著者
Shigenobu Shibata Yu Tahara
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine (ISSN:21868131)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-72, 2014-03-25 (Released:2014-03-20)
参考文献数
99
被引用文献数
3 11

In mammals, the circadian clock organizes physiological processes, including sleep/wake patterns, hormonal secretion, and metabolism, and regulates athletic performance. The circadian system is responsive to environmental changes such as light/dark cycles, food intake, and exercise. In this review, we will focus on the central and peripheral circadian molecular clock system, discussing how circadian rhythm affects athletic performance and muscle metabolism, and how exercise entrains the circadian rhythm. Importance of exercise training in rescuing circadian deficit–induced metabolic disorder is also discussed. The interaction of the circadian clock and exercise, called “chrono-exercise,” is poised to become an important research field of chronobiology.
著者
河本 大地
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.534-548, 2018 (Released:2018-12-06)
参考文献数
42
被引用文献数
1

「身近な地域」の調査とウィキペディア編集の組合せの有効性と課題を,大学の初年次教育における実践をもとに整理することが本稿の目的である.対象地域は古都・奈良のならまちで,奈良教育大学の近くに歴史的町並みを有する.学生は,ならまち各町を「マイタウン」として担当し,ウィキペディア記事を作成するとともに,自治会長等への聞取りや施設訪問などをおこない,成果を報告会でのプレゼンテーションや,小学生向け冊子にまとめた.取組みを分析した結果,初年次教育として広範な意義が認められた.また,大学教育におけるローカルなフィールドワークおよびその成果の発信によって得られる知識・技能,思考力・判断力・表現力,主体性・多様性・協働性が明らかになった.大学および学生と地域社会との関係性構築にも寄与しており,初年次教育に対する地理学の貢献可能性を見出せる.
著者
松岡 弥玲
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.45-54, 2006-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
36
被引用文献数
5 3

本研究の目的は,(1) 理想-現実自己のズレが年齢と共に減少していく変化と, 自尊感情が生涯にわたって維持される傾向とが関係しているかどうかを検証すること,(2) 理想自己の実現可能性の生涯発達変化を捉えること,(3) ズレを減少させる方略 (肯定的解釈粘り強さ諦めの早さ) の生涯発達変化をズレとの関わりから探索的に検討することである。調査参加者は15歳から86歳までの男女 (865名)。主な結果は以下の通りである。(1) 自尊感情は生涯維持され, ズレは年齢と共に減少していた。そして青年期から老年期までの全ての群でズレと自尊感情との間に有意な負の相関関係がみられ, ズレが減少していく変化と自尊感情の維持とが関連していることが示唆された。(2) 実現可能性は, 45-54歳に減少する傾向がみられた。(3) ズレを減少させる方略は, 高校生から55-64歳までの間, 対照的な方略が交互に用いられ, 男女差が顕著であった。しかし, 65-86歳群になると男女共にズレと方略との関わりが無くなった。これらの結果について, 性差に焦点をあて, ライフイベントや職業生活との関わりから考察がなされた。
著者
Aya Umeno Yasukazu Yoshida
出版者
SOCIETY FOR FREE RADICAL RESEARCH JAPAN
雑誌
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition (ISSN:09120009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.59-64, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
25
被引用文献数
3

We have previously reported that the risk of type 2 diabetes, early impaired glucose tolerance, and insulin resistance can be predicted using fasting levels of adiponectin, leptin, and insulin. Here, we aimed to evaluate the utility of hemoglobin A1c in detecting the risk of type 2 diabetes compared with other well-known biomarkers. We randomly enrolled 207 volunteers with no history of diseases, who underwent 75-g oral glucose tolerance tests and were stratified into normal, borderline, abnormal, or diabetic groups. Eighty-one participants with normal baseline levels of hemoglobin A1c (<6.0%) were included in the normal groups of both glucose tolerance and insulin resistance. Hemoglobin A1c was significantly correlated with the plasma glucose and insulin resistance index. Leptin, adiponectin, glycoalbumin, and body mass index also were correlated well with plasma glucose levels and insulin resistance index. Normal hemoglobin A1c levels with abnormal glucose tolerance and insulin resistance were noted in 85 and 67 participants, respectively. Hemoglobin A1c did not strengthen the prediction algorithm of diabetes, determined by our proposed biomarkers, leptin, adiponectin, and insulin. In conclusion, hemoglobin A1c is a surrogate biomarker for risk of diabetes, with inadequate predictive value, and should be used in combination with other biomarkers.
著者
中嶋 智史 請園 正敏 須藤 竜之介 布井 雅人 北神 慎司 大久保 街亜 鳥山 理恵 森本 裕子 高野 裕治
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.603-613, 2020 (Released:2020-02-25)
参考文献数
29
被引用文献数
5

The 20-item prosopagnosia index (PI20) was developed for assessing congenital prosopagnosia, which is characterized by severe facial recognition deficits in the absence of any obvious neurological deficit. We aimed to develop a Japanese version of the PI20 (PI20-J) scale and evaluate its validity and reliability. In study 1, we confirmed the internal consistency, test-retest reliability, and concurrent validity of the scale. In study 2, we examined the relationships between PI20-J score and facial recognition performance and found a moderate correlation between them. In study 3, we examined whether the PI20-J score is related specifically with facial recognition performance, or with general object recognition performance. We found that participants with a high PI20-J score showed weaker facial recognition performance than those with a low PI20-J score. In contrast, the object recognition performance did not depend on the score. Our results suggest that the PI20-J score is related specifically with facial recognition performance. We conclude that PI20-J is highly reliable and valid as a self-reported measure for congenital prosopagnosic traits.
著者
神谷 淳文 大村 愛花 佐藤 匠悟 白崎 圭亮
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.141, no.1, pp.36-39, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
1

1.はじめに電気・機械系の大学や大学院を卒業した後の就職先としてはさまざまなものがある。例えば,電気機械製品を製作しているメーカに焦点を当てた場合,大きくは発電設備から,小さくはスマートフォンの電子回路まで,現代の暮らしを豊かにするための製品作りが行われている。これらの
著者
内田 彩子 山口 直子 伊藤 瑞香 〓谷 要 Ayako UCHIDA Naoko YAMAGUCHI Mizuka ITO Kaname KATSURAYA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-12, 2014-03

現代の日本人は洋服で生活することが一般的になっており、和服は冠婚葬祭等の儀式的な場面で用いられたりまたは夏のお祭りに用いられるゆかたがほとんどである。そのため、今日ではきものは日本の民族服と言われているにも関わらず、ほとんどの人が和服から離れた生活を送っている。和服を所持していない、所持していても自分で着ることが出来ない、着崩れが生じ易く着崩れた際に自分で直すことが出来ない等の問題が指摘されており、また、少しの着崩れでもだらしがない、みっともないなどと見られてしまうことが着物を着るということに対しての障害となっている。 着崩れの要因は多岐にわたると考えられているが、今回は時代の流れと共に着崩れの要因、着崩れの形態が変化しているのかという点に着目した。それにより、日常的に着物を常用していた時代の方が着装しやすかったのか、着装していても着崩れにくかったのかを検証することを目的とした。 まず、現在の着物の形態が完成されたと考えられる江戸時代後半から、ほぼ洋服の着用が主流となる現代までの標準寸法を、裁縫書および教科書から抽出し、身丈、袖丈、前幅、後幅、衽幅、合づま幅等の変遷を追い、身丈、袖丈は時代により変化するが、幅に関する仕立て上がり寸法には大きな変化がないことを示した。 次に、着物が日常的に着用されていた「江戸」、「明治」、「戦前」、洋服が日常着になる「戦後」の4時代の試験衣を製作した。その試験衣を用いて、着装状態を再現し、動作前後の着崩れの比較検証を行った。 その結果、着装状態では、戦後はほとんど現在の着装形態と変わらないことが分かった。また、時代をさかのぼるほど衿合わせ位置が下がる傾向が認められた。明治時代は全体的な印象としては現在と大きな変化はないが、衿合わせ位置は明確に下がっていることが分かった。結果として、着崩れは時代による顕著な変化は認められず、どの時代でも同様の着崩れ方、着崩れ量を示した。さらに、長襦袢とひとえ長着を比較すると、長襦袢の方が着崩れ量が大きく、長襦袢が緩衝機構となっていることが示された。
著者
松林 哲也
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.58-72, 2017 (Released:2020-03-01)
参考文献数
22

期日前投票制度の創設により投票率は変化したのだろうか。投票するタイミングや場所の選択肢が増えたことにより普段は投票に行かない人々が参加するようになったのであれば,投票率は向上したはずである。一方,この制度を利用しているのが普段から投票に行く人々であれば,投票率は大きく変化していないだろう。本稿は2005年から2014年にかけての衆院選における市区町村パネルデータを用い,市区町村内の期日前投票所数の増加により投票率が上昇したという暫定的エビデンスを提示する。この結果は,期日前投票制度が普段は投票に行かない人々の参加を促した可能性を示唆する。さらに,選挙の投票所数も投票率と密接に関連していることも示し,期日前投票所数と選挙日投票所数のどちらの変化が投票率により大きな影響を及ぼすかを議論する。
著者
松金 輝久 武永 康彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.743, pp.95-103, 2005-03-11
参考文献数
7
被引用文献数
1

計算量に関する研究において、最近ではテトリスのようないわゆる「落ちもの」ゲームの計算量にも興味が集まっている。本研究ではぷよぷよというゲームを取り上げる。一般化ぷよぷよの連鎖数判定問題のNP完全性を3-PARTITIONからの帰着によって示す。
著者
渡辺 澄夫
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.1145-1161, 2012-02-05

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
伊佐次 優一 乾 淳幸 佐藤 優 廣瀬 健太 山田 拓実
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.679-683, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
20

〔目的〕変形性膝関節症患者の膝蓋骨周囲へ筋膜リリースを実施し,膝関節屈曲可動域および膝蓋下脂肪体(IFP)の厚みの変化を検討した.〔対象と方法〕対象は膝関節屈曲可動域制限を有する高齢女性の内側型変形性膝関節症患者25例(年齢は70.9 ± 9.9歳,OA gradeは2.1 ± 1.0)とした.評価方法は介入前後に殿踵間距離(HBD)を測定し,IFPの厚みは超音波画像による短軸像にて計測した.介入方法は膝蓋骨離開リリース,膝蓋骨上方・下方リリースを各3分間実施した.〔結果〕HBDは平均14.2 cmから10.1 cmと改善し,IFPの厚みは,平均21.6 mmから20.7 mmと減少した.〔結語〕膝蓋骨周囲への筋膜リリースはHBDの改善に有効であった.IFPの厚みの変化による臨床的意義に関しては,今後さらなる検討が必要である.
著者
佐藤 実 山口 敏康 中野 俊樹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

水産加工品および加工原材料の多くを世界各地から輸入している我が国では、原産地での安全性確保に力を注ぐべきである。安全性を確保することの一歩として、諸外国水産物の品質を把握するため、我が国に輸出実績のある諸外国、フィジー、中国、フィリピン、タイ、カンボジア、オランダ、ドイツ、ノルウェー、ペルー、アメリカ、ポルトガルに直接出向いたり、取り寄せたりして水産物(魚類)とその加工品を入手し、ヒスタミンを分析した。平成15年度から平成18年度までの4年間に216検体を分析した。分析した全試料216検体中40検体で、魚粉を除いた試料210検体では34検体でヒスタミンが検出された。ヒスタミン検出率はそれぞれ18.5%、16.2%であった。高濃度のヒスタミンが検出された検体は、オランダの新鮮マグロ(1,439ppm)、タイの塩蔵品(1,964ppm)、フィリピンの鰹節(1,530ppm)であった。それらの魚およびその加工品を摂取すればほぼ確実にヒスタミン食中毒を発症すると考えられた。その他、ドイツ、オランダ、タイ、カンボジア、フィリピンの検体から100〜1,000ppmの範囲でヒスタミンを検出した。それらも大量に摂取した場合、ヒスタミン食中毒を発症する可能性が高いと考えられた。今回の調査結果は各国で経年的に報告されたヒスタミン中毒例を裏づける結果であった。ペルー産フィッシュミールでは全ての試料でヒスタミンが検出された(ヒスタミン検出率100%)。本調査研究では、世界各地で「魚類の化学的危害因子ヒスタミン、ヒスタミンチェッカーによる簡易・迅速測定法」の講演と、ヒスタミンチェカーのデモンストレーションを行い、漁業、水産加工従事者にヒスタミンに関する情報を提供し、魚類ヒスタミン管理に役立てるための啓蒙活動を行った。本調査研究により、水産物の品質管理の重要さ、ヒスタミンによる魚類品質管理の実践などを提案した。安全な水産物供給を実現するために大きく貢献したと考える。
著者
笠松 慶子 鈴木 哲 辛島 光彦 泉 博之 神代 雅晴 二宮 理憙
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.125-131, 2004-06-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

本研究では, 月経周期の月経前期, 月経期および低温期の三つの時期において2種類の実験作業における作業パフォーマンスと月経随伴症状の違いについて検討した. その結果, 単純反応型作業での総作業量と反応時間においては月経周期の時期の影響を受ける傾向があり, 低温期では他の二つの時期に比べて作業パフォーマンスが高いことが認められた. 状況対応型作業では月経周期の時期の影響は認められなかった. 月経期には身体的な変化, 月経前期には精神的な変化が強く現れた. なお, 本研究の被験者は7名と少数であり, 限定されたデータから得られた結果である.