著者
Yuya Mawarikado Yusuke Inagaki Tadashi Fujii Hidetaka Imagita Takahiko Fukumoto Takanari Kubo Mimo Shirahase Akira Kido Yasuhito Tanaka
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
Progress in Rehabilitation Medicine (ISSN:24321354)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.20220049, 2022 (Released:2022-09-15)
参考文献数
37
被引用文献数
3

Objectives: The aim of this study was to investigate the preoperative factors affecting health-related quality of life (HRQOL) at 3 and 12 months after total knee arthroplasty (TKA).Methods: In total, 156 patients who underwent unilateral TKA for knee osteoarthritis were included in the study. The Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS) was used as a measure of HRQOL before surgery and 3 and 12 months post-TKA. The Modified Gait Efficacy Scale (mGES) score, tibiofemoral angle, rest pain, walking pain, knee joint range of motion, knee joint extensor strength, and walking speed were recorded preoperatively. Pearson’s correlation coefficient and the correlation ratio were used to calculate the correlation between KOOS and preoperative factors at 3 and 12 months post-TKA. Multiple regression analysis was performed using the stepwise method with the five postoperative KOOS subscales as dependent variables and the other preoperative factors as independent variables.Results: Preoperative mGES scores were significantly correlated with KOOS Activities of Daily Living, Sport/Rec, and QOL subscores at 3 months post-TKA and with all five KOOS subscales at 12 months post-TKA. Multiple regression analysis identified mGES as an influencing factor for all KOOS subscales except Pain at 3 months post-TKA and all KOOS subscales except Symptoms at 12 months post-TKA.Conclusions: Preoperative walking self-efficacy influenced HRQOL at 3 and 12 months post-TKA. Psychological factors such as self-efficacy should be considered when predicting postoperative outcomes.
著者
篠田 次郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1053-1059, 1967-10-15 (Released:2011-11-04)

清酒工場のレイアウトはいかにあるべきか。多くの酒造家は, 何かとレイアウトの悪さを痛感している。しかし, どこから手をつけるべきか, どのような方針で今後の増産に望むべきか迷うことであろう。酒造工場の建設に実際に活躍されている筆者にその指針を示していただいた。特に実際の改善例は, 必ずや読者のお役に立つものと信ずる。
著者
竹内 賢吾 杉谷 巌
出版者
公益財団法人がん研究会
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

日本人の甲状腺乳頭癌における既知ドライバー変異分布に関して、BRAF V600Eが約80%、NRAS Q61Rが約1%、融合遺伝子が約6%に存在することが判明した(ドライバー変異不明 約13%)。未分化癌では、BRAF V600Eが約84%に存在することが明らかとなった。甲状腺葉切除術(LT)とするか甲状腺全摘出術(TT)とするかについて明確な適応基準が確定されていない1~4cmの甲状腺内乳頭癌(PTC)において、TERTプロモーター変異が陰性であれば、TTではなくLTを施行することで、治療成績を落とすことなく過剰治療の防止および術後の合併症の低減が期待できることを示した。
著者
真鍋 友則 中川 慧
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.87-104, 2020-09-15 (Released:2020-09-28)
参考文献数
29

本稿では,日本企業におけるブランド価値評価と株価との価値関連性を分析する.特に,ビジネス関係においての企業印象指標と,企業価値の関係を調べるため,ブランド価値評価のプロキシーとして,名刺ネットワーク情報を用いた調査手法で測定された企業ブランド指標BBESを用いる.BBESの特徴としては,調査対象企業の名刺を保有しているユーザー(ビジネス上の関わりのある人物)のみを調査対象集団としていることが挙げられる.この特徴から,一般認知度の低いB2B企業についても,風評や経験に基づくブランド力が測定されていることが期待される.このBBESデータがブランド価値のプロキシーとして,株価との価値関連性を有するかどうかを統計的に検証することが本稿における目的である.日本企業を対象にした実証分析により,財務諸表における純資産と利益の情報を所与として,BBESが株価の形成を追加的に説明することを明らかにした.またその説明力は,特にB2B企業群において高い値を示した.
著者
樋口 富彦 湯山 育子 中村 崇
出版者
日本サンゴ礁学会
雑誌
日本サンゴ礁学会誌 (ISSN:13451421)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.47-64, 2014 (Released:2014-09-02)
参考文献数
93
被引用文献数
1

サンゴ礁生態系は近年,人為起源によると考えられる様々なストレスに晒されており,その衰退が危惧されている。造礁性サンゴ類(以降略してサンゴと記載)はストレスを受けた際,『白化現象』をはじめ様々な応答を示す。サンゴはストレスに対する防御機構を備え持つと考えられているが,その機能の多くが解明されていないのが現状である。造礁性サンゴのストレス防御機構を知ることは,白化現象等,環境変化により生じる変化に対処する方法を探索することにもつながるため重要となる。近年,遺伝子解析技術の向上により,造礁性サンゴの一種であるコユビミドリイシの全ゲノム解読が完了したことから,今後サンゴのストレス防御機構についての研究が飛躍的に進むことが期待されている。本総説では,高水温や強光など環境ストレスに対する造礁性サンゴのストレス応答について,遺伝子,生理および生態の多角的な視点から理解の現状をまとめる。また,抗酸化物質やマイコスポリン様アミノ酸,蛍光タンパク質などサンゴの持つストレス防御機構についての知見をまとめ,今後サンゴのストレス耐性や防御に関する研究を進める上での展望を述べる。

3 0 0 0 OA 群書類従

出版者
巻号頁・発行日
vol.第630-632,
著者
劉 語霏
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.213-226, 2020-10-31 (Released:2021-05-25)
参考文献数
26

台湾では,出生率の急速な低下により,21世紀に入ってから,少子化問題への世論の関心はますます高まっている.台湾政府も,多くの研究者も,その背景要因の解明と対策に取り組んできたが,少子化の深刻な状況は依然として変わっていない.本稿では,教育制度・政策の側面から,台湾における少子化の進行状況とその背景要因を分析し,教育と少子化が相互に与える影響を明らかにすることによって,少子化対策と課題を検討することを目的とする.分析の結果,台湾の少子化の主な特徴は,女性の高学歴化という要因にあり,それは高等教育の拡大政策と分岐型学校体系に大きく起因していたと言える.台湾の現状をふまえると,政府の少子化対策は,一時的な現金給付策よりも,家庭と仕事の両立ができる職場環境の整備と充実など,長期的に女性の社会進出を支援することに重点的に取り組む必要がある.
著者
香川 七海
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.45-58, 2017 (Released:2020-01-26)
参考文献数
64
被引用文献数
1

本稿は,教育雑誌『ひと』誌上の漢字教育実践の概要と変遷について論究をするものである。『ひと』が創刊された1970年代以前,民間教育研究運動のなかでは,「反動」と見なされた国語教育政策の動向に対して,体系的な漢字教育実践の必要性が認識されていた。そうした状況を背景に,『ひと』においても,漢字教育実践の体系化をはかる自主編成が試みられることとなる。70年代から80年代前半にかけては,岡田進が藤堂明保の字源研究を援用し,80年代後半から90年代にかけては,宮下久夫グループが白川静の字源研究を援用して漢字教育実践の体系化を試みた。初期の岡田の実践は,限定符をもとにした漢字の分類方法(=「漢字家族」)を中心とするものであったが,そこには,問題点も内包されていた。他方,後期の宮下らの実践は,従来の漢字教育の知見を下敷きにしつつも,白川の字源研究を援用することで,その問題点を克服することが可能となるものであった。
著者
立岡 修治 中村 登 九玉 輝明 本高 浩徐 永田 彩子 濵田 信男
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.1509-1514, 2015 (Released:2015-12-28)
参考文献数
23

症例は42歳,女性.2年前にS状結腸憩室炎を認め,保存的治療にて軽快した.今回,臍部の疼痛と発熱を主訴に来院.CTにて尿膜管膿瘍を認め,膀胱およびS状結腸との交通が疑われた.高度の炎症所見を認めたため,抗菌薬投与およびドレナージを施行し炎症を沈静化させた後,S状結腸,尿膜管および膀胱部分切除術を施行した.S状結腸憩室炎の穿通による尿膜管膿瘍は極めてまれであり,国内で自験例を含め4例,海外で11例に報告されているのみである.若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
與古田 孝夫 石津 宏 秋坂 真史 名嘉 幸一 高倉 実 宇座 美代子 長濱 直樹 勝 綾子
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.81-91, 1999-03-31 (Released:2011-10-21)
参考文献数
36

To clarify Japanese university students' attitude toward suicide and to relate it with their views on life and death, a questionnaire survey was conducted for 1, 366 students of University of the Ryukyus in Okinawa Prefecture in 1992 The major findings were as follows.1. The subjects who had thought about suicide (called "suicide awareness" group) accounted for 6.3% ; compared between the students from Okinawa and those from other prefectures this rate was significantly higher in the latter (p<0.01).2. The suicide awareness group thought about death earlier in their lives and had more positive attitude toward death such as "release from suffering, " "beautiful" and "peaceful" than other two groups.3. The association between attitude toward suicide and consciousness about death in the homeland was recognized by the suicide awareness group (a half of the students) more than by other two groups (p<0.001) and the suicide awareness group showed higher proportions in justification of suicide (p<0.001) and in courageous behavior for suicide (p<0.05).4. Compared with other two groups, the suicide awareness group had a higher proportion in positive feeling on the effect of religion on death (p<0.001) and a lower proportion in belief of metempsychosis (remigration of souls) (p<0.001).5. Regarding the association with terminal situation, the suicide awareness group showed a higher proportion in recognition of cerebral death as human death (p<0.001) and differed from other two groups in desired place at death and desired treatment in the terminal period.

3 0 0 0 Museum

著者
東京国立博物館 編
出版者
東京国立博物館
巻号頁・発行日
no.72, 1957-03
著者
松吉 隆仁 井上 重隆 野口 彰子 西山 憲一 江﨑 泰斗 永井 英司 中房 祐司
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.550-556, 2022 (Released:2022-09-30)
参考文献数
36

症例は腹痛,粘血便が主訴の17歳,女性.直腸に全周性隆起性病変があり,生検で粘液癌と診断した.腸閉塞に対し人工肛門を造設した際,腫瘍の近傍の腹膜に播種結節を1カ所認めたため,術前化学療法の方針とした.CAPOX療法3コース施行後,腫瘍マーカーは著増し,腹腔鏡補助下低位前方切除術を行った.診断はpT4aN2bM1c1 Stage IV,R0,CurBであった.病理診断は印環細胞癌様分化を伴う粘液癌であった.改訂ベセスダガイドラインを満たしMSI-highであったためLynch症候群を疑ったが,生殖細胞系の検査は未施行である.化学療法を継続したが,腹膜播種再発を認めたためpembrolizumabの投与を開始し播種巣は縮小し,初回手術から2年3カ月経過し,縮小を維持している.若年者大腸癌は稀で,困難な早期診断,高い悪性度,少ない治療知見,遺伝性大腸癌の可能性,精神的サポートなどの多くの問題点がある.
著者
内田 明彦 川上 泰 加藤 茂 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.115-119, 1999-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

1995~1997年に神奈川および静岡県内の河川に生息, あるいは養殖されるアユ, アマゴ, イワナ, ニジマスなどについて横川吸虫メタセルカリアの感染状況を調査した. 神奈川県内の河川から採取したアユの感染率は73.7~87.1%で, 1匹当たりのメタセルカリア数は12~348個体であった. 早川, 酒勾川で採取されたウグイは濃厚に感染 (87.0~100%) し, 1匹当たりのメタセルカリア数は27~1, 247個体であった. 早川, 藤木川産ニジマスには感染がみられなかった. 静岡県内 (狩野川本流とその支流) ではアユ (感染率80%, 寄生数25~428), ウグイ (93.8~100%, 36~1, 257), オイカワ (46.6~56.7%, 16~269), カワムツ (76.3%, 24~198) およびタカハヤ (100%, 49~165) の5種に感染がみられたが, ニゴイ, イワナ, ニジマス, アマゴからは検出されなかった. 井戸水飼育の養殖アユ212匹中3匹 (1.4%), 河川水利用の養殖アユでは223匹中142匹 (63.7%) からメタセルカリアが検出され, 感染率および1匹当たりのメタセルカリア数は晩秋に向けて増加した. しかし, 養殖ニジマス, イワナ, アマゴからはメタセルカリアは検出されなかった. 各種魚類から得られたメタセルカリアを猫に感染して得た成虫は, 形態変異がみられたが, すべて横川吸虫と同定された.