著者
藤島 岳 森田 明美 杉山 憲司 天野 マキ
出版者
東洋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究プロジェクトにおいては、精神薄弱者の社会的自立尺度の作成を最終目的とした調査研究を行なった。調査研究に先立ち、教育、社会福祉の各分野の社会的自立概念に関する文献研究行なった。政策・研究レベルにおいて多様な解釈のある社会的自立概念の整理は調査研究の設計にも不可欠なものであった。次に精神薄弱者の自立度と関連要因を把握する調査票を作成した。各項目のクロス分析、及びそれらの自立生活形態別の比較から自立の要因を析出することによって自立の尺度の枠組を構築することができると考えた。調査実施にあたって今回は対象を在宅及び、グル-プホ-ムに居住する一般企業勤務者を絞り(但し1名は家事専業)各調査項目についてより掘り下げた回答を得ることができる面接聞き取り調査を実施した。養護学校高等部曽業生とグル-プホ-ム居住者の調査結果とその比較分析により、【○!a】自立生活の要素である経済的自立(職業的自立)、生活能力の自立がそれぞれ公的、私的に支援されている実態、【○!b】自立にとって重要なファクタ-は何かが「できる」という能力というよりも他者(対社会)とのコミュニケ-ション能力や精神的安定であり、障害が軽度であってもそれらへの援助が不可欠であること、【○!c】結婚が自立を促進し、生活の安定を図る要素となりうること、【○!d】識字・計算能力と社会生活能力の関連性の低さ等が改めて明確にされた。また自立能力の開発機能としての教育のあり方についてもいくつか課題があげられた。調査期間、調査規模(予算)の限界から、今回は面接聞き取り調査結果を元にした調査票の修正によるあらたな調査票(尺度)に作成、自立尺度作成の方法論の提起に留まった。クロス分析、多変量解析による自立の要因分析を通した自立尺度の作成には調査対象の拡大、統計的調査が不可決であり、次回の研究として継続する。
著者
川添 豊 紺野 邦夫 鈴木 日出夫 高橋 和彦
出版者
名古屋市立大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

「目的」リグニン類のエイズ治療薬としての可能性を確立する事を目的として、quasi-in-vivoとでも言うべきassay法を採用し検討した。即ち、動物モデルの確立していないエイズ薬選別には、一般に、細胞レベルの効力判定にたよっているのが現状である。多くの候補リグニン類の中から、今回は、p-coumaric acidの脱水素重合体(DHP-pCA)を選び検討を行った。「結果と考察」合成リグニンをマウスに静脈内投与し、経時的に血清を採取してその抗HIV活性を測定したところ、投与直後から5時間にわたって、血中に有効な抗HIV活性が持続し、その活性は時間依存的に減衰し24時間後には消失することが明かとなった。これによりリグニンが抗HIV薬として非常に有望であることが示された。また、その活性本体は血清の熱処理によって消失しないことも明かとなった。おそらく、投与されたリグニンは生体成分によって不活性化されることなく10時間程度は有効濃度が維持されるものと考えられる。経口投与では、静脈内投与に比べ有効性は低いが、効果を発現していることも示された。これらの検討の過程で、合成リグニンの静脈内投与後15分から30分の間、血清中に細胞毒性因子が誘導されることが明かとなった。しかし、この因子は抗HIV活性本体とは異なるものである。この毒性は一過性のものであり、治療上支障があるとは考えられない。事実、マウスに対して、100mg/kg以上の連続投与によっても何等の毒性も検出されない。合成リグニンとしてp-クマ-ル酸、フェルラ酸、カフェー酸の重合体を用いて検討を行ったところ、毒性に関しては、フェルラ酸を前駆体をする合成リグニンが最も優れていることが判明した。今後、本格的な毒性試験を行う予定である。
著者
大竹 才人
出版者
愛知工科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

DNAは機能性材料としてバイオナノデバイスへの展開が期待されており、それに必要なDNAナノパターニング技術の開発が求められている。また、オーダーメード医療などの次世代診断に向けて簡便で高感度なDNAセンサが求められている。そこで本研究では、ナノインプリント技術を利用してDNAセンサ開発に向けたDNAのナノパターニングを試みた。ナノインプリントのレジストとして、DNAと強い相互作用を有するポリマーとして知られているポリ-L-リジン(PLL)をガラス基板上に用いた。まず、ガラス基板上のPLL薄膜をSiモールドを用いて120℃、6MPa、5minの条件でナノインプリントした。その後、この基板上に1mg/mlDNA溶液を滴下して2分間紫外光照射して、熱湯で洗浄することでDNAナノパターンを得た。これは、ナノインプリトによってPLLがナノパターン状に改質されて、そのナノパターン部位がDNAをより強固に固定化するためであると考えられる。
著者
小松 志朗 浅井 雄介
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-07-18

本研究の目的は、グローバルな感染症対策における人の国際移動の管理の課題と、その解決策を明らかにすることである。前年度の研究において課題の方は概ね明らかにできたので、今年度は解決策の検討に重点を置いた。本研究では、航空機による移動に焦点を絞っていることから、人の国際移動の管理とは空港での国境管理を意味する。国境管理の具体的な中身は移動制限(渡航制限)をはじめとして様々なものがあり、それらを効果的に組み合わせて感染症の輸入リスクを低減させること、あるいは国内対策の準備のために「時間稼ぎ」をすることが管理の目的であり、しかもそれを資源と時間が限られた状況下で実現しなくてはならない。この点については、各国政府にとって国境をどの程度開放/閉鎖すべきなのかという問題は判断の難しい「究極の選択」であると考え、他分野の類似の問題との比較もしながら理論的、倫理的な考察を深めた。そのようにして解決策の骨格を描く一方で、最も有効な国境管理のあり方を具体的に示す理論上のモデル(グローバル管理モデル)の構築を目指し、特に重要な管理措置である移動制限の効果を測るために、投薬、ワクチン接種、感染者の隔離という3つの措置と比較するシミュレーションを行った。その結果、移動制限は10%の制限でも効果があり、理論上は他の3つよりも効果的な措置であることが明らかになった。ただし、その効果は制限の開始時期に大きく影響を受け、開始が遅ければ大流行を防げない可能性が高いことも分かった。移動制限の効果と限界を理論的に把握したことで、グローバル管理モデルの構築の土台を固めることができた。
著者
栃木 衛
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

自閉症遺伝研究において父親の生殖細胞(精子)を用いてエピジェネティックな解析を行うことの意義について理論的検討を行うと共に、マイクロアレイを用いたDNAメチル化のゲノムワイドな定量方法の確立を目指し、血液由来DNAを対象としてマイクロアレイによるメチル化解析の予備的検討を行った。定量方法の検討の結果では、同一サンプルであっても必ずしも十分な再現性が得られない場合があり、評価方法にさらなる検討を要することが判明した。
著者
田村 啓敏
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究成果は次の4点である。1)迅速な機能成分の単離法として、QuEChERS法を開発できた。2)サツマイモでは、鳴門金時芋が強い活性を示し、玉ねぎでは、香川産のものが高い活性を示し、活性物質はquercetin 4’-glucosideであると明らかにした。タイ産のサツマイモの活性は弱かった。3)抽出物の活性試験結果と各成分の濃度との相関をPeason’s correlation coefficientにより計算し、高い相関値から機能成分の選抜ができた。4)調理過程で抗アレルギー活性が変化しない、あるいは煮沸により活性が高まることがあることがわかり、調理が機能増進に役立つことが分かった。
著者
上野 幹憲
出版者
熊本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

後天性免疫不全症候群(エイズ)はヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染することにより,免疫細胞を破壊して免疫不全を起こす疾患である。本邦ではHIV感染者1.9万人,世界では2017年現在で3,690万人に昇る。現在では,逆転写酵素阻害剤の発見,その後の新薬の開発により治療が可能になった。しかしながら,エイズを根治する治療法は未だ確立されていない。本研究では,新たな治療薬の開発のため,抗HIV活性を有する海藻由来生理活性物質の探索を行った。市販のアオサ,コンブ,ヒジキ,ノリをサンプルとし,水抽出(水溶性画分)とエタノール抽出(脂溶性画分)をそれぞれ抽出した。その後,HIV-1 (R9)とTZM-bl細胞を用いて抗HIV-1活性を検討した。水溶性画分では,アオサ,コンブ,ヒジキにおいてHIV-1の初期感染を有意に抑制した。脂溶性画分において,コンブのみ初期感染を抑制した。これまでの報告により海藻由来多糖類であるフコイダンは抗HIV-1活性を有することから,海藻由来多糖類であるアスコフィラン,アルギン酸,フコイダン,ポルフィランの抗HIV-1活性を比較検討した。アスコフィラン及びフコイダンではHIV-1 (R9およびJR-FL)の初期感染を強く阻害した。一方で,アルギン酸,ポルフィランは弱い抗HIV-1活性を示した。しかしながら,HIV-1感染細胞内ウイルス量への影響が無かったことから,これら多糖類はHIV-1の初期感染を抑制すると考えられた。さらに,硫酸基を持つ化合物が血中のアルブミン(BSA)により抗HIV-1活性が阻害された報告より,10%FBSおよび50%FBS存在下でHIV-1初期感染を検討した。アスコフィラン,フコイダンの抗HIV-1活性が50%FBSにおいて低下したことから,これら海藻由来多糖類の抗ウイルス活性は非特異的であると考えられた。
著者
坂巻 路可
出版者
西南女学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ハルマンとノルハルマンはヘテロサイクリックアミンの一つでタバコ煙中や調理した食品中、酒等のアルコール飲料にも含まれ、代謝されるとアニリンと結合して変異原物質となり、DNA損傷性を著しく増強し癌化の原因となることが知られている。また、パーキンソン症候群様の振戦や幻覚症状を引き起こすことや、それらを含むパッションフルーツのサプリメントによる鎮静作用も報告される等、神経系への影響も示唆されている。本研究では昨年度に引き続きβ-carboline化合物のカテコールアミン神経系への作用についてウシ副腎の初代培養細胞を用いて検討した。(1)Norharman≒Harman>Harmine≧Harmaline>Harmolの順でβ-carboline化合物はアセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌を抑制した。(2)Norharmanはニコチン性アセチルコリン受容体刺激や電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌、Ca influxとNa influxをいずれも濃度依存的(10-100 μM)に抑制し、電位依存性Caチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌とCa influxは100 μMでのみ抑制した。ニコチン性アセチルコリン受容体刺激による分泌反応抑制は非拮抗阻害であった。(3)Norharmanはカテコールアミン生合成を濃度依存的(10-100 μM)に抑制した。(4)Norharmanはアセチルコリンによるチロシン水酸化酵素の活性化を抑制した。この抑制作用はチロシン水酸化酵素ser40のリン酸化阻害によるものであった。以上のことから、ノルハルマンはニコチン性アセチルコリン受容体を介するNa^+,Ca^<2+>流入を阻害することにより、カテコールアミン分泌・生合成を抑制することが示された。
著者
西森 克彦 東田 陽博 尾仲 達史 坂本 浩隆 黒田 久美 八尾 寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

脳内オキシトシン(OXT)と受容体は社会行動の制御機能を持ち、ヒト鼻腔投与OXTが社会性を高める事から自閉症への投与試験も開始された。本研究ではOXTR発現性神経の社会行動制御機構を解析した。まずOXTによる5-HT分泌制御の役割を解析した。そして、社会識別時にMeAのOXTR発現神経の多くでc-Fos活性化を検出した。5-HT神経特異的OXTR遺伝子KOマウスを作製、当該神経の機能解析を行ったが社会記憶の障害は見出せなかった。体温調節能に関わる淡蒼縫線核のOXTR発現性Glutaminergic神経を見出した。一方、OXTR発現性I型味細胞の解析を進め、その性質について新しい情報を得た。
著者
久我 健一 萩原 学 山本 光晴
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

我々は幾何的トポロジーにおいて位相同型写像を作る基本的な手法を提供するビング収縮定理を証明支援系Coq/SSReflectを用いて形式化した。この定理は直感的には異なるように見える空間の間に位相同型写像を与える時に用いられる。この定理の重要な応用例の一つはフリードマンによる4次元ポアンカレ予想の解決であり、そこでは、キャッソンハンドルと標準的ハンドルの間の位相同型写像が構成される。我々は、この定理を形式化するために、まだ多くの形式化を必要とするが、本質的な困難は形式化に必要な膨大な時間だけであると考えている。我々は形式化の負担軽減の目的で、Coqへの簡単なpythonインターフェースも作った。
著者
住谷 さつき 原田 雅史 上野 修一
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

機能性精神疾患における神経細胞の機能や代謝の異常を解明するために、3Teslaの高磁場MR装置を用いて気分、不安障害患者の帯状回、左右基底核におけるプロトンMRS (proton magnetic resonance spectroscopy:^1H-MRS)の撮像を行った。中でもこれまで検出困難であったグルタミン酸やGABAなどの脳内アミノ酸神経伝達物質の変化に注目した。強迫性障害患者は帯状回でN-acetyl aspertate: NAAの有意な低下がみられグルタミン酸も健常者と比較して有意に低値であった。GABAは低値となる傾向があるものの、有意な差は見られなかった。基底核における強迫性障害患者のNAAは健常者と比較して高い傾向があり、右が左に比べて有意に高かったが、脳内アミノ酸神経伝達物質は健常者との間に有意な差はなく左右差も見られなかった。パニック障害患者では右基底核におけるグルタミン酸+グルタミンが健常者よりも有意に高かった。大うつ病障害患者では帯状回でグルタミン酸が健常者よりも有意に低かった。今回の研究では高磁場装置による強迫性障害、パニック障害、大うつ病における脳内アミノ酸神経伝遠物質の定量が行われ、それぞれの疾患に特有な脳部位における脳内代謝物変化が生じているという知見を得た。今後は症例数を増やし臨床症状の特徴との関連、薬物の影響を検討し、治療前後での比較を行うことを計画している。
著者
松林 嘉孝 筑田 博隆 齋藤 琢 谷口 優樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では本邦で行われた頚椎後縦靭帯骨化症(頚椎OPLL)のGWASで同定された疾患修飾候補遺伝子のひとつであるRSPO2のOPLL発症およびOPLL伸展における機能解明を目指して開始した。まずヒトサンプルおよびマウスのティッシュパネルにおいてRSPO2が後縦靭帯に発現していることを確認した。また手術で得られた頚髄症患者および頚椎OPLL患者の黄色靭帯での発現比較において頚椎OPLL群で有意にRSPO2の発現が高かったことからRSPO2がWnt活性化因子であることをあわせて、我々はRSPO2のgain-of-functionがOPLLの発症に関与しているという傍証をえた。またヒトOPLLサンプルやヒト黄色靭帯骨化症サンプルにおいて骨化前線部の靭帯細胞でコントロールと比較してRSPO2の発現が有意に上昇していることも確認した。次にヒト脊椎靭帯細胞で実際にRSPO2が骨化を誘導することが可能か検証すべく実験を行った。まず手術で得た黄色靭帯からCD90陽性の間葉系幹細胞とCD90陰性の靭帯細胞をフローサイトメーターを用いて分離培養する系を確立した。続いて同系にて得られたCD90陽性の細胞群にRSPO2を添加することで実際に骨芽細胞分化が誘導されることを確認した。またOPLLはメカニカルストレスのかかる部位で進展悪化することが知られているが、実際に上記系で得られたCD90陰性の靭帯細胞にメカニカルストレスをかけることでRSPO2の発現が上昇することも確認でき、靭帯内では靭帯細胞でのRSPO2の発現・分泌上昇が靭帯内間葉系幹細胞の骨芽細胞分化を促進している可能性が考えられた。最後にRSPO2のCre誘導性トランスジェニックマウスを作出し、様々なCreマウスを交配することで実際に靭帯骨化症が誘導できるかを検討したが現時点では、靭帯骨化が確認されるには至っておらず現在も交配と解析を継続しているところである。現段階までの成果を現在英語論文にまとめ、投稿中である。
著者
竇 毅
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

地下熱、産業排熱等未利用エネルギーは都市域にも豊富に存在し、それを最大限活用することは持続可能な低炭素社会への転換に対して重要な手段である。本研究では、次世代地域熱供給、高効率ヒートポンプ、大規模蓄熱等技術開発の進捗を把握しながら、地域エネルギー需給の時空間分布に応じた広域熱交換ネットワークの計画と評価モデルを開発することで、経済性と環境性両方を考慮して未利用熱を最大限活用する地域エネルギー計画方法を提示する。
著者
今井 典子 高島 英幸 杉浦 理恵
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成30年度は研究2年目にあたり,H29年度に実施したPilot 調査を基に,実施する文法問題の精査,調査グループ(3グループ)の授業内容の変更・修正を行い,本調査を実施した。具体的には,平成30年9月28日(金)~ 12月3日(月)の期間,本調査をPilot 調査とは異なる中学校で実施した。手順は,①pre-test(アンケート調査,文法テスト),②検証授業,③Post-test(文法テスト),④Delayed post-test(アンケート調査,文法テスト)であった。②の検証授業では,ビデオ撮影も行い記録した。検証授業の最後には,自由記述を含めた「振り返り」を生徒に記入させ,授業に対する取り組みや意識を調査した。文法テストで使用した28問に関しては,Pilot 調査でのデータ結果を項目弁別力指数(あるテスト項目が英語能力の高い受験者とそうでない受験者を弁別,あるいは識別することができたかどうかを検討するための指数)を考慮し精選した問題である。9月12日(水)に実施する中学校を訪問し,学校長,副校長,英語科教員3名に対し,調査の目的や内容,3グループそれぞれの学習指導案,事前事後のアンケートと文法問題,授業の振り返りシート,言語活動,などを実際に示し,質問なども受けながら説明させていただいた。調査から得られた分析結果・考察を平成31年2月15~17日に開催された,30カ国よりおよそ1700名の参加者のあった国際学会15th Annual Cam TESOL Conference on English Language Teaching(審査有)で研究内容を口頭発表した。また詳細に記述した報告書(全29 ページ)をもとに,3月下旬に実施中学校にて結果報告を行った。3月には,最終年度である平成31年度の計画を検討し,確認した。
著者
阿部 智和
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,開発組織を対象として,オフィス空間の物理的特性がそこで働く者のコミュニケーション・パターンにどのような影響を及ぼすかということを実証的に明らかにした.より具体的には,職務遂行上で重要な内容に関するコミュニケーションについて,(1)組織メンバーの物理的距離が隔たるほど対面コミュニケーションの発生回数は劇的に低下すること,(2)距離が隔たることによる対面コミュニケーションへの影響は組織設計によって減じることはできないこと,等を明らかにした.
著者
川畑 貴裕
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では原子核におけるアルファ凝縮状態を系統的に探索し、その存在を確立したうえで、エネルギーや崩壊幅から低密度核物質の物性を明らかにすることを目的とする。α凝縮状態は低エネルギーアルファ粒子を放出しつつ崩壊すると考えられているため、これを検出するために、近年発展の著しいニューラルネットワーク技術を導入して従来手法の限界を超えた新しい低エネルギー荷電粒子識別技術を確立する。そして、陽子数と中性子数の等しい質量数 A = 4N の原子核に対し0度を含む超前方角度におけるアルファ非弾性散乱と低エネルギー崩壊α粒子の同時計測を行い、アルファ凝縮状態を探索する。
著者
川畑 貴裕 久保野 茂 伊藤 正俊 松田 洋平 秋宗 秀俊
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

4He(アルファ粒子)が2つのアルファ粒子を逐次捕獲して12Cを合成するトリプルアルファ反応は、宇宙における元素合成過程において最も重要な反応のひとつである。しかし、高温あるいは高密度な極端環境下におけるトリプルアルファ反応率には、既知の値に比べ数倍から100倍も増大する可能性が指摘されており、大きな問題となっていた。本申請課題では、・逆運動学条件下における12Cからのアルファ非弾性散乱の測定・新しいアクティブ標的を用いた12Cからの中性子非弾性散乱の測定により、極端環境下におけるトリプルアルファ反応率を決定し、宇宙における元素合成過程を明らかにすることを目指す。
著者
本田 与一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

木質系バイオマスは、食糧と競合しない循環型のバイオマス資源として、その変換利用に社会的要請が高まりつつある。白色腐朽菌(キノコ)の仲間は、木材中に存在する難分解性の高分子リグニンを分解する能力を持っており、その特有の酵素群を大量に調整することができれば、木質バイオマスの利用におけるエネルギーや環境負荷を大きく低減することが期待されている。本研究では、リグニンを分解する酵素がどのような発現制御を受けているかを明らかにするための基礎的な研究を行った。
著者
太田 悠介
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

β-カルボリン骨格は生物活性天然物に広く存在する基本骨格であり、その効率的構築は天然物や医薬品合成分野において重要な課題の一つである。報告者は、最近開発した三成分インドール形成反応を用いれば、官能基化されたβ-カルボリン骨格がワンポットで効率的に構築できると考えた。検討の結果、N-(p-クロロベンゼンスルホニル)-2-エチニルアニリン、アルデヒド、及びN-メチルエタノールアミンを銅触媒存在下において反応させ、2-(アミノメチル)インドール形成後、t-BuOKを加えたところ、目的の置換β-カルボリン誘導体を効率的に得ることに成功した。一方、一価の銅塩(5mol%)を触媒として、マイクロ波照射中、N-メチル-2-エチニルアニリン、(HCHO)n、様々なN-アルキルグリシンや不斉中心を有するアミノ酸誘導体を用いてインドール誘導体形成後、メタンスルホン酸を加えさらに加熱すると、目的のβ-カルボリン化合物が効率的に得られることを示した。一方報告者は最近、四成分3-(アミノメチル)イソキノリン合成法を開発した。本法をさらに展開し、t-BuNH2の代わりに分子内に求核的官能基の有するアミンを用いればイソキノリニウムイオンに対して分子内求核攻撃が進行し、イソキノリン縮環型多環式骨格が形成されると考えた。検討の結果、酸素雰囲気下2-エチニルベンズアルデヒド、(HCHO)n、及び二級アミンを触媒量の塩化銅の存在下で反応させ、プロパルギルアミンの生成後、ジアミンを加えさらに反応させた。その結果カスケード環化、酸化反応を経て3-(アミノメチル)イソキノリン縮環型多環式化合物を高収率で得ることに成功した。本法は入手容易な各成分を用いた多様性指向型イソキノリン合成法として有用である。