著者
神吉 政史 石橋 正憲 依田 知子 塚本 定三
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.216-220, 2004-10-15 (Released:2010-07-12)
参考文献数
13
被引用文献数
2 4

赤身魚について生鮮魚20検体および加工品39検体を調査した結果, 好塩性ヒスタミン生成菌を生鮮魚7検体および加工品5検体から分離し, 腸内細菌科のヒスタミン生成菌を生鮮魚8検体および加工品13検体から分離した.マグロ10検体中6検体よりPhotobacterium phosphoreumを分離したが, その他の魚種では10検体中1検体からPhotobacterium damnselaeを分離したのみであった.腸内細菌科のヒスタミン生成菌については生鮮魚と加工品で検出率に差はなかった.しかし, その菌数は加工品2検体で104cfu/g以上となったのに対して, 生鮮魚では3.2×103cfu/gが最高であった.我々は今回の結果により, ヒスタミン食中毒の原因菌は生鮮魚では主にP.phosphoreumであり, 加工品では主に腸内細菌科の菌である可能性が高いと結論づけた.
著者
阿部 庸子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.252-254, 2022-04-25 (Released:2022-06-02)
参考文献数
2

特別養護老人ホームの高齢者55名について新型コロナワクチン接種当日を含め7日間の副反応疑い所見の観察調査を行った.結果,過去の相対的に若い人の副反応報告と比較し,接種部の局所反応や全身反応は比較的軽度で頻度も低かった.しかし発熱者の割合,症状のピーク時期が異なること,接種後に基礎疾患の増悪や老年症候群による入院,急な死亡が確認され,若年者とは異なる副反応傾向の可能性が示唆された.高齢者のワクチン接種後は慎重な観察が望まれる.
著者
Chairat Techavuthiporn Amnat Jarerat Hataitip Nimitkeatkai
出版者
The Japanese Society for Horticultural Science
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.QH-058, (Released:2023-04-12)

The effect of short-term anoxic treatment prior to storage at ambient and cool temperatures on pericarp browning, fruit quality, secondary metabolites, antioxidant activity, and the browning enzyme of litchi (Litchi chinensis Sonn.) cv. Hong Huey were investigated. Litchi fruit were exposed to anoxic conditions for 6, 12, 18 and 24 h before storage at 28 ± 2°C for 5 days, or at 7 ± 2°C for 14 days. Anoxic treatment resulted in significantly decreases in electrical conductivity, weight loss, browning index, while maintaining the total soluble solids (TSS) and delaying increases in polyphenol oxidase (PPO) and peroxidase (POD) activities compared with control fruit. Furthermore, anoxic treatment increased litchi pericarp methanol extract antioxidant capacity, as measured by free-radical scavenging activity. This is associated with greater amounts of ascorbic acid, anthocyanins, and phenolic/flavonoid components as compared with control fruit. Additionally, anoxic treatment considerably delayed litchi fruit pericarp browning. This suggests that with adequate short-term anoxia duration, an enhanced non-enzymatic antioxidant process may directly or indirectly delay litchi pericarp browning. Thus, a short anoxic treatment enables harvested litchi quality to be sustained at ambient and cool temperatures. This non-chemical and inexpensive treatment deserves further development and application, especially in commercial distribution systems where cooling is insufficient.
著者
小玉 英雄 吉野 裕高
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.752-761, 2018-11-05 (Released:2019-05-24)
参考文献数
19

すべての自然現象を統一的に記述する究極理論の構築は,理論物理学者の夢である.その実現における最大の難関は,重力理論と量子論を整合的に融合した量子重力理論をつくることである.この難関を摂動論レベルで克服したのが,超弦理論である.超弦理論は,また,他の量子重力理論候補と異なり,重力を含むすべての相互作用と物質が有機的に結合して理論の整合性を生み出していて,真の統一理論といえる.しかし,超弦理論が究極理論の候補となるには,まず,なんと言っても,低エネルギーでの有効理論として我々の知る自然の基本法則を再現することが必要である.Minkowski時空を真空解としてもつことと量子論の無矛盾性を要請すると,超弦理論は10次元時空の理論となる.我々の住む宇宙は4次元に見えるので,まず,4次元と10次元の関係を説明しないといけない.その方法として最もポピュラーなものは,余分な次元が小さく縮んでしまい,低エネルギーの状態では見えなくなるとするコンパクト化という方法である.整合的な10次元超弦理論として,これまでにヘテロ型,IIA型,IIB型など複数の理論が作られており,コンパクト化の詳細は理論ごとに異なるが,一般的には,余剰次元を担う多様体の構造,背景場の配位,ひもの高次元的な拡張であるブレーンの数や配置により指定される.これまでに数億のコンパクト化が計算機の力を借りてチェックされ,ゲージ群やフェルミ粒子の種類・世代数が標準模型と一致するものが発見されているが,未だ,ゲージ結合係数の値,湯川結合の構造と値などすべての点で標準模型を再現するものは見つかっていない.可能なモデルは,例えばIIA型理論だけでも1015個も存在し,そのすべてを計算機で調べ尽くすのは現状では不可能である.また,加速器実験などの地上実験により新たな情報を得る可能性も現状では難しい.このような状況で,コンパクト化の構造を探る新たなアプローチとして注目されているのが,隠れたセクターが引き起こす宇宙現象を用いる方法である.超弦理論に共通に含まれるフォーム場と呼ばれる一般化された10次元ゲージ場は,コンパクト化により,アクシオンと呼ばれる4次元擬スカラー場を生み出す.その種類は余剰次元の位相構造が複雑になるほど多くなる.また,その相互作用強度や質量は,余剰次元サイズやブレーン配位についての情報を担っている.アクシオンの質量maは,10-10 eV以下の範囲でlog maでみて広く分布していることが期待されるが,これらの微小質量アクシオンは,コンプトン波長が宇宙スケールとなるため,様々な宇宙現象を引き起こす.とくに,ma=10-10~10-20 eVの範囲にあるアクシオン場は,太陽の1~1010倍の質量をもつ回転ブラックホールの近傍で不安定となり,ゼロ点振動を種として,ブラックホールの周りにアクシオンの雲を形成する.これらの雲は,回転により定常的に重力波を放出すると共に,非線形相互作用によりしばしばバースト的重力波を放出する.我々の銀河内ないし近傍の銀河でこの現象が起きれば,現在稼働中の重力波干渉計や将来の衛星を用いた重力波干渉計で検出可能であり,重力波観測により超弦理論コンパクト化を探る道が開かれる.
著者
田村 太一 林 立也 阿部 千聖
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.88, no.806, pp.233-242, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
32
被引用文献数
1

A questionnaire survey was conducted to exploratorily examine the relationship between school building plans, indoor environment elements, and factors that increase learning motivation and motivation to learn.As a result, it was shown that classroom design, lighting environment, safety plans, and architectural plans that help students' minds can mainly affect factors that increase learning motivation and motivation to learn. Furthermore, it was shown that interactive spaces and playgrounds can affect some factors that increase learning motivation and motivation to learn.In addition, it was shown that environmental factors may indirectly affect motivation to learn through factors that increase learning motivation.
著者
浦西 友樹 五十川 麻理子 井下 智加 牛久 祥孝 大倉 史生 川西 康友 上瀧 剛
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2018-CVIM-212, no.40, pp.1-7, 2018-05-03

本発表では,第 20 回画像の認識・理解シンポジウム (MIRU 2017) で行われた若手プログラムについて報告する.MIRU 2017 若手プログラムにおいては,プログラム応募者である若手研究者 46 名が 9 つの班に分かれ,班ごとに研究テーマについて議論し,研究を立ち上げた.MIRU 2017 大会期間中には研究テーマについてプレゼンテーションし,予選を通過した 4 つのグループが MIRU 2017 本大会で開催されたイベント中で研究計画を発表した.いくつかの班は MIRU 2017 終了後においても研究を継続し,研究成果が国際会議に採択されるなどの成果を挙げている.本稿では,若手プログラムの準備や大会期間中のイベントについて,実行委員会の視点から述べる.
著者
中田 喜之 大澤 幸生 吉野 貴晶 杉江 利章 夷藤 翔 西川 遥輔 小島 湧太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.54-60, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

株式市場においては、価格変動の説明要因となるファクター等の属性を基に投資を行う投資家が多い。このため、市場の先行きに対する投資家の心理が、これらの属性を持つ銘柄物色に反映される可能性がある。本研究では、株式市場における銘柄物色の変化から株式インデックスのトレンドの変化点を検知する手法について検証した。株価推移の類似性が高い銘柄同士を結合して作成したグラフに対して、Graph Based Entropy の手法を適用することで、属性ごとの銘柄の物色変化と、株式インデックスのトレンドの関係性について、検証した。TOPIX 500、S&P500、STOXX® Europe 600 の 3 つの株式インデックスに対して検証を行った結果、株式インデックスのトレンドの変化点において、 それぞれ共通して、Graph Based Entropy が特徴的な変化をすることがわかった。