著者
佐藤 達男
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.26-51, 2015 (Released:2018-03-30)

This study aims to investigate Nakajima Aircraft Company's airframe business and its production efficiency during WW II in comparison with Mitsubishi Heavy Industries.During the Pacific War, Japanese aircraft production was essentially based on job shop system for parts fabrication and sub-assembly. Nakajima Aircraft Company the largest aircraft manufacturer of war-time Japan and Mitsubishi Heavy Industries the second largest utilized both job shop and production line systems for their airframe final assembly lines depending on each plant situations. The United States Strategic Bombing Survey reports evaluated that Nakajima's airframe production system was more developed than that of Mitsubishi, which adhered to original, old-fashioned job shop system. This was substantiated from the fact that Nakajima expanded its production by 1944 to more than eight times of its 1941 production, and Mitsubishi produced only three times for the same period.However, in production efficiency measured by airframe weight produced per month per employee, Mitsubishi was predominant until August to October 1944. A positive correlation was observed between production efficiency and monthly number of airframe production. Mitsubishi's improvement degree of production efficiency agreed well with the estimation by learning curve theory, but Nakajima's improvement of production efficiency far exceeded the estimation. This is considered to be the effect that Nakajima's labor utilization rate, which was approximately half of that of Mitsubishi in September 1943, might have increased rapidly as the monthly airframe production increased. The difference of the final assembly line did not have decisive influence on the production efficiency, but the increase in the number of monthly airframe production was influential.The production efficiency continuously increased as the monthly airframe production increased, and then dropped sharply from the end of 1944 and after due to the rapid decline of monthly production, which was caused by shortages of essential materials and engines, US air raids from November 1944 and after, factory evacuation, and labor shortage.
著者
橋本 鉱市 村澤 昌崇 保田 直美 井本 佳宏 白旗 希実子 丸山 和昭 日下田 岳史 谷村 英洋 荒井 英治郎 石井 美和 高橋 望 高橋 哲 小島 佐恵子 勝野 正章
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

近年、教育課題の複雑化に対し、限られた予算と人員の下に効率的に対応する手法のひとつとして、教育専門業務のアウトソーシング(OS)が模索されている。本研究は、就学前教育、初等中等教育、高等教育の各段階で進むOSの実態と影響を、総合的かつ実証的に分析し、これからの教育専門職のあり方、外部機関との連携における課題、方策を示すことを目的としている。研究計画としては、①国際比較調査:文献調査及び訪問調査を通じ、教育分野における専門業務のOSを促したマクロレベルの要因を解明する。②質的調査:教育機関、教育専門職、及びアウトソーシングを担う外部組織への聴き取り調査を通じ、OSが教育専門職の業務に与える影響や、必要な方策について明らかにする。③量的調査:質問紙調査及びWeb アンケートを通じ、我が国の教育分野における専門業務のOSの実態と潜在的な需要を把握する。上記3課題に関する初年度の研究実績としては、以下のとおりである。①英国への訪問調査を実施し、マンチェスター大学の研究者、全英教員組合の専門職員、民間教員研修プロバイダーから、教員研修民営化の現状と課題についての詳細な情報供与を受けるとともに、 それぞれの視点・立場での認識を聴き取った。民間教員研修の質保証という課題のほか、教職の専門職性の変容との関係についても示唆が得られた。②初中等レベルでは、学校における働き方改革に関連する基礎的作業として分業化、協業化の精査を進め、東北地方のA県ならびにB市の教育委員会関係者とラポールを形成した。また高等教育レベルでは、都下5大学の教職員に対する聞き取り調査を行った。③初中等レベルでは、小学校・中学校・高校の教員に対し教育業務のOSに対する意識に関する質問紙調査のたたき台を作成し、調査対象地域の選定を行った。高等教育レベルでは、大学教育のOSの現状を明らかにするための質問紙調査の設計を進めた。
著者
三上 岳彦 永田 玲奈 大和 広明 森島 済 高橋 日出男 赤坂 郁美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100193, 2017 (Released:2017-10-26)

筆者らの研究グループでは、東京首都圏におけるヒートアイランドと短時間強雨発生の関連を解明する目的で、気温・ 湿度(143地点)、気圧(49地点)の高密度観測(広域METROS)を行っている。2015年7月24日の14:00-15:00に、東京南部の世田谷区を中心に時間雨量が約50mmの短時間強雨が発生した。そこで、この日の短時間強雨について、事例解析を行った。この事例解析から、世田谷付近で増加傾向を示す短時間の局地的豪雨の要因として、降雨開始3時間前頃に高温域が形成されると、その約1時間後に熱的低気圧が発生し、さらに2時間後には、南からの海風進入による湿潤空気の流入で水蒸気量が急激に増加して豪雨となると考えられる。豪雨開始と同時に急激な気圧の上昇が起こるが、これは発達した積乱雲内部での強い下降流によるものと推察される。

19 0 0 0 OA 初等科地理

著者
文部省 編
出版者
文部省
巻号頁・発行日
vol.下, 1943
著者
松下 千雅子
出版者
関西大学人権問題研究室
雑誌
関西大学人権問題研究室紀要 (ISSN:09119507)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.41-52, 2020-10-31

本研究はJSPS 科研費 JP16K13136の助成を受けたものである。
著者
三浦 麻子 飛田 操
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.124-136, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
24
被引用文献数
6 4

本研究では, 集団創造性に影響を与える要因として成員アイディアの多様性を取り上げ, その効果を実証的に検討した。多様性の高い集団による相互作用過程においては, 集団が創造性パフォーマンスを発揮する可能性が高まり, 集団の創発性が生まれることが期待される。しかしその一方で, コミュニケーションにおいては葛藤を生じやすくさせる方向で機能することが考えられる。実験1では, 集団成員の個人レベルのアイディア創出結果にもとづいてアイディアの多様性を分類し, 集団の創発性と成員の心理的変数に対する効果を検討した。しかし, 予測したような多様性の効果は見られず, 成員アイディアの多様性が十分な効果を持つためには, より円滑なコミュニケーションを促進するような, 類似性や共通性を有することが必要となることが示唆された。そこで, 実験2では, 成員のアイディアの多様性に加えて類似性についても検討し, この2つの基準にもとづいて集団を分類した検討をおこなった。その結果, 多様性と類似性の相乗効果によって, 集団の創発性が高められる可能性が示された。以上の研究結果から, 集団が創造的となるためには, 成員相互の多様性と類似性がともに必要となることが示唆された。
著者
李 常慶
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-15, 2006-03-20 (Released:2017-05-04)

中国では,1990年代から2000年代の始めにかけて,『四庫全書』続修の一環として,四庫全書関連大型叢書,すなわち,『続修四庫全書』,『四庫全書存目叢書』,『四庫禁毀書叢刊』が刊行された。本稿は,まずそれらの刊行要因およびその経緯について詳しく検証した。ついで,それをもとにして,広い文化的視野から四庫全書関連叢書の刊行事業を分析した。これらの考察を通じて,古典籍の整理と刊行は,古典籍を保護し伝承するのに必要なものであること,および,これらの叢書が単に出版物として読者に益をもたらすのみならず,その出版自体が大きな文化史的意味を持つものであることを明らかにした。