田隆志とともに、二〇一二(平成二四)年度学長特別研究を本論のタイトルで行っている。その成果は来たる二〇一三(平成二五)年度研究紀要で報告することになるが、本稿はその一部に関する中間報告である。
著者
古賀 崇
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.408-414, 2012
参考文献数
54

本稿は日本のアーカイブズの現状や,アーカイブズの位置づけを考えるのに有益と思われる点に関し,概観を試みた。主な論点は以下の通りである。(1)日本では公文書管理・公文書館の制度をめぐる課題に直面する一方で,多様な「アーカイブ」に関する取り組みが進みつつあるが,それは「文書主義」「体系性」という「アーカイブズの本質」には必ずしも基づかない場合がある。(2)「組織アーカイブズ」「収集アーカイブズ」の区分と,これらを包括的に捉える枠組みが有益である。(3)政策の検証などに関して「証拠(エビデンス)をもって判断する」という,「実証的な思考法」を実現するための場として,「アーカイブズ」を位置づけることが可能である。
著者
上原善広著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
2014
著者
佐藤 雪太 萩原 未央 山口 剛士 湯川 眞嘉 村田 浩一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.55-59, 2007-01-25
被引用文献数
3 15

日本の野鳥に感染が見られたロイコチトゾーン(Leucocytozoon spp.)の分子系統関係の解析を試みた.血液塗沫観察によりロイコテトゾーン感染を確認した北アルプス立山および爺ヶ岳に生息するライチョウ9個体および兵庫県内で保護された野鳥7種13個体(ハシブトガラス4羽,ハシボソガラス2羽,コノハズク2羽,ヤマドリ1羽,イカル1羽,ホンドフクロウ1羽,ヒヨドリ2羽),計22個体の血液からDNAを抽出した.次いでロイコチトゾーンのミトコンドリアチトクロームb(cytb)の部分塩基配列に基づきプライマーを設計し,nested PCRで特異的増幅を試み,増幅産物のシーケンスを決定して配列比較を行った.その結果,ライチョウ9個体すべて(100%),その他の野鳥(ハシブトガラス,ハシボソガラス,イカル,ヒヨドリおよびコノハズク)13個体中11個体(84.6%)でPCR増幅が見られた.増幅されたcytb部分塩基配列約465bpを用いて系統樹を構築したところ,ライチョウと他鳥種寄生のロイコテトゾーンとの間で大きく分岐した.本研究は,日本における野鳥寄生ロイコチトゾーンを分子系統学的に解析した初めての報告である.
著者
伊藤 和行
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.117-132, 2008-01-31

Von Neumann's "First Draft of a Report on the EDVAC" is known as the first paper on the modern computation theory, where he compared electric circuits to neuron networks. The idea of conceiving neuron networks as logical circuits was proposed by W. S. McCulloch and W. Pitts, and was called the McCulloch-Pitts Model. This model led von Neumann to develop his automata theory, in which he proposed five models like the cellular model. Through them, he tried to present a unified study of modern computing machines and the human nervous system.
著者
園部紫嬌 著
出版者
石塚松雲堂
巻号頁・発行日
1911

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1935年06月29日, 1935-06-29
著者
關 文緒 竹田 誠
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.175-182, 2012-12-25 (Released:2013-10-22)
参考文献数
52

パラミクソウイルス科モルビリウイルス属は,医学,獣医学的に重要なウイルスを多く含む.モルビリウイルスは限られた宿主に感染し,しかも血清型が単一であるため,ワクチン接種やサーベイランスで,流行を効果的に制御できる.2011年には牛疫ウイルスが根絶され,また麻疹ウイルスの排除が世界的に進められている.近年,新たなウイルスレセプターNectin4が同定された.免疫系細胞に発現するSLAMと上皮系細胞に発現するNectin4,二つのレセプターがウイルスの感染性と病原性に重要であることが報告されている.
著者
前納 弘武 大鐘 武 草柳 千早 池田 緑
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻女子大学紀要. 社会情報系, 社会情報学研究 (ISSN:13417843)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.67-82, 2007

1990年代以後、大学における変化あるいは改革のひとつとして、新しい名称をもち複合的な学問分野からなる学部が増えているという現象がある。そうした学部のなかには、カリキュラムに社会学分野の科目を含むものも少なくない。しかしそれらの学部での社会学教育には、従来とは異なる固有の難しさがあるように思われる。筆者らは、平成16年度大妻女子大学社会情報学部プロジェクト研究として、「複合的な学問分野からなる学部における社会学教育の現状と課題」研究を実施し、その一環として、新名称を冠し、複合的な学問分野からなっていると思われる全国の大学学部の社会学教育担当者を対象に質問紙調査を行った。本稿ではこの調査結果について、第1に、学部における社会学教育の位置づけ、第2に、社会学分野の科目を教える際の諸問題、第3に、学生に学んでほしいこと、教育の重点、第4に、社会学教育が担うべき役割、以上の4点について概観し、教育上の課題を論じる。調査結果からは、複合的な学問分野からなる学部における社会学教育の問題として、カリキュラム上の基礎であっても社会学を体系的に教育することが難しい、また基礎であってもなくても、カリキュラム上の他の分野・科目との整合性、連携が難しいこと、学生の関心・知識・理解度にばらつきが生じていること、の主な3点が明らかになった。
著者
都築 章子 鈴木 真理子
出版者
京都大学高等教育研究開発推進センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.27-36, 2009-12-01

This paper examines the trends of science and technology communication (STC) activities implemented at higher education institutions (HEIs) in Japan, based on a framework comprising four kinds of STC activities: PR from research institutions, science journalism, two-way scientific dialogue between researchers and citizens, and science education. We reviewed the history of STC in the UK, the U.S., Europe, and Japan. After surveying ten STC activities, it was found that HEIs in Japan have developed a variety of STC models for the last few years. These have succeeded in enhancing citizens' access to science and technology and establishing closer ties between citizens and academic communities. The future challenge for HEIs is to expand and improve STC education, including the liberal arts education for undergraduates, in order to promote greater public engagement in science.
著者
齋藤 寛 柴田 義貞 高村 昇 渡辺 孝男 中野 篤浩 山下 俊一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故において、事故時に乳幼児であった世代から甲状腺がんが多発したことはよく知られているが、この詳細なメカニズムについてはまだ明らかになっていない。一方で、事故直後に放射能の除染を目的として鉛をはじめとする重金属類が空中から散布されたことが明らかになっており、すでに鉛の汚染状況についての地図も作成されている。しかしながら、これによる住民の健康影響については、これまで全く調査が行われていない。近年、in vitroにおいて、カドミウムやニッケルといった金属に曝露したcell lineにおける遺伝子不安定性が報告されており、放射線被ばくと同様、金属曝露も遺伝子不安定性の原因となることが示唆されてきている。そのため我々は、主にウクライナ放射線医学研究所との共同研究で、チェルノブイリ原発事故のもう一つの側面として、同地区における金属汚染の実態を明らかにし、さらにこれによる染色体レベルでの変異解明を目的としている。本年度は、昨年度までの解析結果に加えて毛髪を用いた微量金属の再評価を行ったが、毛髪と金属汚染レベルでは相関関係はみられなかった。その一方で血液中の微量元素については有意に上昇しているものがみられ、今後さらなる評価が必要であると考えられた。7月にはこれまでの研究成果の総括を行うために、研究代表者、分担者に加えてウクライナの海外共同研究者、さらに国内や中国、ベラルーシ共和国などからも専門家を招聘しての国際会議を開催し、グローバルな視点からの金属汚染の現状についての報告と今後の取り組みについて協議した。
著者
Kentaro Araki Hiroshi Ishimoto Masataka Murakami Takuya Tajiri
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.57-61, 2014 (Released:2014-04-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

We examined proximity soundings at intervals of a few minutes and at distances of less than 20 km from a significant tornadic (SIGTOR) supercell that occurred on 6 May 2012 in Japan. We used a 1-dimensional variational (1DVAR) technique that combined the observations of a ground-based microwave radiometer with outputs from a numerical model. Based on the results of the 1DVAR, several supercell and tornado forecast parameters were calculated and compared with values typical of SIGTOR supercell environments in the United States. One and a half hours before the occurrence of the tornado, the value of convective available potential energy increased significantly to about 1000 J kg−1, a value that is smaller than the typical value in the United States. Low-level vertical wind shear and some composite parameters attained maximum values at the time when the distance to the supercell was the smallest. The vertical wind shear parameters and some composite parameters indicated that the environment fell into the SIGTOR supercell category. This result shows that the thermodynamic environments became unstable before the approach of the supercell, and the low-level vertical wind shear changed locally near the supercell.