著者
織田 竜也
出版者
長野県短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

デジタルコンテンツの「舞台探訪」は、宗教的巡礼(聖地巡礼)とも観光現象(コンテンツツーリズム)とも称される面があるが、複数地域での調査から、コンテンツの世界観と現実世界を混交させることで楽しみを生み出す遊戯的活動だと確認された。現場では歴史的・民俗的フィクションを接合することで現実世界を変容させる工夫が施されていた。今後はコスプレやゲーム性を高めることでARG(Altenate Reality Game)へ展開すると推測される。
著者
高山 毅
出版者
尾道市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

携帯端末上でのソーシャルメディア向け超軽便レコメンデーションを行なう際に、最も適切なのは、「(1)コンビニ会社L社やファーストフードM社等に見られるような、商品販売側が開設しているコミュニティサイト」上でのやり取りに基づいて、レコメンデーションを行なうことである。「いいね!」ほか、好意的反応を示したユーザに対して、その商品そのものをレコメンデーションするのが良い。一方、「(2)商品販売側以外を含む個人開設のコミュニティサイト」等に基づく場合、具体的な商品の特定が容易とは限らず、種々の工夫を施しても、レコメンデーションの精度は、(1)より劣らざるを得ない。
著者
桜井 厚 岸 衞
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、戦後史の記述や継承において体験者の語りやオーラル資料が、有効な資源やデータとして活用されているのか、その現状を把握するとともに、その活用にあたってどのような特質があるのか、を検討することにあった。そのため戦後史のなかで複数の大きな出来事をとりあげ、それぞれのオーラル資料の収集、記録、保存の実践について施設、団体、個人を調査し、オーラルヒストリーの意義を、歴史的事実の証言というより、むしろ地域のまちづくりや現在や未来へつながる死活や人びとの生き方につながるものとして活用されていることを確認した。
著者
荒木 功平
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

土の粒度等の情報を基に土粒子間の微視的な力のつり合いに確率論的考察を加え、降水に伴う土壌侵食の評価手法を開発した。具体的には降雨量から地中浸透量を減じ、表流水量を求め、粒子接点でのつり合いから流出粒子の最大径を導き、粒径加積曲線における通過質量百分率を確率として表層体積に乗じることでリスク値として評価した。一方で国頭マージ土壌について、降雨装置を用いた土壌侵食実験、霧吹きを用いた表層せん断試験を行い、表層粘着力が高いほど抑制効果が大きいこと、表層粘着力は飽和度に依存することを示した。また、沖縄県宜野座村農地での現地実験で土砂流出への種々の適応策を検討し、植生や敷き砂の効果が大きいことを示した。
著者
河口 信夫 西尾 信彦 角 康之 藤波 香織 寺田 努 井上 創造 川原 圭博 酒造 正樹 大村 廉 羽田 久一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

大規模データベースの構築を実現するための検討を進め,データ収集のための技術チャレンジであるHASC Challengeを継続的に開催した.また,年齢・性別でバランスさせた被験者を含む行動データ及び構造物内移動データ(HASC-IPSC)を公開した.その結果,当初の目標であった500名を超える被験者のコーパス構築が実現できた.センサ信号処理研究を支えるツールとして,行動信号処理ツール HASC Tool, HASC Logger の開発を行った.国際ワークショップHASCA2013をUbicomp2013の併設ワークショップとして開催した.
著者
丹沢 安治 久保 知一 石川 伊吹 北島 啓嗣 大野 富彦
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

中国における産業クラスター/集積の育成政策に焦点を置いて研究を行った。2009年8月の西安市、2010年8月、成都市、2011年青島/武漢等の「高新技術園区」における調査を通じて、中国の地方政府と開発区管理委員会、現地中国企業、日系企業など各アクターによるイノベーションを生み出す活動が、産業クラスター/集積を生み出すメカニズムを明らかにした。イノベーションミックスという計画当初の視点は、地域間競争を軸とした開発区モデルが、地域経済の「重層的ガバナンス構造」を形成していることを明らかにした。
著者
古川 猛
出版者
茨城県警察本部
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014

この研究は、機器による筆跡画線の質の測定、及び定量的な評価方法の開発を目的とした。筆跡には、画線の幅、濃淡、曲率、筆圧痕の深さ等のさまざまな指標が含まれている。しかし、実際の法科学における筆跡鑑定ではそれらを定量的に評価する手法、機材が開発されておらず、鑑定人の感覚に頼った状態が続いている。そこで、筆跡の輪郭線を信号と捕らえて、ウェーブレット分解により高次から低次に渡る周波数成分を検出した。その後、得た特徴量を指標として筆跡の輪郭線の滑らかさ、粗雑さを評価した。まず、被験者10名により縦、横、右下がり、左下がりの4方向別の短い線分をタブレット上に置かれた用紙に10回繰り返して記載する実験を行った。次に、筆跡画像を光学解像度5400dpiでフラットベッド型イメージスキャナにより撮影した。その画像に対して前処理として二値化、輪郭線抽出を行った。以上の輪郭線の差分を計算し、波状のプロファイルを得た。同プロファイルを5段階のスケールを使用したウェーブレットにより処理して分解プロファイルを得た。10名の被験者が10回繰り返して記載した4方向別の線分から得られた5段階の分解プロファイル、計2000個を評価するために、主成分分析を用いてデータの次元を圧縮した。識別には、部分空間法を用いた。特徴量(固有値)の分布の線形性、及び非線型性を考慮した筆者機別実験を行った結果、半数のデータで正しい識別結果を得た。
著者
岡田 匡史
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

次の課題4点,「図像体系の構築」,「テキスト研究」,「指導法研究」,「鑑賞題材開発」を,当初計画を適宜修正・調整しながら進めた。研究遂行に当たり,図像学的分析が進む西洋絵画を厳選し,選定作品を学習材とする鑑賞授業を基本的枠組として設け,その枠内で上掲4課題の重点的かつ相互連関的な探求を継続した。その結果,西洋絵画(特に宗教画)の読解に要す基本図像の体系的整理,絵を読むのに要す諸テキストの整理,段階型鑑賞プログラムに基づく各種鑑賞題材の提案,そして,授業検証が達成できた。最終的に図像学的読解メソッドの概念を拡張でき,「自由解釈,テキスト準拠型鑑賞,図像学的読解」で成立する学習モデルも明示できた。
著者
三浦 孝仁 中塚 茂巳 山田 眞佐喜 片山 敬子 株丹 恵子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

この研究は、障害者のための潜水指導方法を確立することである。その為に、(1)障害者ダイビング指導団体の現状と課題の調査、(2)潜水活動中の神経活動の推定、(3)障害者ダイバーの障害の種類、(4)障害者ダイバーの血圧及び肺機能測定、(5)障害者ダイバーの水中移動・停止のための泳法を水中ビデオにより撮影・画像分析、(6)障害者ダイバーの水面における回転技術、(7)水中におけるバランス確保のためのウエイト取り付け方法について調査・分析を行った。
著者
織井 秀文
出版者
姫路工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

扁形動物プラナリアに外来遺伝子を導入するために、プラナリア自身のもつ高発現遺伝子2種類(elongation factor 1αとelongation factor2)に着目した。それぞれの遺伝子のプロモーター及びターミネーターの相当する5'上流域と3'下流域をクローニングし3種類のレポーター遺伝子、β-galactosidase(β-gal),luciferase,green fluorescent protein(GFP)を挿入した計6種類のプラナリア発現ベクターを構築した。これらのベクターをマイクロエレクトロポレーション法でプラナリア個体へ、あるいはエレクトロポレーション法で解離細胞への導入を試みた。残念ながら個体への導入はいずれのベクターを用いた場合においてもまったく検出されなかった。また、プラナリア個体がGFPの出す蛍光と類似の自家蛍光を持つことが明らかになりGFPはレポーター遺伝子として不適であることがわかった。一方、解離細胞への導入においては、luciferaseベクターを導入後、細胞抽出液中におけるluciferase活性はほとんど検出できなかった。しかし、β-galベクターを用いて細胞レベルでの導入を調べたところ10^<-7>と極めて低頻度であるが導入細胞が確認された。このことは少なくとも単離したプロモーターが実際にプラナリア細胞中で機能したことを示している。今後はこれら発現プロモーターを基本にプラナリア用レトロウイルスベクターを構築し導入効率を高める等の改良が期待される。
著者
山西 博幸
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、河道断面確保の立場から、河岸に堆積した底泥除去の一手法として、波による洗掘を室内実験と数値計算により検討した。まず、現地底泥のレオロジー的特性の一指標として、佐賀県六角川の河道側面に堆積した現地底泥を用いたベーン剪断試験を行った。このとき、撹乱・不撹乱試料ともに、含水比Wの増加とともに剪断強度τ_5が指数関数的に減少することから、τ_5をWの関数として表した。次に、平成9年度に導出した傾斜面上の衝撃砕波圧算定式及びその際に使用した経験式の妥当性について、自由表面を持つ流れで圧力を直接取り扱う数値解法であるSMAC法により行った。SMAC法で計算されたマーカー粒子の挙動は砕波水塊が傾斜面上に突込む様子、水塊の跳ね返る様子、砕波する際に気泡を巻き込む様子などを再現した。また、砕波水塊の入射角θ、跳ね返り角γは、いずれも経験式との良好な相関を示した。さらに、SMAC法で得られた変動圧力は、同一条件下で衝撃砕波圧算定曲線から求めた値とほぼ同一であることを確認した。波による底泥の破壊機構の解析には、個々の要素が接触時に力を伝達する要素ばねとその要素間の粘着性の効果を表す間隙ばねを組み入れた拡張個別要素法(EDEM法)を用いた。各パラメータは、現地不攪乱底泥を用いた一軸圧縮試験と数値計算の比較から値を定めた。また、繰り返し衝撃砕波圧が作用することによる底泥強度の脆弱化を考慮した。数値実験の結果、傾斜面表層部の要素群の多くは、表面上からはじき出され、衝撃砕波圧の作用領域では、間隙ばねの破壊が著しく、特に、第1突込点周辺では、亀裂が内部まで広がっている。間隙ばねの破壊された要素群は、戻り流れの作用により沖方向へ流されるものとすれば、間隙ばねの破壊状況から洗掘形状が推測される。これと洗掘実験結果はおおむね一致し、数値計算により底泥の洗掘形状とともに洗掘土量の概算も可能となった。
著者
間瀬 玲子
出版者
筑紫女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

19世紀フランスの作家ジェラール・ド・ネルヴァルの全文学作品における視覚芸術に関する記述及びネルヴァルが作品内で言及している他の作家たちの著作の図版の検証作業を行った。その結果ネルヴァルが視覚芸術や他の作家たちの著作物の図版から影響を受けて、文学世界の構築を行ったことを立証した。
著者
林 勉 伊藤 一男 岩下 武彦 遠藤 宏 小野 寛 内藤 明 山崎 福之 鈴木 美弥 八木 京子
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

新校本底本とすべき西本願寺本複製翻刻の文字の再確認と誤脱訂正を続け『校本萬葉集』等にないヲコト点・返点・合符等の校異も他の古写本にも試みた。古写本中仙覚新点本の青色書入の他に他本との校合を示す朱・赭筆書入のある京都大学曼朱院本の原本調査を終了した。また次点本で平安中後期写本で極めて年代古く極めて歌数多く校異も朱の他赭筆書入の多く価値高い元暦校本の調査も東京国立博物館のご助力頂き開始出来た。また萬葉歌を分類再編した古葉略類聚鈔の調査は進めたが平安末期書写の類聚古集の調査も始めたい。五代簡要等歌学書、古今和歌六帖等撰集、契沖等萬葉研究も続けて進めたい。
著者
植田 今日子
出版者
東北学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

東日本大震災が訪れる前から幾度にわたって津波の被災と回復を余儀なくされてきた歴史をもつ社会で、「未曾有」の規模と表現されてきた2011年の津波被害が、どのような社会的、文化的実践によって克服されようとしていたのかについて明らかにした。集落単位での分析にこだわることで、被災前からルーティンとして執り行われてきた儀礼や祭祀が被災したコミュニティに果たす役割の重要さが明らかとなった。また「津波常習地」とはいっても、人間の寿命をゆうに跨ぐ間隔で訪れる災害へ警戒を伝えることの難しさも浮き彫りとなった。この伝承において必須となっていたのは、人間の寿命を凌ぐスパンをもつ有形無形の伝承媒体の存在であった。
著者
間瀬 玲子
出版者
筑紫女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

19世紀フランスの作家ネルヴァルの全文学作品における演劇、オペラ、見世物などの視覚芸術に関する記述の検証作業を行った。特にネルヴァルが雑誌や新聞に発表した劇評に注目した。またネルヴァルが自分の作品内で言及した視覚芸術の作品の台本及び研究書を検討した。その結果ネルヴァルが視覚芸術の諸作品を鑑賞して劇評を発表することにより、自らの作品において視覚芸術的な要素を持つ文学世界の構築を行ったことを立証した。
著者
谷口 進一 青木 克比古 中 勉 高 香滋 石井 晃 大林 博一 大林 博一 中村 晃 中江 友久
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

組織的教育力の効果を数理の基礎学力・ジェネリックスキルの観点から、入学から卒業までのスパンで定量的・質的に検証を行った。学力に関しては、同一の学力診断において、入学時に比べ1年後学期では成績が向上し授業効果が確認された。しかし、4年次では専門教育に力点が移り、授業効果は低下した。ジェネリックスキル自己評価では2年次で一旦多くの評価項目の自己評価が低下するが4年次では回復しほとんどの項目で最高点となることが確認された。
著者
呉 文文
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

細胞周期を通して、BRCA1の蛋白複合体を網羅的に解析した。HERC2がS期特異的にBRCA1と結合し、分裂期ではBRCA1から迅速解離する現象を見出した。HERC2はBRCA1のユビキチンリガーゼで、BARD1から離脱したBRCA1を不安定させると同時に、pre-RC複合体のMCM蛋白質の活性化を誘発し、異常複製開始点を発火させる。HERC2はClaspinとともに複製フォークの進行や安定を制御し、最終的にG2/Mチェックポイント応答に機能する。HERC2はBRCA1が司っている細胞周期のG2/Mチェックポイント制御機構には重要な役割を担い、BRCA1の細胞周期調節機構には必須因子であることを明らかにした。
著者
小川 正
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

ヒトや動物は未知の藁境下にあっても、「環境とのコミュニケーション」によって、生存するための「新しい知識」を確立することができる。例えば、初めて遭遇した未知の森で、さまざまな色の木の実を食べたとき、「赤色の実は美味しかったが、他の色の実は不味かった」という試行錯誤的な経験を繰り返せば、「赤い色→美味しい」という新しい知識を獲得して、最初から赤い木の実を探すようになるだろう。このような柔軟な適応的行動の形成は、(1)「環境との試行錯誤的なコミュニケーション(刺激情報-行動選択-結果)を繰り返すことによって、問題解決のための新しい知識を見つける過程(試行錯誤による探索)」から、(2)「明示的に新しい知識を学習したあと、知識にもとづいて問題解決する過程(知識ベースによる探索)」への遷移と見なすことができる。我々は「試行錯誤を伴った視覚探索課題」を開発することによって、試行錯誤による探索をサルに繰返し行わせることに成功した。前頭前野(背外側部)のニューロン活動は、現在遂行している探索方略の状態(試行錯誤探索or知識ベース探索)と、方略変換を行うべきタイミングを表現していた。さらに注目すべきことに、方略変換のタイミングを正しく見つけるために前頭前野ニューロンは,エラーが生じた要因によってエラーを「複数のエラータイプ」に区別し、その後の探索方略を決定していた。先行研究において、このような複数のエラータイプとそれにリンクした方略変換の神経機構は報告されていない。なお、研究成果の一部を英文雑誌で公表した(Fulimto et al. Robotics and Autonomous Systems, 2012)。
著者
田久保 憲行 石井 正浩 鳥居 央子 加藤 チイ 横山 美佐子 大津 成之 木村 純人 田久保 由美子 陶山 紀子 伊東 真理 壬生 和博 亀川 大輔 依田 綾香 佐藤 里佳
出版者
一般財団法人脳神経疾患研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では3年間にわたり、中等度~重度肥満児で同意が得られた延べ11名(5歳~12歳、男5名/女6名)(OB群)と健常小児12名(NOB群)ならびにその家族に対し、肥満解消のための実践的な介入を実施した。運動生理面で握力と等尺性膝伸展筋力の検討では、OB群はNOB群と比べ全身の筋力が低下している可能性が示された。また血管内皮機能の検討では、OB群はNOB群と比べ有意に低値を示し血管拡張能が低下している可能性が示された。栄養面では、野菜摂取量を増やす実践的な手法を考案し、介入後に野菜摂取が増える傾向を認めた。家族看護の介入では、小学生版QOL尺度を用い、介入後の子どものQOLが上昇傾向を認めた。
著者
露無 慎二 平田 久笑
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

品種特異的抵抗反応を誘導する非病原力エフェクターが同時にサプレッサー機能をも有するが、カンキツかいよう病菌の非病原力様でかいよう形成を司るエフェクター、PthA、もサプレッサー機能も持つ。我々は、PthAエフェクターが宿主植物であるカンキツのPectin Methyl Esterase (PEM)前駆体に特異的に結合することを発見した。このことから、PthAと結合出来ない他植物のPME前駆体遺伝子の導入、カンキツPME前駆体遺伝子への変異導入などによってこの結合をコントロールし、かいよう形成カスケードに導かないようにできる可能性を示すことができた。さらに、非病原力エフェクターと反応する植物因子を改変し、非病原力エフェクターのサプレッサー機能抑制することにより耐病性植物創出に導く可能性を示唆出来た。