著者
林 潤
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,平均粒径および粒径分布の幅が噴霧火炎構造に与える影響の解明および様々な噴霧特性を持つ噴霧火炎に対して適用可能な解析手法を開発することを目的とした.実験では,粒径分布が制御された噴霧を層流対向流場に供給することで形成された噴霧火炎に対するレーザー誘起赤熱法計測を行った.その結果,同一平均粒径を持つ場合には,粒径分布の幅が広い条件においてすす一次粒子の生成領域が減少することが明らかとなった.また,単分散噴霧火炎構造の重ね合せによる多分散噴霧火炎構造の評価を行った結果,噴霧火炎特有の群火炎構造が表現できる可能性は示唆されたものの,小粒径の燃料液滴による燃焼を過剰に見積もる傾向が示された.
著者
上村 靖司 高橋 徹 松澤 勝 佐藤 篤司 上石 勲 千葉 隆弘 渡邊 洋
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

数値地理情報システム(GIS)を活用して「中越地震と平成17年豪雪の複合被害」を数値地図上に統合, 避難行動および避難空間のシミュレーションをするシステムを開発した. また「地震-豪雪複合災害の被害想定アンケート」を被災地住民に対して実施し, 積雪期地震の場合に被害想定を行った. これらより建物倒壊数の増加, 火災発生数の増加に加え, 避難空間の不足, 移動の困難が深刻であることが明良になった.次に, 積雪期地震の建物被害想定のため, 積雪を加載した建築物模型を振動台上で加震し, 建物の振動応答および積雪の破壊状態を観察する実験が行われた. またこのモデル実験を計算機上で再現できる個別要素法に基づくシミュレーションプログラムも作成され, 積雪の破壊現象などが再現され, プログラムの有効性が明らかになった.積雪期に斜面上の雪に加震力が加わった時, 雪崩が発生するかどうかの積雪不安定度の理論的検討が進められた. また積雪層シミュレーションモデルSNOWPACKによる面的雪崩危険度予測の手法が, 地震による加震力を加えた問題について適用されその有効性が確認された.
著者
平林 宣和 劉 文兵
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究においては、「文革期のプロパガンダ演劇における社会主義的近代性」に着目し、身体、ジェンダー、プロパガンダといった観点から、文革時代の中国のプロパガンダ演劇を考察することにより、そこに内包された社会主義的近代性の独自性を明らかにした。その成果として、劉文兵が2006年6月の日本舞踊学会、および同年8月開催の「早稲田大學演劇博物館21世紀COE研究発表会」において研究発表をおこなった。また同時に、映画メディアと文革の関係に注目、文革時代から文革終焉直後にいたるまでの映画表象の歴史的変遷を、2006年8月に上梓された『中国10億人の日本映画熱愛史』(集英社新書)、そして表象学会の学会誌掲載予定の論文「忘却への欲望トラウマの回帰--中国映画における文革の表象」において検証した。さらに、文革期から文革終焉直後にかけての中国の映画製作を概観する「政治と表象」という構想のもと、単著の書籍を執筆している(すでに作品社の2007年度刊行の学術書としてラインナップされている)。一方、早稲田大学演劇博物館「21世紀COE演劇の総合的研究と演劇の確立」のプログラムの一環としてアーカイブの作成に従事し、1960年代初頭から70年代後半までの『人民日報』『文匯報』のデータベースを構築した。そのほか、中国映画の巨匠である張芸謀監督、謝晋監督、賈樟柯監督にたいするインタビューをも重点的におこない、それに基づいた学術論文やインタビュー記事をも執筆している。
著者
山越 健弘 山越 憲一 松村 健太
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

光電容積信号を用いた容積振動法に基づき,血圧,脈圧,心拍数,血管緊張度,および血管弾性度の5生理指標を,指一本から同時かつ簡便に取得可能なプロトタイプを開発した。そしてこの動作性能評価を行い,次いで上記5指標から体調の善し悪しを判別可能かどうかのパイロット・スタディを行った。また,飲酒運転防止を目的とし,光電容積信号を利用した血中アルコール濃度計測の可能性をin vitro(アルコール吸光特性試験)及びin vivo(飲酒負荷試験)下で予備検討した。
著者
竹井 祥郎 宮野 悟 兵藤 晋 井上 広滋 坂内 英夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

海は概して生物にとって棲みよい環境であるが、海水の高い浸透圧はそこに生息する魚類に脱水という試練を与える。海水中における体液調節にはホルモンが重要な役割を果たしていると考えられるが、陸上動物におけるバソプレシン・バソトシンのようなきわめて重要なホルモンはまだ見つかっていない。私たちはバイオインフォーマティクスの第一人者である医科学研究所の宮野教授のグループと共に、フグやメダカなど真骨類のデータベースからナトリウム排出ホルモンを探索した。その結果、ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリンなどのナトリウム排出ホルモンが真骨類で多様化しており、独自のホルモンファミリーを形成していることがわかった。さらに、これらナトリウム排出ホルモンが強力な海水適応促進作用を持つことが明らかになった。心臓のホルモンである心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、飲水抑制作用、腸からのナトリウム吸収抑制作用、鯉の塩類細胞を淡水型(吸収型)から海水型(排出型)に変える効果を持っ成長ホルモンやコルチゾルの分泌を促進する作用、尿のナトリウム濃度を上昇させる作用、などを持っ。ANPを海水ウナギに投与すると、飲水量と腸におけるナトリウムの吸収が抑制されるため、血疑ナトリウム濃度が減少する。いっぽうANPの抗体を投与して血液中のANP.をなくすと飲水量が上昇して血漿ナトリウム濃度が上昇する。また、腸のホルモンであるグアニリンは、腸の管腔側に分泌されて上皮細胞の管腔側の膜にあるクロライドチャネルを活性化してナトリウムを分泌させる。その結果、Na-K-2Cl共輸送体が活性化されて水の吸収が促進される。このように、グアニリンは哺乳類ではClを管腔に排出させることにより下痢を起こさせるホルモンであるが、魚類では2分子のClを排出することにより4分子のイオン(Na, K, 2Cl)を吸収するためそれにともない水が級数され、その結果海水適応が促進される。以上、本研究によりこれまで未知であった主要な海水適応ホルモンが明らかになってきたといえる。
著者
山田 健太
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2014年には特定秘密保護法が施行、2015年には安保関連法制の制定により有事法制もより法整備が進み、これに伴い言論の自由に関する規定も盛り込まれるなどした。また2015年末から2016年にかけて、放送法の解釈及びいわゆる公権力とメディアの関係が問われることとなった。そこで本研究においては、第1に特定秘密保護法の法構造と運用監視システム、同法と取材・報道の自由の関係について、アメリカやイギリスの状況を比較検討しつつ研究を実施した。第2に放送法の法解釈と行政指導等の行政機関の対応について歴史的考察を行い、併せて放送局の現場における対応について、ドイツの状況を比較検討しつつ研究を実施した。
著者
田中 求 大久保 実香
出版者
高知大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

国内の和紙原料生産は激減しつつある。本研究は山村の変容と問題点を明らかにするとともに、和紙原料栽培の多面的機能の活用策を検討することが目的である。和紙原料栽培は、生業と買い取り価格の変化により衰退していた。焼畑でのミツマタ栽培も植林により激減した。雇用労働が収入源となり栽培者が減る中で、栽培作業も雇用労働化した。輸入コウゾが増加し、高齢化で管理が不十分な畑が増え、買い取り価格の買い取り価格は下がり、獣害で農家の栽培意欲が削がれていることがわかった。その一方で、和紙原料栽培が景観形成・獣害回避・蜜源・庇陰植物機能を有していることも明らかになり、今後はその具体的な活用策の普及が重要である。
著者
本村 浩之
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

フサカサゴ科魚類363名義種の原記載を調べたところ,18名義種がマツバラカサゴ属に帰属することが明らかになった.18名義種の原記載とタイプ標本,および多くの一般標本を調査した結果,9種が有効種であること,さらに2未記載種の存在が明らかになった.本研究によって,マツバラカサゴ属の種レベルの分類学的再検討から,各種の地理的変異,成長による形態変化,および分布域も明らかにすることができた.
著者
後藤 幸弘 日高 正博
出版者
宝塚医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ハードな身体接触を伴う運動(「組ずもう」「カバディー」)は、身体接触を避けるように企図した運動(「棒ずもう」「タグカバディ」)よりも児童の攻撃的な感情の表出を押さえ、身体への気づきを高め得ることが認められた。また、「筋出力の制御力」の向上には、身体接触よりも大きな力を発揮するこの影響が示唆された。さらに、「組ずもう」と「カバディ」の学習効果は、量的に見た場合いずれの側面においても3・4年生よりも2年生で大きいと評価された。
著者
宮地 良樹 黒沢 元博 石川 治
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

アレルギー炎症の組織修復過程においは、線維芽細胞、肥満細胞、好酸球,マクロファージなどが参画すると考えられるが、とくに肥満細胞はその発症と遷延化を考える上で重要である。従来、肥満細胞は単に即時型アレルギー反応を惹起する細胞としてのみ評価されてきたが、近年肥満細胞由来サイトカインやメディエーターが解明されるに及んで、そのアレルギー炎症過程への干渉や炎症後リモデリング過程への介在などが極めて注目されるようになった。今回の研究ではアレルギー炎症後のリモデリング過程における肥満細胞の関与を検証するため、臍帯血から樹立したヒト肥満細胞を用いて、線維芽細胞との相互作用、とりわけ肥満細胞由来トリプターゼによる線維芽細胞増殖やコラーゲン産生への影響、さらには肥満細胞が産生する各種成長因子などを検討する中で、炎症後の修復過程における肥満細胞の役割を解明した。肥満細胞と線維芽細胞の共存培養系において線維芽細胞の増殖能が亢進したことから、肥満細胞由来トリプターゼやその抗体を用いた実験で、その本態は肥満細胞由来トリプターゼである可能性が示された。また、肥満細胞は、TGF-βやbFGFなどの成長因子を産生することで線維芽細胞の増殖を制御していることも判明した。線維芽細胞と肥満細胞が相互に干渉することでリモデリングを修飾するとすれば、その制御の視点から、ステロイド剤、抗アレルギー剤、抗酸化剤などがその制御にどの程度有用かを調べることも意義深い。また、皮膚に限らず、気道炎症をはじめとする他のアレルギー炎症性疾患、肺線維症や肥厚性瘢痕を含む線維化、強皮症における硬化などの線維化疾患の序と制御における肥満細胞の役割などが今後検討されるべきであろう。
著者
永井 善之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

児童ポルノの刑事規制根拠の明確化を目的とする本研究では、その規制の伝統に伴う法的議論の蓄積の豊富なアメリカにおける理論状況に係る比較法的な分析も踏まえて、その規制利益の個人的法益性の基本的妥当性を確認すると共に、この個人的法益を被写体児童の人格的利益、より具体的に自由の一種たる自己の性的姿態に係る情報権と構成する可能性について検証した。
著者
長瀬 健一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究課題では、再生医療への応用を目的とし、細胞治療に用いる細胞を温度変化のみで分離するインテリジェント型分離基材の設計を行なった。ガラス基板、微細加工基板、マイクロファイバーの表面に温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)を修飾し、37℃で細胞を接着させて20℃で細胞を脱着させる基板表面を作製した。この際、細胞種ごとの接着性の差を大きくする基材設計を行なう事で細胞の分離効率の向上を試みた。
著者
藤尾 圭志
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

特別研究員はまず腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞モデルを作製した。用いた腫瘍細胞はマウス線維肉種p815にマウスアロ抗原H-2Kbを発現させたp815 Kbである。H-2Kb特異的T細胞レセプター(TCR) aKbのα鎖及びβ鎖をレトロウイルスベクターを用いてDBA2マウスCD8陽性細胞に感染させた。発現の確認出来るb鎖はCD8陽性細胞の50%で発現を認めた。aKb TCR感染CD8陽性細胞はp815Kbに対し強い細胞傷害活性を示し、同時にIFN-gを産生した。p815 Kb接種時にaKb TCR感染CD8陽性細胞を同時に接種することにより腫瘍の拒絶を認め、レトロウイルスベクター系によるTCR遺伝子導入で、生体内でも機能的な抗腫瘍細胞傷害性T細胞を作製できることが確認された。次にマウス皮下に形成されたp815腫瘍に浸潤したT細胞のTCRの回収を試みた。p815腫瘍に浸潤しているCD8陽性細胞ではVβ10陽性細胞が優位に増加しており、腫瘍浸潤T細胞からCD8陽性Vβ10陽性細胞をシングルセルソーティングを行いcDNAを合成し、PCRを用いてTCRα鎖及びβ鎖を回収した。回収したTCRプールから、SSCP法で腫瘍内への集積を確認出来たクローンと同一の配列のTCRb鎖を使用するTCRを選択した。選択したTCRをDBA2マウスCD8陽性細胞に感染させると、感染細胞はp815腫瘍に対し優位な細胞傷害活性を示した.感染細胞は腫瘍保持マウスへの移入により腫瘍への集積を確認した。よって腫瘍浸潤Tリンパ球からSSCP法を用いてTCRを回収し、レトロウイルスベクター系を用いてCD8陽性細胞に導入することにより生体内でも腫瘍特異性を示す、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を作製できることが確認された。
著者
前島 信 仲田 均 田村 要造 安田 久美 鈴木 由紀 佐々田 槙子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

確率論における重要な確率分布である無限分解可能分布の代表的なものに自己分解可能分布がある。それを拡張した新しい概念「α-自己分解可能分布」を提案し、新しい数学的な結果を得ると同時に、そのもとでそれまでの関連する結果を統一的に整理した。その応用の一例として、2次元ガンマ分布は自己分解可能ではないが、それが属するクラスを拡張したクラス群の中から特定した。また、狭義安定分布のレヴィ過程に関する確率積分による特徴づけの完全な証明に成功した。
著者
上田 周太朗
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

フェニックス銀河団は2011年にSouth Pole Telescopeにより発見され、z=0.596に位置する。その後の多波長観測から、この銀河団の中心に位置する銀河の中で、800M・/yrという非常に大きな星形成率を持つことが明らかになった。これほど大きな星形成率を持つ銀河団中心銀河は存在しない。先行研究では、銀河団高温ガスがX線放射により冷え、中心銀河に降着し(cooling flowと呼称)、そのガスが星形成を引き起こしているという主張がなされている。Cooling flowは本来全ての銀河団の中心領域で起きうる現象だが、冷えている途中のガスなどはいまだ未発見で、何らかのメカニズムで抑制されていると考えられていた。もしかするとフェニックス銀河団でのみ、cooling flowが抑制されていない可能性がある。抑制源として考えられているのが、中心銀河に存在する超巨大ブラックホール(SMBH)の活動である。我々は中心銀河に存在するSNBHの観測を通して、フェニックス銀河団の特異性を明らかに知るため、新たにX線観測を行った。高い分光性能とワイドバンド観測が可能なX線天文衛星「すざく」を用いて、我々はフェニックス銀河団の観測を行った。その結果、先行研究では未発見の中性鉄K輝線を初めて検出した。中心銀河の中に存在するSMBHの周囲に中性物質が大量に存在していることを示唆する。またX線スペクトルに強い吸収成分が存在し、埋もれたSMBHであることが判った。中性物質の柱密度と中性鉄K輝線の強度には相関が、SMBHのX線光度と輝線強度には反相関の関係があることが、銀河団に付随しない銀河のX線観測から示唆されている。このフェニックス銀河団の埋もれたSMBHの場合、柱密度と輝線強度には他の銀河と同様の相関を示すが、X線光度と輝線強度の関係は、他の銀河よりも大きい値を持つことが判った。この結果は、銀河団中心銀河と他の銀河で、SMBHの周辺環境が異なっていることを示唆する。その要因の1つがcooling flowかもしれない。これらの結果をまとめ、学術論文として出版した。
著者
小山 哲 小田中 直樹 佐々木 博光 橋本 伸也 長谷川 貴彦 長谷川 まゆ帆
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、日本における「西洋史学」の過去と現在を史学史的な視点から再考すると同時に、「西洋史学」を東アジアに固有の学問領域として捉え直すことによって、国境を越えた研究者間の交流と議論の場を構築することを目的として行なわれた。各年度に研究会を実施したほか、公開シンポジウム、国際会議を主催した(詳細ついては、添付した研究成果報告内容ファイルを参照)。最終的な成果の一部は、『思想』(第1091号、2015年3月)に特集「東アジアの西洋史学」として掲載されている。また、日本と韓国の西洋史研究者の交流の場として「日韓西洋史フォーラム」を組織した。
著者
西本 哲 三村 護 中川 征樹
出版者
神戸医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ファイバー束の性質を知るための方法として特性類を計算することがある.ファイバー束の中で最も重要なのが普遍束であり, その特性類を決定することは構造群の分類空間のコホモロジーを計算することにあたる.それを計算するための道具としてスペクトル系列があり, 今回は例外リー群E_7, E_8の分類空間のmod 3コホモロジーへ収束するスペクトル系列のE_2-項の代数構造を計算した.それから分類空間のコホモロジーと密接に関係している, Weyl群の極大トーラスの分類空間のmod 3コホモロジーへの作用による不変式環をE_7の場合に計算した.
著者
細野 高史
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

半導体デバイスをウェーハから切り出す「ダイシング」に応用することを目標に,レーザ溝加工を検討した.シリコンに形成した溝を評価したところ,腐食液中で加工した場合,空気中や水中での場合より熱により変質した層が少なかった.また低繰り返し・高ピークパワーのレーザと高繰り返し・低ピークパワーのレーザを比較した結果,後者の方が溝幅を小さくできたものの,繰り返し数が大き過ぎると溝周囲が過剰にエッチングされた.このような過剰エッチングは,腐食液の循環により抑制できた.さらに,シリコンばかりでなく4H-SiCについて,強酸化剤を含む溶液中で加工することで効率的に溝加工できることが分かった.
著者
梅津 郁朗 吉田 岳人 稲田 貢 香野 淳
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

シリコンに深い順位を持つ不純物の過飽和ドープすることができれば中間バンドを形成し太陽電池効率を向上させる可能性がある。本研究ではパルスレーザーを用いて結晶性を保ちながら不純物の偏析を抑制する試料作製法の指針を提示した。不純物として硫黄を用い電気的・光学的測定を行った結果、これまでに議論されていたように金属的振る舞いと中赤外光吸収の原因が共に中間バンドによるものであると考えると矛盾が生じることを明らかにした。そこで実験結果をもとに、それらの原因の新たな可能性を指摘した。
著者
竹中 康将
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、高効率触媒反応を利用した非可食性バイオマスから有用なオレフィン系モノマーを高選択的に合成する技術開発を行い、得られるバイオマス由来のオレフィン系モノマーを精密に重合する新規触媒を開拓し、バイオマス度の高い新規バイオベースポリマーを合成する技術の確立を目的とした。本研究の成果として、非可食性バイオマスを原料に用いたバイオマス度の高いバイオベースアクリル樹脂合成を達成し、各種測定機器を用いた物性評価を行うと同時に、β位にアルキル基およびアリール基を有する新規なアクリル樹脂合成を達成し、各種測定機器を用いた物性評価を行った。