著者
Hiromi Koike Takao Kawano Takeshi Iimoto
出版者
Hirosaki University Press.
雑誌
Radiation Environment and Medicine (ISSN:24239097)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.74-79, 2023-02-27 (Released:2023-03-04)
参考文献数
18

Naturally radioactive sources were developed using three easily available and familiar substances: potassium chloride, instant coffee, and kelp. The radiation fields that they generated were actual measurements using various instruments to adapt the sources to school radiation education. It was quantitatively found that the potassium chloride source can be used for qualitative experiments on β-rays. The latest national Courses of Study published by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science, and Technology (MEXT) have been applied since 2020. By the results of our measurements with the Courses of Study, an example of experimental training using naturally radioactive sources: “Absorption training Experiment of β-rays Using Shielding Materials” was developed. We believe that the widespread application of naturally radioactive sources made of familiar materials will make it easier for schoolteachers to carry out radiation experiments in their classes and contribute to establishing the publicʼs literacy on radiation.
著者
斎藤 理香
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.214-226, 2019-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
11

1980年代以降に発表された「反省的女性史」は、婦人運動家や思想家、さらには銃後の役割を担った女性たちの戦争協力という加害性をあぶりだすことを可能にした。本論は、そういった加害性から導かれる、戦争への「主体的」「能動的」と目される態度や行動の意味を「国民化」状況、すなわち個人に「権力」が及ぼされる状況において、「中動態」という概念を導入して検討した試論である。「中動態」とは、言語学で用いる能動態―受動態という対立概念が成立する以前に存在していた、能動態と対をなす概念である。中動性は、近代における行動基準として自明とされる主体性や意志の介在しない行為や事態において見出される。この概念を用いることによって、戦前・戦時のフェミニスト、一般の女性、支配者の間で、戦争責任の質的な分別が可能になる。ただし、中動性が女性たちの戦争責任を免罪するわけではないことも併せて提唱したい。
著者
秋田 一雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.310-311, 1996-08-15 (Released:2017-05-31)

2 0 0 0 OA 柿澁の化学

著者
中林 敏郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1149-1154, 1968-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

今, 酒屋の店頭には皆テリのよい酒が並んでいる。これは商品として至上命令であるからである。そのオリ下げ法には柿渋を中心とした方法と酵素法などがある。私共は経験的に柿渋法のすぐれていることを知っている。しかし, その効果がどうも一定しないとか, その品質がわからないなど問題も多い。柿渋についての知識を正しくかつ豊富にするためにぜひ一読願いたい。
著者
黒瀬 圭一 野田 航
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.46-57, 2022 (Released:2022-02-28)
参考文献数
15

本研究の目的は,小学校5年生学級において,学級規模ポジティブ行動支援を実施し,その効果を検証することであった。学級規模ポジティブ行動支援では,学級目標をもとに学級担任と児童が共同でポジティブ行動マトリクスを作成し,目標行動を決定した。その後,特に集中的に改善に取り組む目標行動として,学級担任が話し出したときにきりかえて話を聞く行動(きりかえ行動)と児童同士で教え合う行動を選定した。その後,これらの目標行動に対して行動支援計画表を作成し,介入を実施した。介入実施中にも,児童と取り組みの経過を確認しながら介入方法を修正していった。介入効果を検証するために,きりかえ行動の回数および教え合い行動をしたことを報告するカードの枚数を測定した。また,日本版SLAQ(大対ら,2013)も実施した。介入の結果,目標行動が増加し,学校肯定感も有意に向上したことが明らかとなった。
著者
矢野 宜昭
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.140, no.1, pp.28-31, 2012 (Released:2012-07-10)

信頼性保証が広義の品質保証であること,ならびに品質,品質保証および品質保証の手法を概説した.適合性調査は,申請資料の規則適合性評価と捉え,品質保証との関係を論じた.
著者
Roberto Lombardo Daniel Murcia-Moreno Dumas Gálvez
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.91-93, 2023-12-10 (Released:2023-12-10)

Spiders are nearly omnipresent in tropical regions, throughout a vast range of habitats, where they act as top predators of other invertebrates. On islands, spiders may assume the role of larger mainland predators in regulating invertebrate populations. This study documents a novel predator-prey interaction between the wandering spider Ancylometes bogotensis and the land crab Gecarcinus quadratus on Coiba Island Panama Pacific. We briefly discuss the ecological implications of this predator-prey relationship and the potential influence of marine subsidies on the island’s terrestrial ecosystem.

2 0 0 0 OA 直弧文考

著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.151-156, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

わが国古墳時代に, 「直弧文」という独特な文様がある。なぜか他国にその類例がなく, また6世紀後半以後, 国内にもそれを伝承するものはみられない。その定形は装飾古墳の石障, 石棺などに施されたもので, 正方形に近い方形を枠として, その2本の対角線と, 帯状のテープがからみ合った図柄である。また貝輪などの装飾に施されたものは, 方形の枠はなく, 不整形な文様となっている。その構成はひじょうに複雑であり, しかも動きの表現, とくにほとんどが回転運動をあらわしている。ここではそれらの代表的な作例3点について, できるだけ具体的に, 分析, 考察して, その特質を明らかにしようとする試みを述べる。
著者
大石 醒悟
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.240-247, 2020-02-10 (Released:2021-02-10)
参考文献数
25

患者及び家族の苦痛へ介入し,QOL(quality of life)向上を図るアプローチである緩和ケアは,本邦において,がん領域で先行して進められてきたが,慢性の進行性疾患である心不全でもそのニーズは存在し,提供されるべき医療である.本稿では,心不全の緩和ケアの概念及びその実践における主たる課題である,意思決定支援及び症状緩和の方法論に関する現状を述べる.
著者
下平 剛司
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.91-96, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
12

科学の健全な発展のためには,科学や研究における適切な行動規範,研究倫理が重要である.科学の行動規範や研究倫理は記述的であり,それらを包括して理解するための理論的枠組みの検討は研究倫理に関する議論を深めるための重要な基礎的作業である.本研究では科学の営みとその倫理の関係性を捉えるための理論的枠組みを模索し検討するために,科学における倫理的行動について定式化を行った.倫理や規範に関する行動(文化形質)と,科学コミュニティへの所属・アイデンティティの認識に焦点を当てて定式化し,これらの関係性についてマトリクス形式での整理と解釈を検討した.また,倫理的立場の違いや規範とアイデンティティの衝突について議論できる可能性や,科学的活動のプロジェクトにおいて倫理的行動を取るための方策の議論やシミュレーション研究への発展の可能性など,本研究の発展可能性について検討した.
著者
川原 宇央 石橋 裕 石橋 仁美 石井 良和
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.294-304, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
16

本研究は,日本で行われている人間作業モデル(以下,MOHO)に基づく作業療法実践の特徴を検討することを目的とした.方法は日本で発表されたMOHOを用いた事例報告を対象に計量テキスト分析を行い,テキストデータからMOHO実践の特徴を捉えた.その結果,最も多く実践で用いられる治療戦略は“明らかにする”であった.また,日本のMOHO実践は7つのカテゴリに分類された.これらのカテゴリのなかでも,クライアントと作業の関係性を明らかにすることに重きを置いていた.実践家はMOHOにより明らかになった作業を基にクライアントの支援を組み立てていた.
著者
熊野 浩太郎
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.448-453, 2008 (Released:2008-12-31)
参考文献数
47
被引用文献数
2

ヒトパルボウイルスB19は,小児における伝染性紅斑の原因ウイルスであるが,その他にウイルス直接の障害として,溶血性貧血患者におけるaplastic crisisや免疫不全者における慢性赤芽球癆や胎児水腫の原因となる.また,免疫学的な機序として関節炎や急性糸球体腎炎を発症することが判明している.その他に,関節リウマチや,血管炎,血栓性微小血管障害などとの関連を指摘する報告もある.成人発症例では,関節炎の遷延化により関節リウマチとの鑑別や,補体の低下や自己抗体が検出されることから全身性エリテマトーデスとの鑑別も要する.このように様々な疾患との関連が報告されている感染症であり,また臨床面ではリウマチ膠原病疾患との鑑別を要する重要疾患である.
著者
渡辺 樹 中島 弘美 門田 耕一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.269-274, 2005-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
22

食肉検査時に発見された豚の子宮腫瘍16例を病理解剖学的, 病理組織学的および免疫組織化学的に検査した.腫瘍を認めた豚はすべて2~4歳の繁殖豚で, 単発性が9例, 多発性が7例で, ほとんどが子宮角に存在していた.腫瘍細胞は束状および渦巻状配列を示し, 交錯していた.核は楕円形から長楕円形で, 両端が鈍であった.免疫染色では全症例の腫瘍細胞が, α-平滑筋アクチンとデスミンに対し陽性反応を示し, 15症例中13症例がビメンチンに陽性であった.これらの成績から検索した子宮腫瘍はすべて平滑筋由来と考えられた.一般に腫瘍細胞の核分裂像は目立たなかったが, 強拡大で10視野あたり4~5個みられる症例が1例あった.増殖細胞核抗原陽性細胞は, 0~85%とさまざまであった.他臓器への転移がなく, 核分裂像も少ないことから, すべての症例を良性腫瘍と診断した.